ヨルダン川の西のそのような位置をさらに支持しているように思われるのは，後にアベル･メホラがソロモンの第5の行政区の一部を成し，ヨルダン川の西の他の土地と共に挙げられているという事実です。（王一 4:12）そこはサウルの娘婿，メホラ人アドリエルの故郷であったようです。（サム一 18:19; サム二 21:8）収穫を祝う祭りの踊りがこのアベル･メホラという名の起こりかもしれません。

アドリエルはサウルの一番年上の娘メラブを妻として与えられましたが，メラブは以前からダビデに与えられることが約束されていた人でした。（サム一 18:17-19）後にアドリエルの5人の息子たちは，サウルがギベオン人の絶滅を企てたことに対する贖いの一部として，全員引き渡されて処刑されました。（サム二 21:8，9）この記述では，メラブではなくミカルがアドリエルの5人の息子たちの母とされています。ミカルは子供のないまま死んでおり（サム二 6:23），アドリエルの妻だったとはどこにも述べられていないので，ある翻訳者たちは，ミカルの名が出ているのは書写上の誤りであろうと見ています。しかし，ほとんどすべてのヘブライ語写本がミカルの名を用いています。そのため，伝統的な説明では，ミカルの姉メラブがアドリエルに5人の息子を産んだ後に若くして死に，そのあとミカルが姉の5人の子の養育を引き受けたので，その息子たちはミカルの子らとして語られるに至ったとされています。アイザック･リーサー訳のサムエル第二 21章8節は，「それにサウルの娘ミカルの五人の息子，彼女がアドリエルのために育てた子ら」となっています。