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チューリップ ― その波乱に富んだ過去目ざめよ! 1996 | 7月8日
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ところで,チューリップのルーツは実はトルコだということをご存じでしたか。
オランダのチューリップのルーツは東洋
植物学者のアデイライード・L・ストークによれば,12世紀のトルコの装飾品にはチューリップが描かれていますが,ヨーロッパ文学が初めてチューリップのことを述べているのは1550年代です。1553年に,フランスからの一旅行者が,「驚いた外国人たち」はコンスタンティノープル(イスタンブール)の市場で「大きな玉ねぎの付いた赤いゆり」を珍しがって買っている,と書いています。地元の人々はその花をドゥルベンド ―「ターバン」という意味のトルコ語 ― と呼んでいました。ストーク博士は,その語が「『チューリップ』の語源」になったと説明しています。
ターバンに似たこの花に興味をそそられた外国人の中に,トルコ駐在オーストリア大使(1555-1562年),オーキール・ギラン・デ・ブスベックがいました。ブスベックは球根を幾つかコンスタンティノープルからウィーンへ持って行きました。球根はハプスブルク家の皇帝,フェルディナント1世の庭園に植えられ,シャルル・ド・レクルーズの上手な管理の下でよく育ちました。このフランス人の植物学者は,カロルス・クルシウスというラテン名のほうがよく知られています。
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チューリップ ― その波乱に富んだ過去目ざめよ! 1996 | 7月8日
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しかし,チューリップに対する熱い思いは,チューリップ狂の余波を受けてもさめることがなく,チューリップの球根産業は再び盛んになりました。実際,オランダのチューリップは18世紀にはすでにたいへん有名になっていたので,トルコのスルタン,アフメット3世はオランダからチューリップを大量に輸入しました。こうして,オランダで育った,トルコのチューリップの子孫は長い旅をしてふるさとへ帰りました。
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