ものみの塔 オンライン・ライブラリー
ものみの塔
オンライン・ライブラリー
日本語
  • 聖書
  • 出版物
  • 集会
  • 徹 23章 181–188ページ
  • 「私の弁明をぜひ聞いてください」

視聴できるビデオはありません。

申し訳ありません,ビデオをロード中にエラーが発生しました。

  • 「私の弁明をぜひ聞いてください」
  • 神の王国について徹底的に教える
  • 副見出し
  • 関連する記事
  • 「皆は神をたたえ始めた」(使徒 21:18-20前半)
  • 「皆,律法を守ることに熱心です」(使徒 21:20後半,21)
  • 「うわさには何の根拠もな[い]」(使徒 21:22-26)
  • 「生きている値打ちなどない!」(使徒 21:27–22:30)
  • 「私はパリサイ派で[す]」(使徒 23:1-10)
  • 権威者たちの前で良いたよりを擁護する
    エホバの王国を告げ知らせるものみの塔(研究用)2016
  • 読者からの質問
    エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 2005
  • エホバの王国を大胆にふれ告げなさい!
    エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 1990
  • 初期クリスチャンとモーセの律法
    エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 2003
もっと見る
神の王国について徹底的に教える
徹 23章 181–188ページ

23章

「私の弁明をぜひ聞いてください」

怒った民衆の前,そしてサンヘドリンの前で,パウロが自分の信仰について語る

使徒 21:18–23:10

1,2. パウロがエルサレムにやって来たのはどうしてですか。パウロの前にどんな問題が立ちはだかりますか。

ついにエルサレムに戻ってきました。パウロは人で混み合う路地を歩いています。エルサレムは長年,エホバへの崇拝の中心地になってきました。エルサレムの人たちは,その輝かしい歴史を誇らしく思っています。でも,過去にばかり目を向け,エホバの新しい考えに合わせることができていない,とパウロは感じています。エフェソスにいた時に再びここに来ようと決めたのは,生活に困っている兄弟たちに寄付金を届けるためでしたが,会衆の人たちの信仰を強めたいとも思っています。(使徒 19:21)エルサレムに来るのが危険なのは分かっていましたが,決意は揺らぎませんでした。

2 エルサレムで,パウロの前にいろんな問題が立ちはだかります。一つは,兄弟たちとの間の問題です。パウロについての間違ったうわさが広まっていました。また,会衆の外からの攻撃もありました。パウロは根拠もなく告発され,打ちたたかれ,殺されそうになります。でも,そういう仕打ちに遭ったことで,かえって自分の信仰について伝えることができました。パウロは追い詰められても勇敢で,謙虚な心を忘れず,信仰を貫きました。素晴らしい手本です。調べてみましょう。

「皆は神をたたえ始めた」(使徒 21:18-20前半)

3-5. (ア)エルサレムでどんな集まりがありましたか。どんなことが話されましたか。(イ)パウロと長老たちの集まりで起きたことについて考えると,どんなことをしたくなりますか。

3 エルサレムに着いた次の日,パウロたちは会衆で責任を担う兄弟たちに会いに行きます。記録に使徒たちの名前が出てこないので,みんなエルサレムを離れて別の場所で奉仕していたと考えられます。でも,イエスの弟ヤコブは残っていました。(ガラ 2:9)「長老たちが皆」パウロたちを迎え,集まりを開いた時,ヤコブが司会をしたようです。(使徒 21:18)

4 パウロは長老たちに「あいさつし,自分の伝道によって神が異国人の間で行った事柄を詳しく話し始め」ます。(使徒 21:19)素晴らしい報告を聞いて,みんなうれしくなったはずです。現代でも,別の国々での良い報告を聞くと,元気が湧いてきます。(格 25:25)

5 パウロはどこかのタイミングで,ヨーロッパから持ってきた寄付金について話したはずです。長老たちは,遠くの兄弟たちの優しい心遣いに感動したことでしょう。パウロの話を聞いて,「皆は神をたたえ始め」ました。(使徒 21:20前半)現代でも,被災して困っていたり病気と闘ったりしているときに,仲間に助けられ,温かい言葉を掛けてもらうと,とても爽やかな気持ちになります。

「皆,律法を守ることに熱心です」(使徒 21:20後半,21)

6. パウロはどんなことを知らされましたか。

6 長老たちは続いて,パウロについての心配なうわさがユダヤに広まっていると話します。こう言います。「兄弟,知っていると思いますが,ユダヤ人の中には何万人もの信者がいて,皆,律法を守ることに熱心です。しかし,その人たちは,あなたについてこういううわさを聞いています。異国人の間にいるユダヤ人全てにモーセからの背教を説き,子供に割礼を施すことも昔からの慣行に従うこともしないよう告げている,といううわさです」。a (使徒 21:20後半,21)

7,8. (ア)ユダヤのクリスチャンの多くは,どんな間違った考え方をしていましたか。(イ)ユダヤ人のクリスチャンたちは背教していたわけではない,とどうしていえますか。

7 モーセの律法が無効になってから20年以上たっていたのに,いまだに律法を守ることに熱心なクリスチャンがいたのはどうしてでしょうか。(コロ 2:14)49年には,エルサレムで集まった使徒と長老たちが手紙を書いて,各会衆で読まれるようにしました。異国人のクリスチャンに,割礼を受けて律法を守る必要はないことを伝える手紙でした。(使徒 15:23-29)しかし,手紙の中でユダヤ人のクリスチャンについては書かれていませんでした。それで,ユダヤ人の多くは,モーセの律法がもう有効ではないことを理解していませんでした。

8 そういう間違った考え方をしているユダヤ人たちは,クリスチャンとはいえないのでしょうか。そんなことはありません。古い律法を守り続けることは,異教を崇拝していた人が以前の崇拝を続けているのとは,全く違います。ユダヤ人のクリスチャンが大事にしていた律法は,もともとエホバから与えられたものでした。異教とは無関係で,悪いものではありませんでした。でも,律法は古い契約に伴うもので,クリスチャンたちはすでに神と新しい契約を結んでいます。エホバを崇拝するために,もう律法は必要ではなくなっています。ユダヤ人たちは,エホバをもっと信頼して,新しい取り決めに順応しなければいけませんでした。自分の考えをエホバの今の考えに合わせていかなければいけませんでした。b (エレ 31:31-34。ルカ 22:20)

「うわさには何の根拠もな[い]」(使徒 21:22-26)

9. モーセの律法についてパウロはどんなことを教えましたか。

9 パウロが「異国人の間にいるユダヤ人全てに……子供に割礼を施すことも昔からの慣行に従うこともしないよう告げている」といううわさについてはどうでしょうか。パウロは,異国人に伝道する任務を受けていたので,律法を守る必要はないという決定を異国人に伝えました。また,異国人に割礼を受けさせようとする人たちが間違っていることも指摘しました。(ガラ 5:1-7)行った先のいろいろな町で,ユダヤ人にも伝道しました。イエスの死によって律法が無効になったことを話し,神から正しいと認められるのに必要なのは,律法を守ることではなくイエスに信仰を持つことだ,と説明したはずです。(ロマ 2:28,29; 3:21-26)

10. 律法や割礼について,パウロはバランスが取れた見方をしていました。どうしてそういえますか。

10 一方,パウロは,ユダヤ人の習慣を守ると安心するという人たちの気持ちも分かっていました。安息日に仕事を休んだり,特定の食べ物を食べなかったりする人がいましたが,パウロは批判しませんでした。(ロマ 14:1-6)割礼についても規則をつくったりはしませんでした。ユダヤ人がテモテのことを信用しやすくなるよう,テモテに割礼を受けさせることもしました。テモテの父親がギリシャ人だったからです。(使徒 16:3)パウロはガラテアのクリスチャンに,「割礼を受けているかどうかは問題ではありません。価値があるのは信仰であり,信仰は愛によって示されます」と言っています。割礼は個人が自分で決めることでした。(ガラ 5:6)それでも,律法は絶対だと考えて割礼を受けたり,エホバから正しいと認めてもらうには割礼が必要だと言い張ったりするのは,よくありませんでした。イエスへの信仰が欠けていることになってしまいます。

11. 長老たちはパウロにどんなことを勧めましたか。パウロはどんなことを考慮したと考えられますか。(脚注を参照。)

11 このように,うわさはかなり歪められたものだったといえます。でも,ユダヤ人たちはうわさに気持ちを乱されていました。それで長老たちはパウロにこう言います。「誓約を立てた4人の人が私たちの所にいます。この人たちを連れていって一緒に儀式上の清めをし,費用を出してやり,彼らが頭をそってもらえるようにしてください。そうすれば,誰もが,あなたについて聞かされているうわさには何の根拠もなく,あなたが正しく行動して律法を守っていることを知るでしょう」。c (使徒 21:23,24)

12. パウロは反論せず,どのように歩み寄ってエルサレムの長老たちに協力しましたか。

12 パウロは,うわさは間違っているし,そもそもユダヤ人のクリスチャンがモーセの律法に固執しているのがおかしい,と言うこともできました。でも,神の考えに反しない限り,できるだけ歩み寄ろうとしました。パウロはこう書いたことがありました。「[私は]律法の下にいる人に対しては律法の下にいる人のようになりました。私自身は律法の下にいませんが,律法の下にいる人を引き寄せるためにそうしたのです」。(コリ一 9:20)パウロは,エルサレムの長老たちに協力し,「律法の下にいる人のようになりました」。私たちもパウロに倣って,自分の考えややり方にこだわらず,長老たちに協力したいと思います。(ヘブ 13:17)

1. パウロがエルサレムの長老たちの指示を聞いている。2. 現代の長老の会合で,ほかの長老たちが挙手する中,1人の長老が真剣に考えている。

聖書の教えに反しない限り,パウロはできるだけ歩み寄った。あなたはどうですか。

ローマ法とローマ市民

ローマ政府は通常,地方政府にほとんど干渉しませんでした。ユダヤ人の事柄には,基本的にユダヤ人の律法が適用されました。ローマ人がパウロの件に関わったのは,あくまでも,パウロが神殿に行ったことで起きた暴動で治安が乱れる恐れがあったためでした。

ローマ当局は普通の属州民に対してかなりの力を持っていました。とはいえ,ローマ市民を扱う時は事情が異なりました。f 市民権を持つ人には特権が与えられ,それは帝国全土で認められ,尊重されました。例えば,有罪宣告を受けていないローマ人を縛ったり打ちたたいたりするのは違法なことでした。そのような扱いをしてもよいのは奴隷だけでした。ローマ市民には,属州総督の決定について,ローマにいる皇帝に上訴する権利もありました。

ローマ市民権を得る方法はいろいろありました。1つは相続です。また,個人あるいは町や地域全体の自由民が,ローマのためにした奉仕に応じて,皇帝から市民権を与えられることがありました。ローマ市民から自由を買った奴隷,ローマ人から解放された奴隷,ローマの補助軍を退役した軍人も,ローマ人になりました。市民権を買える場合もあったようです。軍司令官クラウディウス・ルシアスはパウロに,「私はこの市民権を大金を払って得たのだ」と言い,それに対してパウロは,「私は生まれながらのローマ市民です」と言いました。(使徒 22:28)詳しいことは分かりませんが,パウロの先祖の男性の1人が何かの方法でローマ市民権を得ていたようです。

f 1世紀,ユダヤに住むローマ市民はあまり多くなかったようです。3世紀になって,全ての属州民にローマ市民権が与えられました。

「生きている値打ちなどない!」(使徒 21:27–22:30)

13. (ア)ユダヤ人たちが神殿で騒動を起こしたのはどうしてですか。(イ)殺されそうになったパウロはどのようにして生き延びましたか。

13 神殿に行ったパウロはやがて危険な目に遭います。4人が誓約を終えるための期間が終了する頃,パウロはアジアから来たユダヤ人たちに目を付けられます。彼らは,パウロが異国人を神殿に連れ込んだと訴え,暴動を起こします。パウロは打ちたたかれ,危うく殺されそうになります。ローマの軍司令官がやって来たおかげで,命は落とさずに済みましたが,逮捕され,その後4年以上拘禁されることになりました。パウロが逮捕されても,騒動は収まりません。ユダヤ人たちは,どうしてパウロを襲ったのか軍司令官に尋ねられ,あれこれと叫びます。あまりの騒ぎのため,軍司令官は何も理解できず,結局,兵士たちがパウロを担いで兵営に連れていきます。兵営に入る前,パウロは軍司令官にこう言います。「どうか民に話すことを許可してください」。(使徒 21:39)軍司令官は許可し,パウロは自分が信じていることを堂々と語り始めます。

14,15. (ア)パウロはユダヤ人たちにどんなことを説明しましたか。(イ)ユダヤ人が憤慨しているのはどうしてかを知るため,軍司令官はどんなことをしましたか。

14 「私の弁明をぜひ聞いてください」とパウロは切り出します。(使徒 22:1)ヘブライ語で話し始めると,群衆は静かになります。パウロは,聞いているユダヤ人たちがその気になれば確かめられる事柄に触れながら,自分がどうしてクリスチャンになったのかをありのままに語ります。昔,有名な教師ガマリエルから直接教わりました。以前はクリスチャンを迫害していました。そういうことを知っていた人たちもその場にいたかもしれません。でもある時,パウロはダマスカスに向かう途中,幻を見,復活したキリストから話し掛けられました。一緒にいた人たちも明るい光を見て,声を聞きましたが,何を言っているかは分かりませんでした。(スタディー版の使徒 9:7; 22:9の注釈を参照。)パウロは目が見えなくなったため,一緒にいた人たちに手を引いてもらってダマスカスまで行きました。そして,そこのユダヤ人たちに知られていたアナニアに出会い,アナニアのおかげで視力を取り戻しました。

15 パウロは続けて,エルサレムに戻った時に神殿でイエスの姿を見たことを話しました。すると,ユダヤ人たちは気分を害し,こう叫びます。「こんな男は地上から消してしまえ。生きている値打ちなどない!」(使徒 22:22)パウロが襲われないよう,軍司令官はパウロを兵営の中に連れていくよう命令します。そして,ユダヤ人が憤慨しているのはどうしてかを知るため,パウロをむち打って取り調べるよう命じます。しかしパウロは,自分がローマ市民であることを話し,法的な権利を主張します。現代のエホバの証人も,信仰の生き方を守るため,法的な権利を行使することがあります。(「ローマ法とローマ市民」と「現代の法的な闘い」という囲みを参照。)パウロがローマ市民だと聞いて,軍司令官は別の方法を取らなければいけないと考えます。翌日,ユダヤ人の最高法廷サンヘドリンを集め,そこへパウロを連れていきました。

現代の法的な闘い

使徒パウロと同じように,現代のエホバの証人は,伝道への制限が取り除かれるようにするため,できる限りの法的手段を取ってきました。「良い知らせを擁護し,その知らせを広める法的権利を得る」ために闘ってきました。(フィリ 1:7)

1920年代と1930年代に,聖書出版物を配布したために多くのエホバの証人が逮捕されました。1926年には,ドイツの裁判所で897件が係争中でした。たくさんの訴訟があったため,ドイツ支部に法律部門がつくられました。1930年代,アメリカだけでも,戸別伝道を理由とする逮捕が年に何百件もあり,1936年には1149件に達しました。裁判をサポートするため,アメリカにも法律部門がつくられました。ルーマニアでは,1933年から1939年までの間に,エホバの証人に対する訴訟が530件ありましたが,ルーマニア高等法院への上訴によって,良い判決が多く得られました。他の国や地域でも同じような進展が見られています。

クリスチャンは政治に関わらないでいつも中立でいます。それで自分の良心を守るために,ある種の活動には参加できないことがあります。そういうとき,法的な問題が生じてきました。(イザ 2:2-4。ヨハ 17:14)エホバの証人が扇動罪で訴えられ,結果として,活動が完全に禁止されることもありました。しかし,これまでに多くの政府が,エホバの証人は危険な存在ではないことを認めています。g

g 世界各地でのエホバの証人の法的な勝利については,「神の王国は支配している!」の本の15章と「エホバの証人 ― 神の王国をふれ告げる人々」の本の30章を参照。

「私はパリサイ派で[す]」(使徒 23:1-10)

16,17. (ア)パウロがサンヘドリンの前で話し始めると,どんなことが起きましたか。(イ)パウロは打たれた時,どのように謙虚な姿勢を取りましたか。

16 パウロはサンヘドリンの前でこう話し始めます。「皆さん,兄弟たち,私は今日まで,神の前で良心に全くやましいところなく行動してきました」。(使徒 23:1)しかし,すぐに邪魔が入ります。こう書かれています。「すると大祭司アナニアが,パウロの口を打つようにと,そばに立っている人たちに命じた」。(使徒 23:2)ひどい侮辱です。説明も聞かずに悪いと決め付けるのは明らかにおかしいことです。パウロがこう言ったのも無理はありません。「白く塗った壁よ,あなたは神に打たれます。律法に従って私を裁くために座っていながら,私を打つように命令して律法を破るのですか」。(使徒 23:3)

17 そばに立っている人たちは驚きます。パウロが打たれたからではありません。パウロが言った言葉に驚きました。そしてこう言います。「おまえは神の大祭司を侮辱するのか」。パウロは謙虚に間違いを認め,次のように言って律法を尊重しました。「兄弟たち,大祭司だとは知りませんでした。確かに,『民の支配者を悪く言ってはならない』と書いてあります」。d (使徒 23:4,5。出 22:28)パウロは別のアプローチを試みることにします。サンヘドリンがパリサイ派とサドカイ派から成っていることを踏まえ,こう言います。「皆さん,兄弟たち,私はパリサイ派で,パリサイ派の人の子です。死者の復活の希望に関して裁かれているのです」。(使徒 23:6)

兄弟が聖職者に伝道している。聖職者は自分の聖書を真剣に見ている。

別の宗教の人と話すとき,相手との共通点をベースにする。

18. パウロが自分はパリサイ派だと言ったのはどうしてですか。私たちもどんなときに同じようなことができますか。

18 パウロはどうして,自分はパリサイ派だと言ったのでしょうか。「パリサイ派の人の子」つまりパリサイ派の家庭で育った人だったからです。現にパウロのことをパリサイ派の人と見なす人も少なくなかったはずです。e それにしても,自分はパリサイ派だと言って復活の希望に言及したのはどうしてでしょうか。パリサイ派は,死後も魂が生き続け,正しい人の魂は再び人間の体に入って生きると信じていました。パウロはもちろんそういう復活は信じていませんでした。信じていたのは,イエスが教えた復活です。(ヨハ 5:25-29)でも,復活の希望を持っているという点ではパリサイ派と同じで,復活を信じていないサドカイ派とは違っていました。私たちもパウロと同じようにできるかもしれません。神を信じる人と話す時に,自分も神を信じていると言えます。もちろん,私たちが信じているのは聖書の神で,相手が信じている神とは違うかもしれません。それでも,神の存在を信じているという点では同じです。

19. サンヘドリンの集まりで収拾がつかなくなったのはどうしてですか。

19 パウロの言葉によって,サンヘドリンは真っ二つに分かれます。こう書かれています。「大きな騒動になり,パリサイ派の律法学者たちが立ち上がって激しく主張し始め,『この人には全く悪いところはない。目に見えない創造物や天使が彼に話したのであれば,―』と言った」。(使徒 23:9)天使がパウロに話したかもしれないという言葉を聞いただけで,サドカイ派はひどく怒ったはずです。天使の存在を信じていなかったからです。(「サドカイ派とパリサイ派」という囲みを参照。)論争が激しくなり,軍司令官はまたもパウロを外に連れ出します。(使徒 23:10)それでも危険がなくなったわけではありません。パウロはこれからどうなるのでしょうか。次の章で続きを見ましょう。

サドカイ派とパリサイ派

サンヘドリンは,ユダヤ人の国家行政評議会で,高等法廷でした。対立する2つの派,サドカイ派とパリサイ派が勢力を持っていました。1世紀の歴史家フラウィウス・ヨセフスによれば,両者の大きな違いは,パリサイ派は多くの伝統的な慣行を市民に守らせようとしたのに対し,サドカイ派はモーセの律法にある事柄だけを義務と見なしたことです。この2つの教派はどちらもイエスの教えに否定的でした。

保守的な傾向があったサドカイ派は,祭司階級の中で幅を利かせており,大祭司経験者のアンナスとカヤファもサドカイ派に属していたと思われます。(使徒 5:17)もっとも,サドカイ派の教えは「裕福な人の支持しか得られなかった」と,ヨセフスは言っています。

一方,パリサイ派は,民衆に大きな影響力を持っていました。しかし,極端なまでに儀式上の清さを重んじるなど,あまりに厳格だったため,律法を守ることが一般人にとって負担になりました。サドカイ派とは異なり,パリサイ派は運命を信じ,死後も魂が生き続けて美徳や悪徳に応じた報いや罰を受ける,と考えていました。

a これほど多くのユダヤ人のクリスチャンがいたので,個人の家で集まる会衆がたくさんあったと思われます。

b 数年後,パウロはヘブライ人のクリスチャンに手紙を書き,新しい契約がどう優れているかを教えました。新しい契約が古い契約に取って代わったことをはっきり説明しています。パウロの説明のおかげで,クリスチャンたちは,反対意見を言うユダヤ人にどう答えるとよいかが分かったはずです。また,モーセの律法に愛着があったクリスチャンたちも,こだわりを捨てて信仰を強めることができたはずです。(ヘブ 8:7-13)

c 学者たちによれば,この人たちはナジルの誓約をしていたのかもしれません。(民 6:1-21)もちろん,ナジルの誓約について規定したモーセの律法はもう有効ではありませんでした。でもパウロは,その人たちがエホバへの誓約を果たすのは間違ったことではないと考えたのかもしれません。それで,費用を払い,同行することにしたようです。誓約がどんなものだったのか詳しくは分かりません。とはいえ,いずれにしてもパウロは,ナジルがしたように動物の犠牲を捧げることで罪が償われると信じていたわけではないでしょう。すでにキリストの完全な犠牲が捧げられていたので,動物の犠牲で罪を償うことはできませんでした。パウロが何をしたのか具体的には分かりませんが,良心が痛むようなことはしなかったはずです。

d もしかすると,パウロは目が悪くて,その人が大祭司だと分からなかったのかもしれません。長い間エルサレムを離れていたので,今の大祭司が誰なのかを知らなかった,ということもあり得ます。あるいは,単に人だかりのせいで,誰が命令したのかよく見えなかったのかもしれません。

e 49年,異国人がモーセの律法を守るべきかについて使徒や長老たちが話し合っていた時にも,その中に,「以前はパリサイ派だった信者」と呼ばれる人たちがいました。(使徒 15:5)

    日本語出版物(1954-2026)
    ログアウト
    ログイン
    • 日本語
    • シェアする
    • 設定
    • Copyright © 2025 Watch Tower Bible and Tract Society of Pennsylvania
    • 利用規約
    • プライバシーに関する方針
    • プライバシー設定
    • JW.ORG
    • ログイン
    シェアする