-
福音書は信頼できないのでしょうかものみの塔 2008 | 10月1日
-
-
その人たちは,福音書の最初のものを書いたのはマルコに違いない,と述べています。マルコによる書にはマタイやルカの書を補う情報がほとんどないように思える,というのです。批評家たちは,マタイとルカが自分の福音書をまとめるのにマルコの書を用い,ある補足資料を参照した,とも考えています。その補足資料は,学者たちの間でQ(ドイツ語クウェレつまり「源」に由来)と呼ばれています。
-
-
福音書は信頼できないのでしょうかものみの塔 2008 | 10月1日
-
-
マルコの福音書が最初に書かれたのか
「アンカー聖書辞典」も認めていることですが,マルコの福音書が最初に書かれ,マタイとルカの情報源となったという説は,「一枚岩のしっかりした論拠」に基づいてはいません。それでも,多くの学者は,マルコの書にはマタイやルカの書を補う情報がほとんどないと言い,それゆえに,マルコが福音書を書いた時期はマタイやルカよりも前だった,と考えます。例えば,19世紀の聖書学者ヨハネス・クーンは,マルコの福音書が最初に書かれたに違いない,と主張しました。もしマルコが最初でなければ,「マルコはマタイとルカの二つの巻き物を小さく切り分け,鍋に入れてかき混ぜ,それを基に自分の福音書を作った,と考えなければならなくなる」というのです。
マルコの福音書は最も短いのですから,その書にしかない情報が最も少ないのは当然です。しかし,少ないからといって,最初に書かれたということにはなりません。また,マルコの書にはマタイやルカの書を補う情報が何もない,というのも決して真実ではありません。イエスの宣教に関するマルコの生き生きとした展開の速い記述には,マタイやルカの書にはない説明や興味深い細かな情報が180以上あります。そうした点は,イエスの生涯についてのマルコの記述を独特のものにしているのです。―13ページの囲みをご覧ください。
-
-
福音書は信頼できないのでしょうかものみの塔 2008 | 10月1日
-
-
さらに,3世紀の神学者オリゲネスをはじめ初期の教父たちの証言によれば,福音書を書いた最初の人は使徒マタイです。オリゲネスはこう書きました。「最初のものは,かつて収税吏であったが後にイエス・キリストの使徒となったその人,マタイによる書である。マタイはそれを,改宗したユダヤ人のために著わしたのであり,ヘブライ語で書いた」。使徒であり目撃証人でもあったマタイが,目撃証人ではないマルコの書いた物を剽窃する必要がなかったことは明らかです。
-