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二匹の凶暴な獣と戦う啓示の書 ― その壮大な最高潮は近い!
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「また,わたしは一匹の野獣が海から上って行くのを見た。十本の角と七つの頭があり,その角の上には十の王冠があったが,その頭には冒とく的な名があった。さて,わたしの見た野獣はひょうに似ていたが,その足は熊の足のようであり,その口はライオンの口のようであった。そして,龍は自分の力と座と大きな権威をその野獣に与えた」― 啓示 13:1(後半),2。
3 (イ)預言者ダニエルは幻の中でどんな凶暴な獣を見ましたか。(ロ)ダニエル 7章の巨大な獣は何を表わしていましたか。
3 この奇怪な獣は何でしょうか。聖書そのものが答えを述べています。西暦前539年にバビロンが陥落する前に,ユダヤ人の預言者ダニエルは凶暴な獣に関する幻を見ました。ダニエルはダニエル 7章2節から8節で,海から出て来る四頭の獣を描写しています。第一の獣はライオンに似ており,第二の獣は熊に,第三の獣はひょうに似ています。第四の獣については,「見よ,四番目の獣,恐ろしく,すさまじく,際立って強いものがいた……しかも十本の角があった」と記されています。これはヨハネが西暦96年ごろに見た野獣と驚くほどよく似ています。この獣にもライオン,熊,およびひょうの特徴があり,また十本の角があります。ダニエルが見た巨大な獣の実体は何ですか。ダニエルは,「これらの巨大な獣(は)……地から立ち上がる四人の王(である)」と教えています。(ダニエル 7:17)そうです,これらの獣は「王」,つまり地上の政治強国を表わしています。
4 (イ)ダニエル 8章のもう一つの幻の中で,雄羊と雄やぎはそれぞれ何を描いたものでしたか。(ロ)雄やぎの大いなる角が折られて,四本の角に取って代わられたことは,何を示唆していましたか。
4 ダニエルはもう一つの幻の中で,二本の角のある雄羊が一本の大きな角のあるやぎに打ち倒されるのを見ました。み使いガブリエルはそれが何を意味するかをダニエルにこう説明しています。「雄羊はメディアとペルシャの王を表わしている。また,毛深い雄やぎはギリシャの王を表わしている」。ガブリエルはさらに,その雄やぎの大いなる角が折られて,四本の角に取って代わられることを預言しました。このことは200年以上の後,アレクサンドロス大王が死んで,その王国が同大王の四人の将軍の支配する四つの王国に分裂した時に実際に起きました。―ダニエル 8:3-8,20-25。a
5 (イ)獣を意味するギリシャ語は,どんな言外の意味を表わしていますか。(ロ)啓示 13章1,2節の野獣とその七つの頭は何を表わしていますか。
5 ですから,霊感を受けて記された聖書の著者は明らかに,地上の政治強国を獣とみなしておられます。それはどのような獣でしょうか。ある注解者は啓示 13章1,2節の野獣のことを「けだもの」と呼び,さらに,「我々は,『テーリオン』[「獣」を意味するギリシャ語]が表わす,残忍で,破壊的で,恐ろしい,貪欲な動物,つまり怪物というような言外の意味すべてを真実とみなしている」と述べています。b これは,サタンが人類を支配するのに用いてきた血まみれの政治組織を何とよく描写しているのでしょう。この野獣の七つの頭は,聖書歴史の中でヨハネの時代に至るまで特徴づけられている六つの主要な世界強国,つまりエジプト,アッシリア,バビロン,メディア-ペルシャ,ギリシャ,およびローマと後代に現われることが預言されていた第七世界強国とを表わしています。―啓示 17:9,10と比較してください。
6 (イ)野獣の七つの頭は何をすることに率先しましたか。(ロ)神はユダヤ人の事物の体制に対するご自分の裁きを執行するため,どのようにローマをお用いになりましたか。エルサレムにいたクリスチャンはどうなりましたか。
6 ヨハネの見た「野獣」が,七つの頭と十本の角と一つの体でできていた通り,確かに歴史の中では七つの世界強国以外にもほかの世界強国がありました。しかし,七つの頭は,それぞれ順番に神の民を虐げることに率先した七つの主要な世界強国を表わしています。ローマが興隆しつつあった西暦33年に,サタンは野獣のその頭を用いて,神のみ子を殺させました。
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二匹の凶暴な獣と戦う啓示の書 ― その壮大な最高潮は近い!
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9 (イ)人は,サタンがその大きな権威を野獣に与えていると聖書が述べていることに異議を唱えるべきでないのは,なぜでしょうか。(ロ)聖書ではサタンはどのように描かれていますか。サタンは諸政府にどのように影響を及ぼしますか。
9 さらに,大きな権威を野獣に与えるのはサタンであると聖書は述べていますが,だれであれ,一体どうしてこのことに異議を唱えなければならないのでしょうか。その陳述の源は神であられ,神のみ前では『諸国民は手おけの一しずくのようであり,はかりの上の塵の薄い層のようです』。それら諸国民は,神の預言的なみ言葉の中で自分たちのことが描写されている仕方に腹を立てるよりも,神の恵みを得ようと努めるほうが良いでしょう。(イザヤ 40:15,17。詩編 2:10-12)サタンは死んだ魂を火の燃える地獄で責め苦に遭わせる役目を割り当てられた神話上の存在などではありません。そのような場所は存在しません。それどころか,サタンは聖書では「光の使い」として描かれており,政治情勢全般にわたって強力な影響力を行使する,欺きの名人です。―コリント第二 11:3,14,15。エフェソス 6:11-18。
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