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「神様はどこにおられたのか」ものみの塔(一般用)2018 | No. 3
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「神様はどこにおられたのか」
「神様はどこにおられたのか……といった疑問が絶え間なく生じる」。法王ベネディクト16世。ポーランドのアウシュビッツ強制収容所跡地で。
ひどい事件があると,「神様はどうして何もしてくれなかったんだろう」と思いますか。つらい経験をすると,神様は私のことなんか見ていないと感じるかもしれません。
アメリカのシーラもそう感じていました。信心深い家庭で育ったシーラはこう言います。「小さい頃から,人間を造った神様を信じていました。でも,遠い存在でした。遠くから見守ってくれているだけ,という感じでした。嫌われているとは思いませんでしたが,気にかけてくれているとも思いませんでした」。なぜでしょうか。こう話しています。「次から次へと家族につらいことが起きました。神様は全然助けてくれないと感じました」。
あなたも神様の存在は信じているかもしれません。でも,自分のことを本当に気にかけているのだろうかと思うかもしれません。聖書に出てくるヨブは神様の力と知恵を信じる正しい人でしたが,同じ疑問を抱きました。(ヨブ 2:3; 9:4)次から次へと悲惨な出来事に見舞われた時,神にこう尋ねました。「なぜあなたは顔を隠し,私を敵と見なすのですか」。(ヨブ 13:24)
つらいことが起きるのは神様のせいですか。神様が人間を気にかけているという証拠はありますか。一人一人を気にかけ,理解し,思いやり,助けてくれるのでしょうか。聖書からどんなことが分かりますか。
続く記事では,人の造りに目を向け,神様が気遣っているという証拠を考えます。(ローマ 1:20)それから,神様の優しさについて聖書が教えていることを調べます。人の造りや聖書を通して「その方をよく知る」につれ,「神は優しく気遣ってくださる」ことが分かるでしょう。(ヨハネ第一 2:3。ペテロ第一 5:7)
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神様はあなたを気にかけておられますかものみの塔(一般用)2018 | No. 3
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「あなたたちは……価値があるのです」。マタイ 10:31
神様はあなたを気にかけておられますか
人の造りから分かること
赤ちゃんの誕生後,最初の60分はとても大切です。この時できる新生児と母親との絆は,子供の発育に大きなプラスになることが分かっています。a
生まれたばかりの赤ちゃんを母親がいとおしく思うのはなぜでしょうか。ジャネット・クレンショー教授は「周産期教育ジャーナル」(英語)で,「母親が生まれたばかりのわが子を抱き,見つめ,授乳する際に」オキシトシンというホルモンが増加して,「母性が呼び覚まされる」と述べています。同じ時に分泌される別のホルモンは「母親が赤ちゃんのニーズに反応するのを助け」,赤ちゃんとのスキンシップを促します。何とよくできているのでしょう。
母と子の強い絆は,人間を造ったエホバ神bがデザインしたものです。ダビデ王は,神様が命を与え,母の腕の中で安心できるようにしてくれた,と言いました。そして,こう祈りました。「私は生まれた時からあなたの世話を受けてきた。母の胎内にいた時からあなたは私の神」。(詩編 22:9,10)
そうであれば 赤ちゃんを大切に育てるための素晴らしい機能を母親に与えた神様であれば,「神の子供」である私たちにも優しいまなざしを向けてくれるはずです。(使徒 17:29)
神様の気遣いについて聖書が教えていること
だれよりも神様のことをよく知っていたイエス・キリストはこう言いました。「スズメ2羽は小額の硬貨1枚で売っていませんか。それでも,その1羽でさえ,天の父が知らないうちに地面に落ちることはありません。ところが,あなたたちは髪の毛まで全て数えられています。ですから,恐れることはありません。あなたたちはたくさんのスズメより価値があるのです」。(マタイ 10:29-31)
小さな鳥を注意して見る人はあまりいません。「地面に落ち」たことを気にする人もいないでしょう。しかし,天にいる神様は小さな鳥一羽一羽のことを気遣っているのです。そして,人間を鳥よりも価値あるものと見ています。ですから,神様はあなたのことをとても気にかけています。神様は自分のことを気にかけてくれないんじゃないかと「恐れることはありません」。
神様は,私たちのことを気にかけ,幸せになってほしいと思っている。
聖書の言葉
「エホバの目はあらゆる所にあって,悪人と善人を見ている」。格言 15:3
「エホバは正しい人に目を留め,助けを求める彼らの叫びに耳を傾ける」。詩編 34:15
「あなたの揺るぎない愛を大いに喜ぶ。あなたは私の苦悩を見た。私がひどく苦しんでいることを知っている」。詩編 31:7
「エホバに愛してもらえないと感じていました」
神様が自分を気にかけ,幸せになってほしいと思っていることが分かると,前向きな見方ができるようになります。イギリスのハンナcがそうでした。こう話しています。
「自分なんてエホバに愛してもらえない,自分の祈りなんか聞いてもらえないと感じることがよくありました。自分に信仰が足りないんだとか,何か悪いことをしたからだとか,自分は大した人間じゃないからだと考えていました。エホバは私のことなんかどうでもいいんだ,と思っていたんです」。
でも,今ではエホバから見守られ,愛されていると確信しています。どうしてそう思えるようになったのでしょうか。こう言っています。「少しずつ気持ちが変わっていきました。数年前,心にとても響いた聖書の講演がありました。イエスの贖いについての話で,エホバが私を愛してくれていることを実感しました。また,祈りが聞かれるたびにエホバから愛されているんだと感じ,涙があふれてきました。聖書を学んだり,クリスチャンの集会に出席したりすることで,エホバのご性格や私たちへの温かい思いを知りました。今ははっきり分かります。エホバは私たちを愛し,支え,一人一人をケアしてくれています」。
ハンナの言葉は励みになります。では,神様が私たちのことを理解し,気にかけてくれていることがどうすれば分かるでしょうか。次の記事をご覧ください。
a 産後うつ病になった母親は,赤ちゃんとうまく絆をつくれないことがあります。しかし,母親に責任があるわけではありません。米国立精神衛生研究所によると,産後うつ病は「おそらく,物理的な要因と感情的な要因が相まって起こるもので……母親が何かをするかしないかでなるものではありません」。このトピックについて詳しくは,「目ざめよ!」2003年6月8日号の「産後うつ病を理解する」という記事をご覧ください。
c この一連の記事に出てくる一部の名前は変えてあります。
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神様は分かってくださいますかものみの塔(一般用)2018 | No. 3
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「あなたの目は胎児の私を見ました」。詩編 139:16
神様は分かってくださいますか
人の造りから分かること
一卵性双生児について考えてみましょう。双子は特に強い絆で結ばれています。「何も説明しなくても何が言いたいかすぐに分かる」双子さえいると,双生児研究センターの所長であり,自分も双子であるナンシー・シーガルは述べています。ある一卵性双生児の女性は,「お互いのことが全部分かっているんです」と言います。
どうしてそこまで分かるのでしょうか。研究によると,家庭環境やしつけはもちろんですが,一卵性双生児の遺伝子構造が似ていることが大きな要因になっているようです。
そうであれば この見事な遺伝子の仕組みを創造した神様は,私たち一人一人のことをだれよりもよく理解しています。詩編作者ダビデもこう述べています。「あなたは……母の胎内という仕切りの中に私を置きました。人知れず私が造られた時,……私の骨はあなたから隠されませんでした。あなたの目は胎児の私を見ました。私のあらゆる部分があなたの書に書かれました」。(詩編 139:13,15,16)神様だけが,人の遺伝子構造だけでなく,人格形成に影響を与えてきた出来事を全て知り,完全に理解できます。私たちのことを遺伝子レベルで知っているので,細かい点まで全て分かってくれるのです。
神様の深い理解について聖書が教えていること
ダビデはこう祈りました。「エホバ,あなたは私の全てを探りました。私のことを知っています。座るのも立つのも知っています。遠くから私の考えを知ります。私がまだ言葉を口にしていないのに,エホバ,あなたはすでに私の考えをよく知っています」。(詩編 139:1,2,4)また,エホバは私たちの心の底の感情を知っていて,「考えの傾向を全て見極め」ています。(歴代第一 28:9。サムエル第一 16:6,7)ここから神様についてどんなことが分かりますか。
祈る時に自分の考えや気持ちの全てを言葉にできないかもしれません。でも,神様は私たちの行動に注目しているだけでなく,そうする動機も知っています。さらに,私たちが良いことをしたいと心から願っていても,限界があってそうできない場合があることも分かってくれます。人間に愛する気持ちを与えた神様だからこそ,私たちの優しい気持ちや親切心に気づいてくれるのです。(ヨハネ第一 4:7-10)
神様は私たちの悩みや苦しみを全て知っている。周りの人に気づかれなくても,理解されなくても,神様は分かってくださる。
聖書の言葉
「エホバは正しい人に目を留め,その人たちの祈願に耳を傾ける」。ペテロ第一 3:12
神様はこう約束しています。「私はあなたに洞察力を与え,進むべき道を教える。あなたに目を留めて助言を与える」。詩編 32:8
神様は理解してくださっている
神様が私たちの状況や気持ちを理解していることが分かれば,逆境に耐えやすくなります。ナイジェリアのアンナはこう話しています。「いろいろと大変なことが重なり,生きる意味があるのだろうかと思いました。私はやもめで,水頭症(頭蓋内に髄液が過剰にたまる病気)で入院中の娘を世話していました。そんな時,自分も乳がんだと分かり,手術,化学療法,放射線治療を受けなければなりませんでした。そういう状況で娘の世話なんてできないと思いました」。
その状況をどうやって乗り越えたのでしょうか。アンナはこう言います。「聖書の言葉をじっくり考えました。例えばフィリピ 4章6,7節には,『神からの平和が……皆さんの心と考えを守ります。その平和は人間の理解をはるかに超えています』とあります。この聖句を思い出すたびに,エホバとの強い絆を感じました。エホバが私以上に私のことをよく理解してくれていることが分かったからです。また,クリスチャン会衆の仲間たちもたくさん励ましてくれました。
今も病気と闘っていますが,私と娘の状況は良くなっています。エホバがそばにいてくれるので,問題にぶつかってもプラス思考でいられます。ヤコブ 5章11節の言葉が支えになっています。『私たちは,忍耐した人は幸せであると考えます。皆さんはヨブの忍耐について聞き,ヨブがエホバのおかげでどんな結末を迎えたかを知っています。エホバは優しい愛情[または,「思いやり」,脚注]にあふれ,憐れみ深い方なのです』」。エホバはヨブの状況を全て理解していたように,私たちが経験している問題も全部分かってくれるのです。
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神様には思いやりがありますかものみの塔(一般用)2018 | No. 3
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神様には思いやりがありますか
人の造りから分かること
思いやりは,「他の人の身になって考え,その気持ちや感覚を理解する能力」と定義されています。精神衛生の専門家であるリック・ハンソン博士は,「思いやりはだれもが生まれつき持っている」と述べています。
そうであれば 私たちに,思いやりという,他の動物にはない能力があるのはなぜでしょうか。聖書によると,神様は人間を自分に似た性格を持つ者として創造しました。(創世記 1:26)ですから,人間は神様の優れた性格をある程度表すことができます。人が思いやりに動かされて他の人を助けるのは,創造者エホバの優しい性格を反映しているからです。(格言 14:31)
神様の思いやりについて聖書が教えていること
思いやり深い神様は,私たちが苦しむ姿を見たいとは思いません。昔のイスラエル人は,エジプトで過酷な奴隷生活に耐え,その後40年間も荒野で大変な暮らしをしました。聖書は「彼らが苦しんでいたどの時にも,神も苦しみを味わった」と述べています。(イザヤ 63:9)神様は,彼らの大変な状況に気づいていただけではありません。彼らの痛みを自分のことのように感じていました。「彼らの苦痛をよく知っている」と言っている通りです。(出エジプト記 3:7)また神様は,「あなたたちに触れる者たちは私の瞳に触れているのである」とも言っています。(ゼカリヤ 2:8)私たちがだれかに傷つけられるとき,神様もその痛みを感じてくれるのです。
自分は駄目だと感じて,神様から優しくしてもらう資格なんてないと思うことがあるかもしれません。でも聖書によると,「神は私たちの心より大きく,全てのことを知ってい」ます。(ヨハネ第一 3:19,20)神様は私たち以上に私たちのことを知っています。私たちの状況も考えも気持ちも全て分かっています。その上で,私たちのことを思いやってくれるのです。
神様は苦しむ人を助ける。私たちは神様からの慰めや知恵や支えを期待できる。
聖書の言葉
「あなたが呼ぶと,エホバは答える。あなたが助けを求めて叫ぶと,『私はここにいる!』と言う」。イザヤ 58:9
「エホバはこう宣言する。『私は,あなたたちのために自分が行おうとしていることをよく知っている。あなたたちに災いではなく平和をもたらし,良い将来と希望を与えたいと思っている。あなたたちが私を呼び,私のもとに来て祈る時,私は耳を傾ける』」。エレミヤ 29:11,12
「私の涙をあなたの革袋に集めてください。あなたの書に記されている私の涙を」。詩編 56:8
神様は私たちを気にかけ,理解し,思いやってくださる
神様が思いやってくれることが分かると逆境に耐えやすくなります。マリアはこう言っています。
「息子はがんで2年間の闘病生活を送り,18歳で亡くなりました。私はとてもつらくて,人生は苦しくて不公平なものだと思いました。息子を助けてくれなかったエホバに怒りを感じていました。
6年後,会衆の優しくて思いやりのある友人に自分の気持ちを打ち明け,『エホバは私のことなんて愛していない』と言いました。友人は私の話を何時間もずっと聞いてくれました。それから,心に響く聖句を教えてくれました。ヨハネ第一 3章19,20節の『神は私たちの心より大きく,全てのことを知っている』という言葉です。そして,私の苦しみをエホバが分かっていることに気づかせてくれました。
それでも,怒りの気持ちはなかなか消えませんでした。そんな時に,詩編 94編19節の『心配事で圧倒されそうな時,あなたは私を安心させ,落ち着かせてくださった』という言葉を読みました。まるで私のために書かれた言葉のようでした! やっとつらい気持ちをエホバに話せるようになり,ほっとしました。エホバが祈りを聞いて理解してくれることが分かったんです」。
神様は私たちのことを理解し,思いやってくれます。何と心強いことでしょう。でも,苦しいことがこんなにたくさんあるのはなぜですか。何か悪いことをしたので,罰を受けているのでしょうか。神様は苦しみを全て終わらせるために何かしてくれますか。続く記事をご覧ください。
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苦しみ 神様からの罰ですかものみの塔(一般用)2018 | No. 3
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苦しみ 神様からの罰ですか
ルジアは左脚が不自由です。幼い頃に,ポリオという,神経系を冒す伝染病にかかったからです。16歳の時,雇い主の女性から,「お母さんの言うことを聞かない悪い子だったから,神様からの罰が当たったのよ」と言われました。何年たってもその時のショックを忘れられません。
ダマリスが脳腫瘍だと分かった時,父親はこう言いました。「こんな病気になるなんて,一体何をしたんだ? 何かすごく悪いことをしたに決まっている。だから神様からの罰が当たったんだ」。その言葉にダマリスはとても傷つきました。
昔から,病気になるのは神様からの罰だと考えられてきました。「聖書の地における風俗と慣習」(英語)という本によると,キリストの時代,「病気は,本人か親族が罪を犯したためにかかるもので,神からの罰である」と信じられていました。中世では,「神は人々の罪を罰するためにペストをもたらしたと考える人もいた」と,「中世の医学とペスト」(英語)という本は述べています。では,14世紀にヨーロッパ全土で大勢の人がペストで死んだのは,悪い人々に対する神様からの罰だったのでしょうか。それとも,医学の研究者たちが言っているように,細菌による感染だったのでしょうか。神様は罰として病気で人を苦しめたりするのでしょうか。a
そうであれば 病気や苦しみが神様からの罰であるなら,神の子イエスが病気の人々を癒やすはずがありません。神様の決めた公正と正義に従っていないことになるからです。(マタイ 4:23,24)イエスは神様に決して逆らいませんでした。「私は常に,その方が喜ぶことを行う」,また「父が命じた通りにしてい[る]」と言っています。(ヨハネ 8:29; 14:31)
エホバ神は「決して不公正ではな[い]」と,聖書ははっきり述べています。(申命記 32:4)一例として,神様は,飛行機に乗っているだれかを罰するために事故を起こして,罪もない何百人もの乗客を死なせたりはしません。神様に仕えたアブラハムは,神様が「邪悪な人と一緒に正しい人も滅ぼされる」ことなど決してない,それは「あり得ない」と言いました。(創世記 18:23,25)聖書には,「神は絶対に悪を行わず」,「不正を行ったりすることなどあり得ません」とも書かれています。(ヨブ 34:10-12)
苦しみの原因について聖書が教えていること
私たちが苦しみに遭うのは,罪に対する神様からの罰ではありません。イエスもこの点をはっきりと言いました。生まれつき目が見えない人に会った時,イエスと弟子との間で次のようなやりとりがありました。「弟子たちがイエスに尋ねた。『ラビ,この人が生まれつき目が見えないのは,誰が罪を犯したからですか。本人ですか,それとも親ですか』。イエスは答えた。『この人や親が罪を犯したからではありません。この件で,神の力が明らかにされます』」。(ヨハネ 9:1-3)
当時はそのような誤った考え方が一般的でした。それで,本人や親の罪のせいではないというイエスの答えを聞いて,弟子たちは驚いたに違いありません。イエスはその人の視力を回復させることで,苦しみは神様からの罰ではないということをはっきり示しました。(ヨハネ 9:6,7)重い病気や障害に苦しんでいる人も,神様からの罰ではないと知ると慰められます。
病気や苦しみが神様からの罰であるなら,イエスが病気の人を癒やしたのはなぜか。
聖書の言葉
「悪い事柄によって神が試されることはなく,誰かを試すこともない」。(ヤコブ 1:13)それどころか,病気,苦痛,死などの「悪い事柄」はもうすぐなくなります。
イエス・キリストは「病気に苦しむ人全てを治し」ました。(マタイ 8:16)イエスは自分の所に来る人全てを癒やすことで,将来神の王国が世界規模で実現させる事柄を見せました。
「神は人々の目から全ての涙を拭い去ります。もはや死はなくなり,悲しみも嘆きも苦痛もなくなります。以前のものは過ぎ去ったのです」。啓示 21:3-5
神様のせいでないなら,だれのせいか
では,世の中にこれほど多くの苦しみがあるのはなぜでしょうか。この疑問は人類をずっと悩ませてきました。神様のせいでないとしたら,だれのせいでしょうか。その点は次の記事で取り上げます。
a エホバ神は,過去には罪を犯した人々を罰することもありましたが,聖書によると,現在では病気や悲惨な出来事で人々を罰したりはしません。
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だれのせいですかものみの塔(一般用)2018 | No. 3
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だれのせいですか
苦しみが神様からの罰でないとすれば,大規模な飢餓,貧困,残忍な戦争,深刻な病気,自然災害はなぜ生じているのでしょうか。神の言葉 聖書は,苦しみの主な3つの原因を挙げています。
利己主義,貪欲,憎しみ。「人は人を支配し,人に害を及ぼしてきた」と聖書に書かれています。(伝道の書 8:9)多くの場合,苦しみの原因になっているのは自己中心的で残酷な人間です。
不測の事態。「思いも寄らないことがいつ誰にでも起き」ます。(伝道の書 9:11)偶然や事故や不注意が原因となることがあります。
世界を支配している邪悪な存在。聖書は苦しみの一番の原因として,「全世界[が]邪悪な者の支配下にあります」と述べています。(ヨハネ第一 5:19)「邪悪な者」とは悪魔サタンのことです。サタンはとても強力な天使です。最初は神様に仕えていましたが,「真理から離れました」。(ヨハネ 8:44)多くの天使が悪い欲望に引かれてサタンに従い,神様に反逆して邪悪な天使になりました。(創世記 6:1-5)それ以降,サタンと邪悪な天使たちはこの世界を支配してきました。残忍な彼らの影響は今の時代,特に強くなっています。サタンが大きな怒りを抱いて「全世界を惑わしている」ため,地球に災いが起きています。(啓示 12:9,12)サタンは容赦のない独裁者で,人が苦しむのを見て喜んでいます。このサタンこそ,苦しみを引き起こしている張本人です。
そうであれば 無実の人を苦しめるのは,冷酷で極悪非道な人がすることです。でも,聖書によると「神は愛」です。(ヨハネ第一 4:8)神様は愛情深い方なので,「真の神が悪を行ったり,全能者が不正を行ったりすることなどあり得ません!」(ヨブ 34:10)
しかし,「神様はいつまで残酷なサタンにこの世界を支配させておくのだろう」と思う人がいるかもしれません。これまで考えてきた通り,神様は悪を憎んでいて,私たちが苦しむ姿を見て心を痛めています。聖書には,「心配事を全て神に委ねましょう。神は優しく気遣ってくださるからです」と書かれています。(ペテロ第一 5:7)神様は私たちを愛していて,苦しみや不公正全てをなくす力も持っています。その点は次の記事で考えます。a
a 悪いことや苦しいことが多い理由について詳しくは,エホバの証人が発行した「いつまでも幸せに暮らせます」という本のレッスン26をご覧ください。www.pr418.comから無料でダウンロードできます。
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神様はまもなく苦しみを終わらせますものみの塔(一般用)2018 | No. 3
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神様はまもなく苦しみを終わらせます
「エホバ,私はいつまで助けを求めて叫ばなければならないのですか。あなたは聞いてくださらないのですか。私はいつまで暴力からの救出を願わなければならないのですか。あなたは介入してくださらないのですか」。(ハバクク 1:2,3)これは神様の祝福を得ていたハバククの言葉です。信仰心がなかったのでしょうか。そうではありません。神様はハバククに,苦しみを全て終わらせる時を決めていると話し,安心させました。(ハバクク 2:2,3)
自分や身近な人が苦しんでいると,神様は遅いとか,もっと早く何かしてくれたら,と感じるかもしれません。でも,聖書はこう保証しています。「エホバは約束を果たすのが遅いと考える人もいますが,そうではありません。神は,一人も滅ぼされることなく,全ての人が悔い改めることを望んでいるので,皆さんのことを辛抱しているのです」。(ペテロ第二 3:9)
神様はいつ行動するか
もうすぐです! イエスは,「体制の終結」を示す一連の出来事が起きる時代について預言しました。(マタイ 24:3-42)イエスのこの預言は今実現しています。神様が行動する時は近いのです。a
では,神様はどうやって苦しみを全て終わらせるのでしょうか。イエスは地上にいた時,神様には人々の苦しみをなくす力があることを示しました。幾つかの例を見てみましょう。
自然災害 イエスと弟子たちがガリラヤ湖を渡っている時,暴風が起きて舟が沈みそうになりました。その時,イエスは神様と同じように自然の力を制御できることを示しました。(コロサイ 1:15,16)イエスが「静まれ! 静かになれ!」と言うと,「風はやみ,湖面はすっかり穏やかになった」のです。(マルコ 4:35-39)
病気 イエスは,目が見えない人,足が不自由な人,てんかんがある人,重い皮膚病の人など,さまざまな病気や障害を持つ人を癒やしました。「病気に苦しむ人全てを治した」のです。(マタイ 4:23,24; 8:16; 11:2-5)
食料不足 イエスは神様から力を与えられ,奇跡的に食料を増やしました。何千人もの人に食事を提供したことが2回ほどあります。(マタイ 14:14-21; 15:32-38)
死 聖書によると,イエスは亡くなった3人の人を復活させました。そのうち1人は亡くなってから4日もたっていました。このことから,エホバ神には死んだ人を生き返らせる力があることが分かります。(マルコ 5:35-42。ルカ 7:11-16。ヨハネ 11:3-44)
a 終わりの時代について詳しくは,エホバの証人が発行した「いつまでも幸せに暮らせます」という本のレッスン32をご覧ください。www.pr418.comから無料でダウンロードできます。
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神様の優しさに包まれるものみの塔(一般用)2018 | No. 3
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神様の優しさに包まれる
神様は,人体に素晴らしい修復能力を与えました。体に切り傷,かすり傷,刺し傷が付くと,「大小さまざまな傷を修復するため,体では複雑な連鎖反応が生じ」ます。(ジョンズ・ホプキンズ・メディスンのウェブサイト[英語])体はすぐに反応し,出血を止め,傷口を治し,その組織を強化するのです。
そうであれば 人体に傷を治す能力を与えた神様は,心の傷も癒やしてくれるのではないでしょうか。神様は「心が傷ついた人を癒やす。傷を包んでくださる」と聖書にあります。(詩編 147:3)では,つらい過去に悩んでいたり,心の苦しみを抱えていたりする場合はどうですか。エホバ神はあなたの心の傷も包んでくれるのでしょうか。
神様の愛について聖書が教えていること
神様はこう約束しています。「恐れてはいけない。私があなたと共にいる。心配してはいけない。私があなたの神である。私はあなたを強くし,必ず助ける」。(イザヤ 41:10)神様が気にかけてくれていることが分かると,心は穏やかになり,問題に立ち向かう力が湧いてきます。使徒パウロはこの心の穏やかさを「人間の理解をはるかに超え」た「神からの平和」と表現しています。そしてこう書いています。「力を与えてくださる方のおかげで,私は強くなり,どんなことも乗り越えられます」。(フィリピ 4:4-7,9,13)
聖書を読むと信仰を持てます。エホバが人類の将来について約束していることを信じられるようになるのです。例えば,啓示 21章4,5節は,神様が何を行うか,そうしてくれるとなぜ確信できるかを示しています。
神様は,「人々の目から全ての涙を拭い去ります」。私たちの苦しみや不安全てを,他の人にはちっぽけなものに思えるものでさえ,取り除いてくれます。
天の「王座に座っている」神様は,偉大な力と権威を用いて苦しみをなくし,私たちを助けてくれます。
エホバ神は,自分の約束が「信頼でき,真実である」と保証しています。真の神としての自分の名に懸けて約束を果たします。
「『神は人々の目から全ての涙を拭い去ります。もはや死はなくなり,悲しみも嘆きも苦痛もなくなります。以前のものは過ぎ去ったのです』。そして,王座に座っている方が,『見なさい! 私は全てのものを新しくしている』と言い,さらにこう言った。『書きなさい。これらの言葉は信頼でき,真実である』」。啓示 21:4,5
自然界や聖書を通して,神様の性格を知ることができます。自然界を観察すると,神様がどんな方か分かってきます。聖書はさらにこう勧めています。「神に近づいてください。そうすれば,神は近づいてくださいます」。(ヤコブ 4:8)使徒 17章27節にも,「神は,私たち一人一人から遠く離れてはいません」とあります。
時間をかけて神様について知れば知るほど,「神は優しく気遣ってくださる」ことが分かるようになります。(ペテロ第一 5:7)エホバ神を信頼できると,人生はどのように変わるでしょうか。
日本の通のケースを考えましょう。通はクリスチャンの母親に育てられましたが,やくざの世界に入りました。こう話しています。「自分は神様に嫌われていると思っていたので,周りの人の,特に大切な人の死は,自分への罰のように感じていました」。周囲の環境や考え方のせいで,「冷酷で無感情な人間」になってしまいました。当時を振り返り,「自分よりも名のある人を殺して,名を残して若いうちに死ぬことが目標になりました」と語っています。
でも,通と妻のハンナは聖書を勉強するようになり,通の生活や考え方はがらりと変わりました。「夫はどんどん変わっていきました」と,ハンナは述べています。通は確信を込めてこう言っています。「エホバは私たち一人一人を気遣ってくれる神で,一人も死んでほしくないと思っています。本当に悔い改めるなら,だれでも進んで許してくださいます。だれにも言えない,だれも理解してくれないと思うことでも,聞いてくださいます。将来必ず,どんな悩みや苦しみも解決されます。今でも,驚くような方法で助けてくださいます。私たちがつらいとき,気にかけて支えてくださるのです」。(詩編 136:23)
神様はもうすぐ,全ての苦しみをなくし,全ての涙を拭い去ってくれます。そのことを知るなら,通のように,将来に希望が持てるだけでなく,今の生活も良くなります。世の中に苦しみがあふれていても,神様の優しさに包まれて安心できるのです。
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苦しいとき,神様はどこにいますかものみの塔(一般用)2018 | No. 3
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苦しいとき,神様はどこにいますか
「神様はどうして何もしてくれないんだろう」と思ったことがありますか。
聖書によると…
神様はよく見ていて,気にかけている
「エホバは,地上の人々がひどく邪悪で,考え方全てが常に悪いのを見[て],悲しんだ」。創世記 6:5,6
神様は苦しみを全て終わらせる
「ほんのもう少しすれば悪人はいなくなる。彼らがいた場所を見ても,もういない。しかし,温厚な人は地上に住み続け,豊かな平和をこの上なく喜ぶ」。詩編 37:10,11
神様が願っていること
「エホバはこう宣言する。『私は,あなたたちのために自分が行おうとしていることをよく知っている。あなたたちに災いではなく平和をもたらし,良い将来と希望を与えたいと思っている。あなたたちが私を呼び,私のもとに来て祈る時,私は耳を傾ける』」。エレミヤ 29:11,12
「神に近づいてください。そうすれば,神は近づいてくださいます」。ヤコブ 4:8
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