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道徳は低下しているか目ざめよ! 2000 | 4月8日
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一つには,近年ますます多くの子どもやティーンエージャーが,ほかの子どもや大人に対して暴力を伴う残虐行為を行なうようになっています。
1998年にスウェーデンで衝撃的な事件が起きました。5歳と7歳の二人の男の子が4歳の遊び友達を絞め殺したのです。多くの人々は,子どもたちには,やり過ぎているときにそれを止めるように告げる生来の抑止力が備わっていないのだろうかという疑問を持ちました。ある児童精神科医は次のような示唆に富む意見を述べました。「やり過ぎに対する抑制力は学習しなければ得られないもので」,「子どもたちがどんな役割モデルを得ているか,また周囲の大人から何を学んでいるか……が関係することもある」。
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道徳は低下しているか目ざめよ! 2000 | 4月8日
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識者たちは,正常に見える子どもや若者でさえ,道徳感覚が鈍っていることに気づいています。「我々は道徳の石器時代に引き戻されてしまった」と,哲学の教授クリスティナ・ホフ・ソマーズは述べています。ソマーズは,自分が受け持つ若い学生たちに,何が正しく何が間違いかを質問すると,大半の学生は非常に心もとない反応を示すと述べています。そのあと学生たちは,正邪といったものなどないと答えます。自分にとって何が最善かは各人が判断すべきだと考えているのです。
ソマーズが教える学生の中には最近,人間の命には固有の尊厳と価値があるという根本理念に異議を唱える人が少なくありません。例えば,自分のペットの命と,面識のない人の命のどちらを助けるかという選択を迫られたら,どうするかと質問されとき,学生の多くはペットを選ぶと答えました。
「問題は,若者たちが無知で,疑い深く,冷酷で,信頼できないということではない」と,ソマーズ教授は言います。「率直に言えば,若者たちは概念的に無知」なのです。ソマーズは,今日の若者の多くが,実際,正邪というものがあるのかどうか疑問に思っていると言います。そしてこうした態度は社会にとって最大の脅威の一つであると感じています。
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