聖書の本を覚える
聖書の中にあるそれぞれの小さな本の出てくる順番を覚えるならば,聖書を愛する人たち,特に,クリスチャン宣教奉仕にたずさわる人々にとって,とても時間の節約になります。そしてそれぞれの内容や書かれた時代だけでなく,それらを分類する仕方にも注意するなら,その順を覚えるのも易しくなるでしょう。
66冊のうち,39冊がヘブル語聖書を,29冊がギリシャ語聖書をそれぞれ構成しています。
ヘブル語聖書の方では,モーセの五書が一番初めにきています。すなわち,まず創世記は創造の記録で始まり,アダムからヨセフの死にいたるまでの人類の歴史をあつかっています。そしてエジプトで奴隷になった事からモーセが死ぬまでのイスラエルの歴史を記した出エジプト記,レビ記,民数紀略,申命記が続いています。これらの五書はまとめて,「5冊の本」という意味で「ペンタチューク」という名前でも知られています。ルター訳その他の翻訳の中で,この部分はたゞ,モーセ第一,第二,第三,第四,第五書となっています。次にヨシュアがモーセの後継者になったと同じように,ヨシュア記がモーセの書に続いています。そしてさらに,ヨシュアの後に他のイスラエルの指導者,さばき人が続いたごとく,後に来るものは土師記です。この本は,土師の支配の模様を記録しています。士師時代に起きたある出来事を伝えるルツ記は当然それに続きます。
さて次にくるのは2つずつ組になった3組の本です。すなわち,士師の終りと王制時代の始まりをあつかうサムエル前書と後書,列王支配の歴史とその終末の様子をのせた列王紀略上,下,そして,それと並行してダビデ以来歴代の王の歴史と,アダムからその本の書かれた時代に至るまでの聖書の系図の要約とを含む歴代志略上,下です。以下,エズラ書,ネヘミヤ書,エステル書が続いています。これらの三書は,ユダヤ人がバビロンから復帰した紀元前537年以後の時代にエルサレムとメドーペルシャとで生じた事件を記録しています。以上が,いわゆる17の「歴史」書です。
それに続くのは,さとしの言葉と美しい詩とをのせた5冊の本,ヨブ記,詩篇(その約半分はダビデのうたとされている),箴言,伝道之書,雅歌です。このうち,おわりの三つは,箴言の最後の2章をのぞけば全部ソロモンによって書かれました。
ヘブル語聖書の残りの17冊は主として預言的です。紀元前8世紀の預言者によるイザヤ書,次の世紀,すなわち,エルサレムが,滅亡した紀元前607年の40年前に預言者とし活動を始めてた著者によるエレミヤ記,エルサレムの荒廃に対するエレミヤの嘆きの情をこめたエレミヤ哀歌,エルサレム荒廃期間中バビロンにいた預言者によるエゼキエル書,70年にわたる荒廃期間中とその前後にもエホバの預言者として奉仕したダニエルによるダニエル書があります。
預言書の残りの12冊は,その重要さにおいても書かれた時代という点においても決して価値が小さいというわけではありませんが,その長さのゆえに「小」預言書と呼ばれています。これらの12冊のうちには,「大」預言書よりも先に書かれたものもあり,その配列も時代順になっているとはかぎりません。まず,ホセア,ヨエル(実際には17の預言書のうち一番最初に書かれた),アモス,オバデヤ書,そして,ヨナ,ミカ,ナホム,ハバクク書。さらに,ゼパニヤ,ハガイ,ゼカリヤ,マラキ書。このように4冊ずつ3組に分ける事ができます。ヨナ書が第2組の先頭,ゼカリヤと間違えてはいけないゼパニヤ書がハガイ書の前にあって第3組の先頭です。
さてクリスチャン・ギリシャ語聖書にうつりましょう。まずはじめに出てくるのは,概して歴史的とも言えるマタイ伝,マルコ伝,ルカ伝,ヨハネ伝の4つの福音書と使徒行伝です。次に21の手紙が並びます。そのうちの14までがパウロによりますが,記憶のための便宜として次のように分けられます。長い3つの手紙 ― ロマ書,コリント前書,後書。長さも,文体も,内容もほゞ同じの4書 ― ガラテヤ書,エペソ書,ピリピ書,コロサイ書。そして「テ」で始まる5つの本 ― テサロニケ前書,後書,テモテ前書,後書,テトス書。ピレモン書とヘブル書がパウロの書簡のおわりです。それですからパウロの手紙のうち9つは会衆に,4つは個人に,1つは特にヘブル生まれのクリスチャンたちにあてて書かれたことになります。残る手紙はヤコブ書,ペテロ前書,後書,ヨハネ第1,第2,第3書,そして,ユダ書の7つです。そして終りに象徴的な預言の書,黙示録があります。聖書の最後にありますが,書かれたのが最後というわけではありません。これは,西暦96年に書かれ,ヨハネによる他の本は98年に書かれたと思われます。
少しの努力を払えばこの順番を覚えるのはむずかしい事ではありません。それは,聖書を勉強するのに大きな助けになるだけでなく,クリスチャン奉仕者としての良いすいせんを持つ一助にもなります。