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バルサム,ギレアデのバルサム聖書に対する洞察,第2巻
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バルサム,ギレアデのバルサム
(Balsam,Balsam of Gilead)
「バルサム」という語は,芳香性の,そして一般に油状の,またやに質の物質を生じさせる,多くの草本,低木,および高木のいずれにも当てはまります。この語は,分泌される物質も指します。バルサムを分泌する木は,モミ,トウヒ,ポプラその他の樹木の仲間の中にあります。
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バルサム,ギレアデのバルサム聖書に対する洞察,第2巻
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ヘブライ語のボーセムとツォリーという言葉で表わされる,特定の植物もしくは木を明確に同定することはできません。「ギレアデのバルサム」という名称は,Commiphora opobalsamum(もしくは,Commiphora gileadensis)と呼ばれる,低木のような常緑樹に当てはめられてきました。茎や枝に切り込みを入れることにより,緑がかった黄色の油状のやにが採集され,幾つもの小さな玉になった樹液が後から集められます。この木はおもに南アラビアに見られますが,ユダヤ人の歴史家ヨセフスは,ソロモンの時代にエリコの周辺で栽培されていたことを示しており,ギリシャ人の地理学者ストラボンは,ローマ時代にガリラヤ湖のそばでも栽培されていたことを記録しています。
ツォリーが乳香の木(Pistacia lentiscus)のことではないだろうかとも言われてきました。この木は,乳香と呼ばれる薄黄色の香りのよい樹脂を生み出します。それに,樹皮,葉,および実からは医薬として用いられる油が採れます。この木はパレスチナではどこにでもあり,そのアラビア語名はヘブライ語のツォリーと大変よく似ています。
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