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頭はだれか2015 エホバの証人の年鑑
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宣教者が国外退去になった後,ドナルド・ノイルスが支部の監督に任命されました。兄弟は,20歳で,バプテスマを受けて4年しかたっていませんでした。巡回監督として数か月奉仕したことはありましたが,支部の仕事は全く初めてでした。兄弟は自宅の一室を事務所として使用しました。屋根がトタン,壁が木,そして床は地面がむき出しという質素な事務所で,シウダード・トルヒーヨ市内のグアレイという犯罪多発地区に位置していました。ノイルス兄弟はフェリクス・マルテの助けを借りて,国内の兄弟姉妹のために「ものみの塔」誌の写しを作りました。
1958年の謄写版刷り「ものみの塔」誌
マリー・グラスは,夫のエンリケが投獄されている間も,ノイルス兄弟の手助けをしました。こう語っています。「世俗の仕事が午後5時に終わると,ノイルス兄弟の事務所へ行き,『ものみの塔』誌をタイプしました。次にノイルス兄弟が謄写版でそれを複製しました。その後,“み使い”という暗号名のサンティアゴの姉妹が,18㍑入りの植物油の空き缶に雑誌を入れ,布をかぶせてから,キャッサバやジャガイモやタロイモを詰めました。そして一番上に麻袋をかぶせました。姉妹は公共の乗り物を使って国の北部へ行き,各会衆に1冊ずつ雑誌を届けました。会衆では,家族ごとにその雑誌を借りて研究しました」。
グラス姉妹はこう続けます。「注意深さが必要でした。通りには,捜査員がうようよしていたからです。彼らは『ものみの塔』がどこで印刷されているのかを突き止めようとしましたが,発見できませんでした。エホバがわたしたちをいつも保護してくださったからです」。
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