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    啓示の書 ― その壮大な最高潮は近い!
    • 36章

      荒廃させられる大いなる都市

      第12の幻 ― 啓示 18:1–19:10

      主題: 大いなるバビロンの倒壊と滅び; 子羊の結婚が発表される

      成就する期間: 1919年から大患難の後まで

      1 何が大患難の始まりをしるし付けるものとなりますか。

      突然の恐ろしい荒廃 ― 大いなるバビロンはこうして消滅します! それは,「世の初めから今に至るまで起きたことがなく,いいえ,二度と起きないような大患難」の始まりをしるし付ける,歴史上極めて破局的な出来事の一つとなるでしょう。―マタイ 24:21。

      2 政治上の様々な帝国が興っては滅びましたが,どんな帝国は持ちこたえてきましたか。

      2 偽りの宗教は長い時間を経てきました。それは,エホバに反対して人々にバベルの塔を建てさせた,血に飢えたニムロデの時代以来,連綿と存在してきました。エホバがそれら反逆者たちの国語を混乱させ,人々を全地に散らされた時,バビロンの偽りの宗教も人々と共に各地に伝わってゆきました。(創世記 10:8-10; 11:4-9)その時以来,政治上の様々な帝国が興っては滅びましたが,バビロン的な宗教は持ちこたえてきました。それは数多くの形式や形態を取りながら,偽りの宗教の一つの世界帝国,つまり預言された大いなるバビロンとなりました。その最も顕著な部分は,初期のバビロン的な教理と背教した“キリスト教”の教理を融合したものから生じたキリスト教世界です。大いなるバビロンは余りにも長い歴史を持っているため,大いなるバビロンが滅ぼされるなどということは,多くの人々にとって信じ難い事柄です。

      3 啓示の書は偽りの宗教の宿命をどのように確証していますか。

      3 ですから,啓示の書が,大いなるバビロンの倒壊とその完全な荒廃に至るまでのその後の出来事を二通りの仕方で詳細に描写して,偽りの宗教の宿命を確証しているのは,適切なことです。わたしたちはすでに,「大娼婦」である大いなるバビロンについて調べてきました。彼女は政治上の領域のかつての愛人たちによって最後には荒廃させられます。(啓示 17:1,15,16)今度は,さらにもう一つの幻の中で,古代バビロンの宗教上の対型である,一つの都市としての大いなるバビロンを見ようとしています。

      大いなるバビロンは転倒する

      4 (イ)ヨハネは次にどんな幻を見ますか。(ロ)そのみ使いがだれであるかはどうして分かりますか。大いなるバビロンが倒れたことをその方が発表するのは,どうしてふさわしいことですか。

      4 ヨハネはさらにその記述を続け,わたしたちにこう告げます。「これらのことの後,わたしは,別のみ使いが天から下って来るのを見た。彼は大いなる権威を持っており,地は彼の栄光によって明るく照らされた。そして,彼は強い声で叫んで言った,『彼女は倒れた! 大いなるバビロンは倒れた』」。(啓示 18:1,2[前半])ヨハネがみ使いによるこのような発表を聞くのは,これで二度目です。(啓示 14:8をご覧ください。)しかし,この度は,その発表の重要性は天のみ使いの荘厳さによって強調されています。というのは,そのみ使いの栄光が全地を照らしているからです! このみ使いは果たしてだれでしょうか。何世紀も前に,エゼキエルは天の幻について報告し,「地はその[エホバの]栄光のゆえに輝いた」と述べました。(エゼキエル 43:2)エホバの栄光と比べられるような栄光で輝く唯一のみ使いは,「神の栄光の反映,またその存在そのものの厳密な描出」であられる主イエスでしょう。(ヘブライ 1:3)1914年にイエスは天の王となられ,その時以来,エホバの仲間の王,ならびに裁き主として地を治める権威を行使してこられました。ですから,大いなるバビロンが倒れたことをこの方が発表するのはふさわしいことです。

      5 (イ)そのみ使いは,大いなるバビロンが倒れたことをふれ告げるのに,だれを用いますか。(ロ)「神の家」の者であると唱える人々に関する裁きが始まった時,キリスト教世界はどうなりましたか。

      5 大いなる権威を持っているそのみ使いは,このような驚くべき知らせを人類の前でふれ告げるのに,だれをお用いになりますか。むろん,それは,大いなるバビロンが倒れた結果解放された人々,つまりヨハネ級の人たちである,地上に残っている油そそがれた者たちです。1914年から1918年にかけて,これらの人たちは大いなるバビロンの手に掛かって大変苦しめられましたが,1918年には主エホバとその「[アブラハム]契約の使者」イエス・キリストが,クリスチャンと称する人々,つまり「神の家」に対して裁きを始められました。こうして,背教したキリスト教世界は裁きを受けました。(マラキ 3:1。ペテロ第一 4:17)キリスト教世界は第一次世界大戦中に恐るべき流血の罪を負い,エホバの忠実な証人たちに対する迫害の共犯者となったので,バビロン的な信条を奉じていても,それは裁きの時に同世界を助けるものとはなりませんでした。また,大いなるバビロンのほかのどんな部分も神の是認を受けるには値しませんでした。―イザヤ 13:1-9と比較してください。

      6 大いなるバビロンはどうして1919年までに倒れたと言えますか。

      6 それで,大いなるバビロンは1919年までに倒れたので,神の民は解放され,あたかも一日のうちに,霊的な繁栄の見られる彼らの地に回復される道が開かれました。(イザヤ 66:8)その年までに,大いなるダリウスであられるエホバ神と,大いなるキュロスであられるイエス・キリストは,物事を巧みに操られたので,娼婦のような大いなるバビロンはもはやエホバの民を捕らえておくことはできなくなりました。彼らがエホバに仕えるのを妨げたり,また偽りの宗教が滅びに定められていることや,エホバの主権の正しさの立証される時が近いことについて,すべての人々が聞けるように知らせるのを妨げたりすることは,もはやできなくなりました。―イザヤ 45:1-4。ダニエル 5:30,31。

      7 (イ)大いなるバビロンは1919年には滅ぼされなかったものの,エホバは彼女をどうみなされましたか。(ロ)大いなるバビロンが1919年に倒れた時,その結果としてエホバの民はどうなりましたか。

      7 なるほど,大いなるバビロンは1919年に滅ぼされた訳ではありません。それは,古代の都市バビロンが西暦前539年にペルシャ人キュロスの軍隊の手に落ちた時に滅ぼされなかったのと同様です。しかし,エホバの見地からすれば,大いなるバビロンの組織は倒れてしまいました。同バビロンは司法上有罪の判決を下されて,処刑を待つことになりました。ですから,偽りの宗教はもはや神の民を捕らえておくことはできなくなりました。(ルカ 9:59,60と比較してください。)その民は,時に応じて食物を備える,主人の忠実で思慮深い奴隷として仕えるために解放されました。彼らは「よくやった」というお褒めの裁きを受け,エホバの業に再び忙しく携わる任務を与えられました。―マタイ 24:45-47; 25:21,23。使徒 1:8。

      8 イザヤ 21章8節と9節の見張りの者はどんな出来事をふれ告げますか。その見張りの者は今日のだれを予表していますか。

      8 何千年も前に,エホバはこの画期的な出来事を予告するため,ほかの預言者たちをもお用いになりました。イザヤは見張りの者について語っていますが,その見張りの者は,「ライオンのように呼ばわりはじめた,『エホバよ,わたしは昼間ずっと物見の塔の上に立っております。わたしは夜ごとに自分の見張り所に就いております』」と記されています。それで,その見張りの者はどんな出来事を察知して,ライオンのように大胆にふれ告げますか。「彼女は倒れた! バビロンは倒れた。その神々の彫像を[エホバ]はことごとく地に砕かれた!」と告げます。(イザヤ 21:8,9)この見張りの者は,いみじくも十分目覚めた今日のヨハネ級の人たちを予表しています。その級の人たちは「ものみの塔」誌その他の神権的な出版物を用いて,バビロンは倒れたという知らせを広く伝えているからです。

      大いなるバビロンの衰退

      9,10 (イ)バビロン的な宗教の影響力は第一次世界大戦以来,どのように衰退してきましたか。(ロ)その力あるみ使いは,大いなるバビロンの倒れた状態をどのように描写していますか。

      9 古代バビロンは西暦前539年に倒れた時,やがて荒廃して終わりを告げる,長い衰退の過程をたどり始めました。同様に,第一次世界大戦以来,バビロン的な宗教の影響力は世界的な規模で著しく衰退してきました。日本では,第二次世界大戦後,神道に基づく天皇崇拝は禁じられました。中国では,共産主義政府が宗教上の任命や活動をすべて支配しています。プロテスタント圏の北欧の人々はほとんど宗教に対して無関心になりました。それに,ローマ・カトリック教会は近年,同教会の世界的な領域に見られる分裂や内部からの反対のために弱体化してきました。―マルコ 3:24-26と比較してください。

      10 確かに,このような傾向はすべて,大いなるバビロンに対する来たるべき軍国主義的攻撃の準備として『ユーフラテス川を干上がらせる』処置の一環です。また,1986年10月に法王が述べた,教会は ― 膨大な赤字のゆえに ―「再び托鉢を行なうようになる」に違いないという発表も,その水が『かれる』ことを表わしています。(啓示 16:12)特に1919年以来,大いなるバビロンは霊的な不毛の地として衆目にさらされてきました。それは,力のあるみ使いがここで次のように発表している通りです。「そして,[彼女は]悪霊たちの住みか,あらゆる汚れた呼気のこもる場所,またあらゆる汚れた憎まれる鳥の潜む場所となった!」(啓示 18:2[後半])彼女は間もなく,現代のイラクにあるバビロンの廃虚のように荒れ廃れた,文字通りの不毛の地となるでしょう。―エレミヤ 50:25-28もご覧ください。

      11 大いなるバビロンはどのような意味で「悪霊たちの住みか」,ならびに『汚れた呼気のこもる場所,また汚れた鳥の潜む場所』となりましたか。

      11 この句の「悪霊たち」という言葉は,倒れたバビロンを次のように描写したイザヤの言葉の中に出てくる,「やぎの形をした悪霊たち」(セイーリーム)という表現を反映しているようです。「そして,水のない地域にせい息するものが必ずそこに伏し,彼らの家々には必ずわしみみずくが満ちる。また,そこには必ずだちょうが住み,やぎの形をした悪霊たちもそこで跳ね回ることであろう」。(イザヤ 13:21)それは文字通りの悪霊ではなく,砂漠にせい息する毛深い動物を指しているようです。その動物の姿を見た人々は,悪霊のことを想像したのかもしれません。大いなるバビロンの廃虚に,比喩的な意味でそのような動物や汚れた鳥がおり,よどんだ有害な空気(「汚れた呼気」)があることは,彼女が霊的に死んだ状態にあることを示唆しています。彼女は人類に対して命を得られる見込みを何も差し伸べていません。―エフェソス 2:1,2と比較してください。

      12 大いなるバビロンの状況は,エレミヤ 50章にあるエレミヤの預言とどのように合致しますか。

      12 彼女の状況はまた,エレミヤの次のような預言とも合致します。「『カルデア人を攻める剣がある』と,エホバはお告げになる,『それはバビロンの住民と,その君たちと,その賢い者たちとを攻める。……彼女の水の上には荒廃があり,それは必ず干上がる。それは彫像の地であり,彼らは自分たちの怖ろしい幻のために,気違いのような行動をしつづけるからである。それゆえ,水のない地域にせい息するものたちは,泣きわめく動物と共に住み,そこには必ずだちょうが住む。彼女はもはや決して住まわれることも,代々にわたって宿ることもない』」。偶像崇拝も,繰り返し唱えられる祈りも,神がソドムとゴモラを打ち倒された時のような応報を受けないよう,大いなるバビロンを救うものとはなりません。―エレミヤ 50:35-40。

      情欲をかき立てるぶどう酒

      13 (イ)力のあるみ使いは大いなるバビロンの売春行為の及ぶ範囲の広さに,どのように注意を引いていますか。(ロ)古代バビロンで広まっていた,どんな不道徳な行為が,大いなるバビロンの中でも見られますか。

      13 次に,力のあるみ使いは大いなるバビロンの売春行為の及ぶ範囲の広さに注意を引いて,こうふれ告げます。「彼女の淫行の情欲をかき立てるぶどう酒のためにa あらゆる国民がいけにえにされ,地の王たちは彼女と淫行を犯し,地の旅商人たちは彼女の恥知らずのおごりの力で富を得たからである」。(啓示 18:3)彼女は宗教的な汚れた方法で人類の中のあらゆる国民を教化してきました。ギリシャの歴史家ヘロドトスによれば,古代バビロンの乙女は各々神殿での崇拝の際,処女の身を売ることを要求されました。カンボジアのアンコールワット寺院やインドのカジュラーホの神殿にある,戦争で傷つけられた彫刻には,胸が悪くなるような堕落した性行為の描写が今日でも見られます。それらの宗教彫刻のヒンズー教の神ビシュヌは,嫌悪すべき好色的な光景と共に描かれています。米国では1987年に,また1988年にも,テレビ福音伝道師の世界を揺るがす不道徳な行為が発覚すると共に,教会の牧師の間に広まっている同性愛行為が明らかにされた事件は,キリスト教世界さえ,衝撃的なまでに甚だしい文字通りの淫行を容認していることを示す良い例です。ところが,あらゆる国民がそれよりもさらにゆゆしい淫行の犠牲者となってきました。

      14-16 (イ)ファシストのイタリアでは,宗教と政治の癒着した,霊的に言ってどんな不倫な関係が発展しましたか。(ロ)イタリアがアビシニアに侵入した時,ローマ・カトリック教会の司教たちはどんな声明を出しましたか。

      14 ナチ・ドイツのヒトラーが急速に台頭して政権を獲得するのを可能にした,宗教と政治の癒着した不倫な関係については,すでに回顧しました。宗教が世俗の事柄に干渉したために,ほかの国々もやはり苦しめられました。例えば,1929年2月11日,ファシストのイタリアで,ムッソリーニとガスパリ枢機卿はラテラノ条約に署名し,バチカン市が主権国となりました。法王ピウス11世は,「イタリアを神に返し,神をイタリアに返した」と唱えましたが,それは真実でしたか。6年後に起きたことを考えてみてください。1935年10月3日,イタリアはアビシニア(エチオピア)に侵入し,その国は「依然,奴隷制度を守る野蛮な国」だと主張しました。本当に野蛮な国だったのはどちらの国でしたか。カトリック教会はムッソリーニの野蛮な行為を責めましたか。法王はあいまいな声明を出しましたが,司教たちは自分たちの“祖国”イタリアの軍隊をかなり声高に祝福しました。アンソニー・ロードは,「独裁者たちの時代のバチカン」という本の中で次のように伝えています。

      15 「[イタリアの]ウディネの司教は,[1935年]10月19日付の司牧書簡にこう記した。『この事件の正邪について意見を述べるのは,時宜を得たことでも,ふさわしいことでもない。イタリア人としての,またそれ以上にクリスチャンとしての我々の務めは,我が軍の成功に寄与することである』。パドゥアの司教は10月21日,『我々が遭遇している,困難な時期の今,我が国の政治家や軍隊に信仰を抱くよう諸君に要請する』と書いた。10月24日,クレモナの司教は何本かの連隊旗を聖別して,こう述べた。『これら将兵の上に神の祝福がとどまり,彼らがアフリカの地で,イタリアの守護神のために,新たな肥沃な土地を征服し,それらの土地にローマの,そしてキリスト教の文明をもたらせるように。イタリアが全世界に対してクリスチャンの良き指導者として再び立てるように』」。

      16 アビシニアはローマ・カトリックの聖職者による祝福をもって略奪されました。果たしてこれら僧職者のうちのだれが,使徒パウロのように,「すべての人の血について潔白である」と言えるでしょうか。―使徒 20:26。

      17 スペインは,その僧職者たちが『剣をすきの刃に打ち変える』ことに失敗したため,どのように苦しめられましたか。

      17 ドイツ,イタリア,およびアビシニアに加えて,大いなるバビロンの淫行の犠牲になったもう一つの国があります。それはスペインです。1936年から1939年に及んだこの国の内乱を引き起こした一因は,民主主義政府がローマ・カトリック教会の巨大な権力を縮小させる処置を講じたことでした。その内戦が始まると,革命勢力のファシストのカトリックの指導者フランコは,自らを“聖十字軍のクリスチャンの統領”と称しましたが,後にこの称号を放棄しました。その戦いでは数十万のスペイン人が死にました。それとは別に,ある控え目な推定によれば,フランコの国粋主義者たちは人民戦線の団員4万人を殺害しましたし,後者は修道士,司祭,修道女,見習い僧など8,000人の僧職者を殺害していました。内乱のそのような惨事と悲劇は,「あなたの剣を元の所に納めなさい。すべて剣を取る者は剣によって滅びるのです」と言われたイエスの言葉に留意するのが知恵の道であることを良く示す例です。(マタイ 26:52)キリスト教世界がこうした大規模な流血行為に関係してきたのは,何と嫌悪すべきことでしょう。同世界の僧職者たちは『剣をすきの刃に打ち変える』ことに,まさしく完全に失敗しました!―イザヤ 2:4。

      旅商人たち

      18 「地の旅商人たち」とはだれのことですか。

      18 「地の旅商人たち」とはだれのことですか。今日では多分,彼らのことを貿易業者,商業界の要人,大企業の敏腕な事業家などと呼べるでしょう。これは,合法的な事業に携わることが間違っているという意味ではありません。聖書は事業に携わる人々のために賢明な助言を与えており,不正,貪欲その他,同様の悪いことを戒めています。(箴言 11:1。ゼカリヤ 7:9,10。ヤコブ 5:1-5)「自ら足りて敬虔な専心を守ること」は,より大きな利得をもたらす道です。(テモテ第一 6:6,17-19)しかし,サタンの世は義にかなった原則に従わないので,腐敗がはびこっています。それは宗教,政治,そして大企業の世界にも見られます。報道機関は政府の高官による横領や兵器の不正取り引きなどの汚職事件を時々暴露します。

      19 世界の経済に関するどんな事実は,啓示の書の中で地の商人たちが好ましくない者として言及されているわけを説明するのに役立ちますか。

      19 国際的な兵器貿易総額は毎年,1兆㌦(約130兆円)以上に急騰している一方,何億もの人々が生活の必需品に事欠いています。これは実にひどい話です。ところが,軍備を整えることが,世界の経済を維持する基本的な支柱の一つとなっているようです。ロンドンのスペクテイター紙の1987年4月11日号の記事はこう報じました。「直接関係のある産業だけを数えても,米国ではおよそ40万件,ヨーロッパでは75万件の職種が関係している。ところが,実に奇妙なことに,武器製造の社会的,経済的役割は増大したものの,製作者たちが十分守られているかどうかという現実の問題は,背後に押しやられている」。爆弾その他の武器は世界中で,また潜在的な敵国とさえ取り引きされ,膨大な利益をもたらしています。いつの日か,それらの爆弾は戻って来て,その売買をする者たちを滅ぼす火のような大破壊をもたらすでしょう。何という矛盾でしょう。その上,兵器産業を取り巻く汚職があります。スペクテイター紙によれば,米国だけで,「奇妙なことに,毎年,国防総省は9億㌦(約1,170億円)相当の兵器や装備を失って」います。啓示の書の中で地の商人たちが好ましくない者として言及されているのも,確かに少しも不思議ではありません!

      20 宗教が商取り引きの不正な慣行に関係していることを示す,どんな実例がありますか。

      20 輝かしいみ使いが予告した通り,宗教は商取り引きのこのような不正な慣行に関係してきました。例えば,1982年に起きたイタリアのアンブロシアノ銀行の倒産にバチカンが関係していた事件があります。この事件は1980年代のこれまでずっと尾を引いており,同銀行のお金はどこへ行ったのかという疑問はまだ解決されていません。1987年2月にイタリア,ミラノ市の治安判事は,米国のある大司教を含め,バチカンの3人の僧職者に対して,不正倒産を起こさせた共犯者としての容疑で逮捕令状を出しましたが,バチカン側は本国送還要請を拒否しました。1987年7月,騒然とした抗議が行なわれたさなかに,その令状はバチカンとイタリア政府との古い条約に基づき,イタリアの最高裁判所により無効とされました。

      21 イエスは当時の商取り引きのいかがわしい慣行に少しもかかわりをお持ちになりませんでしたが,それはどうして分かりますか。しかし,今日のバビロン的な宗教に関しては,どんなことが分かりますか。

      21 イエスは当時の商取り引きのいかがわしい慣行とかかわりを持たれましたか。いいえ。イエスは地所を持ってさえおられませんでした。というのは,『頭を横たえる所がなかった』からです。イエスは金持ちの若い支配者にこう忠告なさいました。「あなたの持っている物をみな売って,貧しい人々に配りなさい。そうすれば,天に宝を持つようになるでしょう。それから,来て,わたしの追随者になりなさい」。これは優れた訓戒でした。というのは,その訓戒に従えば,商売上の事柄にかかわる心配事をすべて除去することができたはずだからです。(ルカ 9:58; 18:22)それとは対照的に,バビロン的な宗教は多くの場合,大企業との芳しくない結びつきを持っています。例えば,1987年に,オールバニ・タイムズ・ユニオン紙の報告によれば,米国フロリダ州マイアミ市のカトリック大司教管区の財政管理者は,同教会が核兵器を製造する会社,準成人映画の製作会社,たばこ製造会社などの株を所有していることを認めました。

      『わたしの民よ,彼女から出なさい』

      22 (イ)天から出る声は何と言いますか。(ロ)神の民はどうして西暦前537年と西暦1919年に喜びを得ましたか。

      22 ヨハネが次に述べる言葉は,預言的な型の一層の成就を指し示しています。「また,わたしは天から出る別の声がこう言うのを聞いた。『わたしの民よ,彼女の罪にあずかることを望まず,彼女の災厄を共に受けることを望まないなら,彼女から出なさい』」。(啓示 18:4)ヘブライ語聖書中の古代バビロンの倒壊に関する預言にも,やはりご自分の民に対する,『バビロンから逃げ去れ』というエホバの命令が含まれています。(エレミヤ 50:8,13)同様に,大いなるバビロンの来たるべき荒廃を考えて,神の民は逃れるよう,いま促されています。西暦前537年に,忠実なイスラエル人はバビロンから逃れる機会を得たので,大いに喜びました。同様に,1919年,神の民はバビロンへの捕らわれから解放されたので,喜びを得ました。(啓示 11:11,12)そして,その時以来,何百万ものほかの人々が,逃げるようにとの命令に従ってきました。

      23 天から出る声は,大いなるバビロンから逃げるのが急を要することをどのように強調していますか。

      23 大いなるバビロンから逃げて,世の宗教の会員としての資格を取り消してもらい,完全に離れるのは,実際,それほど急を要することでしょうか。その通りです。というのは,わたしたちは年経たこの宗教上の怪物である大いなるバビロンに関する神の見方を持たなければならないからです。神はこのバビロンを大娼婦と呼んで,本当のことをずばりと言われました。それで今度は,天から出る声はこの売春婦に関してヨハネにさらにこう知らせます。「彼女の罪は重なり加わって天に達し,神は彼女の数々の不正な行為を思い出されたのである。彼女自身が返したとおりに彼女に返し,二倍を,つまり,彼女が行なったことの二倍を彼女に行ないなさい。彼女が混ぜ物を入れた杯に,二倍の混ぜ物を彼女のために入れなさい。彼女が自分に栄光を帰し,恥知らずのおごりのうちに暮らしたその分だけ,彼女に責め苦と嘆きを与えなさい。彼女は心の中で,『わたしは女王として座す。やもめなどではない。嘆きを見ることは決してない』と言いつづけているからである。そのために,彼女の災厄は一日のうちに来る。それは死と嘆きと飢きんであって,彼女は火で焼き尽くされるであろう。彼女を裁いたエホバ神は強い方だからである」― 啓示 18:5-8。

      24 (イ)神の民は何を避けるために,大いなるバビロンから逃げなければなりませんか。(ロ)大いなるバビロンから逃げ損なう人々は,彼女と共にどんな罪にあずかることになりますか。

      24 確かにこれは強烈な言葉です! ですから,行動が求められています。エレミヤは当時のイスラエル人に行動するよう促して,こう言いました。「バビロンの中から出て逃げよ。……これはエホバの復しゅうの時だからである。神がこれに返す仕打ちがある。わたしの民よ,彼女の中から出て,各々その魂をエホバの燃える怒りから逃れさせよ」。(エレミヤ 51:6,45)同様に,天から出る声は今日,大いなるバビロンから逃げて,彼女の災厄にあずからないようにするよう,神の民に警告しています。大いなるバビロンを含め,この世に対する災厄のようなエホバの裁きは,今やふれ告げられています。(啓示 8:1–9:21; 16:1-21)もし神の民がそのような災厄に遭って,結局,彼女と共に死ぬようなことを望まないなら,偽りの宗教から離れる必要があります。それに,そのような組織の中にとどまっているなら,彼女の罪にあずかることになります。そうなれば,彼女のように,霊的な姦淫の罪と「地上でほふられたすべての者」の血を流した罪を負うことになるでしょう。―啓示 18:24。エフェソス 5:11; テモテ第一 5:22と比較してください。

      25 神の民はどんな仕方で古代バビロンから出ましたか。

      25 しかし,神の民はどのようにして大いなるバビロンから出るのでしょうか。古代バビロンの場合,ユダヤ人はバビロンの都を物理的に旅立って,はるばる約束の地に戻らなければなりませんでした。ですが,それ以上のことが関係していました。イザヤはイスラエル人に預言的にこう告げました。「立ち去れ。立ち去れ。そこから出よ。汚れたものには何にも触れるな。エホバの器具を運んでいる者たちよ,彼女の中から出て,身を清く保て」。(イザヤ 52:11)そうです,彼らは,自分たちの奉じているエホバの崇拝を汚す恐れのあるバビロン的な宗教の汚れた慣行をすべて捨てなければなりませんでした。

      26 コリントのクリスチャンは,『彼らの中から出て,汚れた物に触れるのをやめよ』という言葉に,どのように従いましたか。

      26 使徒パウロはコリント人にあてた手紙の中でイザヤの言葉を引用し,こう言っています。「不釣り合いにも不信者とくびきを共にしてはなりません。義と不法に何の交友があるでしょうか。また,光が闇と何を分け合うのでしょうか。……『それゆえ,彼らの中から出て,離れよ』と,エホバは言われ[ます]。『そして汚れた物に触れるのをやめよ』」。コリントのクリスチャンはこの命令に従うため,コリントを去らなければならなかった訳ではありません。しかし,彼らは確かに,偶像崇拝者の汚れた行為から霊的に離れると共に,偽りの宗教の汚れた神殿を物理的にも避けなければなりませんでした。1919年に神の民はそのような仕方で大いなるバビロンから逃げ始め,何であれ残っていた汚れた教えや慣行から自らを清めました。こうして,彼らは神の清められた民として神に仕えることができました。―コリント第二 6:14-17。ヨハネ第一 3:3。

      27 古代バビロンに対する裁きと大いなるバビロンに対する裁きとの間には,どんな類似点がありますか。

      27 古代バビロンが倒れて,ついに荒廃したことは,彼女の罪に対する罰でした。『その裁きは天にまでも達したから』です。(エレミヤ 51:9)同様に,大いなるバビロンの罪は,「重なり加わって天に達し」て,エホバご自身の注意を引くほどになりました。彼女は不正,偶像崇拝,不道徳,圧制,盗み,および殺人の罪を負っています。古代バビロンが倒れたことは,一つには彼女がエホバの神殿とその真の崇拝者たちに行なった事柄に対する復しゅうでした。(エレミヤ 50:8,14; 51:11,35,36)同様に,大いなるバビロンが倒れて,最後に滅びることは,彼女が何世紀にもわたって真の崇拝者たちに行なってきた事柄に対する復しゅうの表明となります。実際,彼女の最終的な滅びは,「わたしたちの神の側の復しゅうの日」の始まりとなります。―イザヤ 34:8-10; 61:2。エレミヤ 50:28。

      28 エホバはどんな公正の規準を大いなるバビロンに適用されますか。それはなぜですか。

      28 モーセの律法のもとでは,もしイスラエル人が仲間の同国人から物を盗んだなら,償いとして最後には二倍にして返さなければなりませんでした。(出エジプト記 22:1,4,7,9)大いなるバビロンの来たるべき滅びの際に,エホバはそれに匹敵する公正の規準を適用されます。彼女は自分の発したものの二倍を受けるはずです。憐れみが示されることはありません。なぜなら,大いなるバビロンは彼女の犠牲者たちに憐れみを少しも示さなかったからです。彼女は『恥知らずのおごった』生活を保つため,地の諸民族に寄生して生きてきました。今や彼女は苦しみと嘆きを経験します。古代バビロンは,絶対に安全な位置にあったと感じて,「わたしはやもめとして座ることはない。子供を失うことを知ることもない」と豪語しました。(イザヤ 47:8,9,11)大いなるバビロンもまた,安全だと感じています。しかし,「強い方」であられるエホバの定めた,彼女の滅びは,あたかも「一日のうちに」,素早く起きるでしょう!

      [脚注]

      a 「参照資料付き 新世界訳聖書」,脚注。

  • 荒廃させられる大いなる都市
    啓示の書 ― その壮大な最高潮は近い!
    • [263ページの囲み記事]

      『王たちは彼女と淫行を犯した』

      1800年代の初めごろ,ヨーロッパの商人たちは大量のアヘンを中国に密輸していました。1839年3月に中国の役人が英国の商人から送られた大箱2万個分の麻薬を差し押さえて,不法貿易をやめさせようとしました。その結果,英国と中国との関係は緊張しました。この二国の関係が悪化した時,プロテスタントのある宣教師たちは次のような声明を出して,戦争を行なうよう英国を促しました。

      「わたしはこの困難な事態を心から喜んでいます。なぜなら,英国政府は憤っているかもしれませんが,キリストの福音が中国に入るのを妨げている障壁を神がみ力をもって打ち砕いてくださるかもしれないと思うからです」― 南部バプテスト派宣教師ヘンリエッタ・シュック。

      ついに戦争が勃発しました。それは今日,アヘン戦争として知られています。宣教師たちは次のように述べて,心を込めて英国政府を激励しました。

      「わたしは現在の事態をアヘンや英国の問題というよりもむしろ,中国の排他主義の障壁を打ち破るという,この国に対する神の憐れみ深い目的を達成するのに人間の邪悪さを役立たせようとする,神の摂理による偉大な計画として顧みない訳にはいきません」― 組合教会派宣教師ピーター・パーカー。

      別の組合教会派の宣教師サミュエル・W・ウィリアムズは,こう付け加えました。「驚くべき仕方で起きた事柄すべてに神のみ手の働きがはっきりと認められるので,地上に剣を投ずるために来たと言われた方がここに来ておられること,またそれはご自分の敵を速やかに滅ぼし,ご自身の王国を樹立なさるためであることをわたしたちは疑うものではありません。この方は平和の君をしっかりと立たせる時まで,覆し,また覆してゆかれます」。

      中国人の恐るべき虐殺事件に関して,宣教師J・ルーイス・シュックはこう書きました。「わたしはこのような光景を……神からの真理の促進を妨げるがらくたを一掃するために主が直接お用いになる道具と考えます」。

      組合教会派の宣教師エリヤ・C・ブリジマンはこう付け加えました。「神はご自分の王国のための道を備えるために国家権力という強力な武力をしばしば用いてこられました。……この重大な時期における機関は人間的なものですが,それを導く力は神からのものです。すべての国を治める,位の高い統治者は,中国を懲らしめ,辱めるために英国をお用いになりました」。―以上は,「中国と米国における宣教事業」(ジョン・K・フェアバンク編,ハーバード研究論文)に掲載された,スチュアート・クライトン・ミラーの小論文,「目的と手段」(1974年,英文)からの引用文です。

      [264ページの囲み記事]

      『旅商人たちは……富を得た』

      「1929年から第二次世界大戦勃発の時まで,[ベルナディノ]ノガラ[バチカンの財政管理者]はイタリアの経済の様々な分野,特に電力,電話通信,信用取り引きや銀行業,小規模な鉄道,農機具・セメント・織物の製造などの分野に,バチカンの資本とバチカンの代理者たちを投入して働かせた。それら投機的な事業の多くは功を奏した。

      「ノガラは,ソキエタ・イタリアナ・デラ・ビスコサ,スペルテシレ,ソキエタ・メリディオナレ・インダストリエ・テシリ,およびキサライオンを含め,幾つかの会社を掌握した。それらを合併して一つの会社とし,キサ(CISA)-ビスコサと命名し,バチカンの極めて信任の厚い信徒の一人であるフランケスコ・マリア・オダッソ男爵の指揮下に置いたノガラは,次いでその新会社をイタリア最大の織物製造会社であるシニア(SNIA)-ビスコサに併合させるよう物事を巧みに操った。結局,バチカンの所有するシニア-ビスコサ社の株はますます増大し,やがてバチカンは同社を支配した。その証拠として,オダッソ男爵が後に副会長になったという事実がある。

      「こうして,ノガラはまさしく繊維業界に影響力を浸透させた。彼はほかの方法で他の業界にも影響力を浸透させた。というのは,ノガラは多くの策略をひそかに用意していたからである。この無私の人物は……イタリア経済に命を吹き込むため,恐らくイタリア史上ほかのどんな実業家よりも多くの事を行なったであろう。……ベニト・ムッソリーニは自分の夢見た帝国の建設を成し遂げることは決してできなかったが,バチカンとベルナディノ・ノガラに別の種類の支配力を作り出させることができた」―「バチカン帝国」,ニノ・ロ・ベロ著,71-73ページ(英文)。

      これは地の商人たちと大いなるバビロンとの密接な協力関係を示す一つの実例にすぎません。自分たちの事業上の提携者がもはやいなくなる時,それら商人たちが嘆き悲しむのも少しも不思議ではありません!

  • バビロンの終わりの際の悲嘆と歓び
    啓示の書 ― その壮大な最高潮は近い!
    • 37章

      バビロンの終わりの際の悲嘆と歓び

      1 「地の王たち」は大いなるバビロンの突然の滅びにどのように反応しますか。

      バビロンの終わりはエホバの民にとっては良い知らせですが,諸国民はそれをどう見るでしょうか。ヨハネはわたしたちにこう語ります。「そして,彼女の焼かれる煙を見る時,彼女と淫行を犯し,恥知らずのおごりのうちに暮らした地の王たちは,彼女のことで泣き,悲嘆して身を打ちたたくであろう。また,彼女の受ける責め苦を恐れるあまり,遠く離れたところに立って,こう言うであろう。『気の毒だ,気の毒なことだ,大いなる都市よ,強力な都市ともあろうバビロンよ,あなたの裁きが一時のうちに到来したとは!』」― 啓示 18:9,10。

      2 (イ)緋色の野獣の象徴的な十本の角が大いなるバビロンを滅ぼすというのに,「地の王たち」はどうして彼女の終わりを嘆き悲しむのでしょうか。(ロ)悲嘆に暮れた王たちは,どうして滅びに定められた都から遠く離れたところに立つのでしょうか。

      2 バビロンが十本の角のある緋色の野獣によって滅ぼされたことを考えると,諸国民の反応は驚くべきものと思えるかもしれません。(啓示 17:16)しかし,バビロンがなくなった時,「地の王たち」は,人々をなだめて従わせておくのに,自分たちにとって彼女がいかに有用だったかを,多分悟るでしょう。僧職者たちは戦争を神聖なものと宣言し,徴兵事務代理人を務め,また戦線に赴くよう若者たちに説教しました。宗教によって神聖な装いを施してもらった堕落した支配者たちは,その装いの陰で一般民衆を虐げる行動を取りました。(エレミヤ 5:30,31; マタイ 23:27,28と比較してください。)しかし,悲嘆に暮れたそれらの王たちは今や,滅びに定められたその都から遠く離れたところに立っている点に注目してください。王たちは彼女を助けに行けるほど近づこうとはしません。彼女がなくなるのを見て悲しみはしますが,彼女のために危険を冒すほどに悲しんだりはしません。

      商人たちは泣いたり,嘆いたりする

      3 大いなるバビロンが消え去るのをほかにだれが残念に思いますか。ヨハネはそのことを示すどんな理由を述べていますか。

      3 大いなるバビロンが消え去るのを残念に思うのは,地の王たちだけではありません。「また,地の旅商人たちは彼女のことで泣いたり嘆いたりする。自分たちが十分に仕入れた品を買ってくれる者がもうだれもいないからである。それは,十分に仕入れた金・銀・宝石・真珠・上等の亜麻布・紫布・絹・緋の布などの品,そして,香木類のすべてのもの,あらゆる種類の象牙細工,きわめて高価な木材や銅・鉄・大理石などでできたあらゆる種類の品物,また,肉桂・インド産の香料・香・香油・乳香・ぶどう酒・オリーブ油・上等の麦粉・小麦・牛・羊,そして馬・車・奴隷・人間の魂である。さらに,あなたの魂が欲したりっぱな果物はあなた[大いなるバビロン]から去り,すべての優美なものと華麗なものはあなたから滅び去った。そして人々は二度と再びそれらを見いださないであろう」― 啓示 18:11-14。

      4 「旅商人たち」はどうして大いなるバビロンの終わりを悲しんで泣いたり,嘆いたりするのでしょうか。

      4 そうです,大いなるバビロンは裕福な商人たちの親しい友,ならびに良い顧客でした。例えば,修道院,女子修道院,およびキリスト教世界の諸教会は何世紀にもわたって大量の金・銀・宝石・貴重な木材その他の種々の物質上の富を取得してきました。さらに,キリストを辱めるクリスマスや他のいわゆる聖日の祝いに付き物の,ふんだんに物を買って楽しんだり,飲んでばか騒ぎをしたりすることが,宗教によって祝福されてきました。キリスト教世界の宣教師たちは遠い国々に入って行き,この世の「旅商人たち」のために新しい市場を開きました。貿易商を伴って17世紀の日本に到来したカトリック主義は,封建時代の戦争にさえ関係しました。ブリタニカ百科事典は大阪城の城壁のもとで行なわれた決戦について報告し,「徳川軍は十字架や,救い主およびスペインの守護聖人である聖ヤコブの像などを描いた旗を持った敵と戦っていた」と述べています。勝利を収めた分子は迫害を加えて,日本のカトリック主義を事実上一掃しました。同様に今日,世の事柄に関係する教会は自らに何ら祝福をもたらしません。

      5 (イ)天からの声は,「旅商人たち」が嘆く様をさらにどのように描写していますか。(ロ)商人たちも,なぜ『遠く離れたところに立ち』ますか。

      5 天からの声はさらにこう言います。「これらの物の旅商人たちは,彼女によって富を得たのであるが,彼女の受ける責め苦を恐れるあまり遠く離れたところに立って泣き,また嘆きながらこう言うであろう。『気の毒だ,気の毒なことだ ― 上等の亜麻布と紫と緋をまとい,金の装飾と宝石と真珠で着飾った大いなる都市よ,これほど大きな富が一時のうちに荒れ廃れてしまうとは!』」(啓示 18:15-17[前半])大いなるバビロンが滅びると,「商人たち」はあの商業上の提携者を失うので嘆きます。それは彼らにとって本当に「気の毒だ,気の毒なことだ」と言えます。しかし,彼らが嘆くのは,全く利己的な理由からであること,また彼らは王たちのように,『遠く離れたところに立つ』ことに注目してください。彼らは大いなるバビロンを少しでも助けられるほど近づこうとはしません。

      6 天からの声は,船長や水夫たちが嘆く様をどのように描写していますか。彼らはなぜ泣くのでしょうか。

      6 記述はさらにこう続いています。「そして,すべての船長,またどこであろうと航海をする者は皆,また,水夫たちや海で暮らしを立てる者は皆,遠く離れたところに立って彼女の焼かれる煙を見ながら叫んで言った,『どの都市がこの大いなる都市のようだろうか』。そして,自分の頭に塵を掛け,泣いたり嘆いたりしながら叫んで言った,『気の毒だ,気の毒なことだ ― 大いなる都市よ,海に船を持つすべての者が,彼女のぜいたくのおかげでその中で富を得たのに。それが一時のうちに荒れ廃れてしまうとは!』」(啓示 18:17[後半]-19)古代のバビロンは商業都市で,大船団がありました。同様に,大いなるバビロンは,彼女の民である「多くの水」によって相当の商売をしているので,彼女の臣民の多くが職を得ています。この大いなるバビロンが滅びるのですから,それらの人々は何と大きな経済的打撃を被るのでしょう。生計のもととなる彼女のようなものは,ほかには決してないでしょう。

      彼女が滅ぼし絶やされるのを見て歓ぶ

      7,8 天からの声は,大いなるバビロンに関するその音信をどのように最高潮にもっていきますか。だれがその言葉にこたえ応じますか。

      7 メディア人とペルシャ人によって古代のバビロンが覆された時,エレミヤは預言的にこう述べました。「そして,バビロンのことで,天と地とその中のすべてのものは必ず喜び叫ぶであろう」。(エレミヤ 51:48)大いなるバビロンが滅ぼされる時,天からの声はその音信を最高潮にもっていって,大いなるバビロンについてこう言います。「天よ,また聖なる者と使徒と預言者たちよ,彼女のことで喜べ。神はあなた方のため,彼女に司法上の処罰を科したからである」。(啓示 18:20)今では復活させられて,24人の長老の取り決めのもとで地位を得ている,使徒たちや初期のクリスチャンの預言者たちが,神の古来の敵が滅ぼし絶やされるのを見て喜ぶ時,エホバとみ使いたちもそれを見て喜びます。―詩編 97:8-12と比較してください。

      8 確かに,「聖なる者」たちはすべて ― 天で復活させられていようと,なお地上で生き長らえていようと ― 喜びのために叫び,また共に交わっている,ほかの羊の大群衆もそうします。やがて,昔の忠実な人たちもすべて新しい事物の体制のもとで復活させられ,彼らもまた,その歓びに加わります。神の民は偽りの宗教を奉ずる迫害者たちに対してあだを討とうとはしませんでした。神の民は,「復しゅうはわたしのもの,わたしが返報する,とエホバは言われる」というエホバの言葉を思い起こしてきました。(ローマ 12:19。申命記 32:35,41-43)実際,エホバは今や,返報してくださいました。大いなるバビロンによって流された血すべてに対する復しゅうが行なわれてゆきます。

      大きな臼石を投げ込む

      9,10 (イ)ひとりの強いみ使いは今や何をしますか。また,何と言いますか。(ロ)啓示 18章21節の強いみ使いが行なったのと同様のどんなことがエレミヤの時代にも起きましたか。それは何を保証するものでしたか。(ハ)ヨハネの見た,強いみ使いの取った行動は,何を保証していますか。

      9 ヨハネが次に見る事柄は,大いなるバビロンに対するエホバの裁きが最終的なものであることを確証しています。「また,ひとりの強いみ使いが,大きな臼石のような石を持ち上げ,それを海に投げ込んで,こう言った。『大いなる都市バビロンはこのように,速い勢いで投げ落とされ,二度と見いだされることはない』」。(啓示 18:21)エレミヤの時代にも,強力で預言的な意味を持つ,同様のことが行なわれました。エレミヤは霊感を受けて,一つの書に「バビロンに臨むすべての災い」を書き記しました。そして,その書をセラヤに渡し,旅をしてバビロンへ行くように命じました。エレミヤの指図に従ったセラヤは,その地でその都に対する次のような宣言を読みました。「エホバよ,あなたご自身がこの場所に対して語られました。それはこれを断ち滅ぼし,その中に住む者が,人も家畜さえもいなくなり,これが定めのない時に至るまでただの荒れ果てた所となるためです」。次いで,セラヤはその書に一つの石を結び付けて,それをユーフラテス川に投げ込んで,こう言いました。「このようにバビロンは沈んで行き,わたしがこれにもたらす災いのために,それは決して起き上がることはない」。―エレミヤ 51:59-64。

      10 石を縛り付けられたその書が川に投げ込まれたことは,バビロンが忘却のかなたに投じられ,決して回復しないことの保証となりました。使徒ヨハネは,ひとりの強いみ使いが同様のことを行なうのを見ましたが,それも同様に,大いなるバビロンにかかわるエホバの目的が成就することの強力な保証となっています。古代バビロンの今日の完全な廃虚の状態は,近い将来,偽りの宗教に何が降り懸かるかに関する強力な証言となっています。

      11,12 (イ)強いみ使いは今や,大いなるバビロンに対してどのように語りかけますか。(ロ)エレミヤは背教したエルサレムに関して,どのように預言しましたか。それは現代に関して何を示唆していますか。

      11 その強いみ使いは今や,大いなるバビロンに対して語りかけ,こう言います。「そして,自分のたて琴に合わせて歌う歌い手や楽人や笛吹きやラッパ吹きの音は,二度とあなたのうちで聞かれない。どんな仕事の職人も二度とあなたのうちに見いだされない。ひき臼の音は二度とあなたのうちで聞かれず,ともしびの光は二度とあなたのうちに輝くことなく,花婿と花嫁の声も二度とあなたのうちで聞かれないであろう。あなたの旅商人たちは地の高位の者だったからであり,あなたの心霊術的な行ないによってあらゆる国民が惑わされたのである」― 啓示 18:22,23。

      12 エレミヤはこれに匹敵する言葉で,背教したエルサレムに関して次のように預言しました。「わたしは彼らの中から歓喜の音と歓びの音,花婿の声と花嫁の声,手臼の音とともしびの光を滅ぼす。そして,この地はみな必ず荒れ廃れた所,驚きの的とな(ら)なければならない」。(エレミヤ 25:10,11)大いなるバビロンの主要な部分であるキリスト教世界は,西暦前607年以後のエルサレムの荒廃した状態によって,ありありと描写されているような,生気のない廃虚と化してゆきます。かつて気楽に繁栄を楽しみ,日常生活の物音で活気にあふれていたキリスト教世界は征服され,捨てられてしまいます。

      13 大いなるバビロンにはどんな突然の変化が起きますか。彼女の「旅商人たち」はどんな影響を受けますか。

      13 み使いがここでヨハネに告げているように,大いなるバビロン全体は確かに,国際的な強力な帝国から砂漠のような荒廃した不毛の地となるでしょう。最高位を占める億万長者たちを含め,彼女の「旅商人たち」は個人的な益のため,あるいは隠ぺい手段として彼女の宗教を利用してきましたし,僧職者たちは彼らと一緒に人目につくようにするのが有利であることに気づいてきました。しかし,それらの商人たちにとって,自分たちの共犯者である大いなるバビロンはもはやいなくなってしまいます。彼女の秘教的な宗教上の慣行で地上の諸国民をだますことは,もはやなくなります。

      恐ろしい流血の罪

      14 強いみ使いは,エホバの裁きが厳しいものとなる,どんな理由を述べていますか。同様に,イエスは地上にいた時,何と言われましたか。

      14 結論として,強いみ使いは,エホバが大いなるバビロンをなぜそれほど厳しく裁かれるかについて告げ,こう述べます。「しかも彼女の中には,預言者と聖なる者たちの血,そして地上でほふられたすべての者の血が見いだされたのである」。(啓示 18:24)イエスは地上にいた時,エルサレムの宗教指導者たちに向かって,『義なるアベルの血から,地上で流された義の血すべて』に関して彼らに責任があるとお告げになりました。それゆえ,当時の心の曲がった世代は,西暦70年に滅ぼされました。(マタイ 23:35-38)今日,別の世代の宗教家たちが,神の僕たちを迫害してきたため,流血の罪を負っています。

      15 ナチ・ドイツのカトリック教会は二つの訴因の点で,どのように流血の罪を負いましたか。

      15 ギュンター・リューイは自著,「カトリック教会とナチ・ドイツ」(英文)の中で,こう記しています。「[1933年]4月13日,ババリアでエホバの証人の活動が禁止された時,教会は同派の禁じられた宗教活動に依然携わる会員がいたら,だれでも報告するようにとの文部・宗教省からの任務をさえ受け入れた」。ですから,教会は何千人もの証人たちを強制収容所に送り込んだ責任を負っており,その手は処刑された何百人もの証人たちの生き血で汚れています。ウィルヘルム・クセロウのような若い証人たちは,銃殺隊による果敢な死を遂げられることを示したので,ヒトラーは良心的兵役拒否者に対しては銃殺隊による処刑は上等すぎると判断しました。それで,ウィルヘルムの弟ウォルフガングは20歳の若さで,断頭台で死を遂げました。その同じ時に,カトリック教会はドイツの若いカトリック教徒に祖国の軍隊に入って死ぬよう励ましていました。教会が流血の罪を負っていることは一目りょう然です!

      16,17 (イ)大いなるバビロンは,どんな流血の罪を問われなければなりませんか。バチカンはナチの虐殺計画で死んだユダヤ人に関する流血の罪をどのように負うことになりましたか。(ロ)現代の何百もの戦争で殺された何千万もの人々に関して,偽りの宗教が責められるべき一つの点とは何ですか。

      16 しかし預言は,「地上でほふられたすべての者」の血について大いなるバビロンの罪を問わなければならないと述べています。現代でも確かにその通りです。例えば,カトリックの陰謀はヒトラーがドイツで政権を握るのを助ける働きをしたのですから,バチカンはナチの虐殺計画で死んだ600万のユダヤ人に関する恐るべき流血の罪にあずかっています。さらに,今の時代の何百もの戦争で優に1億人以上の人々が殺されました。偽りの宗教はこの点で責められるべきでしょうか。そうです,二つの点で責められるべきです。

      17 一つの点は,多くの戦争が宗教上の紛争に関係していることです。例えば,1946年から1948年にかけてインドのイスラム教徒とヒンズー教徒との間で生じた暴力行為は,宗教上の問題のために引き起こされ,何十万人もの人々の命が失われました。1980年代のイラン・イラク紛争も宗派間の不和が関係しており,何十万もの人々が殺されました。北アイルランドではカトリック教徒とプロテスタント間の暴力事件のために何千人もの人々の命が奪われました。この分野の調査を行なったコラムニスト,C・L・サルズバーガーは1976年にこう述べました。「世界の至る所で現に行なわれている戦争の恐らく半分,もしくはそれ以上が,紛れもない宗教紛争か,宗教上の論争に関係があるということは,不気味な事実である」。確かに,大いなるバビロンの不穏な歴史を通じて,これまでずっとその通りでした。

      18 世界の諸宗教が流血の罪を負っている二つ目の点とは何ですか。

      18 二つ目の点とは何ですか。エホバの見地からすれば,世界の諸宗教は流血の罪を負っています。なぜなら,エホバの僕たちに対するご要求に関する真理を追随者たちに納得できるように教えなかったからです。神の真の崇拝者はイエス・キリストに見倣い,どの国の出身かにかかわりなく他の人々に愛を示すべきであることを納得のゆくように教えてきませんでした。(ミカ 4:3,5。ヨハネ 13:34,35。使徒 10:34,35。ヨハネ第一 3:10-12)大いなるバビロンを構成している諸宗教は,そのような事柄を教えなかったため,信奉者たちは国際的な戦争の渦に巻き込まれてきました。20世紀前半に起きた二度の世界大戦はこのことを何とはっきり示しているのでしょう。その世界大戦は二回ともキリスト教世界で始まり,仲間の宗教家同士が何と互いに虐殺し合う結果になりました。もし,クリスチャンと称する人々すべてが聖書の原則を固守したなら,それらの戦争は決して起きなかったでしょう。

      19 大いなるバビロンはどんな恐ろしい流血の罪を負っていますか。

      19 エホバはこのすべての流血の責めを大いなるバビロンの足元に突きつけておられます。宗教指導者たち,とりわけキリスト教世界の宗教指導者たちが人々に聖書の真理を教えていたなら,これほど大量の流血は起きなかったことでしょう。ですから,確かに,大いなるバビロン,つまり偽りの宗教の世界帝国である大娼婦は,迫害を行なって殺した「預言者と聖なる者たちの血」のみならず,「地上でほふられたすべての者の」血に関してもエホバに対して責任を負わなければなりません。大いなるバビロンは恐ろしい流血の罪を確かに負っています。彼女がついに滅ぼされる時,何といい厄介払いができるのでしょう。

  • バビロンの終わりの際の悲嘆と歓び
    啓示の書 ― その壮大な最高潮は近い!
    • [270ページの囲み記事]

      妥協の代償

      ギュンター・リューイは自著,「カトリック教会とナチ・ドイツ」の中で,こう書いています。「もし,ドイツのカトリック主義が最初からナチ政権に断固として反対する政策を固守していたなら,世界史は多分,違った進路を取っていたであろう。たとえ,この戦いが結局はヒトラーを打ち負かすことができず,その数多くの犯罪を阻止できなかったにしても,そういう政策を固守したという点で,教会の倫理的威信を計り知れないほど高めたであろう。このような抵抗をすれば,多数の人間が犠牲になったであろうことは否定すべくもないが,そのような犠牲はあらゆる大義の中の最大の大義のために払われたものとなったであろう。国内戦線が当てにならなければ,ヒトラーはあえて戦争を始めなかったかもしれず,文字通り何百万人もの命が救われたかもしれない。……ナチに反対する何千人ものドイツ人がヒトラーの強制収容所で拷問を受けて死に,ポーランドの知識人が殺害され,何十万ものロシア人が標準的な人間以下のスラブ民族として扱われたために死に,600万人もの人間が“非アーリア人”であるとして殺害された時,ドイツのローマ・カトリック教会の当局者はこうした犯罪を行なう政権を支持した。ローマ・カトリック教会の宗教上の頭で,最高の精神的教師であるローマ法王は沈黙を守っていた」― 320,341ページ。

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