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スイスとリヒテンシュタイン1987 エホバの証人の年鑑
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ベーレンモースで奉仕していた兄弟の中にハインリッヒ・ドウェンガーがいました。この兄弟は1887年にドイツで生まれ,バルメンにあった支部事務所を1909年に訪れた時,そこでバプテスマを受けました。その時その場で全時間奉仕を行なうよう勧められましたが,決定を下すのは容易ではありませんでした。両親は真理におらず,息子の職業に関して大きな期待を抱いていたからです。にもかかわらずドウェンガー兄弟は1910年10月から全時間奉仕を始めました。最初はバルメンの支部で,次にマクデブルクで奉仕し,その後,ポーランド,ハンガリー,チェコスロバキアでの難しい割り当てを果たしました。ドイツのゲシュタポに追跡され,結局,協会の指示でスイスへ来て,ベーレンモースの作業員になり,豚の世話を喜んで行ないました。後に幾年もの間,スイス支部の予約部門で奉仕しました。
エホバへの奉仕の人生を振り返って,ドウェンガー兄弟はこう語っています。「私は神の王国の良いたよりを宣べ伝えるという聖書的な責任を真剣に受け入れて本当によかったと思っています。人生の多くの年月を,さまざまな国のベテル・ホームで奉仕して過ごしてきました。ベテルでは,自分の気に入った仕事を選ぶというより,むしろ割り当てられた務めを果たすのが私の本分でした。それらの割り当てを忠実に果たすことによって,エホバがご自分の地上の組織を通して与えてくださる指導に従おうと常に努めてきて確かによかったと思います。なぜなら,これまで豊かな祝福の源となってきたのは実際そのような従順だったからです」。
1983年1月30日,ドウェンガー兄弟は96歳でその地上の歩みを終えました。スイス内外の数多くの兄弟姉妹の記憶の中には,ハインリッヒ・ドウェンガーのことが慎みと謙遜と従順の手本,見倣うべき手本として残っています。
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スイスとリヒテンシュタイン1987 エホバの証人の年鑑
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[145ページの図版]
1910年から1983年までベテル奉仕を続けたハインリッヒ・ドウェンガー,トゥーンの予約部門にて
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