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「良いたよりを擁護して法的に確立する」エホバの証人 ― 神の王国をふれ告げる人々
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その後3年間,最高裁判所は19の訴訟に関してエホバの証人に不利な判決を下しました。特に意義深いのは,1942年に下されたジョーンズ対オペライカ市事件lに関する不利な判決です。ラスコー・ジョーンズは,アラバマ州オペライカの通りで許可税を払わずに文書を配布する活動に携わったかどで有罪となっていました。最高裁判所は有罪判決を支持し,政府には勧誘活動に妥当な料金を課す権利があり,地元の当局者が一方的に許可を取り消すことがあるとしても,そうした法律に異議を申し立てることはできないと述べました。これは手ひどい打撃となりました。今や,僧職者をはじめとする,証人たちに反対する者たちに扇動された地域社会は合法的に証人たちを締め出すことができ,そのようにしてエホバの証人の伝道活動を停止させ得るからです。反対者たちはそう考えたかもしれません。しかし,思わぬ事が起こりました。
形勢が一変する
エホバの証人の公の宣教にそのような打撃を加えたほかならぬジョーンズ対オペライカ事件の判決の際に,判事のうち3人は,自分たちがその事件に関して法廷の多数意見に同意しないだけでなく,ゴバイティス事件の際に今回の事件のための基礎を据えるよう助力したつもりであるとも述べました。そして,「我々はゴバイティス事件に関する意見に加わったゆえに,その件に関する判決も間違っていたと考えるに至ったことをこの機会に公言するのは妥当と思われる」と付け加えました。エホバの証人はそれをきっかけとして,問題を再び最高裁判所に提出しました。
ジョーンズ対オペライカ事件に関する再審理を求める申し立てがなされました。その申し立ての中で,力強い法的な論議が提出されました。さらにその申し立ては,「裁判所は際立った事実,つまり自分たちが全能の神の僕たちを裁いているということを考慮に入れるべきである」と断言していました。その言葉の意味を示す聖書中の先例が取り上げられ,律法教師ガマリエルが1世紀のユダヤ人の最高法廷に対して述べた,「この人たちに手出しせず,彼らをほっておきなさい。……さもないと,あなた方は,実際には神に対して戦う者となってしまうかもしれません」という助言に注意が向けられました。―使徒 5:34-39。
ついに1943年5月3日,画期的な訴訟であるマードック対ペンシルバニア州事件aの際に,最高裁判所はジョーンズ対オペライカ事件に関する同裁判所の以前の判決を破棄しました。同裁判所は,宗教文書を配布することによって信教の自由を行使するための前提条件として許可税を課すことは憲法違反であると述べました。この事件は米国のエホバの証人に新たな機会の扉を開くものとなり,この時以来,何百もの訴訟において根拠として引き合いに出されてきました。
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「良いたよりを擁護して法的に確立する」エホバの証人 ― 神の王国をふれ告げる人々
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[685ページの図版]
ラスコー・ジョーンズ。エホバの証人の宣教に関する彼の訴訟は合衆国最高裁判所に2度持ち込まれた
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