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じん香聖書に対する洞察,第1巻
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じん香
(じんこう)(Aloe,Aloeswood)[ヘ語,アハーリーム(複数形)およびアハーロート(複数形); ギ語,アロエー]
聖書時代に香料として用いられた,香りのよい物質つまり芳香性物質を含んでいる種々の木に当てはまる名称。(詩 45:8; 箴 7:17; 歌 4:14)大抵の注解者は,聖書で言うじん香樹とはAquilaria agallochaのことであると考えています。これはキャラとも呼ばれ,今日ではおもにインドやその近隣の地域に見られます。この木は大木となって枝を張り,30㍍の高さに達することもあります。幹の髄や枝の髄には樹脂と芳香のある油が染み込んでおり,その部分から非常に貴重な香料が得られます。その木材は腐った時に芳香性が最も高くなるらしく,腐朽の過程を早めるために地中に埋められることもあります。そして細かな粉末にされてから,“沈香”もしくは“伽羅”として市販されます。
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カシア聖書に対する洞察,第1巻
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カシア
(Cassia)[ヘ語,キッダー; ケツィーアー]
聖書では,この植物のことを指すのに二つのヘブライ語が用いられていますが,シリア語訳やタルグムを調べると,それらの語は同じ木,もしくはその木の産物を指して用いられていることが分かります。カシア(Cinnamomum cassia)は,現在では東アジアに生育し,肉桂と同じ科に属しています。高さが12㍍に達することもあり,光沢のある硬い葉を付けます。枝の内皮(カシア・リグネアと呼ばれる)は,切り取ると,乾燥して表皮がむけ,丸まって管状になります。これが市場に出荷されます。カシアの樹皮は,肉桂の樹皮よりもきめが粗く,刺激性があります。そのつぼみは丁子として料理に用いられ,十分に開花した花びらは乾燥させると,香りの良い香料となります。
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カシア聖書に対する洞察,第1巻
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幕屋の造営の際に,聖なるそそぎ油が用意された時,カシアは「最上の香物」の一つとして,そそぎ油の中に一成分として含められました。(出 30:23-25)カシアはティルスの都の商人や貿易商たちが扱った産物の中でも顕著なものでした。(エゼ 27:19)詩編 45編8節では,王の結婚の際に快い芳香を放つその衣を描写するためにケツィーアーという語が用いられています。この語はあと一度だけ,病気から回復した後のヨブに生まれた2番目の娘の名,ケツィアとして出て来ます。―ヨブ 42:14。
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