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価値観は低下しているか目ざめよ! 2003 | 6月8日
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他の価値観の低下
ほかにも,昔からの価値観で著しく低下してきたものがあります。イングルハート教授が主宰した「世界価値観調査」は,先進工業国における「権威に対する敬意の低下」を報告しています。
もう一つ,伝統的に価値あることとされてきたのは,勤労意欲を持つことです。しかし,兆候からすると,これもまた低下しているようです。米国では,全国独立企業連盟が50万人余りの雇い主を対象に調査を行ないました。「調査の対象となった人々のうち,31%は空いているポストを満たす人を得にくいと述べ,21%は労働の質が概して悪いと述べ」ました。ある雇い主は,「二日以上続けて時間通りに,しらふで仕事に来る働き手を見つけるのは難しくなっている」と言います。
経済上の要素がこの低下傾向に拍車をかける場合もあります。収益が減少してくると,雇い主は労働者を解雇<レイオフ>したり,ある種の給付を削減したりします。「倫理と行動」誌(英語)はこう述べています。「忠誠心や専心的態度を持ちにくい状況に置かれる労働者は,それに比例して雇い主に対する消極的な態度を示すようになる。勤勉に働こうとする態度が見られないのは,明日には解雇されるかもしれないからだ」。
さらに,価値観が著しく低下している別の分野として,マナーと礼儀があります。オーストラリアでの一調査によると,「雇われている人の87.7%余りは,職場での無作法な振る舞いのためにやる気をそがれていると述べ」ました。ビジネスの専門家を対象にした米国での調査では,「回答者の80%が,職場での無作法が増大している」と述べました。CNNニュースは次のように伝えました。「接客態度があまりにお粗末で,過去1年間にそのために店から出たことがあると述べる人は,調査対象者の半数近くに及んだ。携帯電話で大声で,はた迷惑な仕方で話す人をよく見かけるという人も半数に上った。また,10人中6人が,車を運転していると,強引で無謀な運転をする人たちをいつも見かけると述べた」。
人間の命に対する見方はどうか
それなりの“価値観”を持っていると言っていても,必ずしもその言葉どおりに行動しない人もいます。例えば,世界倫理研究所が40か国の代表者を対象に調査を行なったところ,40%の人は,価値ある「最も大切な」もの五つの中に,「命に対する敬意」を挙げました。a
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価値観は低下しているか目ざめよ! 2003 | 6月8日
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ギャラップ調査の質問で,「人生において最も大切でないものは何ですか」と尋ねられた人の大半は,最も大切でない事柄二つの中に,「自分の宗教に忠実であること」を選びました。であれば,教会の礼拝出席者が減少し続けているのも不思議ではありません。イングルハート教授は,欧米の繁栄が「それまでになかった安心感を生み」,そのために「通常は宗教から得ていた安らぎの必要性が少なくなった」のではないかと述べています。
組織化された宗教に対する信頼の低下に比例して,聖書に対する信頼も失われています。ある国際的な調査で,道徳的な権威としてだれあるいは何に頼るか,という質問がなされました。回答者の大半は自分自身の体験を挙げました。同調査によると,「神の言葉は,1位とは大差の2位」でした。
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