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マソラ学者とはどういう人たちでしたかものみの塔 1995 | 9月15日
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並外れた記憶力が必要だった
マソラ学者が特に関心を払ったのは,聖書本文の一語一語,さらには一字一字を正確に伝えることでした。正確を期するため,マソラ学者は各ページの両側の欄外を活用して,昔の写字生がうっかり書き間違えたにせよ意図的に書き変えたにせよ,本文が改変されていると思われる箇所では必ずそれを示す情報を記しました。マソラ学者はそれら欄外注に,珍しい語形や語の組み合わせについても記し,その語が一つの書に,あるいはヘブライ語聖書全巻に何回出て来るかも示しました。あまり余白がなかったため,そうした注記は高度に簡略化された記号で記されました。彼らは補足的な照合確認の手段として,幾つかの書についてはその真ん中に来る言葉や文字を示しました。また,書写の正確さを期するために,聖書中の文字すべてを数えることまでしたのです。
マソラ学者は,それぞれのページの上下の欄外に,左右の欄外の簡略化した注記の幾つかに関し,より詳しい注解を記しました。b これらの注解は,こうして書写されたものを照合確認するのに役立ちました。当時は節の番号が振られておらず,聖書の用語索引などもなかったのに,マソラ学者はどのようにして聖書の他の箇所に言及し,こうした照合確認を行なったのでしょうか。彼らは上下の欄外に,並行記述を成す節の一部を記載し,指摘されている単語や語群が聖書中のほかのどこにあるかを思い起こせるようにしたのです。紙面は限られていたため,多くの場合,鍵となる言葉を一つだけ書いて,並行記述を成すそれぞれの節を思い起こせるようにしました。それら写字生たちは,こうした欄外注を役立つものにするために,事実上ヘブライ語聖書全巻を暗記していなければなりませんでした。
長すぎて欄外に列記できなかった分は写本の別の箇所に記載されました。例えば,マソラ学者が創世記 18章3節の横の欄外に書いた注記は,ヘブライ語の三つの文字で,קלדとなっています。これはヘブライ語の134という数に相当します。写本の別の箇所には,マソラ学者以前の写字生が故意にヘブライ語本文からエホバというみ名を削除して「主」という言葉に置き換えた134か所が列挙してあります。c マソラ学者は,そうした変更がなされたことに気づいていましたが,自分たちに伝えられた本文を勝手に改めることはしませんでした。そうする代わりに,それらの変更箇所を欄外注で指摘したのです。
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マソラ学者とはどういう人たちでしたかものみの塔 1995 | 9月15日
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b マソラ学者が書いた左右の欄外の注記は小マソラと呼ばれ,上下の欄外の注記は大マソラと呼ばれています。写本の他の箇所に列記されているものは巻末マソラと呼ばれています。
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