-
過ぐる1年の際立った事柄2013 エホバの証人の年鑑
-
-
トルコ: フェティ・デミルタシュ兄弟は困難を経験してきたが今も熱心に宣べ伝えている
2011年11月,ヨーロッパ人権裁判所はトルコがエホバの証人であるユヌス・エルチェプの良心の自由を侵害したという全員一致の判決を下しました。エルチェプ兄弟は,兵役を良心的に拒否したために有罪とされ投獄されました。1998年3月以降,兄弟は兵役の召集を39回受け,起訴された回数は30回余りに及びます。罰金を科され,投獄され,“宗教的妄想”を患っているとして精神病院に収容されました。
2004年10月,エルチェプ兄弟はヨーロッパ人権裁判所に申し立てを行ないました。同裁判所は判決の中で次のように述べました。「エホバの証人の一人である申立人が兵役の免除を求めているのは,純粋な宗教的信念に基づくものであり,自己の利益や便宜のためではない」。
フェティ・デミルタシュもトルコのエホバの証人で,2005年に召集された時,軍事上の訓練を受けることを拒みました。兄弟は逮捕され,殴打され,起訴され,554日間にわたって投獄された末,2007年6月に釈放されました。デミルタシュ兄弟は聖書に基づく信念を曲げなかったため,精神病を患っているとする報告書が作成されました。この裁判でもトルコは敗訴し,判決の中でヨーロッパ人権裁判所は,デミルタシュ兄弟がトルコの当局者によって非人道的な扱いを受けたことと,良心の自由の権利が侵害されたことを認定しました。
ヨーロッパ人権裁判所によるこれら二つの判決は,2011年7月の画期的な判決(「バヤティアン 対 アルメニア」事件)に続くものです。その判決の中で同裁判所の大法廷は,ヨーロッパ人権条約は良心的兵役拒否者の権利をも保護するものであることを確認しました。これらの判決は欧州評議会の構成国すべてに対して拘束力を持っており,トルコもそれに含まれています。
-