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「御心が地に成るように」(その22)ものみの塔 1959 | 11月15日
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共に統治するため,天的な召と天的な復活を見こんでいるからです。イエス・キリストの足跡に従うヱホバの献身した民たちの会衆には,監督たちがいます。それらの者たちは,栄光を受けたイエスがその右の手に持つ「星」になぞらえられています。(黙示 1:16,20,新口)この象徴的な「天の衆群」と「星」は,神の御国の良いたよりの天的な光で輝いています。祈りは神の御国のためにささげられているのです,「御国がきますように。みこころが天に行われるとおり,地にも行われますように。」― マタイ 6:10,新口。
21 いつ第七番目の世界強国は,彼らを地に投げおとして踏みつけましたか。その滅びは,どの程度に行われましたか。
21 第七番目の世界強国は,これらの「聖徒たち」を滅ぼそうと努めました。しかし,その成功は部分的なものだつたのです。第一次世界大戦中,アメリカと英国領土内で「ひと時と,ふた時と,半時の間」彼らを地に投げおとして踏みつけました。(ダニエル 7:25,新口)b そのとき天的な光は,地上で極めてうすぼんやりとしか照らなかつたのです。
ヱホバの聖所を投げすてる
22 その象徴的な「小さな角」は,「衆群の主」に敵対して,どのように高ぶりましたか。
22 むかしユダの地が70年のあいだ荒廃して後,ヱホバの聖所をエルサレムに再建した人々にむかい,預言者ゼカリヤは次のように言いました,「万軍のヱホバかく言いたもう……なんじらを打つ者は彼の目の珠を打つなればなり。」(ゼカリヤ 2:8)それで,ヱホバの献身した「衆群」すなわち地上にある聖所級を攻撃した第七次世界強国は,実際には万軍のヱホバを攻撃したのです。象徴的な「小さな角」は全く「みずから高ぶつて,その衆群の主に敵し,その常供の燔祭を取り除き,かつその聖所を倒した。」(ダニエル 8:11,新口)ヱホバ神は,聖徒たちの衆群の「主」すなわち神権的な長です。そして彼らはヱホバ神がその聖霊によつて住まわれる「聖所」をつくり上げます。(エペソ 2:21,22,新口)象徴的な「小さな角」である第七次世界強国は,神の御国よりも偉大なものであると高ぶりました。それは地上における全地の主権の引き渡しを拒絶し,「諸国民の定められた時」が1914年に終つた時天に設立された神の御国に,その主権を渡そうとしませんでした。それは,神の聖所級の者すなわち神の献身した聖徒たちが,第七次世界強国なる大英帝国とアメリカ内で伝道しようと努力していた神の御国の良いたよりに対し,侮べつに満ちた取りあつかいをしました。
23 どのように,そしていつその象徴的な「小さな角」は,彼から「常供の燔祭」を取りのぞきましたか。
23 その御国の音信は,日々ヱホバ神にささげられていたさんびの言葉でした。丁度,日々たえず「衆軍の主」にささげられた犠牲のようでした。神の聖徒たちにより全世界で音信を伝道しようとする努力が行われたのです。これらの者たちは,イエスの弟子たちに与えられた次のいましめに従おうと良心的に努めていました,「私たちはイエスによつて,さんびのいけにえ,すなわち,彼の御名をたたえるくちびるの実を,たえず神にささげようではないか。そして,善を行うことと施しをすることとを,忘れてはいけない。神は,このようないけにえを喜ばれる」(ヘブル 13:15,16,新口)。さんびのいけにえは,彼らの生涯の目的と使徒ペテロとの言葉を一致させるものでした,「あなた方も,それぞれ生ける石となつて,霊の家に築き上げられ,聖なる祭司となつて,イエス・キリストにより神によろこばれる霊のいけにえを,ささげなさい」(ペテロ前 2:5,新ロ)。象徴的な「小さな角」,すなわち「その顔は猛悪で,なぞを解く王」は,神の御国によつて自分の影がうすくなり,羊のような性質を持つ人々が神の御国に頼つて救いを受けるのを好みませんでした。それで,この「さんびのいけにえ」「神によろこばれる霊のいけにえ」が,日々たえず神にのぼることを無念に感じました。第七次世界強国は,愛国主義という口実をもうけ,またキリスト教国の宗教指導者たちのそそのかしにも従い「ひと時と,ふた時と半時」のあいだ「その常供の燔祭を」取り除きました。
24 それでは,「彼の聖所」はどのように倒されましたか。なぜ,聖所級はそのとき滅ぼされませんでしたか。
24 そのようにして,犠牲をささげるところ,すなわち「彼の聖所」がさんびと崇拝の犠牲を神にささげる霊的な家の基礎は「取りさられ」ました。基礎である「場所」が捨てられたことは,象徴的な「聖所」そのものが滅ぼされた,という意味ではありません。しかし,このことは聖所級の残れる者を滅ぼすことになるでしよう。イザヤ書 12章1節の預言的な言葉によると,神は御自分の献身した民,すなわち霊的イスラエルの国民に対して怒りを持たれました。彼らが第七次世界強国を恐れ,実質上さんびのいけにえを捧げることを中止し,彼の御名について公に言い表わさなくなつたからです。神は,サタン悪魔の制度の上にもたらし始めた患難を慈悲の御気持から,短くしました。なぜ? それは,選ばれた聖所級が踏みつけられても,第7番目の世界強国とともに滅びず,人間として存在している時に救われるためです。―マタイ 24:21,22。
25 聖所級が罪によつてわたされたその「罪」とは何でしたか。そして,「小さな角」が彼らを捕えたのは「彼の力によら」なかつたのは,なぜですか。
25 聖所級が,一時のあいだ神に従わず,霊的な意味で「常供の燔祭」を捧げなかつたことは,違反の行いでした。このために彼らは圧迫の力を及ぼしていた象徴的な「小さな角」の勢力下に入るようになりました。それはヱホバの許可し給うた事柄であり,彼らに対する彼の怒りの表現でした。それで「小さな角」の軍事力および商業力は,強力なものであつても,しかし「その顔が猛悪な王」がヱホバの聖なる民の衆群を足にふみつけたのは「彼自身の力によるもの」ではありません。「そしてその衆群は,罪によつて,常供の燔祭と共に,これにわたされた。その角はまた真理を地に投げうち,ほしいままにふるまつて,みずから栄えた」(ダニエル 8:12,24,c 新口)。聖所級は,霊的に失敗しているこの期間中,この世の強国に捕われるようになりました。ちようどダニエルの時代中ダニエルと残りのヱホバの民がバビロンに捕われて,彼らの故郷と聖所が70年間荒廃していたのと同じようです。
26 「小さな角」は,真理と忠節をどのように地に投げ落して,栄えましたか。
26 第7番目の世界強国である英米両国の世界強国は,神の御国の音信の真理にたいして,すこしの注意も払わず,また神の民の誠実と忠実にたいしてもすこしの注意をも払いませんでした。それは真理と忠節を地に投げおとしました。この行いをした第7番目の世界強国に対して,ヱホバはただちにさばきを執行しませんでした。なぜ? それと同時にヱホバの献身した「聖徒たち」の上に破滅のさばきを執行しないためです。それで,第7番目の世界強国はほしいままにふるまつて栄え,第一次世界大戦に勝利を収め,強国な敵である帝国ドイツに大きな破壊をもたらしました。
27 1918年後の平和の期間中「小さな角」は偶像を設立することにより「衆群の主」に対してどのように一層高ぶりましたか。
27 1918年11月8日の後に行われた平和条約のあいだ,それは「衆群の主」であるヱホバに対して,さらに一層高ぶりました。英米両国の世界強国は,聖所級が全国民に宣明しようと努めた音信を拒絶すると共に,現代の世界偶像なる国際連盟の設立を促進しようと努めました。英国の戦時中の首相,ロイド・ジョージは,そのような国家群の国際的な連盟を考えていました。d そしてアメリカの戦時中の大統領テイ・ウドロウ・ウイルソンは平和解決のために提出した14箇条の中にそれを含めました。彼は大統領の職務についていましたが,国際条約なる国際連盟を含む自分の諸点を採決せしめるため,パリの平和会議に出席しました。
28 それで,英米両国の世界強国は,黙示録のどんな預言を成就しましたか。神はこの政治的な偶像をどのように見なしましたか。
28 それで英米両国の世界強国は「けもの」についての預言を成就しました。その「けもの」には,「小羊のような角が二つあつて」「竜のように物を言い」地に住む人々に「けものの像」をつくることを命じました。英米両国の世界強国は「獣の像に息を吹き」こんだので,それはある権威をもつて語るようになりました。また,神の設立した御国に反対する者や,サタンの目に見える世界政府制度である「けもの」を支持する者たちをして,それをおがませるようにしました。(黙示 13:11-15)この象徴的な「けものの偶像」である国際連盟は,ヱホバ神にとつていまわしいもの,嫌悪すべきものでした。ちようど,バビロンの王ネブカデネザルが建てた高さ60キュビト,はば6キュビトの金の像と同じく嫌悪すべきものだつたのです。ネブカデネザルは,ダニエルの友であるシャデラク,メシャク,アベデネゴを含めて帝国内のすべての州の者にそれを拝ませようとしました。(ダニエル 3:1-15)ヱホバの証者は,国際連盟が偶像と同じく嫌悪すべきものであると悟りました。
「荒らす憎むべきもの」
29 国際連盟契約は,いつ有効になりましたか。いつ連盟は運営し始めましたか。しかし,キリスト教国は何を行い始めましたか。
29 平和会議は,1919年1月18日フランスのパリーで開催され,アメリカの大統領ウイルソンも出席しました。その結果につくられた平和条約は,国際連盟契約をを含めて,1919年6月28日フランスのヴェルサイユで署名されました。その年の10月13日,それは三大連合国により批准され,国際連盟契約とともに実施されました。アメリカ合衆国上院は,ウイルソン大統領と同意せず,この条約の批准を拒絶しました。アメリカの国家主権は,国際連盟契約のなかで十分に守られていない,と上院は考えました。後になつてアメリカはドイツと別箇の平和条約をむすびました。象徴的な「けものの像」である国際連盟は,1920年1月10日にロンドンで実際の運営をし始めました。しかし,このことの前に,宗教的なキリスト教国は象徴的な「偶像に」対して偶像崇拝をささげるようになりました。
30 アメリカのキリスト教会連邦会議は,何をするよう提唱しましたか。それは,提案した連盟にメシヤの役割をどのように与えましたか。
30 アメリカのキリスト教国連邦会議は,ただちにその祭司となつて「偶像」に仕え始めました。平和会議よりも以前,そしてウイルソン大統領が国際連盟を提唱しているとき,アメリカにあるキリスト教会連邦会議は,国際連盟を支持する言葉を語り,それにメシヤなるキリストの役割を与えました。この連邦会議の実行委員は,ニュージャーシー州のアトランティック市で会合し,1918年12月12日,国際連盟設立を提唱したウイルソン大統領案賛同を可決しました。次のような声明書が採決されたのです(その一部を引用します)。
世界の戦争危機は過ぎ去つた。しかし,世界の危機は存在している。
ロイド・ジョージは次のように尋ねている,「我々は古い国家的な敵対,敵意,そして競争的な武装装備に戻るべきか,それとも平和の君の地上支配にならうべきか。」
世界を真理,権利,公正そして人道のために組織する時がきた。クリスチャンとして我々は,この目的のために,来るべき平和会議において自由国家の連盟の設立を強く主張し,すすめるものである。そのような連盟は,たんに平和手段であるばかりでなく,むしろ地上における神の御国の政治的表現である。
……勝利の結果から,正義の宿る新しい天と新しい地が来ないならば,死んだ英雄たちは犬死をしたことになるであろう。
教会は多くのものを与え,多くのものを得る。教会は,新しい国際制度に神の御国の預言的栄光のごときものを与えることにより,強力な贊同を与えることができる。神の御国とは何であるか。それは,人間の事柄における神の御旨の勝利「聖霊の中における正義,平和そしてよろこび」ではないか。公正と正しい行為にもとずき,平和を効果的にしかも平等に保つために組織された人間の世界連合というこのまぼろしは何か。それは神の御国のまぼろしではないか。
教会は,善意の霊を与えることができる。国際連盟はその霊なしには存続することができない……
国際連盟は,福音に根づいている。福音のように,その目的は「地上の平和,人間への善意」である。福音のように,その訴えは世界的である。
我々の天の父,全能の神に次のごとく,祈り願おうではないか,すなわち諸国家の平和代表者たちが神の御霊でみちびかれ,神の知恵によつて啓発されるようにという願いである。それは,世界生命の新しい組織に神の正義にして愛のみちる聖なる御旨を具現し得るためである。……
31 前述の書類を提出するために教会の実行委員は何をしましたか。それはウイルソン大統領に何を送りましたか。
31 教会連邦会議の実行委員は,また賛成支持の決議をも採決しました。その決議の一つはこうです。すなわち「実施し得るかぎり,アメリカ新教徒教会を代表する適当な特別委員を」任命することでした。その目的は「前述の書類を連合諸国家の平和会議に提出すること」でした。その声明文と決議が採決されて後に,推薦文が可決され,実行委員はパリーにいたウイルソン大統領にすいせん文を電報で送り,その可決したことを伝えました。後日,1918年12月18日づけの手紙がウイルソン大統領のところに送られました。その中には,その電報文の写し1枚,声明文と支持の決議が入つていたのです。それは又,間もなく行われる平和会議にその声明文を正式に提出する特別委員の任命のことも告げました。e
(次号につづく)
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