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    ものみの塔 1992 | 5月15日
    • 結婚は幸福への唯一のかぎですか

      「彼女は自分の望む者と自由に結婚できます。ただし主にある者とだけです。しかし……彼女はそのままでいたほうが幸福です」― コリント第一 7:39,40。

      1 聖書はエホバをどのように描写していますか。エホバは被造物のために何をしてこられましたか。

      エホバは「幸福な神」であられます。(テモテ第一 1:11)エホバは「あらゆる良い賜物,またあらゆる完全な贈り物」を豊かに与える方として,ご自分の理知ある被造物すべて,つまり人間や霊者が幸福感を抱いてご自分に仕えるうえでまさに必要としているものを彼らに与えておられます。(ヤコブ 1:17)この点で,盛んにさえずる鳥やはしゃぎ回る子犬,遊び好きなイルカなどはみな,それぞれの場所で生活を楽しむようエホバが動物を創造されたことの証拠となっています。詩編作者は詩的な表現を用い,「エホバの木々は満ち足りています。神が植えられたレバノンの杉も」とさえ述べています。―詩編 104:16。

      2 (イ)イエスがみ父のご意志を行なうことに幸福を見いだされることを何が示していますか。(ロ)イエスの弟子たちには幸福であるどんな理由がありましたか。

      2 イエス・キリストは『神の存在そのものの厳密な描出』であられます。(ヘブライ 1:3)ですから,イエスが「幸福な唯一の大能者」と呼ばれているのも驚くには当たりません。(テモテ第一 6:15)イエスは,エホバのご意志を行なうことがどのように食物よりも深い満足を与え,純粋の喜びを生み出し得るかに関する,すばらしい模範を残してくださっています。また,神への恐れのうちに,つまり深い畏敬の念と神の不興を買うことに対する健全なおののきとをもって行動するときに,楽しみを味わえることも示してくださっています。(詩編 40:8。イザヤ 11:3。ヨハネ 4:34)70人の弟子たちが王国宣明の旅を終えて「喜びながら」帰って来たとき,イエスご自身も「聖霊により喜びにあふれ」ました。祈りのうちに自分の喜びをみ父に言い表わしてから,イエスは弟子たちのほうを向いてこう言われました。「あなた方が見ているものを見る目は幸いです。あなた方に言いますが,多くの預言者や王たちは,あなた方が見ているものを見たいと願いながらそれを見ず,あなた方が聞いている事柄を聞きたいと願いながらそれを聞かなかったのです」。―ルカ 10:17-24。

      幸福である理由

      3 幸福であるどんな理由がありますか。

      3 この終わりの時にエホバの言葉と目的の成就において目にするものを見るわたしたちの目は幸いなはずではないでしょうか。イザヤ,ダニエル,ダビデといった忠実な預言者や王たちが理解できなかった預言を理解して,わたしたちは喜びにあふれるはずではないでしょうか。幸福な大能者である,わたしたちの王イエス・キリストの指導のもとで幸福な神エホバに喜んで仕えているのではないでしょうか。もちろん,そうしています。

      4,5 (イ)エホバへの奉仕において幸福であり続けるためには何を避けなければなりませんか。(ロ)幸福に寄与するどんなものがありますか。このことからどんな質問が生じますか。

      4 しかし,もし神への奉仕において幸福であり続けたいと思うのであれば,幸福であるための自分なりの必要条件をこの世的な考えに基づいて設けてはなりません。この世的な考えには物質的な富や派手な生活様式などが含まれているため,わたしたちの思考はたやすく曇らされかねません。そのようなものに基づいたどんな“幸福”もはかないものです。この世は過ぎ去りつつあるからです。―ヨハネ第一 2:15-17。

      5 エホバの献身した僕たちの大半は,この世的な目標を達成しても真の幸福は得られないことを認識しています。天の父だけが,ご自分の僕たちの本当の幸福に寄与する霊的また物質的なものを与えておられます。神が「忠実で思慮深い奴隷」を通して与えてくださっている霊的な食物をわたしたちはどれほど感謝していることでしょう。(マタイ 24:45-47)さらに,神の愛あるみ手から受けている物質の食物や他の物質的なものにも感謝しています。そして,結婚というすばらしい賜物と,それに関連した家族生活の喜びもあります。やもめとなった嫁たちを思うナオミの心からの願いが,「エホバがあなた方に賜物を与えてくださり,あなた方はそれぞれ自分の夫の家に休み場を見つけられますように」という言葉で表現されたのも不思議ではありません。(ルツ 1:9)ですから,結婚は大きな幸福に至る扉を開くことのできる一つのかぎです。しかし,結婚は幸福な生活に至る門を開く唯一のかぎなのでしょうか。特に若い人たちは,そうであるかどうかを真剣に検討する必要があります。

      6 創世記によれば,結婚の取り決めの主な目的は何でしたか。

      6 結婚の起源について,聖書はこう述べています。「神は人をご自分の像に創造してゆき,神の像にこれを創造された。男性と女性にこれを創造された。さらに,神は彼らを祝福し,神は彼らに言われた,『子を生んで多くなり,地に満ちて,それを従わせよ』」。(創世記 1:27,28)エホバが結婚を制定されたことにより,アダムはより多くの人間を生み出して人類を増やすために用いられました。しかし,結婚にはそれよりずっと多くのことが関係しています。

      「主にある者とだけ」

      7 一人の忠実な族長は,結婚に関するどんな必要条件を満たすために大きな努力を払いましたか。

      7 エホバ神は結婚の創始者であられるので,わたしたちは神がご自分の僕たちに幸福をもたらす結婚生活のための規準を設けられるものと期待します。族長時代には,エホバの崇拝者でない人とは結婚しないよう強く勧められていました。アブラハムは僕のエリエゼルに,族長の息子イサクのためにカナン人からは妻を迎えないとエホバにかけて誓わせました。エリエゼルは『エホバが彼の主人の子息のために選び定められた人』を見つけるため,長い旅をしてアブラハムの指示にきちんと従いました。(創世記 24:3,44)こうしてイサクはリベカと結婚しました。二人の息子エサウが異教徒のヒッタイト人から妻たちを選んだとき,その女たちは「イサクとリベカに苦々しい霊を抱かせるもの」となりました。―創世記 26:34,35; 27:46; 28:1,8。

      8 律法契約により,結婚にはどんな制限が課されましたか。それはなぜでしたか。

      8 律法契約のもとでは,カナンの地の特定の国民に属する男女との結婚は禁じられていました。エホバはご自分の民に次のような指示をお与えになりました。「彼らと姻戚関係を結んではならない。あなたの娘を彼の息子に与えてはならず,彼の娘をあなたの息子のためにめとってもならない。彼はあなたの息子をそらしてわたしに従うことから離れさせ,彼らは必ずほかの神々に仕えるようになるからである。そしてエホバの怒りはまさにあなた方に対して燃え,必ずあなたを速やかに滅ぼし尽くされるであろう」― 申命記 7:3,4。

      9 聖書は結婚に関するどんな諭しをクリスチャンに与えていますか。

      9 エホバを崇拝していない人との結婚に関する同様の制限がクリスチャン会衆内で適用されるのも驚くには当たりません。使徒パウロは仲間の信者にこう説き勧めました。「不釣り合いにも不信者とくびきを共にしてはなりません。義と不法に何の交友があるでしょうか。また,光が闇と何を分け合うのでしょうか。さらに,キリストとベリアルの間にどんな調和があるでしょうか。また,忠実な人が不信者とどんな分を共に持つのでしょうか」。(コリント第二 6:14,15)この諭しは様々な事柄に当てはまり,確かに結婚にも当てはまります。エホバの献身した僕すべてに対するパウロの明確な指示は,ある人が『主と結びついているならば,そのような場合にのみ』,その人との結婚を考えてもよいということです。―コリント第一 7:39,脚注。

      「主にある者」と結婚できない場合

      10 結婚していない多くのクリスチャンは何を行なっていますか。どんな質問が生じますか。

      10 多くの独身のクリスチャンは,独身の賜物を培うことによりイエス・キリストの模範に倣うことを選んできました。さらに,多くの忠節なクリスチャンは,今のところ敬虔な配偶者を見つけて「主にある者」と結婚することができないため,エホバに信頼を置き,不信者と結婚する代わりに独身を保ってきました。神の霊は彼らのうちに喜び,平和,信仰,自制などの実を生み出し,彼らが貞潔な独身を保てるようにしています。(ガラテア 5:22,23)この神への専心の試みに首尾よく対処している人々の中には,相当数のクリスチャンの姉妹たちがいます。わたしたちはそのような姉妹たちを心から尊敬します。土地によっては姉妹たちが数の点で兄弟たちをしのいでおり,そのため宣べ伝える業の大半を受け持っています。確かに,「エホバご自身がみことばを与えてくださる。良いたよりを告げる女は大軍をなしている」のです。(詩編 68:11)実際に,男女を問わず結婚していない神の僕の多くは,『心をつくしてエホバに依り頼み,神が彼らの道筋をまっすぐにしてくださる』ので忠誠を保っています。(箴言 3:5,6)しかし,今のところ「主にある者」と結婚できない人たちは必然的に不幸だということになるのでしょうか。

      11 聖書の原則に対する敬意のゆえに独身を保っているクリスチャンはどんなことを確信できますか。

      11 わたしたちが幸福な神エホバの証人であり,幸福な大能者イエス・キリストのもとで仕えているということを忘れないようにしましょう。わたしたちが「主にある」配偶者を見つけることができないため,聖書中にはっきりと規定されている制限に対する敬意に動かされて独身を保つ場合に,神とキリストがわたしたちを不幸なままにしておかれると考えるのは理にかなっていますか。決してそのようなことはありません。ですから,結婚しなくてもクリスチャンとして幸福でいられると結論しなければなりません。わたしたちが結婚していようと独身であろうと,エホバはわたしたちを真に幸福にすることがおできになるのです。

      真の幸福へのかぎ

      12 結婚に関して,不従順なみ使いたちの事例はどんなことを示していますか。

      12 結婚は神の僕すべてにとっての幸福への唯一のかぎではありません。一例として,み使いたちのことを考えましょう。大洪水前に,一部のみ使いは霊の被造物にとって不自然な欲望を培い,結婚できないことに不満を抱くようになり,女性をめとるために肉の体を身に着けました。こうしてこれらのみ使いたちが「そのあるべき居所を捨てた」ため,神は彼らを「大いなる日の裁きのために,とこしえのなわめをもって濃密な闇のもとに留め置いておられます」。(ユダ 6。創世記 6:1,2)明らかな点ですが,神がみ使いたちの結婚を取り決められたことは一度もありません。ですから,結婚がみ使いたちの幸福へのかぎであったとはとても考えられません。

      13 聖なるみ使いたちが幸福なのはなぜですか。そのことは神の僕すべてについて何を示していますか。

      13 しかし,忠実なみ使いたちは幸福です。エホバが地の基を置かれると,「明けの星の喜びにあふれた合唱と,神の[み使いである]子たちの一致した歓声が上が(り)」ました。(ヨブ 38:7,新エルサレム聖書)聖なるみ使いたちが幸福なのはなぜですか。それは,絶えずエホバ神に仕え,み言葉を行なうために『神の言葉の声に聴き従っている』からです。彼らは『神の喜ばれることを行なって』楽しんでいます。(詩編 103:20,21,脚注)そうです,聖なるみ使いたちの幸福はエホバに忠実に仕えることから生じるのです。それは人間にとっても真の幸福へのかぎです。この点で,現在幸せに神に仕えている油そそがれた既婚のクリスチャンは,天の命に復活させられる時には結婚しないとはいえ,神のご意志を行なう霊の被造物として幸福になるでしょう。それで,既婚であれ独身であれエホバの忠節な僕すべては幸福であることができます。幸福のための真の基礎は創造者に忠実に仕えることだからです。

      「息子や娘たちに勝ったもの」

      14 古代イスラエルの敬虔な宦官にどんな預言的な約束が与えられましたか。このことが奇妙に思えたかもしれないのはなぜですか。

      14 たとえ忠節なクリスチャンが結婚しないとしても,神はその人の幸福を保証することがおできになります。古代イスラエルの宦官に対して預言的に語られた次の言葉から,励みとなる事柄を引き出すことができます。「わたしの安息日を守り,わたしの喜びとしたことを選び,わたしの契約をとらえている宦官に,エホバはこのように言われたからである。『わたしはわたしの家で,わたしの壁の内側で,彼らに記念物と名を,すなわち息子や娘たちに勝ったものを与えよう。わたしは定めのない時に至る名を,断ち滅ぼされることのない名を彼らに与えるであろう』」。(イザヤ 56:4,5)中には,これら個々の人たちが自分の名を不朽のものとするため,彼らに妻子を与えるとの約束がなされるだろう,と期待する人がいたかもしれません。しかし彼らに約束されていたのは「息子や娘たちに勝ったもの」,すなわちエホバの家の中での永続する名でした。

      15 イザヤ 56章4,5節の成就について何と言うことができますか。

      15 これらの宦官を「神のイスラエル」に関する預言的な描写とみなせば,彼らはエホバの霊的な家つまり神殿の中での永続する場所を受ける油そそがれた者たちを表わしていることになります。(ガラテア 6:16)この預言は復活させられる古代イスラエルの敬虔な宦官たちに文字通り当てはまるに違いありません。もし彼らがキリストの贖いの犠牲を受け入れ,エホバの喜びとすることを引き続き選ぶなら,彼らは神の新しい世で「定めのない時に至る名」を受けます。さらにこの預言は,エホバへの奉仕に一層十分に自らをささげるため結婚することや親になることを見合わせた,この終わりの時の「ほかの羊」に属する人々にも当てはまるでしょう。(ヨハネ 10:16)その中には,結婚せず,子供を持たないまま亡くなる人がいるかもしれません。しかし忠実であるなら,彼らは復活の際に「息子や娘たちに勝ったもの」,つまり新しい事物の体制における「断ち滅ぼされることのない」名を受けます。

      結婚は幸福への唯一のかぎではない

      16 結婚が幸福をもたらすとは限らないと言えるのはなぜですか。

      16 幸福と結婚は切っても切れない関係にあると感じる人もいます。しかし,今日のエホバの僕たちの間においてさえ結婚が幸福をもたらすとは限らないということを認めなければなりません。結婚して解決する問題もありますが,結婚によって別の問題が生じることもよくあり,それは独身者の経験する問題よりもさらに扱いにくいものになりかねません。パウロは,結婚が「肉身に患難」をもたらすと言いました。(コリント第一 7:28)結婚している人は「気を遣い」,「分かたれる」ことがあります。『気を散らすことなく絶えず主に仕える』のが難しいことに気づくことも少なくありません。―コリント第一 7:33-35。

      17,18 (イ)ある旅行する監督たちはどんな報告をしていますか。(ロ)パウロはどんな助言を与えましたか。その助言を当てはめることはなぜ有益ですか。

      17 結婚と独身はどちらも神からの賜物です。(ルツ 1:9。マタイ 19:10-12)しかし,どちらの立場で成功するにも,祈りをこめて考えることが肝要です。旅行する監督たちの報告によると,少なからぬエホバの証人はまだ若すぎるのに結婚し,多くの場合,結果として生じる責任を担う用意もできないまま親になっています。そのような結婚が破たんに終わることもあります。問題に対処している夫婦もいますが,その結婚は彼らに幸福をもたらしてはいません。英国の劇作家ウィリアム・コングリーブが書いているように,急いで結婚する人は「ゆっくり後悔することがある」のです。

      18 さらに巡回監督たちの報告によると,若い兄弟たちの中には,当分のあいだ独身を保つことが要求されるという理由で,ベテル奉仕の申し込みや宣教訓練学校への入校申し出を控える人がいるとのことです。しかしパウロは,「若さの盛りを過ぎ」ないうちは結婚しないよう,つまり性的な衝動の最初の高まりが治まるまで待つよう助言しています。(コリント第一 7:36-38)男女を問わず,独身の大人として生活して何年か過ごすなら,貴重な経験と洞察力が得られ,配偶者を選ぶにしても,慎重に考えた上で独身を保つ決定を下すにしても,より有利な立場に立つことになります。

      19 もし結婚を本当に必要としていないなら,物事をどのようにみなすことができますか。

      19 わたしたちの中には,性的な親密さに対する強い衝動を伴う若さの盛りを過ぎた人がいます。そのような人は結婚という祝福について時折深く考えることがあるかもしれませんが,実際には独身の賜物を持っているのです。そのような人が独身の状態で効果的に神に仕えており,神への奉仕における特定の特権を手放さざるを得なくなることのある結婚を本当に必要としてはいないことを,エホバは見ておられるのかもしれません。もしその人が個人的に結婚を必要としておらず,配偶者に恵まれていないのであれば,神はその人のために他のものを用意してくださっているのかもしれません。ですから,自分が必要とするものを神が備えてくださるという信仰を働かせましょう。最大の幸福は,自分に対する神のご意志と思われる事柄を謙遜に受け入れる結果として得られるのです。それは,ユダヤ人の兄弟たちが,異邦人が命を持てるよう神が彼らに悔い改めをお授けになったことを悟った時に,『黙って同意し,神の栄光をたたえた』のと同じです。―使徒 11:1-18。

      20 (イ)若いクリスチャンに独身に関するどんな助言が与えられていますか。(ロ)幸福に関するどんな基本的な点はやはり真実ですか。

      20 このようなわけで,結婚は幸福へのかぎとなる場合もありますが,問題への扉を開く場合もあるのです。一つのことは確かです。つまり,結婚は幸福を見いだすための唯一の道ではないということです。ですから,すべての事柄を考慮すると,数年間の独身生活を受け入れるようにするのは,特に若いクリスチャンにとって賢明なことでしょう。その数年間を,エホバに仕え,霊性の点で進歩するために十分に用いることができます。とはいえ,年齢や霊的な進歩の度合いにかかわらず,神に無条件で献身している人々すべてにとって次の基本的な点はやはり真実です。真の幸福はエホバへの忠実な奉仕の中に見いだされるのです。

  • 真の幸福はエホバに仕えることにある
    ものみの塔 1992 | 5月15日
    • 真の幸福はエホバに仕えることにある

      「ヤコブの神を自分の助けとする者は幸いだ。彼の望みはその神エホバにある」― 詩編 146:5。

      1,2 幸福の定義についてはどんなことが言われてきましたか。今日の多くの人にとって幸福とは何を意味しますか。

      幸福とは何でしょうか。辞書編集者,哲学者,神学者たちは,何世紀もかけて幸福を定義しようとしてきました。しかし,全員が一致して承認できるような定義づけはまだ行なわれていません。ブリタニカ百科事典は,「“幸福”とは最も捕らえ所のない言葉の一つである」と認めています。人それぞれ,その人の人生観によって,幸福は様々な意味を持つようです。

      2 多くの人にとって幸福とは,健康や物質的な財産や楽しい交友を中心としたものです。しかし,それらすべてを持ちながら不幸な人もいます。聖書はエホバ神に献身した男女のために,一般的な見方とはかなり異なった幸福の概念を定めています。

      幸福に関する異なった見方

      3,4 (イ)イエスはどんな人たちが幸いであると断言されましたか。(ロ)イエスが言及された幸福の要素に関して,どんな点に注目できますか。

      3 山上の垂訓の中でイエス・キリストは,幸福が健康や物質的な財産などに依存しているとは言われませんでした。イエスは,「自分の霊的な必要を自覚している」人たちや「義に飢え渇いている」人たちは真に幸いであると断言されました。真の幸福のために必要なそれら二つの要素と関係があるのは,「嘆き悲しむ人たちは幸いです。その人たちは慰められるからです」という一見矛盾しているかに思えるイエスの言葉です。(マタイ 5:3-6)明らかにイエスは,人々が家族を亡くした時に自動的に幸福になると言っておられたのではありません。むしろ,自分の罪深い状態とその結果を嘆く人について話しておられたのです。

      4 使徒パウロは,「腐朽への奴隷状態から自由にされ(る)」との希望に基づいて罪のもとでうめいている人間という創造物について述べました。(ローマ 8:21,22)キリストの贖いの犠牲により罪を贖うエホバの備えを受け入れて神のご意志を行なう人は,真に慰められ,幸福にされます。(ローマ 4:6-8)さらにイエスは山上の垂訓の中で,「温和な気質の人たち」や「憐れみ深い人たち」,また「心の純粋な人たち」や「平和を求める人たち」は幸いであると断言し,そのような柔和な人たちはたとえ迫害されても幸福を失うことがないと保証なさいました。(マタイ 5:5-11)このような高尚な幸福の要素に関して,富んだ人と貧しい人が平等の立場に置かれていることに注目すると興味深いものがあります。

      本当の幸福の基盤

      5 献身した神の僕の幸福の基盤は何ですか。

      5 真の幸福の源は物質的な富の中にはありません。賢王ソロモンは,「エホバの祝福,それが人を富ませるのであり,神はそれに痛みを加えられない」と述べました。(箴言 10:22)エホバの宇宙主権を認める被造物にとって,幸福は神からの祝福と不可分の関係にあります。エホバの祝福を受け,それを実感している献身した人は真に幸福です。聖書の見方によると,幸福には充足感や満足,そしてエホバへの奉仕を果たすことが関係しています。

      6 真に幸福になるためにエホバの民には何が求められますか。

      6 真の幸福はエホバとの正しい関係に依存しており,神への愛と神に対する忠実さに基づいています。献身したエホバの僕は,『事実,わたしたちはだれ一人,ただ自分に関してのみ生きるのではありません。わたしたちはエホバに対して生きるのです。わたしたちはエホバのものです』というパウロの言葉に心から同意します。(ローマ 14:7,8)ですから,エホバへの従順と神のご意志に対する喜びにあふれた服従なくして真の幸福は得られないのです。イエスは「神の言葉を聞いてそれを守っている人たちこそ幸いです!」と言われました。―ルカ 11:28。

      変動的な幸福の要素

      7,8 (イ)幸福の要素をどのように分類することができますか。(ロ)結婚と子供を持つことに関して何と言えますか。

      7 これまでに述べた幸福の要素は献身したエホバの僕に常に当てはまるので,“基本的なもの”または“一定不変のもの”と呼べるかもしれません。それに加えて,変動的と呼べるもの,すなわちある時には幸福をもたらしても別の時にはほとんど,もしくは全く幸福をもたらさない要素があります。族長時代やキリスト教以前の時代には,幸福になるには結婚と子供を持つことが不可欠であると考えられていました。そのことは,ラケルがヤコブに切々と訴えた,「わたしにも子供を与えてください。でなければわたしは死んだ女となってしまいます」という言葉に表われています。(創世記 30:1)子供を持つことに対するこうした態度は,その時代に関するエホバの目的にかなっていました。―創世記 13:14-16; 22:17。

      8 昔のエホバの民の間では,結婚と子供を持つことは神から与えられた祝福と考えられていました。しかし,神の民の歴史上で災難が臨んだ時期には,結婚と子供を持つこと,および他の状況が苦難と結びつけられました。(詩編 127,128編をエレミヤ 6:12; 11:22; 哀歌 2:19; 4:4,5と比較してください。)それで,結婚と子供を持つことが幸福の永続的な要素でないことは明らかです。

      過去における,結婚を伴わない幸福

      9 エフタの娘はなぜ年ごとにほめられましたか。

      9 大勢の神の僕たちは,結婚せずに真の幸福を見いだしてきました。エフタの娘は父の誓約に対する敬意のゆえに独身を保ちました。しばらくの間,彼女とその女友達は彼女が処女であることについて泣き悲しみました。しかし,彼女はエホバの家で,恐らく「会見の天幕の入口で組織的奉仕に携わっていた婦人たち」に加わって全時間の奉仕を行ない,本当に大きな喜びを得ました。(出エジプト記 38:8)その奉仕のゆえに,彼女は年ごとにほめられました。―裁き人 11:37-40。

      10 エホバはエレミヤにどんなことを要求なさいましたか。その結果エレミヤが不幸な人生を送ったと考えられますか。

      10 預言者エレミヤが生きていた時代が劇的な時代であったため,神は彼に結婚したり子供を育てたりしないよう要求なさいました。(エレミヤ 16:1-4)しかしエレミヤは,「エホバに依り頼み,エホバがその確信のよりどころとなってくださった強健な者は祝福される」という神の言葉が真実であることを経験しました。(エレミヤ 17:7)40年以上にわたって預言者として奉仕した期間中ずっと,エレミヤは独身者として忠実に神に仕えました。わたしたちの知る限り,エレミヤは一度も結婚せず,子供も持ちませんでした。それでも,エレミヤが『エホバの善ゆえに光り輝いた』忠実なユダヤ人の残りの者のように幸福であったことを疑問視する人はいないはずです。―エレミヤ 31:12。

      11 聖書には,配偶者を持たなかったものの幸福だった忠実なエホバの僕のどんな例がありますか。

      11 他の多くの人々も配偶者を持たずに喜びのうちにエホバに仕えてきました。独身者もいれば,夫や妻を亡くした人もいました。例えば,女預言者アンナ,恐らくドルカスつまりタビタ,使徒パウロ,そして最大の模範であられるイエス・キリストを挙げることができます。

      今日,独身であっても幸福

      12 今日,幸福な献身したエホバの僕の中のある人々は何を受け入れてきましたか。それは何のためですか。

      12 今日,何十万人ものエホバの証人は配偶者を持たないで神に忠実に仕えています。中には,「[独身の賜物]を受け入れることのできる人は,受け入れなさい」というイエスの招待に応じることのできた人もいます。そのような人は「天の王国のゆえに」そうしてきました。(マタイ 19:11,12)つまり,王国の関心事を促進するためにより多くの時間と精力をささげることにより,神から与えられた自由を活用してきたのです。彼らの多くは開拓者や宣教者として,またものみの塔協会の世界本部や各支部のベテル家族の一員として奉仕しています。

      13 クリスチャンが独身でいながら幸福になれることをどんな例が示していますか。

      13 ある愛すべき年配の姉妹は,「独身で幸福な開拓者」という示唆に富んだ主題の経験談を語りました。(「ものみの塔」誌,1985年5月1日号,27-31ページ)ベテル奉仕に50年以上も費やした別の独身の姉妹はこう語りました。「自分の人生や自分の仕事に本当に満足しています。私は,自分が心から愛している仕事にこれまで以上に忙しく携わっています。後悔はしていません。人生をやり直すとしても,もう一度同じ決定を下すでしょう」―「ものみの塔」誌,1982年9月15日号,15ページ。

      14,15 (イ)使徒パウロによると,独身を保つためには何が必要ですか。(ロ)パウロが,独身者は「さらにりっぱに」行動しており,『より幸福』であると述べているのはなぜですか。

      14 「決定」という言葉に注目してください。使徒パウロはこう書きました。「心の中でしっかりと定めており,必要もなく,自分の意志を制することができ,童貞性を守ろうと自らの心の中で決めているのであれば,その人はりっぱに行動していることになります。したがって,結婚して自分の童貞性を離れる人もりっぱに行動していますが,結婚しないで,それを離れない人は,さらにりっぱに行動していることになります」。(コリント第一 7:37,38)なぜ「さらにりっぱ」なのでしょうか。パウロはこう説明しています。『わたしは,あなた方に思い煩いがないようにと願っているのです。結婚していない男子は,どうしたら主の是認を得られるかと,主の事柄に気を遣います。さらに,結婚していない女,および処女は,主の事柄に気を遣います。しかし,わたしがこれを言うのは,あなた方自身の益のため,あなた方を,ふさわしい事柄へ,また気を散らすことなく絶えず主に仕えられるような事柄へと動かすためなのです』― コリント第一 7:32-35。

      15 『主の是認を得よう』として『気を散らすことなく絶えず主に仕える』ことは幸福と関係があるのでしょうか。パウロはそう考えていたようです。クリスチャンのやもめについてパウロはこう述べています。「彼女は自分の望む者と自由に結婚できます。ただし主にある者とだけです。しかし,わたしの意見では,彼女はそのままでいたほうが幸福です。わたしは自分も神の霊を持っていると確かに考えています」― コリント第一 7:39,40。

      結婚していない状態の利点

      16 独身のエホバの証人にはどんな利点がありますか。

      16 クリスチャンが個人的な決定によって独身でいるとしても,事情が許さないために独身でいるとしても,結婚していない状態には数多くの個人的な利点があります。ふつう独身者のほうが,神の言葉を研究したり黙想したりする時間がたくさんあります。もし独身者がそうした状況を活用するなら,霊性は高まるでしょう。問題を共に担ってくれる配偶者がいないため,多くの独身者は一層しっかりとエホバに頼るようになり,また何事においてもエホバの導きを求めるようになります。(詩編 37:5)それによってエホバとの関係はより緊密なものになります。

      17,18 (イ)独身のエホバの僕には,より大きな奉仕の分野へのどんな機会が開かれていますか。(ロ)ある独身のエホバの僕は自分の幸福についてどのように述べましたか。

      17 結婚していないクリスチャンには,エホバを賛美するためのより大きな奉仕の分野への機会が開かれています。宣教訓練学校で現在施されている特別な訓練は,独身か妻を亡くした兄弟たちに限られています。独身の姉妹たちも神への奉仕の様々な特権をとらえる上で,より自由な立場にあります。前述の年配の姉妹は,本人の言葉を借りれば「50歳をすぎたやや虚弱な女性」だった時に,アフリカのある国での奉仕を自発的に申し出ました。そして姉妹は,宣教者が全員追放されていた禁令期間中もそこにとどまりました。今では80歳を超えていますが,引き続きその地で開拓者として奉仕しています。姉妹は幸福でしょうか。経験談にはこう書かれています。「独身がもたらす余分の自由や機動性を活用して宣教に忙しく携わることができ,それによって大きな幸福感を味わってきました。……これまで何年もの間に私とエホバとの関係は深まってきました。女独りの身でアフリカの国にいるので,エホバを保護者と考えてきました」。

      18 さらに,ものみの塔協会の本部で何十年も奉仕した一人の兄弟の言葉も注目に値します。兄弟は一度も結婚しませんでしたし,結婚の見込みのない天的な希望を抱いていましたが,それでも幸福でした。79歳の時に兄弟はこう書きました。「毎日私は愛する天の父に,霊的にも身体的にも常に健康で強くあるための助けと知恵を祈り求めます。それは神の聖なるご意志を行ない続けるためです。過去49年間のエホバへの奉仕を通じて,幸福で報いの多い祝福された生き方を本当に楽しんできました。そしてエホバの過分のご親切により,神の誉れと栄光のために,また神の民の祝福のために奉仕し続けることを楽しみにしています。……私にとってエホバの喜びは,エホバの敵がもはやいなくなり全地がエホバの栄光で満ちる時を待ち望みつつ,信仰の立派な戦いを続ける上での助けとなっています」。―民数記 14:21。ネヘミヤ 8:10。「ものみの塔」誌,1968年11月15日号,699-702ページ(英文)。

      真の幸福は何にかかっているか

      19 わたしたちの幸福は常に何にかかっていますか。

      19 わたしたちとエホバとの貴重な関係,神からの是認と祝福 ― これらが,とこしえにわたってわたしたちに真の幸福をもたらす要素です。既婚のエホバの僕でさえ,何が本当の幸福を生み出すかに関するそのようなふさわしい見方を持ち,結婚が自分の人生で最も重要なものではないことを認めています。彼らは使徒パウロのこの助言に留意しています。「兄弟たち,わたしは,残された時は少なくなっている,という点を言います。今後,妻を持っている者は持っていないかのようになりなさい」。(コリント第一 7:29)これは妻をないがしろにするという意味ではありません。円熟したクリスチャンの夫たちはエホバへの奉仕を第一にします。そして,敬虔で愛に満ち,支えとなる妻たちもそうします。中には夫と共に全時間奉仕を行なっている妻さえいます。―箴言 31:10-12,28。マタイ 6:33。

      20 多くのクリスチャンは結婚という自分たちの特権に対してどんなふさわしい態度を取っていますか。

      20 旅行する監督やベテルの自発奉仕者や会衆の長老である既婚の兄弟たちはもとより,王国の関心事を第一にしているすべての既婚のクリスチャンたちは『世を十分に用いて』はいません。彼らは結婚という自分たちの特権を,エホバへの奉仕という自分たちの献身的な生活に適合させるよう努力しています。(コリント第一 7:31)それでも彼らは幸福です。なぜでしょうか。彼らにとって,すべてに勝る幸福の理由は結婚ではなくエホバへの奉仕だからです。そして多くの忠実な夫と妻,それにもちろんその子供たちも,そうした生活を幸福に感じています。

      21,22 (イ)エレミヤ 9章23,24節によると,何がわたしたちを幸福感で満たすはずですか。(ロ)箴言 3章13-18節には,幸福のどんな要素が述べられていますか。

      21 預言者エレミヤはこう書きました。「エホバはこのように言われた。『知恵ある者はその知恵のゆえに自慢してはならない。力ある者はその力強さのゆえに自慢してはならない。富んでいる者はその富のゆえに自慢してはならない。しかし,自慢する者はこのことのゆえに,すなわち洞察力を持っていることと,わたしについて,わたしがエホバであり,愛ある親切,公正そして義を地に行なう者であるという知識を持っていることとのゆえに自慢せよ。わたしはこれらのことを喜びとするからである』と,エホバはお告げになる」― エレミヤ 9:23,24。

      22 独身か既婚かを問わず,わたしたちの幸福の最大の源は,エホバについての知識と,自分が神のご意志を行なっているゆえに神の祝福を得ているという確信であるはずです。また,価値に関する真の尺度をなしているもの,つまりエホバが喜びとされる事柄に対する洞察力を持っているゆえに,わたしたちは幸福です。何度も結婚したソロモン王は結婚が幸福への唯一のかぎだとは考えていませんでした。ソロモンはこう述べました。「知恵を見いだした人,識別力を得る人は幸いだ。それを利得として得ることは銀を利得として得ることに勝り,それを産物として得ることは金そのものにも勝るからである。それはさんごよりも貴重であり,あなたの他のすべての喜びもこれに及ばない。長い日々がその右の手にあり,その左の手には富と栄光がある。その道は快い道,その通り道はみな平安である。それはこれをとらえる者たちには命の木であり,これをしっかりととらえている者たちは幸いな者と呼ばれる」― 箴言 3:13-18。

      23,24 わたしたちが,新しい事物の体制で忠実なエホバの僕すべてが幸福になると確信できるのはなぜですか。

      23 わたしたちの中の結婚している人たちが,神のご意志を行なうことにとこしえの喜びを見いだしますように。そして,自分で選んだにせよ事情が許さないからにせよ,独身の立場にある愛する兄弟姉妹たちがあらゆる試練に耐え,現在そして永遠にわたってエホバに仕えることに幸福と満足を見いだしますように。(ルカ 18:29,30。ペテロ第二 3:11-13)来たるべき神の事物の体制においては,「数々の巻き物」が開かれます。(啓示 20:12)それらの巻き物には,従順な人類の幸福に寄与する胸の躍るような新しい戒めや規定が収められていることでしょう。

      24 確かにわたしたちは,わたしたちに完全な幸福をもたらす驚くべき良いものを「幸福な神」が用意してくださっていることを確信できます。(テモテ第一 1:11)神は引き続き「み手を開いて,すべての生きているものの願いを満たして」くださるでしょう。(詩編 145:16)現在そして将来も常に真の幸福がエホバに仕えることにあるのも不思議ではありません。

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