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月,II聖書に対する洞察,第2巻
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さらに,ジェームズ王欽定訳のマタイ 4章24節とマタイ 17章15節に見られる「発狂した」という語に異議を唱える人もいます。この表現はギリシャ語のセレーニアゾマイという語に由来しており,字義通りには「月光に影響された」という意味です。現代の翻訳では,この語は「てんかん」という語で訳されています。マタイがてんかんに相当するこの一般的なギリシャ語をこれら2か所で用いたからといって,彼がそのような病気を月のせいにしているわけでも,聖書がそう教えているわけでもなく,むしろギリシャ語を話す人々がてんかんの相当語として当時一般に用いていた名称と思われる言葉をマタイが用いていたに過ぎません。この点で注目できるのは,英語の“lunacy”(狂気)という語が今日ではおもに,精神異常のある度合いを表わす法律用語として法廷で用いられているということです。とはいえ,法廷の関係者が精神異常を月の影響のせいにしているわけではありません。同様に今日でも,英語を話すクリスチャンは週の2日目を指すのにMondayという名称を引き続き用いていますが,だからといってその日を月のために神聖にされた日とみなしているわけではありません。
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