-
神話に見られる共通の特徴神を探求する人類の歩み
-
-
その神話を初めて体系的に書き著わしたのは,西暦前8世紀に「神統記」を書いたヘシオドスでした。彼は神々や世界がどのようにして始まったかを説明し,ウラノス(「天」の意)を生むガイア(「地」の意)のことから始めています。その後のことについて,学者ヤスパー・グリフィンは,「オックスフォード古典世界の歴史」という本の中で次のように説明しています。
5 「ヘシオドスはホメロスの知っていた天空の神々の系譜に関する物語を述べている。最初,ウラノスが最高の存在であったが,彼は子供たちを抑圧したので,ガイアはその子クロノスに父を去勢するように勧めた。次いで,クロノスは妻レアからゼウスの代わりに食べるよう石をもらうまで,自分の子供たちをむさぼり食べた。その子ゼウスはクレタ島で育てられ,その父に自分の兄弟たちを無理やり吐き出させ,それらの兄弟たちや他の助けを得て,父とティタンたちを打ち破り,彼らをタルタロスに投げ落とした」。
-
-
神話に見られる共通の特徴神を探求する人類の歩み
-
-
[43ページの囲み記事]
ギリシャとローマの神々
ギリシャ神話の多くの男神や女神は,ローマ神話でも同じような立場を占めていました。下記の一覧表には,その一部が列挙されています。
ギリシャ ローマ 役割
アスクレピオス アエスクラピウス 医神
アテナ ミネルウァ 工芸・戦術・知恵の女神
アフロディテ ウェヌス 愛の女神
(ビーナス)
アポロ アポロ 光明・医術・詩歌の神
アルテミス ディアナ 狩猟と出産の女神
アレス マルス 軍神
ウラノス ウラノス ガイアの息子ならびに夫で,ティタンたちの父
エロス キューピッド 愛の神
ガイア テラ 地の象徴で,ウラノスの母ならびに妻
クロノス サトゥルヌス ギリシャ人にとっては,ティタンたちの
支配者で,ゼウスの父。
同時に,ローマ神話では農耕神
ゼウス ユピテル 神々の支配者
ディオニュソス バッカス ぶどう酒・豊穣・蛮行の神
デメテル ケレス 成育するものの女神
ヒュプノス ソムヌス 眠りの神
プルトン,ハデス プルートー よみの国の神
ヘスティア ウェスタ 炉の女神
ヘパイストス ウルカヌス 神々のための鍛冶屋で,火と金属加工の神
ヘラ ユノ 結婚と女性の守護神。ギリシャ人にとっては,
ゼウスの妹ならびに妻で,
ローマ人にとってはユピテルの妻
ヘルメス メルクリウス 神々のための使者,商業と科学の神,
旅人・盗賊・放浪者の守護神
ポセイドン ネプトゥヌス 海の神で,ギリシャ神話では地震と馬の神
レア オプス クロノスの妻で姉
「ワールドブック百科事典」,1987年版,第13巻に基づく一覧表。
-