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りんご聖書に対する洞察,第2巻
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りんご
(Apple)[ヘ語,タップーアハ]
ヘブライ語のタップーアハという言葉で表わされているものがどの木や果実のことなのかについては,多くの推測がなされています。
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りんご聖書に対する洞察,第2巻
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りんごではないという主張のおもな論点は,パレスチナの大部分が暑い乾燥した気候で,りんごの栽培に適していないということです。しかし,類縁のアラビア語のトゥッファーという言葉はおもに「りんご」を意味していますし,タプアハやベト・タプアハといったヘブライ語の地名(多分,その付近にこの果実が広く見られたのでそう名づけられた)が,このトゥッファーという語を用いたアラビア語の対応する地名に名残をとどめていることは注目に値します。(ヨシュ 12:17; 15:34,53; 16:8; 17:8)これらの場所は低地ではなく丘陵地にあり,気候は一般に幾らか穏やかです。それに,過去に何らかの気候の変化が生じた可能性も全くないとは言えません。今日イスラエルには実際にりんごの木が生育しているので,りんごは聖書の記述と十分合っているように思われます。19世紀にシリアとパレスチナで多年を過ごしたウィリアム・トムソンは,フィリスティアの平原のアシュケロン地方でりんご園を見つけたとさえ報告しています。―「聖地と聖書」,J・グランデ改訂,1910年,545,546ページ。
りんごの木(Pyrus malus)のことは,おもに「ソロモンの歌」の中で述べられており,シュラムの娘の友である羊飼いの愛の表現が,りんごの木の快い陰とその実の甘さに例えられています。(歌 2:3,5)
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