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イエス・キリスト ― 神についての知識を得させるかぎ永遠の命に導く知識
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メシアに関する幾つかの際立った預言
預言 出来事 成就
初期の生活
イザヤ 7:14 処女から生まれる マタイ 1:18-23
エレミヤ 31:15 その誕生後,みどりごたちが殺される マタイ 2:16-18
宣教
イザヤ 61:1,2 神からの任命 ルカ 4:18-21
イザヤ 9:1,2 その宣教によって マタイ 4:13-16
人々は大いなる光を見た
詩編 69:9 エホバの家に対して熱心さを示す ヨハネ 2:13-17
イザヤ 53:1 人々は信じない ヨハネ 12:37,38
ゼカリヤ 9:9; 子ろばに乗ってエルサレムに マタイ 21:1-9
詩編 118:26 入城する。王として,
またエホバのみ名によって
来る者として歓呼して迎えられる
裏切り行為と死
詩編 41:9; 109:8 使徒たちの一人が不忠実に 使徒 1:15-20
なる。イエスを裏切り,
後に他の者がこれに代わる
ゼカリヤ 11:12 銀30枚で マタイ 26:14,15
裏切られる
詩編 27:12 偽りの証人が マタイ 26:59-61
立てられる
詩編 22:18 彼の衣のためにくじが引かれる ヨハネ 19:23,24
イザヤ 53:12 罪人たちと共に数えられる マタイ 27:38
詩編 22:7,8 死ぬ時にののしられる マルコ 15:29-32
詩編 69:21 酢が与えられる マルコ 15:23,36
イザヤ 53:5; 刺し通される ヨハネ 19:34,37
イザヤ 53:9 富んだ人と共に埋葬される マタイ 27:57-60
詩編 16:8-11,脚注 腐れが生じる前に 使徒 2:25-32;
よみがえらされる 13:34-37
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イエス・キリスト ― 神についての知識を得させるかぎ永遠の命に導く知識
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約束のメシア
4,5 メシアを中心としたどんな希望がありましたか。イエスの弟子たちはイエスをどのようにみなしましたか。
4 忠実な人であったアベルの時代以来,神の僕たちはエホバ神ご自身が予告された胤を切に待ち望んでいました。(創世記 3:15; 4:1-8。ヘブライ 11:4)その胤は,「油そそがれた者」という意味のメシアとして,神の目的を果たすことが明らかにされていました。また,メシアは「罪を終わらせ(る)」ことになっており,メシアの王国の栄光は詩編の中で予告されていました。(ダニエル 9:24-26。詩編 72:1-20)そのメシアになったのはだれでしたか。
5 アンデレという名の若いユダヤ人が,ナザレのイエスの言葉を聞いた時の興奮した様子を思い浮かべてみてください。アンデレは自分の兄弟であるシモン・ペテロのもとに走って行って,「わたしたちはメシアを見つけた」と,その兄弟に告げました。(ヨハネ 1:41)イエスの弟子たちはイエスが約束のメシアであることを確信していました。(マタイ 16:16)また,真のクリスチャンは,確かにイエスこそ予告されたメシア,すなわちキリストであるという信念のために,死をも辞さない覚悟でいました。それらのクリスチャンはどんな証拠を持っていたのでしょうか。3種類の証拠を検討してみましょう。
イエスがメシアであった証拠
6 (イ)約束の胤はどんな血統から出ることになっていましたか。イエスがその家系から来たことはどうして分かりますか。(ロ)西暦70年以後に生活した人は,自分がメシアであるという主張をなぜ証明できなくなりましたか。
6 イエスの家系は,イエスが約束のメシアであることを確認するための第一の根拠になります。エホバは,約束の胤がご自分の僕アブラハムの氏族から出ることをアブラハムに告げておられました。アブラハムの子イサク,イサクの子ヤコブ,そしてヤコブの子ユダもそれぞれ同様の約束を受けました。(創世記 22:18; 26:2-5; 28:12-15; 49:10)何世紀かの後,メシアの血統の範囲はしぼられ,メシアはダビデ王の家系から出るということがダビデに告げられました。(詩編 132:11。イザヤ 11:1,10)マタイとルカの福音書の記述は,イエスがその家系から来た方であることを確証しています。(マタイ 1:1-16。ルカ 3:23-38)イエスには無情な敵が数多くいましたが,イエスのよく知られた血統に異議を申し立てた敵は一人もいませんでした。(マタイ 21:9,15)それで明らかに,イエスの家系には疑問の余地がありませんでした。しかし,西暦70年にローマ人がエルサレムを攻略した時,ユダヤ人の家族関係の記録は消滅しました。その年以後,自分は約束のメシアであるという主張を証明できる人は一人もいません。
7 (イ)イエスがメシアであったことを示す2番目の証拠は何ですか。(ロ)ミカ 5章2節はイエスに関してどのように成就しましたか。
7 成就した預言は2番目の証拠です。ヘブライ語聖書の幾十もの預言は,メシアの歩みの様々な面を描写しています。西暦前8世紀に預言者ミカは,この偉大な支配者がベツレヘムという取るに足りない町で生まれることを予告しました。イスラエルにはベツレヘムと呼ばれる町は二つありましたが,この預言はそのうちの一つを特定していました。それはダビデ王が生まれたベツレヘム・エフラタでした。(ミカ 5:2)イエスの両親のヨセフとマリアはベツレヘムの北約150㌔の所にあるナザレで生活していました。しかしマリアが妊娠していた時,ローマの支配者カエサル・アウグスツスはすべての人に,自分の生まれた都市で登録をするよう命じました。a それで,ヨセフは妊娠した妻をベツレヘムへ連れて行かなければならなくなり,イエスはそのベツレヘムでお生まれになりました。―ルカ 2:1-7。
8 (イ)69「週」はいつ,どんな出来事と共に始まりましたか。(ロ)その69「週」はどれほどの長さでしたか。その期間が終わった時,何が起きましたか。
8 西暦前6世紀に預言者ダニエルは,エルサレムを修復して建て直せという命令が出されてから69「週」後に「指導者であるメシア」が現われることを予告しました。(ダニエル 9:24,25)それらの「週」の各々の長さは7年でした。b 聖書と一般の歴史によれば,エルサレムを建て直せという命令が出されたのは西暦前455年のことでした。(ネヘミヤ 2:1-8)それで,メシアは西暦前455年から483(69×7)年が経過した時に現われることになっていました。それは西暦29年,つまりエホバが聖霊をもってイエスに油そそがれたちょうどその年に当たります。こうしてイエスは,「キリスト」(「油そそがれた者」の意),つまりメシアになられました。―ルカ 3:15,16,21,22。
9 (イ)詩編 2編2節はどのように成就しましたか。(ロ)イエスに成就した,ほかのどんな預言がありますか。(別表をご覧ください。)
9 もちろん,皆がイエスをメシアとして受け入れたわけではありませんし,聖書はそのことも予告していました。詩編 2編2節に記録されているように,ダビデ王は神からの霊感を受けて,「地の王たちは立ち構え,高官たちも一団となってエホバとその油そそがれた者に敵対(する)」と予告しました。この預言は複数の国の指導者たちがエホバの油そそがれた者,つまりメシアを攻撃するために結束することを示唆していました。そして,そのようになりました。ユダヤ人の宗教指導者たちやヘロデ王,それにローマ総督ポンテオ・ピラトなどは皆,イエスを死に至らせるためにそれぞれの役割を果たしました。その時以後,以前は敵同士であったヘロデとピラトは,固いきずなで結ばれた友になりました。(マタイ 27:1,2。ルカ 23:10-12。使徒 4:25-28)イエスがメシアであった証拠をさらに調べたい方は,「メシアに関する幾つかの際立った預言」という題の別表をご覧ください。
10 エホバはイエスが約束の油そそがれた者であることについてどんな方法で証しされましたか。
10 エホバ神による証しはイエスがメシアであることを支持する3番目の証拠です。エホバはイエスが約束のメシアであることを人々に知らせるため,み使いたちを遣わされました。(ルカ 2:10-14)事実,イエスが地上で生活しておられた間に,エホバご自身が天から話され,イエスを是認したと言われました。(マタイ 3:16,17; 17:1-5)エホバ神は奇跡を行なう力をイエスに授けられました。そのような業はそれぞれ,イエスがメシアであることをさらに強力に示す神からの証拠でした。神は詐欺師に力を授けて奇跡を行なわせるようなことは決してなさらないからです。エホバはまた,ご自分の聖霊を用いて霊感を与え,福音書を書き記させたので,イエスがメシアであることを示す証拠は,歴史上最も広く翻訳され,頒布されている本である聖書の一部になりました。―ヨハネ 4:25,26。
11 イエスがメシアであったことを示す証拠はどれほど多くありますか。
11 これら3種類の証拠には,イエスが約束のメシアであることを証明する合計幾百もの事実が含まれています。ですから,真のクリスチャンたちが,イエスこそ『すべての預言者により証しをされた方』であり,神についての知識を得させるかぎであると考えたのは,明らかに当然のことでした。(使徒 10:43)
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