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テモテへの手紙聖書に対する洞察,第2巻
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テモテ第二の手紙の背景 西暦64年には大火がローマで荒れ狂い,全市のほぼ4分の1が破壊されました。犯人はネロ帝だといううわさが広まり,ネロは自分を守るためにクリスチャンに罪を着せます。政府による激しい迫害の波が押し寄せた理由はそこにあったようです。使徒パウロがローマで再び投獄されたのはきっとこのころ(西暦65年ごろ)でしょう。多くの人に見捨てられ,鎖につながれた苦しみを味わい,死が迫っていたにもかかわらず(テモ二 1:15,16; 4:6-8),同使徒はテモテに励ましの手紙を書きました。それは,会衆内の背教分子に抵抗し,迫害に面して堅く立つようこの若い仲間の働き人を備えさせる手紙でした。(2:3-7,14-26; 3:14–4:5)テモテはパウロの状況を知り,大きな患難のもとで忠実に忍耐する同使徒の良い模範から,励ましを得ることができたに違いありません。―2:8-13。
パウロはエホバの力にあって恐れることなく,テモテにこう説き勧めました。『自分が手を置いたことによって今あなたのうちにある神の賜物を,火のように燃え立たせなさい。神はわたしたちに,憶病の霊ではなく,力と愛と健全な思いとの霊を与えてくださったからです。ですから,わたしたちの主についての証しを恥じてはならず,この方のために囚人となっているわたしのことを恥じてもなりません。むしろ,神の力にしたがい,良いたよりのため,共に苦しみを忍んでください』― テモ二 1:6-8。
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テモテへの手紙聖書に対する洞察,第2巻
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第二の手紙はパウロの最後の投獄期間中(西暦65年ごろと思われる),死の少し前にローマで書かれました。―テモ二 1:8,17; 4:6-9。
信ぴょう性 テモテ第一および第二の手紙の信ぴょう性は十分に確立されています。西暦2世紀のムラトーリ断片をはじめとする古代の顕著な目録はすべてこの2通の手紙を正典として挙げています。非常に重要なのは,これらの手紙が聖書の残りの部分と完全に調和し,そこから引用していることです。この2通の手紙には,民数記(16:5; テモ二 2:19),申命記(19:15; 25:4; テモ一 5:18,19),イザヤ書(26:13; テモ二 2:19),イエス・キリストの言葉(マタ 10:10; ルカ 10:7; テモ一 5:18)からの引用,あるいはそれに間接的に言及した箇所が含まれています。注目に値するのは,信仰に言及した箇所が多いこと(テモ一 1:2,4,5,14,19; 2:7,15; 3:9,13; 4:1,6,12; 5:8,12; 6:10-12,21; テモ二 1:5,13; 2:18,22; 3:8,10,15; 4:7),また正しい教理(テモ一 1:3,4; 4:1-3,6,7; 6:3,4,20,21; テモ二 1:13; 3:14,15; 4:3,5),振る舞い(テモ一 2:8-11,15; 3:2-13; 4:12; 5:1-21; 6:1,2,11-14; テモ二 2:22),祈り(テモ一 2:1,2,8; 4:5; 5:5; テモ二 1:3),苦しみを経験しているあいだ忠実に忍耐すること(テモ二 1:8,12; 2:3,8-13)などを強調していることです。
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