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森林を救うことができるか目ざめよ! 1987 | 6月22日
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酸性雨は地面に染み込むと,カルシウム,カリウム,アルミニウムといった天然の無機物を分解して下層へ運ぶため,木や草に不可欠な養分が失われます。
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森林を救うことができるか目ざめよ! 1987 | 6月22日
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現在行なわれている調査の示唆するところによると,化石燃料を使用している施設から大気中に排出される微量の有毒金属や自動車などの排気ガスが酸性雨に混じって,樹木の生息に必要な養分を破壊しているようです。権威者の中には,土壌の酸性化が続いているので微量元素が溶解して根から吸収され,樹木全体への水の供給が妨げられているのかもしれない,と考えている人もいます。
フライブルク大学のハンス・モール教授は,植物に不足しがちなまさにその物質,つまり窒素によって問題が生じているように思われる,と主張しています。同教授は,過去20年間に大気中の窒素化合物が50%増加したことを示す研究結果に言及しています。この増加は主に,自動車などの排気ガス,放電,ガス・石油・石炭などを燃料とするセントラルヒーティング,農業および廃棄物処理施設によるアンモニアの排出などが原因です。ゲッチンゲン大学のベルンハルト・ウルリッヒの論議によると,樹木は空気中にあるものによって窒息させられているのではなく,土の中にあるものによって毒されているということです。そのほかに,オゾンの濃度,水位の低下,あるいは非効果的な森林対策に非難の矛先を向けている権威者もいます。
「新しい方法に基づく研究によると,責めは単一の大気汚染物質にあるのではなく,むしろ今のところまだ分かっていない,汚染物質の相互作用にあるため,その総合的な影響力は個々の影響力よりも大きくなっている」と,スミソニアン誌は論評しています。これは大いにあり得ることです。大気汚染物質と呼ばれる化合物はおよそ3,000種存在しています。それらは数十年の間,森林を絶え間ないストレスにさらしながら集積されてきました。
生態系が健全で,汚染の影響を跳ね返せるほど強い状態にあった間は,すべてが順調にゆきました。しかし今では,霜,干ばつ,害虫などといった病気の諸原因が現われると,樹木は余りにも弱っているため,それに抵抗できないのです。
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