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ヘロデ聖書に対する洞察,第2巻
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アンテパスは,ペトラに首都のあるアラビアの王アレタの娘と結婚していました。しかしローマへのある旅の途中,アンテパスは,ヘロデ大王とマリアムネ2世の息子である異母兄弟ヘロデ・フィリポ(四分領太守のフィリポではない)を訪ねました。その訪問中,彼はフィリポの妻ヘロデアに夢中になりました。ヘロデアは野心的に地位を欲していました。アンテパスはヘロデアを連れてガリラヤに帰り,彼女と結婚すると共に,アレタの娘と離婚して彼女を実家に送り返しました。この侮辱的な行動は,戦争を引き起こしました。アレタはアンテパスの領地に侵入し,甚大な損害を与え,もう少しでアンテパスを打ち倒すところまでゆきました。アンテパスは,ローマに訴えた結果,アレタを捕まえて殺すようにとの命令が皇帝から出されたので,命拾いしました。
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ヘロデ聖書に対する洞察,第2巻
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バプテスマを施す人ヨハネを殺す ヘロデ・アンテパスとヘロデアの姦淫の関係は,バプテスマを施す人ヨハネから戒めを受けました。ヨハネがこの件でアンテパスをたしなめたのは正当なことでした。アンテパスは名目上はユダヤ人であり,律法のもとにいると公言していたからです。アンテパスはヨハネを殺したいと思って獄に入れましたが,ヨハネを預言者と信じていた民を恐れていました。ところが,アンテパスの誕生日の祝いに,ヘロデアの娘はアンテパスをたいそう喜ばせたので,彼は何でも彼女の求めるものを与えると誓いました。ヘロデアは,娘にヨハネの首を求めるよう指示しました。ヘロデは気が進みませんでしたが,祝いに参列していた人々の前で面子を立てるため,また自分の誓いのゆえに,弱々しく言いなりになりました。(しかし,律法によれば,殺人のような違法行為を行なうという誓いには拘束されなかった。)― マタ 14:3-12; マル 6:17-29。
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ヘロデ聖書に対する洞察,第2巻
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5. ヘロデ・フィリポ。ヘロデ大王が大祭司シモンの娘マリアムネ2世によってもうけた息子。フィリポはヘロデアの最初の夫でした。ヘロデアは彼と離婚し,彼の異母兄弟ヘロデ・アンテパスと結婚しました。フィリポは,聖書のマタイ 14章3節,マルコ 6章17,18節,ルカ 3章19節に付随的に登場しています。
ヘロデ・フィリポという名は,四分領太守フィリポと区別するために使われています。というのは,ヨセフスによれば四分領太守フィリポも,ヘロデ大王が別の妻,すなわちエルサレムのクレオパトラによってもうけた息子だからです。
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ヘロデア聖書に対する洞察,第2巻
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したがって,バプテスマを施す人ヨハネがヘロデアとヘロデ・アンテパスのこの結婚を非難したのはもっともなことでした。その結婚はユダヤ人の律法下では違法かつ不道徳なものであったからです。そのように非難したため,ヨハネは獄に投げ込まれ,後に打ち首にされました。ヘロデアは彼の大胆不敵で義にかなった糾弾によって激しい憎しみをかき立てられ,最初の機会をとらえて預言者ヨハネを殺させました。―マタ 14:1-11; マル 6:16-28; ルカ 3:19,20; 9:9。
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