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神の王国聖書に対する洞察,第1巻
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「わたしたちの主とそのキリストの王国」 西暦1世紀の末に著作を行なっていた使徒ヨハネは,エホバ神がご自分の支配権をご自身のみ子によって新たに表明なさる将来の時代を神からの啓示により予見しました。その時には,ダビデが契約の箱をエルサレムに運び上らせた時のように,エホバが「ご自分の大いなる力を執り,王として支配を始められた」と言われることになっていました。それは,天において大声で,「世の王国はわたしたちの主とそのキリストの王国となった。彼は限りなく永久に王として支配するであろう」とふれ告げる時となるのです。―啓 11:15,17; 代一 16:1,31。
「わたしたちの主」,すなわち主権者なる主エホバはご自分の権威を「世の王国」に対して行使し,この地に対するご自身の主権の新たな表明となるものをお立てになります。エホバはその王国での副次的な役割をご自分のみ子イエス・キリストにお与えになるので,その王国は「わたしたちの主とそのキリストの王国」と呼ばれています。この王国は,コロサイ 1章13節で述べられている「ご自分の愛するみ子の王国」よりも規模が大きく,一層広範にわたる王国です。「ご自分の愛するみ子の王国」は西暦33年のペンテコステの際に機能し始め,キリストの油そそがれた弟子たちを治めてきましたが,「わたしたちの主とそのキリストの王国」は,「諸国民の定められた時」の終わりに生み出されて,地上の全人類を治めます。―ルカ 21:24。
イエス・キリストは「世の王国」での役割を受けるとすぐ,神の主権に反対する勢力を一掃するための必要な処置を講じます。その最初の行動は天的な領域で起こされ,サタンとその悪霊たちは打ち負かされて地的な領域に落とされます。その結果,「今や,救いと力とわたしたちの神の王国とそのキリストの権威とが実現した」とふれ告げられることになります。(啓 12:1-10)この主要な敵対者サタンは,自分に残されている短い期間中,女の「胤」の「残っている者たち」,つまりキリストと共に統治することになっている「聖なる者たち」と戦うことにより,創世記 3章15節の預言を成就し続けます。(啓 12:13-17。啓 13:4-7; ダニ 7:21-27と比較。)とはいえ,エホバの「義なる定め」は明らかにされ,神の裁きは神に反対する者たちに対し災厄として表明されます。その結果,地上で神の僕たちを迫害してきた主要な者である,秘義とされてきた大いなるバビロンは滅ぼされます。―啓 15:4; 16:1–19:6。
その後,「わたしたちの主とそのキリストの王国」はハルマゲドンの戦いに際し,地上のすべての王国の支配者たちとその軍勢に天軍を指し向けて,彼らを終わらせます。(啓 16:14-16; 19:11-21)これは,「あなたの王国が来ますように。あなたのご意志が天におけると同じように,地上においてもなされますように」という,神への請願に対する答えとなります。(マタ 6:10)その後,サタンは底知れぬ深みに入れられ,キリスト・イエスとその仲間が王ならびに祭司として地の住民を支配する千年の期間が始まります。―啓 20:1,6。
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主聖書に対する洞察,第1巻
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エホバ神 エホバ神は「天地の主」であり,創造者としての立場のゆえに宇宙の主権者であられます。(マタ 11:25; 啓 4:11)啓示 11章15節に述べられているように,天的な被造物はこの方を「主」と呼んでいます。その聖句は,「大きな声が天で起きてこう言った。『世の王国はわたしたちの主[エホバ]とそのキリストの王国となった』」と述べています。地上にいる神の忠実な僕たちは神に「主権者なる主」と呼びかけていますが,この称号は霊感を受けた聖書の中に300回余り出て来ます。(創 15:2; 啓 6:10)この方は適切なことに,「まことの主」とも描写されています。(イザ 1:24)人々を命の側に集める,つまり収穫する業は,この方の指示によって行なわれています。ですから,収穫を助けるためにより多くの働き人を求める請願は,「収穫の主人[主]」であるその方に対してなされなければなりません。―マタ 9:37,38。新世,付録,1758-1760ページを参照。
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世,世界聖書に対する洞察,第2巻
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不敬虔な世は終わり,人類は存続する したがって,イエスがそのために死なれたコスモスは,単に人間家族とみなされる人類の世,つまり肉なるすべての人間を意味しているに違いありません。(ヨハ 3:16,17)神から疎外された人間社会という意味での,神に対して実際に敵対関係にある世について言えば,イエスはそのような世のためには祈らず,その世から出てご自分に信仰を置いた人々のためにのみ祈られました。(ヨハ 17:8,9)イエスは,大洪水の際に肉なる人間が不敬虔な人間社会である世の滅びを生き延びたように,ご自分がその大洪水になぞらえた大患難をも,肉なる人間は生き延びることを示されました。(マタ 24:21,22,36-39。啓 7:9-17と比較。)事実,「世の王国」(人類の王国を意味すると思われる)は,「わたしたちの主とそのキリストの王国」となることが約束されており,キリストと共にその天の王国で統治する人々は「地に対し王として支配する」ことになっています。したがって,死に絶えた,サタンに支配された不敬虔な人間社会とは別の人類に対して支配するのです。―啓 11:15; 5:9,10。
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