ルワンダの兄弟たちの勇敢な信仰
今年の初めごろ,アフリカの一国ルワンダから大虐殺に関する報告が伝えられた時,世界は衝撃を受けました。何世紀にもわたる敵意が頂点に達して,残酷な内戦が勃発していたのです。
法と秩序が完全に崩壊する事態に直面した,ルワンダの2,000人余りのエホバの証人は,命がけで避難せざるを得ませんでした。1,300人ほどの人は近くのザイールやタンザニアの難民収容所に無事逃れましたが,一部の人々は遅れたため,逃げられませんでした。わたしたちの兄弟姉妹 ― 大人も子供も,もちろんすべて一般市民 ― 約400人が狂気の暴力行為に巻き込まれて亡くなったことを報告するのは悲しいことです。世界中のクリスチャンは,忠誠を保ったこれら勇敢な人々の死を悼むと共に,復活に関する聖書の約束に慰めを見いだしています。―ヨハネ 11:25。
生き残ったルワンダの兄弟姉妹たちはどうしているのでしょうか。事情を直接調査するため,幾つかの国から長老たちが派遣されました。ある報告によれば,ルワンダの兄弟たちは「威厳と勇気をもって」事態に対処しているとのことです。例えば,兄弟たちが最初に要望したものの一つは聖書文書でした。その報告は次のような言葉で結ばれています。『兄弟たちは多くの物をすぐ必要としていますが,物質面の援助よりも霊的な食物を得ることに関心を抱いているようです』。それに,収容所の状態は劣悪ですが,『最も清潔なのは,わたしたちの兄弟たちが住んでいる所です』。
ものみの塔協会は,食糧,毛布,衣服,靴,医薬品などを購入する資金を用意してきました。フランスの兄弟たちは惜しみなく寄付を行ない,6月初めまでに,困窮しているルワンダの兄弟たちに2㌧ほどの物資を船で送りました。
こうした状況が結果として立派な証言になったのももっともなことと言えます。ルワンダの兄弟たちが仲間の証人たちからそのようにして助けられ,支えられたこと,またそのような援助物資を他の人たちと分かち合うことができるのを観察した人々は感動しました。また,収容所の中で自分たちの宗教団体の成員の訪問を受けたのはエホバの証人だけだと言った人もいます。
ルワンダの兄弟たちの窮状は,この「終わりの日」に人々が「粗暴な者」や「凶暴な者」になるということを思い起こさせます。(テモテ第二 3:1-5,「今日の英語訳」)エホバは身体的な危険から奇跡的に保護することをご自分の民に約束してはいませんが,民の霊性やご自分との関係を守ること,また今死ぬ人々をキリストの千年支配の期間中に復活させることは,確かに約束しておられます。(詩編 91:1-10)わたしたちは,この重大な試練の期間中,生き残っているルワンダの兄弟たちをエホバが支え,また助けてくださるよう,兄弟たちのためにひたすら祈ります。―詩編 46:1。