-
甲状腺の具合はいかがですか目ざめよ! 2009 | 5月
-
-
甲状腺ホルモンの働き
甲状腺ホルモンには,T3,RT3(リバースT3),T4があります。b T3とRT3はT4から生成され,この変換はおもに甲状腺の外の人体組織内で行なわれます。体が甲状腺ホルモンを要求すると,甲状腺はT4を血流中へ分泌し,血流によってT4とその誘導体が全身の細胞に送られて作用します。
車のアクセルがエンジンの回転を制御するのと同じように,甲状腺ホルモンは体の代謝をコントロールします。代謝とは,エネルギーや新たな組織を生み出す細胞内の化学反応のことです。このように甲状腺ホルモンは,組織の正常な成長と修復を促進し,心拍数に作用し,筋肉や体温調節に必要なエネルギーの生産を維持しているのです。
甲状腺ホルモンには,ほかにも重要な働きがあります。例えば,血流中の余分な中性脂肪や低密度リポタンパク質(悪玉コレステロール)を肝臓が除去するのを助けます。悪玉コレステロールは胆汁に変えられ,便に混ざって排泄されます。甲状腺ホルモンが足りないと,悪玉コレステロールが増え,高密度リポタンパク質(善玉コレステロール)が減少します。
消化管では,甲状腺ホルモンは消化液の分泌を速めるとともに,リズミカルな蠕動を促進します。ですから,甲状腺ホルモンが多すぎると頻繁に便意を催すことになり,少なすぎると便秘になります。
甲状腺をコントロールしているのは?
甲状腺の働きを統御しているのは脳の視床下部です。視床下部は,甲状腺ホルモンが必要とされていることを感知すると,近くの下垂体に合図を送ります。下垂体は,脳の底部,口蓋のすぐ上に位置しています。合図を受けた下垂体が血流中に甲状腺刺激ホルモン(TSH)を放出すると,甲状腺は活発に働き始めます。
ですから,血液中のTSHと甲状腺ホルモンの量を測定すれば,甲状腺が正常に機能しているかどうかを診断できます。この検査は重要です。きちんと機能していない場合があるからです。
-
-
甲状腺の具合はいかがですか目ざめよ! 2009 | 5月
-
-
b T3はトリヨードサイロニン,T4はサイロキシンのことです。3や4という数字は,それぞれのホルモンのヨウ素原子の数を示しています。甲状腺は,血液中のカルシウム量を調整するためのカルシトニンというホルモンも産生します。
-