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長寿を求める努力目ざめよ! 1990 | 4月22日
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どんな見込みがあるか
この種の研究に従事してきた人たちのうちの幾人かが行なっている楽観的な宣言や予告から判断する限り,人間の寿命が従来よりはるかに長くなる時はすぐそこまで来ているように思えます。1960年代後半の出版物から拾った発言を幾つか紹介しましょう。
「この種の研究によって得られる知識は,最後の敵である死と敵陣で戦うために必要な武器となるであろう。そうなれば相対的な不老不死も高根の花ではあるまい。……その時は我々の時代に到来するかもしれない」― 医師であり著述家でもあるアラン・E・ナース。
「我々は老化の問題を完全に打破するであろうから,本質的には死の唯一の原因は事故ということになるだろう」― ソーク生物学研究所の当時の所長,オーガスタス・B・キンゼル。
「不老不死(限りなく命を延ばすという意味において)は技術的には達成可能である。我々の子孫のみならず,今の我々にとって可能なのである」― ロバート・C・W・エティンガー,「不老不死の見込み」という著書から。
当時の老人病学者や研究者がすべてそのような熱意を抱いていたわけではありませんが,21世紀の初めまでには老化が抑制され,寿命が大幅に延びるというのが,専門家たちの一致した意見のようでした。
21世紀の門口にかなり近づいている今の状況はどんなものでしょうか。不老不死とまではいかなくとも,長寿には手が届くまでになっているでしょうか。観察に基づく次の意見を考えてみてください。
「老人病学者にとって今は非常に混乱した時代だということを認める人は少なくないだろう。老化の根底にあるメカニズムがどのようなものなのか分からないだけでなく,老化の進行速度を正確な生化学的用語を使って言い表わすこともできない」―「老人病学ジャーナル」,1986年9月号。
「老化作用とは何か,あるいは人によって老化の速さが違うのはなぜかについて正確なことはだれも知らない。また,老人の不安や病苦につけこむ“延命”商人たちが,多くの場合いんちきな,そして時には危険なことさえ言う場合もあるが,人間の寿命を延ばす方法を知っている者は一人もいない」― 米国食品医薬品局の機関誌「FDAコンシューマー」,1988年10月号。
死を征服し,命を無限に延ばすことについての予想が過去においていろいろなされましたが,それらの期待が余りにも大きすぎたことは明らかです。科学による不老不死の達成は依然として無理な夢です。
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どれほど長生きできるか目ざめよ! 1990 | 4月22日
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「今生きている多くの人は寿命を大幅に延ばす機会に恵まれている。今や不老不死も可能であるように思われる」。
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どれほど長生きできるか目ざめよ! 1990 | 4月22日
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最初のものは,医学欄担当記者であり教授でもあるローレンス・E・ラム博士が,1975年に出版した「不老不死に備える」という本の中の一文です。
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どれほど長生きできるか目ざめよ! 1990 | 4月22日
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ラム博士の言葉は,多くのいわゆる不滅論者の典型的な言葉です。老化に関する研究を含む医学の進歩によって,人間の老化のなぞがやがて解け,結果として死そのものが征服されると不滅論者は考えています。しかし,現代科学のおかげで平均余命が延び,また多くの人がより良い生活を楽しめるようになっているにもかかわらず,不老不死に関する予言はそのままの状態,つまり楽観的な予測の域を脱していません。
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