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暴力行為 ― その問題に首尾よく対処しているか目ざめよ! 1989 | 4月22日
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テレビや映画の影響
暴力や残虐な行ないを見せ物にしたテレビ番組や映画を見る子供たちが増えており,それが暴力行為の増加の一因となっている,と言う権威者は少なくありません。例えばオーストラリアで,10歳と11歳の子供およそ1,500人を対象に,テレビや映画を見る習慣についての調査が行なわれ,オーストラリアの映画審査会は,子供たちが見た映画のうち半数を児童に不適当なものとみなしました。ところが,3分の1の子供たちは,暴力場面が特に面白かったと言ったのです。
ある子供は,「女の子が父親の頭をちょんぎって,それをバースデーケーキのように食べたところが面白かった」と説明しました。別の映画に関してある子供は,「エイリアンが女の人の頭を食べて,げっぷが止まらなくなったのが面白かった」と言い,もう一人の子供は,「みんなが一人の女をこま切れにして,その女から真っ白いものが吹き出したところが面白かった」と言いました。
研究者たちは,子供も大人もそのような内容のものを視聴しているうちに,暴力行為に対する欲望が培われる,という結論を下しました。また,親は子供を通して受ける強い社会的圧力におじけづき,あるいは惑わされて,子供にそのような映画を見るのを許している,とも述べました。
英国の独立放送協会は,暴力を呼び物にした番組を見ることの影響について調査を行ないました。視聴者全体の6%に当たる200万人は,犯罪を扱った番組を見たあと「かなり気が荒く」なる場合があると答えました。ロンドン・タイムズ紙は,新たに分かった事柄に関する報告の中で,子供たちはスクリーン上の暴力行為が現実のものではないことを理解せず,殺人は「日常茶飯事」という印象を受ける,と述べました。ですから,暴力行為に慣れ,自分でも暴行を働くことにほとんどやましさを感じない子供が多いとしても,何の不思議があるでしょうか。
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暴力行為 ― その問題に首尾よく対処しているか目ざめよ! 1989 | 4月22日
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[5ページの図版]
テレビで暴力行為が放映されることにより,現実の暴力行為が助長される場合がある
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