ヱホバの証者の年鑑からの抜萃
ブラジル
人口: 63,101,627人
最高伝道者: 17,517人
比率: 3,602人に1人
『その小さきものは千となり,その弱きものは強き国となるべし。われヱホバその時いたらばすみやかにこの事をなさん』という御約束は何と真実でしよう。(イザヤ 60:22)20年前の1939年には,ブラジルには114名の伝道者がいただけでした。しかし,10年後の1949年には1775名へと増加し,次の10年間にその数は,実に1万5971名へと飛躍しました。今では御国の音信は,この広大な国ブラジルの全土に伝道されていて,何千という人々が,絶えず新世社会の群れに加えられつつあります。ヱホバのゆたかな祝福が,その努力の上にそそがれるのを見るのは,神の民にとつて何という喜びでしよう。増加させられる方はヱホバです。支部の僕はこの国に関する報告を送つてきましたが,その中には,多くの面白い経験がのせられていて,その事を証明しています。
諸会衆によつて指導されている,読み書きを教える学校は,すべての者がもつと能率的な御国奉仕者となるために,相変らず大きな助けとなつています。昨奉仕年度中,735人が読み書きを習いました。本の読めない中年のある姉妹は,若い奉仕者たちの援助によつて聖書の研究を司会していました。つまり若い奉仕者がその姉妹のために読んであげていたわけです。しかし彼女は読み方の学校に通つて読む事を習いました。そして今では,他の伝道者たちと一緒に行きますが,それは本を読んでもらうためではなく,むしろ,未熟な伝道者たちを訓練するためです。ある伝道者はこう書いて来ました,『ヱホバの清い制度と交わることはほんとうに大きな特権です。私は6ヵ月間に読み書きを習いました。これは私が,ヱホバの御名にもつと大きな賛美をささげる助けとなつています』。かつて学校に行く機会をもたなかつたもう一人の青年は次のように書いています,『学校に席を置いてから10ヵ月後,私は聖書をはじめ,「ものみの塔」誌や,協会が発行しているその他の出版物が読めるようになり,また自分の聖書を使って聖書の話をしながら,戸別伝道ができるようになりました。今では聖句をさがすこともできます。これによって私は,黙示録 1章3節に述べられている「この預言の言葉を朗読する者と,これを聞いて……守る者たちとは,さいわいである」という言葉の通り,大きな幸福を感じております』。
すべての会衆の中にある学校の指導者にそそぐ協会の努力に対し,政府の役人は好意のある意見を述べています。最近教育局は,学校の発展状況と,今までに成し遂げた事を報告するために,ひとりの代表を送るよう協会に通知して来ました。協会の代表は,役人や他の代表者たち350人の聴衆の前で,15分間話しをする機会を得ました。他のグループも報告を行ないましたが,拍手を受けたのはヱホバの証者の報告だけでした。よい証言が行なわれ,文書もいく冊か配布されました。また教育局もそれを公表しました。
奉仕の特権に目ざめている人々は,非常に幸福で,多くの祝福を受けています。真理に反対の夫をもつある姉妹は,11人の子供の世話があるにもかかわらず,4つの聖書研究を行なつています。正しい計画を立てることは,これをなすのに大きな助けとなりました。その姉妹は,午後聖書研究を司会したり再訪問ができるように,朝早く家族の食事をととのえ,家の仕事をするのです。
11歳の若い姉妹は,学校の級友に証言する機会を決してのがさないと言つています。学友のひとりは,非常に興味をもつてきたので,彼女はその人と一緒に休憩時間に聖書の研究を行なつています。そして,1回に3節から4節勉強し,毎回の研究の出席者数は平均4人になりました。彼女の級友は,今ではそこの会衆の集会に出席しており,野外奉仕にも参加しています。
ある開拓者は,任命された地域で非常な反対に会いましたが,中止することなく,あらゆる機会をとらえては,よく準備された聖書の話を戸口でしながら家から家に証言しました。そこの教会の牧師は,教会員に,黙示録の預言が成就されて,『獣』(その開拓者のこと)がわれわれの間にいる,と発表しました。その開拓者はそれで力を落すことなく,忠実に奉仕をつづけました。ある家に行つた時のこと,その家の人は,聖書の話を聞いた後,提供物を受け取るのを拒絶しましたが,やはり話を聞いていたひとりの若い婦人 ― 教師 ― が,開拓者にこう尋ねました。『あなたたちが,黙示録に述べられている「獣」だというのはほんとうですか。』その兄弟はよく準備していました。そして,この反対を克服するために『神を真とすべし』を用い,その本の244頁にある15節と16節を読むようその婦人に告げました。彼女はその本を求め,「ものみの塔」を予約しました。そして,3回研究した後に家から家への証言をはじめ,いまでは新しい会衆の中で,8人の他の伝道者と共に非常に活発で能率的な伝道者となっています。
アマゾンの流域で奉仕している巡回の僕は,その地域の会衆を訪問するために,客船でアマゾン河を旅行していた時,あるすばらしい経験をしました。船長は船の食堂で公開集会を開いても良いという許可をくれました。その結果はどうでしたでしようか。90人がその講演に出席し,その中のいく人かが善意を示して案内役をつとめてくれました。集会の後,4冊の本と30冊の雑誌が配布され,4つの予約が得られました。ある程度英語の話せる日本人の男の人がひとり予約をし,その後自分の家で研究を始めました。また別の時この巡回の僕は,その地域のいく人かの日本人の移民に話をする機会を得,ある人たちは日本語の雑誌を予約しました。そして,あらゆる種類の人々が新世社会の成員であることに深い感銘を受けました。ギレアデの卒業生であるこの巡回の僕は,クラスの写真を用いて,自分の級友は,日本も含めて多くの異なつた国々から来ていたことを示しました。この群れにも定期的な訪問が行なわれています。
ブラジルという国には,異なった国籍,言葉,宗教をもつ人々が住んでいます。ある家族は,1945年にイタリアから移住しましたが,その時イタリア語の『真理はあなたを自由にする』という本をもつてきました。それには真理が含まれていることを彼らは知つていたからです。そして,もつと多くの本を入手することを望んでいました。ある友人は,他の2冊の協会の本「宗教」と「救」いをもつていました。そして,ヱホバの証者と連絡を取ることを望んでいました。彼らは,出版物にのせられているブラジルの支部の住所を見つけてもつと多くの書籍を注文し,ひとつの予約を取りました。協会は,この善意者たちを訪問するようひとりの代表を送りました。今では洗礼を受けた者が数人おり,会衆が設立されています。第二次世界大戦が始まる数年前にブラジルに移住したある日本人の善意者は,日本にいた時ある本を読んだことがありました。そして,真の神の名はヱホバだということを覚えていました。これは彼の心に強い印象として残つていました。ブラジルに来てからは,ある日本人がヱホバの証者になつて,日本人定住地で『良いたより』を伝道しはじめるまで,真理を聞く機会がありませんでした。日本語の「ものみの塔」を受け取つて,ヱホバという名前を見た時,彼は,うれしさの余り文字通りとび上つて叫びました。聖書の真理の種は,何年たつても芽を出すことができます。ブラジルにはいま200人以上の日本人の予約者がおり,数人が特別開拓者として奉仕しています。
『人々が考えている事がら』というプログラムは,ブラジルに広く行き渡り,多くの人々が真理を見出すのを助けました。1年の間に合計800以上のプログラムが放送されました。ある町や都市では公共広場が使用され,拡声器が取りつけられていて,毎週きまつた時間にそのプログラムが聞えてきます。バヒア州のある町では,平均350人がそれを開くと特別開拓者は報告しています。再臨派だつたある青年は,定期的にこのプログラムを聞き,いまでは,その地方の会衆の活発な伝道者となつています。