魂を得るに至る信仰を行いにあらわす
(1963年のエホバの証者の年鑑より)
ビルマ
人口: 20,054,000
伝道者最高数: 216
比率: 9万2843人に1人
ビルマにはかなりの政治的変動がありました。そのために多くの人々は苦しい状態にいます。しかしエホバの証者は,神の御国の良いたよりの伝道を続行して,できるだけ多くの人に慰めをもたらしました。すべてのビルマ人はいま,軍事政府のきびしい支配の下で生活していますが,政府は,伝道活動には全く干渉しません。人口の多いこの国にしては伝道者はあまり多いとはいえませんが,それでも真理は述べ伝えられており,すばらしい発展の機会にめぐまれています。この国には羊のような人々がたくさんおり,これまで徐々に刈入れが行なわれてきたのを見るのはうれしいことです。しかし,真の神エホバと,一般の人が崇拝している神々との区別を人々にわからせるには,エホバの証者の側の忍耐が必要です。支部のしもべは,克服しなければならぬさまざまな問題や,度かさなる伝道によってどのように善意ある人々が発見されるかを報告しています。
ひとりの伝道者は,英国に帰る上役に,機会を利用して「楽園」の本と,「新世訳聖書」を贈りました。その上役からきた手紙には次のように書かれていました。「なによりもまず,あなたから出発前にいただいたすばらしいプレゼントのお礼を言わなければなりません。あの二冊の本はいま,私の家の『たいせつな宝』となっています。妻も私もあなたの親切に深く感謝しています」。
次のことは,失われた「羊」を見出すのに,戸別伝道というものがいかに重要であるかを示しています。「ラングーンから川をへだてた向う側の片いなかで伝道していたときのこと,私は若い婦人に会いました。彼女の話によると,7年まえ私たちの組織と関係をもつようになりましたが,結婚で移転したために連絡がなくなってしまいました。私は彼女がまだかなり関心をもっているのを見てとり,ご主人も興味をお持ちですかと尋ねてみました。彼女は私の訪問を夫に伝え,その反応を私に知らせることを約束しました。二度目に訪問したとき,渡しておいた『良いたより』という小冊子を出してくださいと頼んだところ,『あの本はありません。主人が仕事に持っていってしまいました』ということでした。そこで私はもう一冊を彼女に渡し,勉強がはじまりました。そのつぎに訪問したときには主人も家にいました。私に会うために特に仕事を休んだのです。楽しい勉強が終ってから主人は,『ぜひ定期的においでになって,あなたと同じ仕事ができるように私たちを訓練してください』と言いました。ふたりは,川を渡って私たちの集会にできる限り出席し,伝道にも参加しました」。エホバはご自分の「羊」をご存じです。また羊たちも自分の良い羊飼を知っています。
カメルーン
人口: 4,087,000
伝道者最高数: 6,394
比率: 639人に1人
カメルーン共和国の兄弟たちにとって,昨年は顕著な年でした。彼らにはよろこばしい事柄がつぎからつぎに起きました。ですから伝道活動がいままで以上に広範囲に行なわれることは間違いありません。エホバは天の水門を開いて,祝福をゆたかにそそいでくださいました。(マラキ 3:10)しかし,どんなことが起きたのか,また昨年中のすばらしい経験のいくつかを,支部のしもべから聞いてみましょう。
カメルーンでは昨年,清い崇拝の利益となる多くの出来事が急速に生じました。なかでもいちばん顕著なのは,支部が設置されたことと,この国におけるわざが法的に認可されたことでした。10月には,以前の「南カメルーン」が,カメルーン共和国の一部になりました。これは1000人の伝道者が私たちの区域に加えられることを意味しました。1月に支部は,6000人の伝道者を擁して運営を開始しました。それから3ヵ月後,エホバの証者の活動は,カメルーン政府によって法的に認められたという通達が内務省から来ました。かくして,長い歳月にわたる苦しい努力と,兄弟たちの祈りと,当局への度かさなる陳情のすえついに,エホバの民にとってより大きな自由と活動への道が開かれました。
エホバの証者の大会は,国内紛争のために何年も開催されていませんでした。次の巡回大会の日時と場所を示した手紙が全部の会衆に送られたときの兄弟たちの喜びを想像できますか。最初の大会はドウアラで開かれ,毎日3000以上の人々が出席しました。
結婚にかんするむずかしい問題や,不道徳な行いがかなりありましたが,そうした面でも進歩はあらわれています。正式に結婚していなかった5,6組の夫婦は,結婚にかんする聖書的責任および民法上の責任を守りたいという気持から,民事的婚姻許可証を手に入れました。支部事務所は,「御国奉仕」および巡回のしもべたちをとおして,非聖書的な結婚をしている人々を一生懸命に援助しています。1959年以来真理を知りながら,4人の妻をもつために活発な伝道者になれなかった有名な重婚者について,ある会衆のしもべは書いています。その人はいま第1の妻をひとりだけもって,野外奉仕に参加しています。
ある特別開拓者は,悪魔崇拝にこっていた若い男についての経験をつぎのように書いています。「私たちが真の神とその御目的について話していたとき,その若い男は自分のへやへはいっていって,いく冊かの本を持ち出しました。それらの本の表紙にはみな,ある異教の神の銘が印されていました。彼はまた,いわゆる『魔法の杖』や陰茎十字架を持っていました。そういう崇拝の無益なことを私たちが話したら,彼はそれらの偶像を燃やしてくださいといって私たちに渡しました。彼は私たちから聞いたことが真理であるという確信をもち,さっそく会衆の集会に出席しはじめ,6ヵ月後にバプテスマを受けました。この兄弟が,5月1日以来正規開拓者の名簿にのせられているのをお伝えできるのは大きな喜びです」。
エホバの崇拝者の熱意と定期性に比較するとき,キリスト教国の不活発なことはきわめて明白です。天仰が悪いと多くの教会員は,雨の中を歩いたり自動車を運転して教会に行くよりも家にいて満足しています。ある町の長老教会の牧師は,そのことを説教の中で指摘しました。ちょっと雨が降ると教会に出席する者の数は非常に少なくなる。教会員は横着だ,と彼は言いました。彼はさらに言葉をつづけて,天候が悪いくらいで教会に行くのがたいへんだと思うようなら,戸別伝道をせよとでも命令されようものなら,もっともっとたいへんな仕事だと思うだろう。と述べています。それからエホバの証者の機敏さを引合に出して,「エホバの証者が彼らの仕事をどのように考えているかをみなさい。雨が降ろうが陽が照ろうが,彼らはいつも忙しく伝道している」と言いました。彼は教会員を「ベンチを暖める者」ときめつけ,またエホバの証者が機敏で,自分たちの仕事を真剣に考えていることを称賛しました。
カナダ
人口: 17,765,766
伝道者最高数: 40,121
比率: 443人に1人
カナダにおけることしの野外奉仕者の最高数は,昨年活発な野外奉仕を報告した伝道者の数にくらべると109人減少しています。しかし,野外奉仕に従事した伝道者たちは以前にもまして堅実な働きをしました。そして定期的な野外奉仕者が,毎月平均768名多くいました。しかしやはり,1962奉仕年度中に伝道者の数が減少した理由についてはだれもの心に疑問が生じます。エホバ神に献身して,毎月定期的に伝道する人々は,忍耐をし,耐え忍んで奉仕を行なわねばなりません。そして,御国の良いたよりの伝道に対する最初の愛と喜びと熱意とを忘れてはなりません。
カナダにはまだ,エホバの証者と交わっていない人が1772万5000人います。これらの人々にも伝道しなければなりません。彼らにも永遠の生命を得る機会が与えられねばなりません。なすべき仕事はあります。これほどの人口を前にして,真理にはいる者はもういない,といえる人はいません。伝道者の平均数の増加は768人にすぎませんでしたが,バプテスマを受けたのは2198人で,前年の2倍を上回ります。1963奉仕年度には増加が見られるかも知れません。もしそうなれば,カナダの神のしもべはひとり残らず,よいたよりの伝道を徹底的に行なわねばならないでしょう。
会衆の伝道者にかんする限り,野外奉仕にささげられた時間の平均が少し増加したのはうれしいことです。何年ぶりかの最高の平均です。これはたしかに正しい方向への動きです。1963奉仕年度には,多くの監督,巡回のしもべ,地域のしもべ,会衆のしもべが指導しているので,カナダ全土の兄弟は彼らに全面的に協力して,すばらしい進歩を遂げねばなりません。カナダでは,反対や裁判沙汰などにかんする限り,問題はぜんぜん生じませんでした。ケベック地方にもゴタゴタはありませんでした。しかしいかに邪魔がなくとも,やはり悪魔およびその全組織と戦っているということをすべてのエホバの証者は認識しなければなりません。そして,神の全武具で常に武装し,最後までこの良いたよりを述べ伝える必要があります。協会は,まだまだ多くの善意ある人々をさがし出せること,またカナダのエホバの証者たちが彼らをさがし出して養い,永遠の生命の道へ彼らを導くであろうことを確信しています。
以下は,カナダの支部のしもべが寄せた興味深い経験談です。
孤立した区域にいるある新しい兄弟の経験の場合は,忍耐と機知と親切が目だっています。彼が結婚したときは,彼も妻もカトリック教徒でした。ですから彼が真理を受け入れたときには,妻から激しく反対されました。しかし彼の親切と忍耐はついに妻を納得させて真理に導きました。しかし彼女の口からそのことを聞いてみましょう。「私が一年半も反対しつづけたにもかかわらず,主人が断固として真理を擁護したことを,いまでは深く感謝しています。9年間 ― うち6年間は尼僧として ― 修道院にいた関係上,私は自分こそ真の信仰をもっている,と考えていました。そのために主人といく度もけんかをしました。時には暴力に訴えたこともありました。しかしいつも真の証者であった主人は,私に対して少しも憎しみをもたず,悪に対しては善をもってかえすのが常でした。私が教会や社交的な行事に出席したいとき,じゃまをしたことは一度もありませんでした。主人がひとりで出かけたとき,私がどこへ行ってきたのか尋ねると,伝道とか集会に行ってきたと言えば私がひどく怒るのを知っていながら,いつもほんとうのことを言いました。私は心の中で,主人のその態度を尊敬しました。もし彼がうそを言っていたなら,私は全部の証者をうそつきと非難したことでしょう。いまその当時をふりかえってみて,主人が真理にはいったばかりでありながら,あのようなしっかりした態度を保ち,神のわざのために,自分自身と私に対して厳格であったことを知り,主人に感謝しています。私はいく度も司祭に援助してもらおうとしましたが,そのたびに司祭は『もしご主人がエホバの証者なら,あなたがなんとかしないかぎり,私たちにはなにもできません』と言うだけでした。そうしたある日ひとりの兄弟と姉妹が,主人に会いに来ました。私はしばらくのあいだ誇りを飲みこんでいくつかの質問をしました。彼らの答えによって私は,自分がやっきになって擁護してきた宗教が間違いであったことに気づきました。そこでそのふたりにまたきてくれるように頼みました。それ以来彼らは私と定期的に勉強しています。その結果として私は聖書の真理に征服され,いまでは大きな仕事をかかえています。それは以前私がいた修道院にいまもいる妹に,聖書の真理,神の御言葉を理解させることです」。
ジブラルタル
人口: 26,385
最高伝道者: 25
比率: 1,055人に1人
奉仕年度のはじめに,4人の特別開拓者はジブラルタルの領域外に去らねばならなくなりました。それまでほんの数ヶ月働いただけであり,1年に満たない若い会衆を残してゆくことについても沢山心配がありました。しかし,「われら……常に神に感謝せざるを得ず……そは(彼らの)信仰おほいに加はり……たればなり」。(テサロニケ後 1:3)残された兄弟たちが宣教と会衆を組織することの両方の責任をすすんで受け入れようとの決意をしている様子には,心励まされるものがありました。特別開拓者の援助なしで奉仕したはじめの月に,会衆は伝道者の最高数に達し,奉仕の平均は15時間になりました。この土地の兄弟たちの抱く勇気とエホバに対する確信は次の経験が良く示しています。
若い兄弟は,家から家への伝道奉仕をしていた時,思いがけなく秘密警察の人に出会いました。この警察官はいかにも不親切そうで,逮捕というような言葉で兄弟をおどしました。しかし,この若い兄弟は落ち着いて,これは私が神に奉仕する方法であり寄付を受け取ることがあっても,それは教会で集められる寄付と同じ性質のものだと説明しました。警察官は2冊の雑誌を受け取り,兄弟の目の前でドアを閉めました。次の日,この若い兄弟は再び野外奉仕に行きたまたま,前日の警察官にまた会いました。この日の警察官の態度は至極友好的であり,なにも問題なく宣教を続けられました。このようなエホバへの奉仕に対する純粋な愛と熱心にこそ,義を求める人々の心に強くうったえるものがあります。