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  • 神は本当にわたしたちのことを気遣っておられますか
    神は本当にわたしたちのことを気遣っておられますか
    • 第1部

      神は本当にわたしたちのことを気遣っておられますか

      1,2 人々は神についてどんな疑問を持ちますか。それはなぜですか。

      あなたはこれまでに,『もし本当に気遣ってくれる神がいるなら,神はどうしてこんなに多くの苦しみを許しているのだろう』と疑問に思われたことがあるかもしれません。わたしたちは皆,苦しみを経験したり,そういう経験をした人の話を聞いたりしたことがあります。

      2 確かに,歴史を通じて人々は,戦争,残虐行為,犯罪,不公正,貧困,病気,家族の死などのために苦痛や心痛を味わってきました。この20世紀だけでも,1億人以上の人々が戦争で命を失い,そのほかにも何億という人々が負傷し,家や財産を失いました。現代において非常に多くの恐ろしい出来事が生じてきたため,数え切れないほどの人々が深く悲しみ,多くの涙を流し,絶望感を抱いています。

      3,4 神が苦しみを許しておられることに関して,多くの人はどのように考えていますか。

      3 中には,苦々しい気持ちになり,神はいるとしても本当に気遣ってくれてはいないと考える人もいます。あるいは,神はいないとさえ考えるかもしれません。例えば,第一次世界大戦中に民族的な迫害で友人や家族を殺されるというつらい経験をした男の人は,「我々が神を必要としたとき,神はどこにいたのだ」と考えました。第二次世界大戦中のナチスによる何百万人もの虐殺を生き残った別の人は,自分が目にした苦しみを悲嘆するあまり,「もし私の心臓をなめることができれば,毒の味がするだろう」と言いました。

      4 このように,多くの人は悪い事柄が生じるのを善良な神が許しておられる理由を理解できないでいます。そして,神はわたしたちを本当に気遣っているのかという疑問や,そもそも神は存在するのかという疑問を抱きます。そのような人の中には,人間が存在する限り苦しみはなくならないと考える人も少なくありません。

  • 苦しみのない地
    神は本当にわたしたちのことを気遣っておられますか
    • 第2部

      苦しみのない地

      1,2 大勢の人はどんな別の見方を持っていますか。

      しかし,世界中の何百万人もの人たちは全く別の見方を持っています。その人たちは人類の驚くべき将来を期待していますし,まさにこの地球上に間もなく悪や苦しみの全くない世界が訪れると言います。間もなく悪が一掃され,全く新しい世界が確立されると確信しているのです。そして,その新しい世界の基礎が現に据えられているとさえ言います。

      2 その人たちは,その新しい世界には戦争も残虐行為も犯罪も不公正も貧困もないと信じています。それは病気や悲しみや涙,そして死さえない世界となります。その時,人々は徐々に完全さに達し,地上の楽園で幸福のうちに永遠に生きます。そして,死んでいる人たちでさえ復活させられて,永遠に生きる機会を得るのです。

      3,4 そのような人たちが自分の見方に確信を抱いているのはなぜですか。

      3 将来に対するこの見方は単なる夢また希望的観測に過ぎないのでしょうか。いいえ,決してそうではありません。この見方は,来たるべきこの楽園が必ず実現するという確かな根拠のある信仰に基づくものです。(ヘブライ 11:1)彼らがそれほどまでに確信しているのはなぜですか。それは,宇宙の全能の創造者がそう約束しておられるからです。

      4 神の約束に関して,聖書はこう述べています。「あなた方の神エホバの話されたすべての良い言葉は,その一言といえ果たされなかったものはありません。それはあなた方にとってすべてそのとおりになりました。その一言といえ果たされなかったものはありません」。「神は人でないゆえに偽りを語ることはな(い)。自ら述べてそれを行なわず,自ら語ってそれを果たさないことがあろうか」。「万軍のエホバは誓って,言われた,『まさしく,わたしの図った通りに事は成り,わたしの計った通りのことが実現する』」。―ヨシュア 23:14。民数記 23:19。イザヤ 14:24。

      5 どんな質問に対する答えが必要ですか。

      5 しかし,神の目的が苦しみのない地上の楽園を確立することだったのであれば,そもそも神は悪い事柄が生じるのをなぜ許されたのでしょうか。神が現在までの6,000年間,悪を正すことを待たれたのはなぜですか。苦しみに満ちたその期間全体は,神がわたしたちを本当に気遣ってはおられないことや,神が存在しないことさえ示しているのでしょうか。

  • 神がおられることはどうして分かるか
    神は本当にわたしたちのことを気遣っておられますか
    • 第3部

      神がおられることはどうして分かるか

      1,2 神がおられるかどうかを確かめるために,どんな原則が役に立ちますか。

      神がおられるかどうかを確かめる一つの方法は,造られたものには必ず造り手がいるという確証された原則を適用することです。造りが複雑であればあるほど,造り手はより有能であるに違いありません。

      2 例えば,ご自分の家を見回してみてください。テーブル,椅子,机,ベッド,炊事用具,皿,そして他の食器類などにはすべて必ず造り手がいます。壁や床や天井も同様です。とはいえ,それらの物の造りは比較的単純です。単純な物に必ず造り手がいるのですから,論理的に言って,複雑な物にはさらに知的な造り手が必ずいるのではないでしょうか。

      畏怖の念を起こさせるわたしたちの宇宙

      3,4 神が存在することを知る上で,宇宙はどのように役立ちますか。

      3 時計があれば,必ず時計職人がいます。それとは比べものにならないほど複雑なこの太陽系についてはどうでしょうか。太陽系には太陽があり,その周りを惑星が幾世紀も幾世紀も非常に正確に公転しています。わたしたちが住む,銀河系と呼ばれる畏怖の念を起こさせる星雲についてはどうですか。この星雲には1,000億個以上の星があります。あなたは日が暮れてから立ち止まって,天の川を眺めたことがありますか。その時,感動を覚えましたか。では,わたしたちの銀河系のような星雲を何十億とも知れず含む,信じられないほど広大な宇宙について考えてみてください。その上,天体は何世紀たっても変わることなく非常に信頼性のある運行をしているので,精密な時計に例えられるほどです。

      4 比較的単純な時計が時計職人の存在を示すのであれば,比べものにならないほど複雑で畏怖の念を起こさせる宇宙が設計者兼造り手の存在を示しているのは確かです。それゆえ聖書は,「目を高く上げて見よ」とわたしたちに勧めてから,「だれがこれらのものを創造したのか」と尋ねています。その答えはこうです。「それは,その軍勢を数によって引き出しておられる方[神]であり,その方はそれらすべてを名によって呼ばれる。満ちあふれる活動力のゆえに,その方はまた力が強く,それらの一つとして欠けてはいない」。(イザヤ 40:26)ですから宇宙は,目に見えない制御を行なう知的な力,つまり神によって存在しているのです。

      独特な設計を施された地球

      5-7 地球に関するどんな事実は,地球に設計者がおられることを示していますか。

      5 科学者は地球を研究すればするほど,地球には人間の居住のための独特な設計が施されていることを理解するようになります。地球は太陽から適度な光と熱を受けるのにちょうど良い距離のところにあります。地球がちょうど良い角度の傾きを保ちながら太陽の周りを1年で1周することにより,地球上の多くの場所で季節の変化が生じます。さらに地球は24時間ごとに1回自転して,光と闇の規則的な周期を作り出しています。様々な気体をちょうど良く混合した大気があるので,わたしたちは呼吸することができ,宇宙からの有害な放射線から保護されています。地球にはまた,食物を産するのに必要不可欠な水と土壌があります。

      6 共に作用するこれらすべての要素と他の要素がないなら,生きてゆくことは不可能です。このすべては偶然に生じたのでしょうか。サイエンス・ニューズ誌は,「そのように特殊で,精巧な状態が無作為の作用で生じたとはとうてい考えられないようにも思える」と述べています。そうです,そのようなことは生じるはずがありません。優れた設計者による意図的な設計が必要です。

      7 もしあなたが立派な家に入って,そこに食物が十分に蓄えられ,すばらしい暖房と空調の設備があり,良くできた給水配管が備わっているのを目にしたなら,どんな結論を下しますか。その家は全くだれの手も借りずに存在するようになったと結論しますか。そうではないでしょう。知的な人が細心の注意を払って設計し,造ったのだと結論するはずです。地球も,住人の必要物を供給するよう細心の注意を払って設計され,造られました。しかも,どんな家よりもはるかに複雑でよく備えられています。

      8 そのほかに地球に関して,わたしたちに対する神の愛ある気遣いを示すどんな事柄がありますか。

      8 さらに,生活に喜びを添える数多くの物について考えてみてください。心地よい香りで人間を楽しませる,美しい色をした様々な花を見てください。そして,大変おいしく感じられる多種多様な食物があります。森や山や湖など,目を楽しませる創造物もあります。それに,人生の楽しみを増すものとなる美しい夕焼けはどうですか。また動物界では,子犬や子猫など,動物の子供たちが,じゃれるときのおどけた仕草や愛らしい性質で楽しませてくれるのではないでしょうか。このように地球は,命を支えるのに絶対に必要というわけではない数多くの楽しくて驚くべき物を与えてくれます。これらのことから分かるとおり,地球は,わたしたちが単に生存するだけでなく生活を楽しむよう,人間を念頭に置き,愛ある気遣いを込めて設計されたのです。

      9 地球を造ったのはだれですか。その方はなぜ地球を造られましたか。

      9 それで,道理にかなった結論は,エホバ神について「あなたご自身が天と地を造られました」と述べた聖書筆者のように,これらすべてのものの与え主を認めるということです。神はどんな目的でそれらを造られたのですか。同じ聖書筆者は神を次のように描写し,答えを与えています。「地を形造られた方,それを造られた方,それを堅く立て,それをいたずらに創造せず,人が住むために形造られた方」。―イザヤ 37:16; 45:18。

      驚くべき細胞

      10,11 細胞が非常に驚くべきものであると言えるのはなぜですか。

      10 生物についてはどうですか。生物は造り手を必要としないでしょうか。例えば,細胞の驚くべき特徴のほんの幾つかを考えてみてください。分子生物学者のマイケル・デントンは,自著「進化論: 危機にひんする理論」の中でこう述べています。「今日地上に存在するあらゆる生物体のうち最も単純なもの,すなわちバクテリアの細胞でさえ,きわめて複雑なものである。最小のバクテリアの細胞は驚くほど小さ(い)が,その細胞一つ一つは事実上,まさに超小型の工場をなしている。その工場には,複雑ながら絶妙に設計された,分子の機械類が幾千台も備わっている。それらの機械は……人間が組み立てるどんな機械装置よりはるかに複雑で,これに匹敵するものは非生物界には一つもない」。

      11 各細胞内の遺伝情報について,デントンはこう述べています。「DNAの情報記憶容量は,いかなる既知のシステムよりもはるかに優れている。それは非常に効率的であるため,人間ほどに複雑な生物を特定するのに必要な全情報の重さは1㌘の数十億分の一にもならない。……生物に備わった分子の機械類に見られる巧妙さや複雑さのレベルに比べると,我々の最先端[製品]でさえ見劣りがする。我々は謙虚な気持ちにさせられる」。

      12 一人の科学者は細胞の起源に関して何と言いましたか。

      12 デントンはこう付け加えています。「既知の最も単純なタイプの細胞がそれほどまでに複雑であることを考えると,気まぐれな,とても起こりそうにない何らかの出来事によってそういった物が突然に寄せ集められたなどということは信じられない」。設計者兼造り手の存在が必要なのです。

      驚嘆すべきわたしたちの脳

      13,14 脳が細胞よりもさらに驚くべきものであると言えるのはなぜですか。

      13 この科学者はさらにこう述べています。「哺乳類の脳のようなシステムと比べると,個々の細胞は複雑さの点で取るに足りないものである。人間の脳は約100億の神経細胞で構成されている。各神経細胞はおよそ1万ないし10万の連接繊維を伸ばして,脳の中の他の神経細胞とつながっている。人間の脳にある連接の総数は……1,000兆近くになる」。

      14 デントンは続けて,「もし脳の連接のわずか100分の1を特別に組織するなら,それだけでも地上の全情報通信網よりはるかに多くの明確な連接を持つシステムになるだろう」と述べ,「何らかの全く無作為な作用によってこのようなシステムが組み立てられたなどということが一体あり得るだろうか」と問いかけています。答えが“ノー”であるのは明らかです。脳には気遣いを示す設計者兼造り主がおられるに違いありません。

      15 他の人たちは脳についてどんな意見を述べていますか。

      15 人間の脳と比べると最新型のコンピューターも原始的に見えます。科学著述家モートン・ハントはこう述べました。「我々の持つ活動的な記憶装置は,今日の研究用の大型コンピューターの数十億倍もの情報を収容することができる」。そのため,脳外科医のロバート・J・ホワイト博士は次のように結論しました。「わたしは,信じがたいまでにすばらしい脳と知能の相互関係 ― それは,人間の理解力をはるかに超えているのである ― を設計し,それを発達させた,至高の知性の存在を認める以外に道は残されていないと思う。……このすべては理知的なものから始まっており,それを生じさせた方がおられる,と信じざるをえない」。その方はやはり,気遣ってくださる方であったに違いありません。

      独特な血液システム

      16-18 (イ)血液システムはどんな点で独特であると言えますか。(ロ)わたしたちはどんな結論に達するはずですか。

      16 さらに,栄養素と酸素を運び,感染を防いでいる独特な血液システムについても考えてみてください。このシステムの主要な成分である赤血球に関して,「人体のABC」という本にはこう書かれています。「一滴の血液には別個の血球が2億5,000万個以上含まれている。……人体には恐らく25兆個の血球があり,それらを広げると優にテニスコート4面を覆ってしまうだろう。……毎秒300万個の割合で新しい血球が造られ,交換されている」。

      17 独特な血液システムの別の成分である白血球について,この同じ本はこう述べています。「赤血球が一種類しかないのに対して,白血球には多くの種類があり,それぞれが別々の仕方で体内で戦うことができる。例えば,死んだ細胞を破壊するものもあれば,ウイルスに対する抗体を造り出すもの,異物を無毒化するもの,バクテリアを文字どおり食べ尽くして消化してしまうものもある」。

      18 まさに驚くべき,高度に組織化されたシステムです。そのように巧みに構成され徹底的な保護を行なうものには,非常に知的で気遣いを示す組織者がいるに違いありません。それは神です。

      他の驚嘆すべき事柄

      19 目は人間製の器械とどのように比べられますか。

      19 人体にはほかにも多くの驚嘆すべき事柄があります。その一つは,どんなカメラもまねることができないほどすばらしく設計された目です。天文学者のロバート・ジャストローは,「目は設計されたもののように思える。どんな望遠鏡の設計者でも,これほどにはできなかったであろう」と言いました。また,「ポピュラー・フォトグラフィー」という雑誌はこう述べています。「人間の目はフィルムよりもはるかに細かいところまで見ることができる。また立体的に,超広角でゆがみなく連続的に見ることができる。……カメラを人間の目と比べるのは公平な比較ではない。むしろ人間の目は,コンピューターやカメラといった人間の考案物をはるかに超える人工知能と情報処理能力とスピードとオペレーションモードを備えた,信じられないほど進歩したスーパーコンピューターに似ている」。

      20 人体にはさらにどんな驚くべき特徴がありますか。

      20 さらに,体の複雑な器官すべてが無意識のうちにどのように協働しているかを考えてみてください。例えば,わたしたちは多種多様な飲食物を胃に取り入れますが,体はそれを処理してエネルギーを生み出します。そのような様々な物を車のガソリンタンクに入れて,どれだけ走るか試してみてください。さらに,誕生という奇跡があります。両親によく似た愛らしい赤ちゃんがわずか9か月で生まれます。また,幼い子供が持つ,複雑な言語での話し方を習得する能力についてはどうでしょうか。

      21 人体の驚くべき特徴を考慮するとき,分別のある人は何と言いますか。

      21 そうです,人体に見られる数々の驚くべき複雑な創造物はわたしたちに深い畏怖の念を抱かせます。どんな技師もそれらと同じ物を造ることはできません。それらが単なる偶然の産物だということがあり得るでしょうか。決してあり得ません。むしろ,人体の驚嘆すべき特徴すべてを考慮するとき,分別のある人は詩編作者のようにこう言います。「わたしはあなた[神]をたたえます。なぜなら,わたしは畏怖の念を起こさせるまでにくすしく造られているからです。……あなたのみ業はくすしいのです」― 詩編 139:14。

      至高の建築者

      22,23 (イ)創造者の存在を認めるべきなのはなぜですか。(ロ)聖書は適切にも神について何と述べていますか。

      22 聖書は,「言うまでもなく,家は皆だれかによって建てられるのですが,神は,存在するものを皆建てられたのです」と述べています。(ヘブライ 3:4,エルサレム聖書)どんなに質素な家にも必ず建築者がいるのであれば,地球上の多種多様な生命を含む,はるかに複雑な宇宙にも建築者がいたに違いありません。そして,飛行機やテレビやコンピューターといった物を造り上げた人々の存在を認めるのであれば,そのような物を造るのに必要な頭脳を人間に与えた方の存在をも認めるべきではないでしょうか。

      23 聖書はそれを認めて,その方のことを「天の創造者,それを張り伸ばす偉大な方,地とその産物を張り広げる方,地上の民に息を……与える方,まことの神エホバ」と呼んでいます。(イザヤ 42:5)聖書がこう言明しているのは適切なことです。「エホバ,わたしたちの神よ,あなたは栄光と誉れと力を受けるにふさわしい方です。あなたはすべてのものを創造し,あなたのご意志によってすべてのものは存在し,創造されたからです」― 啓示 4:11。

      24 わたしたちはどのようにして神の存在を知ることができますか。

      24 そうです,わたしたちは神が造られたものによって神の存在を知ることができるのです。「というのは,神の見えない特質……は,[神が]造られた物を通して認められるので,世界の創造以来明らかに見えるからで(す)」― ローマ 1:20。

      25,26 あるものが誤用されたからといって,造り手がいないことの理由にならないのはなぜですか。

      25 造られた物が誤用されたからといって,造り手がいないことにはなりません。飛行機は旅客機として平和な目的のために用いることができますが,爆撃機として破壊のために用いることもできます。死をもたらす仕方で用いられるからといって,飛行機に造り手がいないことにはなりません。

      26 同様に,人間の悪い点がたびたび明らかになってきたからといって,人間に造り主はいない,神はいないということにはなりません。それで聖書は適切にもこう述べています。「あなた方の性情は何とゆがんでいることか! 陶器師が粘土のようにみなされるべきだろうか。いったい,造られた物が自分の造り主について,『彼はわたしを造らなかった』と言うべきだろうか。また,形造られた物が自分を形造ってくれた者について,『彼は理解を示さなかった』と実際に言うだろうか」― イザヤ 29:16。

      27 苦しみに関するわたしたちの質問に神が答えてくださると期待できるのはなぜですか。

      27 創造者は,ご自分が造ったものの驚くべき複雑さを通して知恵を示しておられます。創造者は,地をまさに居住に適した場所とし,わたしたちの体と知性をこれほどすばらしく造り,わたしたちの楽しみのためにこれほど多くのものを造ることにより,わたしたちを本当に気遣っていることを示しておられます。創造者は,神が苦しみを許しているのはなぜか,それに関して神は何を行なうのかといった質問に答えを与えることによっても,同様の知恵と気遣いを示してくださるに違いありません。

      [5ページの図版]

      保護となる大気を備えた地球は,気遣ってくださる神がわたしたちのために設計された独特な家である

      [6ページの図版]

      地球は,わたしたちが生活を十分に楽しめるよう,愛ある気遣いを込めて造られた

      [7ページの図版]

      『脳には地上の全情報通信網よりも多くの連接がある』― 分子生物学者

      [8ページの図版]

      「目は設計されたもののように思える。どんな望遠鏡の設計者でも,これほどにはできなかったであろう」― 天文学者

  • 神はご自分の目的を教えてくださる
    神は本当にわたしたちのことを気遣っておられますか
    • 第4部

      神はご自分の目的を教えてくださる

      1,2 誠実に質問をする人々に神が答えをお与えになることはどうして分かりますか。

      愛ある神は,神を求める誠実な人々にご自分の目的を確かに啓示なさいます。神が苦しみを許しておられるのはなぜかといった質問をする人々に,その答えをお与えになるのです。

      2 聖書はこう述べています。「もしあなたが神を求めるなら,ご自分をあなたに見いだされるようにされる……であろう」。「天に神が,秘密を明らかにされる方がおられます」。「主権者なる主エホバは,内密の事柄を自分の僕である預言者たちに啓示してからでなければ何一つ事を行なわない」。―歴代第一 28:9。ダニエル 2:28。アモス 3:7。

      答えはどこにあるか

      3 神が苦しみを許しておられる理由をどこに見いだせますか。

      3 なぜ神は苦しみを許しておられるのか,それに関して何をなさるのかといった質問に対する答えは,神がわたしたちのために霊感をお与えになった記録の中にあります。その記録とは神の言葉聖書です。「聖書全体は神の霊感を受けたもので,教え,戒め,物事を正し,義にそって訓育するのに有益です。それは,神の人が十分な能力を備え,あらゆる良い業に対して全く整えられた者となるためです」― テモテ第二 3:16,17。

      4,5 聖書が唯一無二の本であると言えるのはなぜですか。

      4 聖書は本当に唯一無二の本です。最も正確な人類史の記録を収めているだけでなく,人間の創造以前にまでさかのぼっています。さらに,最新の本であるとも言えます。その預言が現代および近い将来の出来事にも関係しているからです。

      5 歴史上の正確さの点で,これほどの信用証明を備えた本はほかにありません。例えば,古代の古典作家の写本はわずかしか残っていません。しかし,聖書はその一部または全巻の写本が多数残っており,ヘブライ語聖書(“旧約聖書”の39冊)は約6,000,クリスチャン・ギリシャ語聖書(“新約聖書”の27冊)は約1万3,000の写本が現存します。

      6 今日の聖書は神が霊感をお与えになった時の聖書と基本的に同じである,と確信できるのはなぜですか。

      6 聖書に霊感を与えた全能の神は,それらの写本において聖書本文の完全性が保たれるよう見届けてこられました。ですから,今日のわたしたちの聖書は,霊感を受けた原本と本質的には同じです。このことを理解する助けとなる別の要素は,クリスチャン・ギリシャ語聖書の写本の中には原本が書かれてから100年以内にまでさかのぼるものがあるという点です。古代の世俗の著述家の現存するわずかな写本には,原本が書かれてから数世紀以内にさかのぼるものさえほとんどありません。

      神の贈り物

      7 聖書はどれほど広く普及していますか。

      7 聖書は歴史上最も広く頒布された本です。今までに30億冊ほども印刷されており,他のいかなる本もその数字には及びません。さらに,聖書全巻またはその一部は約2,000の言語に翻訳されているので,世界人口の98%は聖書を読むことができると推定されています。

      8-10 聖書には調べてみるだけの価値があると言えるどんな理由がありますか。

      8 神からのものだと主張し,信ぴょう性に関する外面的また内面的なあらゆる証拠を備えた本には,確かに調べてみるだけの価値があります。a その本は,人生の目的や世界情勢の意味や将来に控えている事柄を説明しています。そのようなことのできる本はほかにはありません。

      9 そうです,聖書は人間家族に対する神の意思伝達の手段なのです。神は40人ほどの人間の記録者を用い,ご自分の活動力つまり聖霊によって聖書の筆記を導かれました。こうして,神はご自分の言葉である聖書を通してわたしたちに語りかけておられるのです。使徒パウロはこう書きました。「わたしたちから聞いて神の言葉を受けた時,あなた方はそれを,人間の言葉としてではなく,事実どおり神の言葉として受け入れ(まし)た」― テサロニケ第一 2:13。

      10 米国第16代大統領アブラハム・リンカーンは,聖書のことを「神がこれまで人間に賜わった最上の贈り物」と呼び,「それがなかったなら我々は正邪を識別し得なかったであろう」と述べました。では,このすばらしい贈り物は,苦しみがどのように始まったのか,なぜ神は苦しみを許されたのか,それに関して神は何をなさるのかといった点について何と述べているのでしょうか。

      [脚注]

      a 聖書の信ぴょう性に関するさらに詳しい情報を知りたい方は,ものみの塔聖書冊子協会が1989年に発行した,「聖書 ― 神の言葉,それとも人間の言葉?」という本をご覧ください。

      [10ページの図版]

      神の霊感を受けた聖書は人間家族に対する神の意思伝達の手段である

  • 自由意志というすばらしい贈り物
    神は本当にわたしたちのことを気遣っておられますか
    • 第5部

      自由意志というすばらしい贈り物

      1,2 どんなすばらしい贈り物がわたしたちの造りの一部となっていますか。

      なぜ神は苦しみを許しておられるのか,それに関して何をなさるのかということを理解するには,神がわたしたちをどのように造られたかを認識しなければなりません。神はわたしたちを単に体と頭脳を持つ者として創造する以上のことをなさいました。特別な精神的また感情的な特質をも持つ者として創造なさったのです。

      2 わたしたちの精神的また感情的な造りの主要な部分となっているのは自由意志です。そうです,神は自由選択の能力をわたしたちに与えてくださいました。それは神からの実にすばらしい贈り物です。

      わたしたちはどのように造られているか

      3-5 わたしたちが自由意志をありがたく思うのはなぜですか。

      3 神が苦しみを許しておられることに自由意志がどのように関係しているかを考慮してみましょう。まず,次の点を考えてみてください。あなたは何を行ないまた語るか,何を食べまた着るか,どんな仕事を行なうか,どこでどのように暮らすかを選択する自由があることをありがたく思われますか。それとも,四六時中だれかにいちいち言動を指図されることを望まれますか。

      4 普通の人であれば,生活がそこまで全く自分の思いどおりにならなくなることは望みません。それはなぜですか。神がわたしたちをそのように造られたからです。聖書は神がご自分の『像と様』に人を創造されたと述べています。そして,神ご自身が持たれる能力の一つは,自由選択です。(創世記 1:26。申命記 7:6)神は人間を創造されたとき,人間にもその同じすばらしい能力,つまり自由意志という贈り物をお与えになりました。わたしたちが圧制的な支配者に隷属することを不満に感じるのは,一つにはそのためです。

      5 したがって,自由を求める気持ちは偶然の産物ではありません。神は自由の神だからです。聖書は,「エホバの霊のある所には自由があります」と述べています。(コリント第二 3:17)それで,神はわたしたちの造りそのものの一部として自由意志を与えてくださいました。神はわたしたちの精神と感情がどのように働くかをご存じだったゆえに,わたしたちが自由意志を持つときに最も幸福であることもご存じだったのです。

      6 神は,自由意志と調和して働くよう,どのようにわたしたちの頭脳を創造されましたか。

      6 神は自由意志という贈り物とともに,考え,物事を比較考量し,決定し,正邪を見分ける能力を与えてくださいました。(ヘブライ 5:14)それで,自由意志は理性的な選択に基づくものとなるはずでした。わたしたちは,自らの意志がなく知性を持たないロボットのようなものとして造られたのではありません。また,動物のように本能のまま行動するよう創造されたのでもありません。むしろ,驚くべきわたしたちの頭脳は選択の自由と調和して働くよう設計されているのです。

      最善の出発

      7,8 神はわたしたちの最初の両親にどんな良い出発をお与えになりましたか。

      7 神がいかに気遣っておられるかを示すものとして,わたしたちの最初の両親アダムとエバには自由意志という贈り物とともに,だれでも正当に望み得るあらゆるものが与えられました。二人は公園のような広い楽園に置かれ,物質的なものを豊かに与えられていました。二人には完全な精神と肉体があったので,年老いたり病気になったり死んだりする必要がなく,永遠に生きることができたはずです。二人は完全な子供たちをもうけ,子供たちも幸福な永遠の将来の見込みを持てたことでしょう。そして,増加してゆく住民は全地を最終的に楽園に変えるという満足のゆく仕事を持ったことでしょう。―創世記 1:26-30; 2:15。

      8 備えられたものに関して,聖書には,「神は自分の造ったすべてのものをご覧になったが,見よ,それは非常に良かった」と書かれています。(創世記 1:31)さらに聖書は神について,「そのみ業は完全……である」と述べています。(申命記 32:4)そうです,創造者は人間家族に完全な出発をお与えになりました。それよりも良い出発はあり得ませんでした。何と気遣いのある神なのでしょう。

      制限内での自由

      9,10 自由意志をふさわしく規制しなければならないのはなぜですか。

      9 とはいえ,神は自由意志が無制限のものとなることを意図しておられたのでしょうか。交通法規の全くない,にぎやかな町を思い浮かべてみてください。そこではだれでも方向やスピードにおかまいなしに車を運転できます。あなたはそのような状況下で運転したいと思いますか。そうは思わないでしょう。それは交通上の無政府状態であり,事故が多発する結果になるに違いありません。

      10 自由意志という神の贈り物についても同様です。無制限の自由は社会の無政府状態を意味します。人間の活動を導く法律が必要です。神の言葉は,「自由な人らしく振る舞いなさい。しかし,あなた方の自由を決して悪を行なう口実として使ってはなりません」と述べています。(ペテロ第一 2:16,エルサレム聖書)神は自由意志が公共の利益のために規制されることを望んでおられます。神はわたしたちが全面的な自由ではなく相対的な自由を持ち,法の規定に服することを意図されました。

      だれの法か

      11 わたしたちはだれの法に従うよう設計されましたか。

      11 わたしたちはだれの法に従うよう設計されたのでしょうか。ペテロ第一 2章16節(エルサレム聖書)の残りの部分には,「あなた方は神以外のだれの奴隷でもありません」と書かれています。これは圧制的な奴隷状態を意味しているのではありません。むしろ,わたしたちが神の法に服するときに最も幸福になるよう設計されたということを意味しているのです。(マタイ 22:35-40)神の法は,人間が考え出したどんな法にも勝る最善の導きを与えます。「わたし,エホバは,あなたの神,あなたに自分を益することを教える者,あなたにその歩むべき道を踏み行かせる者である」― イザヤ 48:17。

      12 わたしたちには神の法の範囲内でどんな選択の自由がありますか。

      12 同時に,神の法はその境界線の中での大きな選択の自由を考慮に入れています。その結果,多様性が生まれ,人間家族は魅力あふれるものになります。世界中の様々な種類の食物,衣服,音楽,美術,住まいのことを考えてみてください。わたしたちは,そのような事柄において他の人に決定してもらうよりも,むしろ自分で選択したいと思うはずです。

      13 わたしたちは自分自身の益のため,どんな物理的法則に従わなければなりませんか。

      13 このように,わたしたちは人間の行動に関する神の法に服するときに最も幸福になるように創造されたのです。それは,神の物理的法則に服することと同様です。例えば,もし重力の法則を無視して高い所から飛び降りるなら,けがをするか死んでしまいます。もし自分の体内の法則を無視して食事や水を断ったり息をしなかったりするなら,死んでしまいます。

      14 人間が神から独立するように創造されなかったということはどうして分かりますか。

      14 わたしたちが確かに神の物理的法則に服する必要のある者として創造されたのと同様に,神の道徳的また社会的な法に服する必要のある者として創造されたことも確かです。(マタイ 4:4)人間は造り主から独立してうまくやってゆくようには創造されませんでした。預言者エレミヤはこう述べています。「自分の歩みを導くことさえ,歩んでいるその人に属しているのではありません。エホバよ,わたしを正してください」。(エレミヤ 10:23,24)それで,人間はあらゆる面で,自分たち自身の支配権ではなく神の支配権のもとで生活するように創造されたのです。

      15 神の法はアダムとエバにとって重荷でしたか。

      15 神の法に従うことは,わたしたちの最初の両親にとって重荷ではなかったでしょう。むしろそれは二人の福祉と人間家族全体の福祉を促進したことでしょう。最初の夫婦が神の法の制限内にとどまったなら,すべてがうまくいったはずです。実際のところ,今ごろわたしたちは愛ある一致した人間家族として,すばらしい喜びの楽園で生活していたことでしょう。悪も苦しみも死もなかったはずです。

      [11ページの図版]

      創造者は人間に完全な出発をお与えになった

      [12ページの図版]

      もし交通法規がないとしたら,あなたは交通量の多い場所で車を運転したいと思うだろうか

  • 神はなぜ苦しみを許してこられたか
    神は本当にわたしたちのことを気遣っておられますか
    • 第6部

      神はなぜ苦しみを許してこられたか

      1,2 わたしたちの最初の両親は,神が与えてくださった良い出発をどのように台なしにしましたか。

      どこで物事が狂ったのでしょうか。神はエデンの楽園でわたしたちの最初の両親に良い出発をお与えになりましたが,それを台なしにするどんなことが生じたのでしょうか。楽園の平和と調和が行き渡る代わりに,悪と苦しみが何千年もはびこってきたのはなぜでしょうか。

      2 それは,アダムとエバが自由意志を誤用したからです。二人は,自分たちが神とその法から離れてうまくやってゆくように創造されてはいないという事実を見失いました。二人は神から独立すれば生活が向上すると考え,そうするよう決心したのです。こうして二人は,神が定められた自由意志に関する限界を踏み越えました。―創世記 3章。

      宇宙主権の論争

      3-5 神がアダムとエバをすぐに滅ぼしてやり直すということをされなかったのはなぜですか。

      3 神がアダムとエバをすぐに滅ぼし,別の人間夫婦を用いてやり直すということをされなかったのはなぜでしょうか。それは,神の宇宙主権,つまり神の不可譲の支配権が挑戦を受けていたからです。

      4 問題点となったのは,だれが支配権を持っているのか,だれの支配が正当かという点でした。神は全能であり,全被造物の創造者であられるゆえに,全被造物に対する支配権をお持ちです。神は全知であられるので,全被造物にとって神の支配こそ最善です。しかし今や,神の支配が挑戦を受けていたのです。さらに,神の創造物である人間にはどこか出来の悪いところがあったのでしょうか。人間の忠誠に関する問題がどのように関係しているかについては後ほど考慮します。

      5 人間が神から独立したことにより,もう一つの問題,つまり人間は神の支配を受けないほうがうまくやってゆけるのではないかという問題が間接的に提示されました。創造者はその答えを確かにご存じでしたが,人間に理解させるための確実な方法は,人間が望む全面的な自由を与えることでした。人間が自らの自由意志でその道を選んだので,神はそれを許されました。

      6,7 神がこれほど長く人間に全面的な自由を与えてこられたのはなぜですか。

      6 神は,全面的な自由を試すのに十分な時間を人間に与えることにより,人間がより幸せに過ごせるのは神の支配のもとにいる場合か,それとも独立した場合かということを永久に解決なさるのです。そして,許された時間は,人間が自分たちの政治上,産業上,科学上,医学上の業績の頂点と考えた段階に達するのに十分な長さであるに違いありません。

      7 それゆえ神は,神から独立した人間の支配が成功し得るかどうかを疑問の余地なく示すため,まさに今日に至るまで人間を自由に行動させてこられました。それで人間は,親切か残酷,愛か憎しみ,義か不義を選ぶことができました。しかし同時に人間は,善良さや平和であれ悪や苦しみであれ,自分の選択の結果に直面してきました。

      霊の被造物の反逆

      8,9 (イ)反逆はどのように霊の領域で生じましたか。(ロ)サタンはアダムとエバのほかにだれに影響を与えて反逆させましたか。

      8 考慮しなければならない要素がもう一つあります。神の支配に反逆したのはわたしたちの最初の両親だけではありませんでした。しかし,当時ほかにだれが存在していたのでしょうか。霊の被造物です。神は人間を創造する前に,天の領域で生活する,より高度な形態の生命,つまり大勢のみ使いたちを創造されました。み使いたちも,自由意志を持つだけでなく,神の支配に服する必要のある者として創造されました。―ヨブ 38:7。詩編 104:4。啓示 5:11。

      9 聖書は反逆が最初に霊の領域で生じたことを示しています。ある霊の被造物が全面的な自由を望み,人間から崇拝を受けることさえ望みました。(マタイ 4:8,9)この反逆的な霊者は神がアダムとエバに良いものを与えないようにしているという偽りの主張をし,二人に影響を与えて反逆させる一つの要素となりました。(創世記 3:1-5)そのため,この者は悪魔<デビル>(中傷者)またサタン(敵対者)と呼ばれています。後にこの者は他の霊の被造物を反逆に誘い込み,誘い込まれた者たちは悪霊として知られるようになりました。―申命記 32:17。啓示 12:9; 16:14。

      10 人間と霊の被造物の反逆はどんな結果を生みましたか。

      10 人間は神に反逆することにより,サタンと配下の悪霊たちの影響に身を任せました。聖書がサタンのことを,「不信者の思いをくらまし」ている「この事物の体制の神」と呼んでいるのはそのためです。それゆえ,神の言葉は「全世界が邪悪な者の配下にある」と述べています。イエスご自身もサタンを「この世の支配者」と呼ばれました。―コリント第二 4:4。ヨハネ第一 5:19。ヨハネ 12:31。

      二つの論争

      11 サタンはほかのどんな論争に関して神に挑戦しましたか。

      11 サタンは神に挑戦する別の論争も提起しました。事実上サタンは,神が人間を創造した仕方には手落ちがあり,圧力をかけられると人間はだれ一人として正しい事柄を行なおうとはしないだろうと非難したのです。実際に,試みのもとでは人間は神をのろうことさえするだろうとサタンは主張しました。(ヨブ 2:1-5)こうしてサタンは人間という創造物の忠誠に異議を唱えました。

      12-14 時の経過はサタンが提起した二つの論争に関する真理をどのように明らかにしますか。

      12 それゆえ神は,この論争と神の主権に関する論争がどのように解決されるかを理知ある全被造物が見るのに十分な時間を取ってこられました。(出エジプト記 9:16と比較してください。)人類史の最終的な出来事によって,この二つの論争に関する真理が明らかになるでしょう。

      13 まず,宇宙主権の論争つまり神の支配の正当性に関して,時の経過はどんなことを明らかにするでしょうか。人間は神より上手に自分たちを支配できるでしょうか。神から離れた人間のいずれかの支配体制が,戦争や犯罪や不公正のない幸福な世界を招来するでしょうか。貧困を取り除き,すべての人に繁栄をもたらすでしょうか。病気や老齢や死を征服するでしょうか。神の支配はそのすべてを行なうよう意図されていました。―創世記 1:26-31。

      14 二番目の論争に関して,時は人間という創造物の価値についてどんなことを明らかにするでしょうか。人間をこのように創造されたのは神の手落ちだったのでしょうか。試みのもとで正しい事柄を行なう人間がいるでしょうか。独立した人間の支配よりも神の支配を望むことを明らかにする人々がいるでしょうか。

      [13ページの図版]

      神は人間が自分たちの業績の頂点に達するための時間をお与えになった

      [クレジット]

      シャトル: NASAの写真に基づく

  • 反逆の結果どんなことが生じてきたか
    神は本当にわたしたちのことを気遣っておられますか
    • 第7部

      反逆の結果どんなことが生じてきたか

      1-3 時はエホバの正しさをどのように証明してきましたか。

      神の支配権の論争に関して,神から独立した人間の支配が今まで何世紀にもわたって行なわれた結果,どんなことが生じてきましたか。人間は神よりも優れた支配者となりましたか。人間が人間に対して行なった非人道的な行為の記録から判断すると,そうでないことは確かです。

      2 わたしたちの最初の両親が神の支配を退けると,それに続いて災いが生じました。二人は自分たちと子孫である人間家族全体に苦しみをもたらしたのです。そして,それを自分たち以外のだれかのせいにすることはできませんでした。神の言葉はこう述べています。「彼らは自ら滅びとなることを行なった。彼らはその子供ではない。その欠陥は彼ら自らのもの」― 申命記 32:5。

      3 歴史は,アダムとエバに対する神の警告の正しさを示しています。神は,二人が神の備えのもとから出るなら,衰えて最終的には死ぬであろうと警告されました。(創世記 2:17; 3:19)二人は実際に神の支配のもとから出たため,やがて確かに衰えて死にました。

      4 わたしたちが皆,生まれつき不完全で,病気と死の傾向を持っているのはなぜですか。

      4 その後二人の子孫全体に生じた事柄は,ローマ 5章12節にこう説明されています。「一人の人[人類の家族の頭であるアダム]を通して罪が世に入り,罪を通して死が入り,こうして死が……すべての人に広がった」。それで,わたしたちの最初の両親が神の監督の立場に反逆した時,二人は欠陥のある罪人になりました。遺伝の法則と調和して,彼らはその結果生じた不完全さしか子孫に伝えることができませんでした。そのようなわけで,わたしたちには皆,生まれつき欠陥があり,病気と死の傾向があります。

      5,6 真の平和と繁栄をもたらそうとする人間の努力に関して,歴史はどんなことを示していますか。

      5 幾世紀もの時が過ぎ,幾つかの帝国が興っては滅びてゆきました。考え得るあらゆる種類の政府が試みられました。それでも,人間家族には恐ろしい出来事が繰り返し降りかかりました。6,000年が経過した今,だれもが,人間は全地に平和と公正と繁栄を確立するところまで進歩し,今では親切や同情や協力などの積極的価値を修得していると考えることでしょう。

      6 しかし現実は正反対でした。これまでに考え出されたどんな種類の人間の政府も,すべての人に真の平和と繁栄をもたらしてはいません。この20世紀だけでも,わたしたちはユダヤ人大虐殺の期間中の何百万人もの組織的な殺人や,戦争における1億人以上の大量殺りくを目にしてきました。現代において,数え切れないほどの人々が偏狭や政治上の意見の相違のために拷問され,殺害され,投獄されてきました。

      今日の状況

      7 今日の人間家族の状態についてどのように言うことができますか。

      7 さらに,今日の人間家族の全体的な状態を考えてください。犯罪と暴力がはびこり,麻薬の濫用が流行し,性行為感染症が蔓延しています。恐怖の的となっているエイズにかかっている人は何百万人もいます。毎年幾千万もの人が飢えや病気で死ぬ一方,少数の人が莫大な富を所有しています。人間は地球を汚染し,略奪しています。家族生活や道徳的な価値規準は至る所で崩壊しています。確かに今日の生活は,『この世の神』サタンの醜い支配を反映しています。サタンが主人となっている世は冷酷無情で,徹底的に腐敗しています。―コリント第二 4:4。

      8 人類の業績を真の進歩と呼べないのはなぜですか。

      8 神は,人間が科学上また物質上の進歩の頂点に達するのに十分な時間をお与えになりました。しかし,弓矢が機関銃や戦車やジェット爆撃機や核ミサイルに代わったからといって,それが本当の進歩でしょうか。宇宙旅行が可能であっても人々が地上で共に平和に暮らすことができないなら,それが進歩と言えるでしょうか。夜間,さらに場所によっては日中でも通りを歩くのが恐ろしいのであれば,それが進歩と言えるでしょうか。

      時はどんなことを明らかにしたか

      9,10 (イ)過去何世紀もの時の経過はどんなことを明らかに示しましたか。(ロ)神が自由意志を取り去ろうとなさらないのはなぜですか。

      9 何世紀にもわたる時の試験が明らかにしたのは,人間は神の支配から離れて自分自身の歩みを首尾よく導くことはできないという点です。それは,飲食や呼吸をしないで生きることができないのと同様に不可能です。証拠は明らかです。わたしたちは,食物や水や空気に依存するよう創造されたのと同じく,創造者の導きに依存するよう設計されたに違いありません。

      10 神は悪の存在を許すことにより,自由意志の誤用の悲しい結末を一度限り証明されました。そして,自由意志は非常に貴重な贈り物であるため,神はそれを人間から取り去るのではなく,むしろ人間がその誤用の結果を見ることができるようにされました。神の言葉は次のように真実を語っています。「自分の歩みを導くことさえ,歩んでいるその人に属しているのではありません」。そして,「人が人を支配してこれに害を及ぼした」という神の言葉も真実です。―エレミヤ 10:23。伝道の書 8:9。

      11 何らかの形態の人間の支配が苦しみを取り除いたことがありますか。

      11 神が人間の支配を6,000年間許されたことによって,人間が苦しみを終わらせるのは不可能であることが強力に例証されました。人間が苦しみを終わらせたことは一度もありません。例えばイスラエルのソロモン王の時代に,彼は自分の知恵と富と力のすべてをもってしても,人間の支配がもたらした悲惨な状況を正すことはできませんでした。(伝道の書 4:1-3)同様に現代,世界の指導者たちは最先端技術をもってしても苦しみを取り除くことはできません。しかもなお悪いことに,歴史が示すとおり,神の支配から独立した人間は,苦しみを取り除くのではなく,かえって増してきたのです。

      神の長期的な見方

      12-14 神が苦しみを許された結果として,どんな長期的な益がもたらされますか。

      12 神が苦しみを許されたことにより,わたしたちは苦痛を感じてきました。しかし,神は長期的な見方を持っておられ,最終的な良い結果をご存じです。神の見方は,単に数年や数千年ではなく,何百万年,いや,とこしえにわたって被造物に益をもたらします。

      13 将来のいつか,だれかが自由意志を誤用して神の物事の行ない方に異議を唱えるという状況が生じるとしても,その者に自説の証明を試みる時間を与える必要はないでしょう。神は反逆者たちの存在を既に何千年も許してこられたので,宇宙のどこにおいてもとこしえにわたって適用できる判例を確立しておられるのです。

      14 エホバは今まで悪と苦しみを許してこられたので,エホバと調和しないものは決して繁栄しないということが既に十分に証明されていることでしょう。人間や霊の被造物のどんな独立的な企ても永続的な益をもたらし得ないということも,疑問の余地なく示されていることでしょう。したがって,その時,神にはどんな反逆者をも即座に打ち砕く十分な正当性があるのです。「邪悪な者については,神は彼らを……滅ぼし尽くされます」― 詩編 145:20。ローマ 3:4。

      [15ページの図版]

      わたしたちの最初の両親は神からの独立を選んだ結果,年老いて死んだ

      [16ページの図版]

      神から離れた人間の支配は災いをもたらすものであることが明らかになった

      [クレジット]

      U.S. Coast Guardの写真

  • 神の目的は成就に向かって進展する
    神は本当にわたしたちのことを気遣っておられますか
    • 第8部

      神の目的は成就に向かって進展する

      1,2 神は苦しみを取り除くための備えをどのように設けてこられましたか。

      反逆的な人間と悪霊による支配は,長年にわたって人間家族を堕落の淵へと引きずり下ろしてきました。それでも,神はわたしたちの苦しみを無視されませんでした。むしろ,その期間を通じて,人間を悪と苦しみの束縛から解放するための備えを設けてこられました。

      2 エデンで反逆が起きた時に,神は,この地球を人々の楽園の住みかにする一つの政府を作るという目的を明らかにしはじめられました。(創世記 3:15)後にイエスは神の主要な代弁者として,この来たるべき神の政府をご自分の教えの主題とされました。イエスはそれが人類の唯一の希望になると言われました。―ダニエル 2:44。マタイ 6:9,10; 12:21。

      3 イエスは地を支配する来たるべき政府を何と呼ばれましたか。なぜそう呼ばれましたか。

      3 その来たるべき神の政府は天から支配するので,イエスはそれを「天の王国」と呼ばれました。(マタイ 4:17)また,神がその立案者であられるので,「神の王国」とも呼ばれました。(ルカ 17:20)何世紀にもわたって神は,その政府を構成する人々について,また,その政府が成し遂げる事柄についての預言を書き記すため,ご自分の筆記者たちに霊感をお与えになりました。

      地の新しい王

      4,5 神はイエスがご自分の是認した王であることをどのように示されましたか。

      4 2,000年近く前に,神の王国の王になる者に関する多くの預言を成就した方はイエスでした。イエスは,人類を支配するその天的な政府の支配者として神から選ばれた方でした。そしてイエスが亡くなった後,神はイエスを強力な不滅の霊の被造物として天の命へ復活させられました。イエスの復活については数多くの証人がいました。―使徒 4:10; 9:1-9。ローマ 1:1-4。コリント第一 15:3-8。

      5 その時イエスは「神の右に座し」ました。(ヘブライ 10:12)そしてその場所で,神の天の王国の王として行動を起こす権限を神から与えられる時をお待ちになりました。それは,詩編 110編1節にある預言の成就でした。その箇所で神はイエスに,「わたしがあなたの敵をあなたの足台として置くまでは,わたしの右に座していよ」と告げておられます。

      6 イエスは神の王国の王になる資格があることをどのように示されましたか。

      6 地上におられた間,イエスはそのような立場に就く資格があることを示されました。迫害にもかかわらず,神への忠誠を保つことを選ばれました。そうすることによりイエスは,試みを受ければ人間は皆神への忠実を保たないだろうと主張したサタンがうそをついていたことを示されました。完全な人間また『第二のアダム』であったイエスは,神が完全な人間を創造された際に手落ちはなかったことを示されました。―コリント第一 15:22,45。マタイ 4:1-11。

      7,8 イエスは地上におられた間にどんな良い事柄を行なわれましたか。イエスは何を実証なさいましたか。

      7 イエスがわずかな期間の宣教活動で行なわれたのと同じほど多くの良い事柄を成し遂げた支配者が一体いるでしょうか。イエスは神の聖霊によって力を与えられ,病人,手足や目や耳の不自由な人,口のきけない人をいやされました。さらに死者をよみがえらせることさえ行なわれたのです。イエスは,王国の権能を執る時に人類のために地球的な規模で行なう事柄を小規模に実証なさいました。―マタイ 15:30,31。ルカ 7:11-16。

      8 イエスは地上におられた間に非常に多くの良い事柄を行なわれたので,弟子ヨハネはこう言いました。「実に,イエスの行なわれた事はほかにも多くあるが,仮にそれが事細かに記されるとすれば,世界そのものといえども,その書かれた巻き物を収めることはできないであろうと思う」― ヨハネ 21:25。a

      9 心の正直な人たちがイエスのもとに集まったのはなぜですか。

      9 イエスは親切で同情心に富み,人々に非常に深い愛を抱いておられました。貧しい人や虐げられた人をお助けになりましたが,裕福な人や高い地位にある人を冷遇なさることはありませんでした。心の正直な人々は,次のように言われたイエスの愛ある招待に応じました。「すべて,労苦し,荷を負っている人よ,わたしのところに来なさい。そうすれば,わたしがあなた方をさわやかにしてあげましょう。わたしのくびきを負って,わたしから学びなさい。わたしは気質が温和で,心のへりくだった者だからです。あなた方は自分の魂にとってさわやかなものを見いだすでしょう。わたしのくびきは心地よく,わたしの荷は軽いのです」。(マタイ 11:28-30)神を恐れる人たちはイエスのもとに集まり,イエスの支配を待ち望みました。―ヨハネ 12:19。

      共同支配者たち

      10,11 だれがイエスと共に地に対する支配にあずかりますか。

      10 人間の政府と同じく,神の天の王国にも共同統治者たちがいます。イエス以外にも,ある者たちが地に対する支配にあずかります。それは,イエスが親しい仲間たちに,彼らがイエスと共に王として人類を支配するであろうと約束されたからです。―ヨハネ 14:2,3。啓示 5:10; 20:6。

      11 ですから,イエスだけでなく,限られた数の人たちも天の命へ復活させられます。彼らは,人類にとこしえの祝福をもたらす神の王国を構成します。(コリント第二 4:14。啓示 14:1-3)それで,エホバは遠い昔から,人間家族に永遠の祝福をもたらす支配の基礎を据えてこられたのです。

      独立した支配は終わる

      12,13 神の王国は今や何を行なう態勢を整えていますか。

      12 今世紀において,神は地上の出来事に直接かかわってこられました。このブロシュアーの第9部で扱われる点ですが,聖書預言が示すところによると,キリストの治める神の王国は1914年に設立され,今やサタンの体制全体を打ち砕く態勢を整えています。その王国は「[キリストの]敵のただ中で従えてゆ(く)」準備ができています。―詩編 110:2。

      13 この点に関して,ダニエル 2章44節の預言はこう述べています。「それらの[現存する]王たちの日に,天の神は一つの王国を[天に]立てられます。その王国は決して滅ぼされることがなく,その主権が他の民族にゆだねられることもありません[人間の支配が許されることは二度とありません]。それ[神の王国]はこれらのすべての王国を粉砕して終わらせ,それは永久に立ちます」― 改訂標準訳。

      14 人間の支配が終了する結果としてもたらされる益にはどんなものがありますか。

      14 神から独立した支配すべてが取り除かれると,地に対する神の王国の支配は完成します。そして,その王国は天から支配するので,人間によって腐敗させられることは決してあり得ません。統治権力は本来の場所,つまり天に,神のもとに戻ります。そして神の支配は全地を統御するので,もはやだれも偽りの宗教,または不満足な人間の哲学や政治理論によって誤導されることはありません。そのどれ一つとして存在を許されることはないのです。―マタイ 7:15-23。啓示 17章から19章。

      [脚注]

      a イエスの全生涯を扱った資料をお望みの方は,ものみの塔協会が1991年に発行した,「これまでに生存した最も偉大な人」という本をご覧ください。

      [18ページの図版]

      イエスは地上におられた間,新しい世で行なう事柄を示すために,病人をいやし,死者をよみがえらせた

      [19ページの図版]

      神の天の王国は,神から独立したあらゆる形態の支配を打ち砕いて滅ぼす

  • わたしたちが「終わりの日」にいることはどうして分かるか
    神は本当にわたしたちのことを気遣っておられますか
    • 第9部

      わたしたちが「終わりの日」にいることはどうして分かるか

      1,2 わたしたちが終わりの日にいるかどうかはどうして分かりますか。

      わたしたちは,人間の支配する現在の体制に対して神の王国が行動を起こす時代に生活しているということを,どうして確信できるのでしょうか。神がすべての悪と苦しみを終わらせる時が非常に近づいていることは,どうして分かりますか。

      2 イエス・キリストの弟子たちはそれを知りたいと思いました。彼らはイエスに,王国の権能を執ったイエスの臨在と「事物の体制の終結」にはどんな「しるし」があるかと尋ねました。(マタイ 24:3)イエスは答えとして,世界を震撼させる出来事と状態を詳細に述べられました。それらの出来事と状態は一体となって,人類が「終わりの時」,すなわちこの事物の体制の「終わりの日」に入ったことを示します。(ダニエル 11:40。テモテ第二 3:1)今世紀のわたしたちはその複合的なしるしを見てきましたか。そのとおりです。十二分に見てきました。

      世界大戦

      3,4 今世紀の戦争はイエスの預言にどのように適合しますか。

      3 イエスは,『国民は国民に,王国は王国に敵対して立ち上がるでしょう』と予告されました。(マタイ 24:7)1914年に世界は,それまでのどの戦争とも違う方法で国民や王国を動員する戦争に巻き込まれました。その事実を認めた当時の歴史家たちは,その戦争を大戦と呼びました。その戦争は,その種の戦争としては史上初のもの,つまり最初の世界大戦となりました。以前のどの戦争よりもはるかに多い約2,000万人の兵士と一般市民が命を失いました。

      4 第一次世界大戦は終わりの日の始まりをしるし付けました。イエスは,この戦争や他の出来事が「苦しみの劇痛の始まり」になると言われました。(マタイ 24:8)それは真実でした。第二次世界大戦はさらに破壊的なものとなり,約5,000万人の兵士と一般市民が命を失いました。この20世紀に,優に1億を超える人々が戦争で殺されており,その人数はそれ以前の400年間の合計の4倍以上に当たるのです。人間の支配が有罪であることを示す何と大きな証拠なのでしょう。

      他の証拠

      5-7 そのほかに,わたしたちが終わりの日にいることを示すどんな証拠がありますか。

      5 イエスは終わりの日に見られる他の特徴についても述べ,「大きな地震があり,そこからここへと疫病[病気の流行]や食糧不足があります」と言われました。(ルカ 21:11)これは1914年以降の出来事に適合します。そのような災いのため,一層多くの苦しみがもたらされてきました。

      6 大地震が頻繁に起こり,多くの命を奪っています。第一次世界大戦後には,スペイン風邪だけで約2,000万人が死亡しました。3,000万人以上という推定もあります。エイズは既に何十万という命を奪っており,近い将来にはさらに何百万もの命を奪いかねません。毎年非常に多くの人が心臓病やガンや他の病気で亡くなり,飢餓のために徐々に死に至る人も大勢います。1914年以降,“黙示録の騎手たち”が戦争や食糧不足や病気の流行によって人間家族の非常に多くの人々を殺してきたことは疑いようもありません。―啓示 6:3-8。

      7 イエスはまた,現在どこの国でも見られる犯罪の増加を予告し,こう言われました。「不法が増すために,大半の者の愛が冷えるでしょう」― マタイ 24:12。

      8 テモテ第二 3章の預言はどのように現代に当てはまりますか。

      8 さらに聖書預言は,今日世界中で非常に明らかになっている道徳の崩壊をこのように予告していました。「終わりの日には,対処しにくい危機の時代が来ます。というのは,人々は自分を愛する者,金を愛する者,うぬぼれる者,ごう慢な者,冒とくする者,親に不従順な者,感謝しない者,忠節でない者,自然の情愛を持たない者,容易に合意しない者,中傷する者,自制心のない者,粗暴な者,善良さを愛さない者,裏切る者,片意地な者,誇りのために思い上がる者,神を愛するより快楽を愛する者,敬虔な専心という形を取りながらその力において実質のない者となるからです。 ……邪悪な者とかたりを働く者とはいよいよ悪に進(む)でしょう」。(テモテ第二 3:1-13)このすべては現実となり,わたしたちはそれを目の当たりにしてきました。

      もう一つの要素

      9 地上で終わりの日が始まったのと時を同じくして,天ではどんなことが起きましたか。

      9 今世紀における苦しみの非常な増加の原因となっている,もう一つの要素があります。1914年に終わりの日が始まったのと時を同じくして,人類をさらに大きな危険に陥らせる出来事が起きました。その時,聖書巻末の書の預言が述べるとおりのことが起きたのです。こう書かれています。「天で戦争が起こった。ミカエル[天的な権能を持つキリスト]とその使いたちが龍[サタン]と戦った。龍とその使いたち[悪霊たち]も戦ったが,優勢になれず,彼らのための場所ももはや天に見いだされなかった。こうして,大いなる龍,すなわち,初めからの蛇で,悪魔またサタンと呼ばれ,人の住む全地を惑わしている者は投げ落とされた。彼は地に投げ落とされ,その使いたちも共に投げ落とされた」― 啓示 12:7-9。

      10,11 サタンと配下の悪霊たちが地に投げ落とされたことに伴い,人類はどのような影響を受けましたか。

      10 その結果,人間家族はどうなりましたか。預言の続きにはこうあります。「地と海にとっては災いである。悪魔が,自分の時の短いことを知り,大きな怒りを抱いてあなた方のところに下ったからである」。そうです,サタンは自分の体制の終わりが近づいていることを知っているので,自分と自分の世が除き去られる前に人間を神に反抗させるため,できる限りのことを行なっているのです。(啓示 12:12; 20:1-3)それらの霊の被造物は自由意志を誤用したため,何と堕落しているのでしょう。特に1914年以降,彼らの影響を受けて地上には実に恐ろしい状態が見られます。

      11 イエスが現代について,こう予告されたのも不思議ではありません。「地上では……逃げ道を知らない諸国民の苦もんがあるでしょう。……人々は,人の住む地に臨もうとする事柄への恐れと予想から気を失います」― ルカ 21:25,26。

      人間と悪霊の支配の終わりは近い

      12 この体制が終わる前に成就すべき最後に残った預言の一つは何ですか。

      12 神が現在の体制を滅ぼされる前に成就すべき聖書預言はどれだけ残っていますか。ほとんど残っていません。最後に残った預言の一つはテサロニケ第一 5章3節にあり,こう述べています。「彼らが平和と安全について語っている間に,突然,災厄が彼らを襲います」。(新英訳聖書)この預言は,「彼らが……語っている間に」この体制の終わりが始まることを示しています。世にとっては不意に,全く思いもかけない時に,人々の注意が待望の平和と安全に向けられている時に滅びが臨むのです。

      13,14 イエスはどんな苦難の時を予告されましたか。その苦難の時はどのように終わりますか。

      13 サタンの影響下にあるこの世にとって,時間は尽きようとしています。間もなく,イエスが次のように語られた苦難の時に,この世は終わりに至ります。「その時,世の初めから今に至るまで起きたことがなく,いいえ,二度と起きないような大患難があ(りま)す」― マタイ 24:21。

      14 その「大患難」の最高潮は神のハルマゲドンの戦いです。その時こそ,預言者ダニエルが語った,神が「これらのすべての王国を打ち砕いて終わらせ」る時です。それは,神から独立した現在の人間の支配すべての終わりを意味します。天から行なわれる神の王国の支配は,その時,人間の営みすべてを完全に制御するようになります。ダニエルの予告によると,統治する権威は「ほかのどんな民にも」二度と渡されません。―ダニエル 2:44。啓示 16:14-16。

      15 サタンと配下の悪霊たちの影響はどうなりますか。

      15 その時,サタンと悪霊たちの影響もすべてなくなります。それら反逆的な霊の被造物は,「もはや諸国民を惑わすことが」できないよう除き去られます。(啓示 12:9; 20:1-3)彼らは死刑宣告を受けており,滅ぼされることになっています。彼らの堕落した影響から自由にされて,人類はどれほど安堵することでしょう。

      だれが生き残り,だれが生き残らないか

      16-18 だれがこの体制の終わりを生き残りますか。だれは生き残りませんか。

      16 神の裁きがこの世に執行される時,だれが生き残り,だれが生き残らないのでしょうか。聖書は,神の支配を望む者たちが保護されて生き残ることを示しています。神の支配を望まない者たちは保護されず,サタンの世と共に滅ぼされます。

      17 箴言 2章21節と22節はこう述べています。「廉直な者たち[神の支配に服する者たち]が地に住み,とがめのない者たちが地に残される……。邪悪な者たち[神の支配に服さない者たち]は地から断ち滅ぼされ,不実な者たちは地から引き抜かれるのである」。

      18 詩編 37編10節と11節もこう述べています。「ほんのもう少しすれば,邪悪な者はいなくなる。……しかし柔和な者たちは地を所有し,豊かな平和にまさに無上の喜びを見いだすであろう」。そして29節は,「義なる者たちは地を所有し,そこに永久に住むであろう」と付け加えています。

      19 わたしたちはどんな諭しを心に留めるべきですか。

      19 わたしたちは詩編 37編34節の諭しを心に留めるべきです。そこにはこうあります。「エホバを待ち望み,その道を守れ。そうすれば,神はあなたを高めて地を所有させてくださる。邪悪な者たちが断ち滅ぼされるとき,あなたはそれを見るであろう」。37節と38節はこう述べています。「とがめのない者に注目し,廉直な者を見つめよ。その人の将来は平安だからである。しかし,違犯をおかす者たちは必ず共に滅ぼし尽くされ,邪悪な者たちの将来はまさしく断ち滅ぼされるであろう」。

      20 わたしたちの生きているこの時代が胸の躍るような時代であると言えるのはなぜですか。

      20 神が本当に気遣ってくださり,間もなくすべての悪と苦しみを終わらせてくださるということを知ると,大いに慰められ,そうです,大いに鼓舞されます。あとほんのしばらくすればこれらの輝かしい預言が成就するということを理解すると,本当に胸が躍ります。

      [20ページの図版]

      聖書は終わりの日の「しるし」を構成する出来事を予告していた

      [22ページの図版]

      間もなく,神の支配に服さない者たちはハルマゲドンで断ち滅ぼされるが,服する者たちは義の新しい世に生き残る

  • 神が造られる驚くべき新しい世
    神は本当にわたしたちのことを気遣っておられますか
    • 第10部

      神が造られる驚くべき新しい世

      1,2 悪を取り除くハルマゲドンの戦いの後に,どんなことが起こりますか。

      悪を取り除く神のハルマゲドンの戦いの後に,どんなことが起こるのでしょうか。輝かしい新時代が始まります。神の支配に対する忠節を既に実証したハルマゲドン生存者たちは,新しい世に導き入れられます。驚くべき恩恵が神から人間家族へ流れのようにもたらされるその時は,まさに胸の躍る歴史上の新時代となります。

      2 神の王国の指導のもとで,生存者たちは楽園を造り始めます。彼らは,その時生きているすべての人の益となる利他的な仕事に自分の精力をささげます。地球は人類のための美しく平和で満足のゆく住まいへと変えられ始めます。

      義が悪に取って代わる

      3 ハルマゲドンの後すぐに,どんな安心感を得ることになりますか。

      3 このようなことすべてが可能になるのは,サタンの世が滅ぼされているからです。分裂を生じさせる偽りの宗教や社会体制や政府はもはやありません。人々を惑わすサタンの宣伝ももはやありません。そのような宣伝を造り出す代理者すべてはサタンの体制と共に存在しなくなります。考えてみてください。サタンの世の有害な雰囲気がすべて取り除かれているのです。どれだけ心の安らぐ思いがすることでしょう。

      4 教育に関してどんな変化が生じるかを説明してください。

      4 その時,人間の支配が持つ破壊的な考え方は,神を源とする建設的な教えに取って代わられます。「あなたの子らは皆エホバに教えられる者とな(る)であろう」。(イザヤ 54:13)毎年毎年この健全な教育が行なわれるので,「水が海を覆っているように,地は必ずエホバについての知識で満ち」ます。(イザヤ 11:9)人々はもはや悪い事柄を学びません。むしろ,「産出的な地に住む者たちは必ず義を学(び)」ます。(イザヤ 26:9)建設的な考えと行動が人々の生き方の特徴となるのです。―使徒 17:31。フィリピ 4:8。

      5 すべての悪と邪悪な者たちはどうなりますか。

      5 ですから,もはや殺人や暴力や強姦や強盗などの犯罪は起きません。だれも他の人の邪悪な行為のゆえに苦しめられなくてよいのです。箴言 10章30節はこう述べています。「義なる者は定めのない時までよろめかされることがない。しかし邪悪な者たちについては,彼らが地に住みつづけることはない」。

      完全な健康が回復される

      6,7 (イ)王国の支配はどんな厳然たる現実を過去のものとしますか。(ロ)イエスは地上におられたときに,そのことをどのように実証なさいましたか。

      6 新しい世では,最初の反逆による悪影響がすべて除かれ,元どおりになります。例えば,王国の支配は病気や老齢を取り除きます。現在のところは,ある程度の健康に恵まれているとしても,年を取るにつれて目がかすみ,歯が悪くなり,耳が遠くなり,皮膚にしわがより,内臓が衰えてゆき,最後には死を迎えるというのが厳然たる現実です。

      7 しかし,わたしたちが最初の両親から受け継いだそれらの悲惨な影響は,もうすぐ過去のものとなります。イエスが地上におられたときに健康に関して実証なさった事柄を覚えておられますか。聖書にはこうあります。「大群衆が,足のなえた人,不具の人,盲人,口のきけない人,その他多くの人を連れて彼に近づき,それらの人を彼の足もとに投げ出さんばかりにして置いた。それでイエスは彼らを治された。そのため群衆は,口のきけなかった人がものを言い,足のなえていた人が歩き,盲人が見えるようになったのを見て非常に驚(い)た」― マタイ 15:30,31。

      8,9 完全な健康が回復させられる時に新しい世にもたらされる幸福について説明してください。

      8 わたしたちの病気がすべて取り除かれる時,新しい世には本当に大きな幸福がもたらされることでしょう。不健康な状態に起因する苦しみに悩まされることは二度とありません。「『わたしは病気だ』と言う居住者はいない」。「その時,盲人の目は開かれ,耳の聞こえない者の耳も開けられる。その時,足のなえた者は雄鹿のように登って行き,口のきけない者の舌はうれしさの余り叫びを上げる」。―イザヤ 33:24; 35:5,6。

      9 朝,目覚めるたびに,今や活力のみなぎる健康に恵まれていることを実感するのは,胸の躍る経験となるのではないでしょうか。年配の方々にとって,自分が若いときの精力に満ちた状態に戻っており,やがて当初アダムとエバが享受していた完全さに達することを知るのは,うれしいことではないでしょうか。聖書はこう約束しています。「彼の肉は若いころよりもみずみずしくなり,その若い時の精力の日に返るように」。(ヨブ 33:25)眼鏡,補聴器,松葉杖,車いす,薬などを処分するのは何という喜びでしょう。病院や医師や歯科医を必要とすることは二度とないのです。

      10 死はどうなりますか。

      10 そのような活力のみなぎる健康に恵まれた人々は死にたいとは思わないでしょう。そして人々は死ななくてよいのです。人類はもはや受け継いだ不完全さと死に捕らわれてはいないからです。「神がすべての敵を彼の足の下に置くまで,[キリスト]は王として支配しなければならないのです。最後の敵として,死が無に帰せしめられます」。「神の賜物は……永遠の命」です。―コリント第一 15:25,26。ローマ 6:23。イザヤ 25:8もご覧ください。

      11 啓示の書は新しい世でもたらされる恩恵をどのように要約していますか。

      11 聖書巻末の書は,気遣ってくださる神から楽園の人間家族に流れのようにもたらされる恩恵を要約して,こう述べています。「また神は彼らの目からすべての涙をぬぐい去ってくださり,もはや死はなく,嘆きも叫びも苦痛ももはやない。以前のものは過ぎ去ったのである」。―啓示 21:3,4。

      死者が戻って来る

      12 イエスは神から与えられた復活の力をどのように実証されましたか。

      12 イエスは病気の人を治したり,足のなえた人をいやしたりする以上のことを行なわれました。人々を墓から連れ戻すことも行なわれたのです。そのようにしてイエスは神から与えられた驚くべき復活の力を実証されました。娘を亡くした人の家にイエスが来られた時のことを覚えておられますか。イエスは死んだ少女に,「乙女よ,あなたに言います,起きなさい!」と言われました。するとどうなりましたか。「乙女はすぐに起き上がって歩きはじめ(まし)た」。それを見て人々は「狂喜のあまり我を忘れるほどにな(りまし)た」。彼らはうれしさを抑えきれなかったのです。―マルコ 5:41,42。ルカ 7:11-16; ヨハネ 11:1-45もご覧ください。

      13 どんな人たちが復活させられますか。

      13 新しい世では,「義者と不義者との復活があ(りま)す」。(使徒 24:15)その時イエスは神から与えられた力を用いて死者をよみがえらせます。なぜなら,イエスはご自分で言われたとおり,「復活であり,命」だからです。「[イエス]に信仰を働かせる者は,たとえ死んでも,生き返るのです」。(ヨハネ 11:25)さらにイエスは,「記念の墓[神の記憶]の中にいる者がみな,彼[イエス]の声を聞いて出て来る」と言われました。―ヨハネ 5:28,29。

      14 もはや死がないので,どんなものはなくなりますか。

      14 死んだ人たちが群れをなして次々と生き返り,家族に迎えられるとき,全地は大きな喜びで満たされるでしょう。遺族を悲しませる死亡告知欄はもはやありません。むしろその正反対のもの,つまり新たに復活させられた人に関する発表がなされ,家族に喜びをもたらすことでしょう。ですから,葬式や火葬用の薪の山や火葬場や墓地はもはやないのです。

      真に平和な世界

      15 ミカの預言はどのようにまさに完全な意味で実現しますか。

      15 生活上のあらゆる面での真の平和が実現します。戦争や戦争を引き起こす者たちや兵器の製造は過去のものとなります。なぜでしょうか。分裂を生じさせる国家的・部族的・人種的な関心事が消えうせるからです。その時にはまさに完全な意味で,「国民は国民に向かって剣を上げず,彼らはもはや戦いを学ばない」のです。―ミカ 4:3。

      16 戦いが起こることのないよう,神はどのように取り計らわれますか。

      16 戦争に明け暮れる血に飢えた人間の歴史を考えると,これは驚くべきことに思えるかもしれません。しかし,そのようなことが生じてきたのは,人類が人間と悪霊の支配のもとにあったからです。新しい世では,王国の支配のもとで次のようになります。「あなた方は来て,エホバの働きを見よ。……神は地の果てに至るまで戦いをやめさせておられる。神は弓を折り,槍を断ち切り,もろもろの[戦いの]車を火で焼かれる」― 詩編 46:8,9。

      17,18 新しい世では,人間と動物の間にどんな関係が見られますか。

      17 人間と獣も,エデンでそうだったように平和な関係になります。(創世記 1:28; 2:19)神はこう言われます。「わたしはその日,彼らのために,野の野獣,また天の飛ぶ生き物や地面をはうものに関して必ず契約を結び,……彼らを安全に横たわらせる」― ホセア 2:18。

      18 その平和はどれほど広範なものになりますか。「おおかみはしばらくの間,雄の子羊と共に実際に住み,ひょうも子やぎと共に伏し,子牛,たてがみのある若いライオン,肥え太った動物もみな一緒にいて,ほんの小さな少年がそれらを導く者とな(り)」ます。動物が人間に対して,また動物同士で脅威となることは二度とありません。「ライオン[でさえ]雄牛のようにわらを食べる」のです。―イザヤ 11:6-9; 65:25。

      地は楽園に変えられる

      19 地は何に変えられますか。

      19 全地は人類の楽園<パラダイス>の住みかに変えられます。それゆえ,イエスはご自分に対して信仰を抱いた人に,「あなたはわたしと共にパラダイスにいるでしょう」と約束することができました。聖書にはこうあります。「荒野と水のない地域とは歓喜し,砂漠平原は喜びに満ち,サフランのように花を咲かせる。……荒野に水が,砂漠平原に奔流が噴き出るからである」。―ルカ 23:43。イザヤ 35:1,6。

      20 人類が二度と飢えで苦しまないのはなぜですか。

      20 神の王国のもとでは,多くの人が飢えで苦しむことは二度とありません。「地には穀物が豊かに実り,山々の頂であふれんばかりに実ります」。「野の木は必ずその実りを出し,その地も収穫を与え,彼らはその土地に安らかにいるであろう」。―詩編 72:16。エゼキエル 34:27。

      21 ホームレスの問題,スラム,治安の悪い地区などはどうなりますか。

      21 貧困,ホームレスの人たち,スラム,犯罪多発地区などはもはや存在しません。「彼らは必ず家を建てて住み,必ずぶどう園を設けてその実を食べる。彼らが建てて,だれかほかの者が住むことはない。彼らが植えて,だれかほかの者が食べることはない」。「彼らはまさに,各々自分のぶどうの木の下,自分のいちじくの木の下に座り,これをおののかせる者はだれもいない」。―イザヤ 65:21,22。ミカ 4:4。

      22 聖書は神の支配がもたらす祝福をどのように描写していますか。

      22 人々は楽園において,これらの事柄をはじめとする多くの事柄を祝福として経験します。詩編 145編16節には,「あなた[神]はみ手を開いて,すべての生きているものの願いを満たしておられます」とあります。聖書預言がこう断言しているのも不思議ではありません。「柔和な者たちは地を所有し,豊かな平和にまさに無上の喜びを見いだすであろう。……義なる者たちは地を所有し,そこに永久に住むであろう」― 詩編 37:11,29。

      過去をぬぐい去る

      23 神の王国はわたしたちが経験したすべての苦しみをどのようにぬぐい去りますか。

      23 神の王国の支配は,過去6,000年間に人間家族が受けたすべての傷をぬぐい去ります。その時に経験する喜びは,人々が経験したどんな苦しみをも,はるかにしのぎます。以前の苦しみの嫌な記憶のために生活がかき乱されることはありません。建設的な考えと活動が人々の日常生活を満たし,つらい記憶を徐々に消し去ります。

      24,25 (イ)イザヤはどんなことが生じると予告しましたか。(ロ)過去の苦しみの記憶が薄れてゆくことを確信できるのはなぜですか。

      24 気遣ってくださる神はこう宣言しておられます。「わたしは新しい天[人類を支配する新しい天の政府]と新しい地[義なる人間社会]を創造している……。以前のことは思い出されることも,心の中に上ることもない。しかし,あなた方はわたしが創造しているものに永久に歓喜し,それを喜べ」。「全地は休息し,騒乱はやんだ。民は快活になって歓呼の声を上げた」。―イザヤ 14:7; 65:17,18。

      25 ですから,神はご自分の王国によって,非常に長い間続いてきた悪い状態を完全に逆転させます。わたしたちが過去にどんな傷を受けていようとも,神はそれを十二分に埋め合わせる祝福を豊かに注ぐことにより,わたしたちに対する大きな気遣いをとこしえに示してくださいます。わたしたちが経験した過去の苦難は,その時,覚えておこうと思っても記憶の中で薄れてゆくことでしょう。

      26 神がわたしたちの過去のどんな苦しみも埋め合わせてくださるのはなぜですか。

      26 わたしたちがこの世でどんな苦しみを耐え忍んできたにせよ,このようにして神はその苦しみを埋め合わせてくださいます。神は,わたしたちが生まれつき不完全なのは最初の両親から不完全さを受け継いでいるためであり,わたしたちの責任ではないことをご存じです。サタンの世に生まれたこともわたしたちの責任ではありません。アダムとエバが忠実であったなら,わたしたちはむしろ楽園に生まれていたはずだからです。それで,神は深い同情心をもって,わたしたちが負わされたつらい過去を埋め合わせる以上のことをしてくださるのです。

      27 どんな預言が新しい世で驚くべき成就を見ますか。

      27 新しい世で人類は,ローマ 8章21節と22節が次のように予告している自由を経験します。「創造物そのものが腐朽への奴隷状態から自由にされ,神の子供の栄光ある自由を持つようにな(りま)す。わたしたちが知るとおり,創造物すべては今に至るまで共にうめき,共に苦痛を抱いているのです」。その時,人々は,「あなたの王国が来ますように。あなたのご意志が天におけると同じように,地上においてもなされますように」という祈りが完全にかなえられたことを目にします。(マタイ 6:10)楽園となった地の驚くべき状態は天の状態を反映するものとなるでしょう。

      [23ページの図版]

      新しい世では,年配の人たちは若いころの精力を取り戻す

      [24ページの図版]

      すべての病気と身体障害は新しい世で取り除かれる

      [25ページの図版]

      新しい世で,死者は命へ復活させられる

      [26ページの図版]

      「彼らはもはや戦いを学ばない」

      [27ページの図版]

      人間と動物は楽園で全く平和な関係になる

      [27ページの図版]

      『神はみ手を開いて,すべての生きているものの願いを満たしてくださる』

      [28ページの図版]

      神の王国は,わたしたちが耐え忍んできたすべての苦しみを埋め合わせる以上のことをする

  • いま形造られている新しい世の基礎
    神は本当にわたしたちのことを気遣っておられますか
    • 第11部

      いま形造られている新しい世の基礎

      1,2 聖書預言の成就として,わたしたちの眼前でどんなことが生じていますか。

      驚くべき事柄として,まさにサタンの古い世が退廃してゆくこの現在において神の新しい世の基礎が形造られている,という事実も挙げることができます。神はわたしたちの眼前ですべての国民から人々を集め,彼らを新しい地の社会の基礎として形造っておられます。その社会は間もなく今日の分裂した世に取って代わります。聖書のペテロ第二 3章13節では,この新しい社会は「新しい地」と呼ばれています。

      2 さらに聖書預言はこう述べています。「末の日[現在わたしたちが生きている時代]に,……多くの民は必ず行って,こう言う。『来なさい。エホバの山[神の真の崇拝]に……上ろう。神はご自分の道についてわたしたちに教え諭してくださる。わたしたちはその道筋を歩もう』」― イザヤ 2:2,3。

      3 (イ)イザヤの預言はどんな人々の中で成就していますか。(ロ)聖書巻末の書はこの点に関してどのように述べていますか。

      3 現在この預言は,『神の道』に服し『その道筋を歩む』人々の中で成就しています。聖書巻末の書は,平和を愛する人々のこの国際的な社会のことを,「すべての国民と部族と民と国語の中から来た……大群衆」と呼んでいます。それは,一致して神に仕える世界的な真の兄弟関係です。また聖書は,「これは大患難から出て来る者たちで(ある)」とも述べています。つまり,この人々はこの邪悪な事物の体制の終わりを生き残るのです。―啓示 7:9,14。マタイ 24:3。

      国際的な真の兄弟関係

      4,5 エホバの証人の世界的な兄弟関係が可能になっているのはなぜですか。

      4 何百万人ものエホバの証人は,神の教えと道に調和した生活を送るよう誠実に努力しています。彼らはとこしえの命の希望を神の新しい世にかけています。彼らは日々神の律法に従った生活を送ることにより,現在および新しい世での神の支配の仕方に喜んで服する気持ちを神に示します。国籍や人種にかかわりなく,どこにおいても彼らは同一の規準に従います。それは神がみ言葉の中で設けておられる規準です。それゆえにこそ,彼らは国際的な真の兄弟関係,神が造られる新しい世の社会を成しているのです。―イザヤ 54:13。マタイ 22:37,38。ヨハネ 15:9,14。

      5 エホバの証人は,比類のない世界的な兄弟関係にあることを自らの功績とはしません。彼らはそれが神の律法に服する人々に働く神の強力な霊によるものであることを知っています。(使徒 5:29,32。ガラテア 5:22,23)それは神の業です。イエスが言われたとおり,「人には不可能な事も,神にとっては可能です」。(ルカ 18:27)ですから,宇宙の永続を可能にされた方である神が,新しい世の社会の永続をも可能にされるのです。

      6 エホバの証人の兄弟関係を現代の奇跡と呼ぶことができるのはなぜですか。

      6 このように,いま形造られている新しい世の基礎の中に神が生み出しておられる事柄のうちに,新しい世でのエホバの支配の仕方を既に見ることができます。そして神がご自分の証人たちに関して行なわれた事柄は,ある意味で現代の奇跡です。そう言えるのはなぜですか。なぜなら,神はエホバの証人を,世界的な真の兄弟関係,すなわち分裂を生じさせる国家的・人種的・宗教的な関心事によって崩されることの決してない兄弟関係へと築き上げられたからです。証人たちは数百万人に達し,200以上の国や地域に住んでいますが,破れることのないきずなで一つに結ばれています。歴史上比類のないこの世界的な兄弟関係は確かに現代の奇跡であり,神の業です。―イザヤ 43:10,11,21。使徒 10:34,35。ガラテア 3:28。

      神の民を見分ける

      7 イエスはご自分の真の追随者たちがどのように見分けられると言われましたか。

      7 神がご自分の新しい世の基礎として用いておられる民がだれであるかを,どうすればより確かに見極めることができますか。では,ヨハネ 13章34節と35節にあるイエスの言葉を成就しているのはだれでしょうか。イエスはこう言われました。「わたしはあなた方に新しいおきてを与えます。それは,あなた方が互いに愛し合うことです。つまり,わたしがあなた方を愛したとおりに,あなた方も互いを愛することです。あなた方の間に愛があれば,それによってすべての人は,あなた方がわたしの弟子であることを知るのです」。エホバの証人はイエスの言葉を信じており,それに基づいて行動します。神の言葉が教えているとおり,彼らは「互いに対して熱烈な愛を抱(いて)」います。(ペテロ第一 4:8)彼らは「愛を身に着け」ています。愛は「結合の完全なきずな」だからです。(コロサイ 3:14)したがって,兄弟愛こそ彼らを世界的に結び合わせておく“接着剤”となっているのです。

      8 ヨハネ第一 3章10-12節によると,神の民はどのようにより確かに見分けられますか。

      8 さらに,ヨハネ第一 3章10節から12節にはこうあります。「神の子供と悪魔の子供はこのことから明白です。すなわち,すべて義を行ないつづけない者は神から出ていません。自分の兄弟を愛さない者もそうです。互いに愛し合うこと,これが,あなた方が初めから聞いている音信なのです。カインのようであってはなりません。彼は邪悪な者から出て,自分の兄弟を打ち殺しました」。ですから,神の民は非暴力的で世界的な兄弟関係にあるのです。

      見分けるための別の特徴

      9,10 (イ)終わりの日に神の僕たちはどんな業によって見分けられますか。(ロ)エホバの証人はマタイ 24章14節をどのように成就していますか。

      9 神の僕たちを見分ける方法がもう一つあります。イエスは世の終わりに関する預言の中で,現代を終わりの日としてしるし付ける数多くの事柄について語られました。(第9部をご覧ください。)その預言の基本的な特徴の一つは,マタイ 24章14節のイエスの言葉にこう示されています。「王国のこの良いたよりは,あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で宣べ伝えられるでしょう。それから終わりが来るのです」。

      10 わたしたちはこの預言が成就するのを見てきたでしょうか。そのとおりです。終わりの日が1914年に始まって以来,エホバの証人は神の王国の良いたよりを世界中で宣べ伝え,イエスの命じられた方法で,つまり人々の家でそうしてきました。(マタイ 10:7,12。使徒 20:20)何百万人もの証人たちはあらゆる国の人々を訪問し,新しい世について語ります。あなたの手にこのブロシュアーが届いたのは証人たちがそのようにしているからであり,また神の王国に関する出版物を何十億冊も印刷して配布することがエホバの証人の業に含まれているからです。あなたは世界中で家から家に神の王国を宣べ伝えている人々をほかにご存じですか。さらに,マルコ 13章10節に示されているとおり,終わりが来る前に「まず」,この宣べ伝えて教える業が行なわれなければなりません。

      二番目の大論争に答えを提出する

      11 エホバの証人は神の支配に服することにより,さらにどんな事柄を成し遂げますか。

      11 エホバの証人は神の律法と原則に服することにより,さらに別の事柄も成し遂げます。彼らは,試みのもとで神に対して忠実を保てる人間は一人もいないと主張したサタンが偽り者であることを示し,そのようにして人間の忠誠に関係した二番目の大論争に答えを提出するのです。(ヨブ 2:1-5)すべての国民から来た何百万人もの人々の社会である証人たちは,一致して神の支配に対する忠節を実証します。彼らは不完全な人間ではありますが,サタンの圧力にもかかわらず,宇宙主権の論争における神の側を擁護します。

      12 信仰により,エホバの証人はだれに見倣っていますか。

      12 今日,これらの何百万人ものエホバの証人は,神への忠節を実証した過去の他の証人たちの連綿と続く証言に自分たちの証言を加えています。それらの過去の証人たちの中には,ほんの一部を挙げるだけでも,アベル,ノア,ヨブ,アブラハム,サラ,イサク,ヤコブ,デボラ,ルツ,ダビデ,ダニエルがいます。(ヘブライ 11章)聖書が述べるとおり,彼らは『大勢の,雲のような忠実な証人たち』です。(ヘブライ 12:1)これらの証人たちと,イエスの弟子たちを含む他の証人たちは神への忠誠を保ちました。そして,イエスご自身は完全な忠誠を保つことにより,最大の模範を残されました。

      13 サタンに関するイエスのどんな言葉の真実性が証明されてきましたか。

      13 このことは,イエスがサタンに関して宗教指導者たちに言われた次の事柄の真実性を証明します。「しかし今,あなた方は,わたしを,神から聞いた真理をあなた方に告げた者を殺そうとしています。……あなた方は,あなた方の父,悪魔からの者であって,自分たちの父の欲望を遂げようと願っているのです。その者は,その始まりにおいて人殺しであり,真理の内に堅く立ちませんでした。真実さが彼の内にないからです。彼が偽りを語るときには,自分の性向のままに語ります。彼は偽り者であって,偽りの父だからです」― ヨハネ 8:40,44。

      あなたはどんな選択をしますか

      14 いま,新しい世の基礎にどんなことが生じていますか。

      14 神がエホバの証人の国際的な社会の中にいま形造っておられる新しい世の基礎は,ますます強固なものになっています。毎年何十万人もの人々が,正確な知識に基づく自由意志を用い,神の支配を受け入れています。彼らは新しい世の社会の一員となり,宇宙主権の論争における神の側を擁護し,サタンが偽り者であることを証明しています。

      15 今日イエスはどんな分ける業を行なっておられますか。

      15 彼らは神の支配を選ぶことにより,キリストが「羊」を「やぎ」から分ける際にキリストの「右」に置かれる資格を得ています。終わりの日に関する預言の中でイエスはこう予告されました。「すべての国の民が彼の前に集められ,彼は,羊飼いが羊をやぎから分けるように,人をひとりひとり分けます。そして彼は羊を自分の右に,やぎを自分の左に置くでしょう」。羊とは,キリストの兄弟たちと交わり,彼らを支え,神の支配に服する謙遜な人々のことであり,やぎとは,キリストの兄弟たちを退け,神の支配を支持するために何も行なわない頑固な人々のことです。どんな結末になるでしょうか。イエスはこう言われました。「これらの者[やぎ]は去って永遠の切断に入り,義なる者たち[羊]は永遠の命に入ります」。―マタイ 25:31-46。

      16 来たるべき楽園で生活したいなら,何をしなければなりませんか。

      16 確かに神はわたしたちを気遣っておられるのです。間もなく神は喜びに満ちた地上の楽園を与えてくださいます。あなたはその楽園で生活したいと思われますか。そうであるなら,エホバについて学び,学んだ事柄に基づいて行動することによって,エホバの備えに対する感謝を表わしてください。「あなた方は見いだせるうちにエホバを尋ね求めよ。近くにおられるうちに呼びかけよ。邪悪な者はその道を,害を加えようとする者はその考えを捨て,エホバのもとに帰れ。神はその者を憐れんでくださる」― イザヤ 55:6,7。

      17 だれに仕えるかを選ぶ点でぐずぐずしている時間がないのはなぜですか。

      17 ぐずぐずしている時間はありません。この古い体制の終わりは非常に近づいているのです。神の言葉はこう諭しています。「世も世にあるものをも愛していてはなりません。世を愛する者がいれば,父の愛はその人のうちにありません。……さらに,世は過ぎ去りつつあり,その欲望も同じです。しかし,神のご意志を行なう者は永久にとどまります」― ヨハネ第一 2:15-17。

      18 どんな行動をとるとき,神の驚くべき新しい世で生きることを確信を持って期待できますか。

      18 現在,神の民は新しい世での永遠の命のために訓練を受けています。楽園を造り上げるのに必要とされる霊的な技術や他の技術を学んでいます。あなたも是非,支配者として神を選び,今日神が全地で行なわせておられる命を救う業を支持してください。エホバの証人と共に聖書を研究し,あなたを本当に気遣い,苦しみを終わらせてくださる神を知るようになってください。そうするなら,あなたも新しい世の基礎の一員となることができます。そしてあなたは,神の恵みを受け,その驚くべき新しい世で永遠に生きることを確信を持って期待できるのです。

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