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  • 神は地球についてどんな目的をお持ちですか
    聖書は実際に何を教えていますか
    • 第3章

      神は地球についてどんな目的をお持ちですか

      • 神は人間について,どんな目的をお持ちですか。

      • 神に対してどんな異議が唱えられましたか。

      • 地上での生活は将来どのようなものになりますか。

      1 神は地球についてどんな目的をお持ちですか。

      神は地球について実にすばらしい目的をお持ちです。エホバは地上に幸福で健康な人たちが満ちることを願っておられるのです。聖書はこう述べています。『神はエデンに園を設け,見て好ましく,食物として良いあらゆる木を生えさせた』。神は最初の男女アダムとエバを創造してから,二人をその快適な住まいに置き,こう言われました。「子を生んで多くなり,地に満ちて,それを従わせよ」。(創世記 1:28; 2:8,9,15)ですから,神の目的は,人間が子どもをもうけ,住まいとして与えられた園を地上の全域に広げ,動物たちの世話をすることでした。

      2 (イ)地球に関する神の目的が果たされると言えるのはなぜですか。(ロ)聖書は人間が永久に生きることについて,何と述べていますか。

      2 人間が地上の楽園で生活するというエホバ神の目的は,本当に実現すると思われますか。『わたしはそれを話したのである。わたしはそれを行なうであろう』と神は宣言しておられます。(イザヤ 46:9-11; 55:11)そうです,神はご自分が目的とすることを必ず行なう方です。神は,「それ[地球]をいたずらに創造せず,人が住むために形造(っ)た」と述べておられます。(イザヤ 45:18)では,神はどんな人たちが地上で生活することを願っておられたのでしょうか。その人々がどれほどの期間生きるように望んでおられましたか。聖書はこう答えています。「義なる者たちは地を所有し,そこに永久に住むであろう」。―詩編 37:29。啓示 21:3,4。

      3 地上では今,どんな悲しい状況が見られますか。それで,どんな疑問が生じますか。

      3 明らかに,それはまだ実現していません。人々は病気になり,死んでゆきます。戦って殺し合うことさえあります。何かが狂ってしまいました。しかし,地上の今の状況は,決して神が目的とされたものではありません。一体何が起きたのでしょうか。どうして神の目的は果たされていないのでしょうか。人間の書いた歴史書を読んでも答えは分かりません。問題は天で始まったからです。

      敵はどのように存在するようになったか

      4,5 (イ)蛇を使ってエバに話しかけたのは,実際にはだれですか。(ロ)正直で立派だった人でも,どのようなことがあると泥棒になるかもしれませんか。

      4 聖書巻頭の本は,神の反対者がエデンの園に現われたことについて述べています。この者は「蛇」として描かれていますが,単なる動物ではありません。聖書巻末の本では,この者が「悪魔またサタンと呼ばれ,人の住む全地を惑わしている」ことが明らかにされています。この者は「初めからの蛇」とも呼ばれています。(創世記 3:1。啓示 12:9)この強力なみ使い,つまり目に見えない霊の被造物は蛇を使ってエバに話しかけました。特別な技術を持った人が,すぐそばの人形から声が出ているように見せかけるのと同じです。その者は,神が人間のために地球を整えた時,すでに存在していたに違いありません。―ヨブ 38:4,7。

      5 しかし,エホバの創造物はすべて完全なのですから,だれがこの「悪魔」を,つまり「サタン」を作ったのか,という疑問が生じます。簡単に言えば,神の霊の子たちのひとりが自ら悪魔になったのです。どうしてそんなことが起こるのでしょうか。以前は正直で立派だった人が泥棒になることは今でもあります。なぜそうなるのでしょうか。人は,心の中で悪い欲望が強まっているのに,それを放っておくことがあります。欲してはならないものについて考え続けるなら,悪い欲望は非常に強くなるでしょう。そして,機会が訪れると,以前から抱いていたその悪い欲望に駆られて行動を起こすかもしれません。―ヤコブ 1:13-15。

      6 どのようなことがあって,神の強力な霊の子のひとりは悪魔サタンになりましたか。

      6 悪魔サタンの場合がそうでした。この者は神がアダムとエバに与えた指示を聞いたようです。その指示は,アダムとエバが子どもをもうけ,その二人の子孫で地を満たすことを求めるものでした。(創世記 1:27,28)サタンは,『そうだ。この人間たちすべてに,神ではなくわたしを崇拝させることもできるのだ』と考えたのでしょう。それで,サタンは心の中で悪い欲望を募らせ,結局はエバを欺く行動を取り,神についての偽りをエバに伝えます。(創世記 3:1-5)こうしてこの者は「悪魔」になりました。このように翻訳された元の言葉には,「中傷する者」という意味があります。この者は「サタン」にもなりました。これに相当する原語には「反対者」という意味があります。

      7 (イ)アダムとエバが死んだのはなぜですか。(ロ)アダムの子孫すべてが年老いて死んでゆくのはなぜですか。

      7 悪魔サタンは偽りと策略を用いて,アダムとエバが神に逆らうように仕向けました。(創世記 2:17; 3:6)その結果,二人はやがて死にました。従順でなければ死ぬ,という神の言葉どおりになったのです。(創世記 3:17-19)アダムは罪を犯した時に不完全になったので,その子孫はすべてアダムから罪を受け継ぎました。(ローマ 5:12)この状況は,パンを焼く時に使うパン型で説明できるでしょう。パン型にへこみがあれば,その型で作るパンはどうなるでしょうか。どのパンにも必ずへこみができます。つまり不完全なものになります。それと同じく,人間はみなアダムから不完全さという“へこみ”を受け継いでいるのです。そういうわけで,人間はすべて年老いて死んでゆきます。―ローマ 3:23。

      8,9 (イ)サタンはどのような異議を唱えたと考えられますか。(ロ)神が反逆者たちをすぐに滅ぼさなかったのはなぜですか。

      8 サタンは,アダムとエバに働きかけて神に対する罪を犯させた時,実際には反逆へと導いていました。エホバの支配の仕方に異議を唱えていたのです。サタンの主張は要するにこういうことでした。『神は悪い支配者だ。偽りを語り,神に従う者たちに良いものを与えないようにしている。人間は神の支配など必要としない。善悪を自分たちで決めることができる。わたしの支配を受ければ,もっと幸福になる』。では,侮辱的なこうした異議を唱えられて,神はどうされるでしょうか。神は反逆者をあっさり死に処すべきだった,と考える人もいます。しかし,それでサタンの唱えた異議に答えたことになるでしょうか。神の支配の仕方が正しいことを証明できたでしょうか。

      9 エホバは公正に関する完全な感覚をお持ちなので,反逆者をすぐ死に処することはできなかったでしょう。サタンの唱えた異議に満足のゆく答えを提出し,悪魔が偽り者であることを証明するには時間が必要である,と判断されたのです。それで神は,人間がサタンの影響を受けながらしばらく自らを支配するのを許すことにされました。エホバはなぜそうされたのか,また,これらの問題の解決になぜこれほどの時間をおかけになったのか,その理由はこの本の11章で扱います。しかしここで,次の点について考えるのは良いことです。アダムとエバに何一つ良いことをしなかったサタンを信じたこの二人は正しかったのでしょうか。また,アダムとエバが持つものはすべてエホバから与えられていたのに,その方を残酷な偽り者と考えた二人は正しかったのでしょうか。あなたなら,どうしたと思いますか。

      10 どうすれば,エホバの側に立ち,サタンの唱えた異議に答えを提出できるでしょうか。

      10 そのような問いについて考えるのは良いことです。今日のわたしたちも皆,同様の問題に直面するからです。あなたもエホバの側に立って,サタンの唱えた異議に答えを提出することができます。エホバを自分の支配者として受け入れ,サタンが偽り者であることを示せるのです。(詩編 73:28。箴言 27:11)幾十億という世界人口のうち,そうした道を選ぶ人は残念ながらごく少数しかいません。そのため,重要な質問が生じます。聖書は本当にサタンがこの世を支配していると教えているのでしょうか。

      この世を支配しているのはだれか

      サタンの手が,世のすべての政府と王国をイエスに差し出している

      サタンが実際に世のすべての王国を所有していなかったとしたら,どうしてそれらをイエスに提供できただろうか

      11,12 (イ)サタンがこの世の支配者であることは,イエスへの誘惑のどんな点から分かりますか。(ロ)他のどんなことからも,サタンがこの世の支配者であることが分かりますか。

      11 イエスは,サタンがこの世の支配者であることを少しも疑いませんでした。サタンは一度,「世のすべての王国とその栄光」を何らかの奇跡的な方法でイエスに見せたことがあります。それから,「もしあなたがひれ伏してわたしに崇拝の行為をするならば,わたしはこれらのすべてをあなたに上げましょう」と約束しました。(マタイ 4:8,9。ルカ 4:5,6)考えてみてください。サタンがそれらの王国の支配者でなかったとしたら,その申し出はイエスへの誘惑となったでしょうか。イエスは,それら世の政府がすべてサタンのものであることを否定されませんでした。サタンがこの世の黒幕でなかったとしたら,イエスはその点を指摘したはずです。

      12 言うまでもなく,エホバは全能の神であり,驚くべき宇宙を創造した方です。(啓示 4:11)しかし聖書のどこにも,エホバ神やイエス・キリストがこの世の支配者であるとは書かれていません。それどころか,イエスはサタンのことを,はっきり「この世の支配者」と呼びました。(ヨハネ 12:31; 14:30; 16:11)聖書は悪魔サタンを「この事物の体制の神」とも呼んでいます。(コリント第二 4:3,4)この反対者つまりサタンについて,クリスチャンの使徒ヨハネは,「全世界が邪悪な者の配下にある」と書きました。―ヨハネ第一 5:19。

      サタンの世はどのように取り除かれるか

      13 新しい世が必要なのはなぜですか。

      13 年ごとに世の状態はますます危険になってゆきます。この世には,戦い合う軍隊,不正直な政治家,偽善的な宗教指導者,血も涙もない犯罪者などがあふれています。この世全体を改革するのはとても無理でしょう。しかし聖書は,神が近い将来,ハルマゲドンの戦いで邪悪な世を除き去ることを明らかにしています。その戦いによって,義の新しい世への道が開かれます。―啓示 16:14-16。

      14 神はだれを王国の支配者として選ばれましたか。そのことはどのように予告されていましたか。

      14 エホバ神はイエス・キリストを天の王国つまり天の政府の支配者として選ばれました。ずっと昔,聖書はこう予告していました。「ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた。ひとりの男の子がわたしたちに与えられた。権威が彼の肩にある。その名は,『……平和の君』と唱えられる。……その王国に権威は増し 平和は絶えることがない」。(イザヤ 9:5,6,「新共同訳」[「新世界訳」では9:6,7])イエスはこの政府について次のように祈ることを弟子たちに教えました。「あなたの王国が来ますように。あなたのご意志が天におけると同じように,地上においてもなされますように」。(マタイ 6:10)この本でこれから学びますが,間もなく神の王国はこの世のすべての政府を除き去り,それ自体がそれらの政府に取って代わります。(ダニエル 2:44)その後,神の王国によって地上の楽園がもたらされます。

      新しい世は近い

      歌ったり楽器を弾いたりして,新しい世での生活を楽しんでいる人たち

      15 「新しい地」とは何ですか。

      15 聖書は次のことを保証しています。「神の約束によってわたしたちの待ち望んでいる新しい天と新しい地があります。そこには義が宿ります」。(ペテロ第二 3:13。イザヤ 65:17)聖書に出てくる「地」は,地上に住む人々を指すことがあります。(創世記 11:1)ですから,義の「新しい地」とは,神の是認を受ける人々で成る社会のことです。

      16 神がご自分の是認する人たちにお与えになる非常に貴重な贈り物とは何ですか。それを得るために,わたしたちはどうすべきですか。

      16 イエスの約束によると,これから来る新しい世では,神に是認される人たちに「永遠の命」という贈り物が与えられます。(マルコ 10:30)ご自分の聖書のヨハネ 3章16節と17章3節を開き,永遠の命を得るために何をすべきかについてイエスが語った言葉をお読みください。そして,将来の地上の楽園で神からいただくすばらしい贈り物を受けるにふさわしい人たちがどんな祝福を受けるか,聖書から調べてみましょう。

      17,18 地上のすべての場所が平和で安心できるところになるということを,なぜ確信できますか。

      17 悪,戦争,犯罪,暴力はなくなる。「邪悪な者はいなくなる。……しかし柔和な者たちは地を所有(する)」。(詩編 37:10,11)『神は地の果てに至るまで戦いをやめさせる』ので,平和が実現します。(詩編 46:9。イザヤ 2:4)その時,「義なる者が芽生え,豊かな平和が月のなくなるときまで[つまり,永久に]続くことでしょう」。―詩編 72:7。

      18 エホバの崇拝者たちは安心して生活することができる。聖書時代つまり古代のイスラエル人は神に従順である限り,安心して生活することができました。(レビ記 25:18,19)楽園でも同じように安心して生活できるというのは,何とすばらしいことでしょう。―イザヤ 32:18。ミカ 4:4。

      19 神の新しい世に食糧が豊富にあるということは,どうして分かりますか。

      19 食糧不足はなくなる。詩編作者はこう歌いました。「地には穀物が豊かに実り,山々の頂であふれんばかりに実ります」。(詩編 72:16)エホバ神は義を愛する人々を祝福し,「地は必ず産物を出すことでしょう」。―詩編 67:6。

      20 地球全体が楽園になることを確信できるのは,なぜですか。

      20 地球全体が楽園になる。罪を持つ人間が破滅に至らせた土地に,快適な新しい住まいが建てられ庭園ができます。(イザヤ 65:21-24。啓示 11:18)地上でまず従えられた土地がだんだんに広げられ,ついには地球全体がエデンの園のように美しく,産出的になります。神は必ず「み手を開いて,すべての生きているものの願いを満たして」くださるのです。―詩編 145:16。

      21 人間と動物の間に平和な関係が生まれることを,どんな聖句が示していますか。

      21 人間と動物の間に平和な関係が生まれる。野獣と家畜が一緒に餌を食べます。今は危険な動物が,その時になると,幼い子どもから見ても全く怖くなくなります。―イザヤ 11:6-9; 65:25。

      22 病気はどうなりますか。

      22 病気はなくなる。イエスは神の天の王国の支配者として,地上にいた時よりもはるかに大規模ないやしを行なわれます。(マタイ 9:35。マルコ 1:40-42。ヨハネ 5:5-9)その時,「『わたしは病気だ』と言う居住者はいない」のです。―イザヤ 33:24; 35:5,6。

      23 復活がわたしたちの心に喜びをもたらすのはなぜですか。

      23 亡くなった愛する家族が生き返る。その人たちには,決して死なないという見込みがある。死の眠りに就き,神の記憶にとどめられている人は,すべてよみがえります。つまり「義者と不義者との復活がある」のです。―使徒 24:15。ヨハネ 5:28,29。

      24 あなたは地上の楽園での生活についてどう思われますか。

      24 偉大な創造者エホバ神について学び,この神に仕えようとする人たちには,何とすばらしい将来が控えているのでしょう。イエスは,自分のすぐ脇で死を目前にしていた悪人に,「あなたはわたしと共にパラダイスにいるでしょう」と約束しました。その時イエスは,将来に実現する地上のパラダイス,つまり楽園のことを述べておられたのです。(ルカ 23:43)ですから,イエス・キリストについてさらに学ぶことがどうしても必要です。ここに挙げたすべての祝福はイエスを通して可能になるからです。

      聖書は何を教えていますか

      • 地上を楽園にするという神の目的は必ず果たされる。―イザヤ 45:18; 55:11。

      • サタンは今,この世を支配している。―ヨハネ 12:31。ヨハネ第一 5:19。

      • これから来る新しい世において,神は人類に多くの祝福をお与えになる。―詩編 37:10,11,29。

  • 神の王国とは何ですか
    聖書は実際に何を教えていますか
    • 第8章

      神の王国とは何ですか

      • 聖書は神の王国について何と述べていますか。

      • 神の王国はどんなことを行ないますか。

      • その王国により神のご意志が地上で行なわれるのはいつですか。

      1 これから,どんな有名な祈りについて調べますか。

      一般に主の祈りと呼ばれる祈りは,世界中の多くの人々によく知られています。主の祈りとは,イエス・キリストご自身が語られた,模範となる有名な祈りのことです。これは深い意味を持つ祈りであり,その最初の三つの請願について調べれば,聖書が実際に何を教えているかがもっとよく分かるでしょう。

      2 イエスは弟子たちに対し,どんな三つのことを祈り求めるように教えましたか。

      2 イエスはこの模範的な祈りについて,次のように聴衆に話し始めます。「そこで,あなた方はこのように祈らなければなりません。『天におられるわたしたちの父よ,あなたのお名前が神聖なものとされますように。あなたの王国が来ますように。あなたのご意志が天におけると同じように,地上においてもなされますように』」。(マタイ 6:9-13)これら三つの請願にはどんな意味があるのでしょうか。

      3 神の王国について,どんなことを知る必要がありますか。

      3 神のみ名エホバについては,すでに多くのことを学びました。神のご意志についてもある程度取り上げ,神が人類のためにこれまで行なってきたこと,これから行なわれることを調べました。では,「あなたの王国が来ますように」と祈ることを教えたイエスは,何のことを言っていたのでしょうか。神の王国とは何ですか。王国が来ることにより,どのように神のみ名は神聖なもの,聖なるものとされるでしょうか。また,王国が来ることは,神のご意志がなされることとどんな関係があるのでしょうか。

      神の王国とは何か

      4 神の王国とは何ですか。その王国の王はだれですか。

      4 神の王国とは,エホバ神によって設立され,神が選んだ王を持つ政府です。神の王国の王はだれでしょうか。イエス・キリストです。王としてのイエスはどんな人間の支配者より偉大であり,「王として支配する者たちの王,主として支配する者たちの主」と呼ばれています。(テモテ第一 6:15)イエスは支配を行なうどんな人間よりも,実のところ,人間の中の最も優れた支配者よりも,はるかに良いことを行なう力をお持ちです。

      5 神の王国はどこから支配しますか。どこを支配しますか。

      5 神の王国はどこから支配するのでしょうか。では,イエスはどこにおられますか。イエスが苦しみの杭の上で死に処され,そのあと復活したことは覚えておられるでしょう。それから程なくして,イエスは天に昇りました。(使徒 2:33)ですから,そこが神の王国のある所です。つまり天です。そのようなわけで,聖書はその政府を「天の王国」と呼んでいます。(テモテ第二 4:18)神の王国は天にありますが,地上を支配します。―啓示 11:15。

      6,7 イエスが傑出した王であるのはなぜですか。

      6 イエスはなぜ傑出した王と言えるのでしょうか。一つの理由は,イエスは決して死ぬことがないからです。聖書はイエスを人間の王たちと比較し,「ただひとり不滅性を持ち,近づき難い光の中に住(む)方」と描写しています。(テモテ第一 6:16)これは,イエスが行なう良いことはすべて,いつまでも続くという意味です。また,イエスは将来も,壮大な良いことを行なわれる,ということです。

      7 イエスに関する次の聖書預言について考えてみてください。「彼の上にエホバの霊が必ずとどまる。それは知恵と理解の霊,計り事と力強さの霊,知識とエホバへの恐れの霊である。エホバへの恐れに彼の楽しみがあるであろう。そして,彼は目で見る単なる外見によって裁くのでも,ただ耳で聞くことにしたがって戒めるのでもない。そして立場の低い者たちを必ず義をもって裁き,地の柔和な者たちのために必ず廉直さをもって戒めを与える」。(イザヤ 11:2-4)これらの言葉は,イエスが地上に住む人々に対して,義にかなった同情心のある王になることを示しています。そのような支配者がいればよいと思われませんか。

      8 だれがイエスと共に支配しますか。

      8 神の王国についてはもう一つ考慮すべき事実があります。それは,支配するのはイエスだけではないということです。共同支配者がいるのです。その点を示すものとして,使徒パウロはテモテに,「忍耐してゆくなら,わたしたちはまた共に王として支配するようになる」と述べました。(テモテ第二 2:12)そうです,パウロ,テモテなど,神によって選ばれた忠実な人たちは,天の王国でイエスと共に支配するのです。では,その特権を与えられる人はどれほどいるのでしょうか。

      9 どれほどの数の人がイエスと共に支配しますか。神はそれらの人をいつから選び始めましたか。

      9 本書の7章でも示されましたが,使徒ヨハネは与えられた幻の中で,「子羊[イエス・キリスト]がシオンの山[天における王としての立場]に立っており,彼と共に,十四万四千人の者が,彼の名と彼の父の名をその額に書かれて立ってい(る)」のを見ました。この14万4,000人とはだれのことでしょうか。ヨハネ自身がこう答えています。「これらは,子羊の行くところにはどこへでも従って行く者たちである。これらは,神と子羊に対する初穂として人類の中から買い取られたのであ(る)」。(啓示 14:1,4)そうです,これらの人々は,イエスと共に天で支配するよう特別に選ばれた,イエス・キリストの忠実な弟子たちです。その人々は死から天の命へとよみがえった後,イエスと一緒に「地に対し王として支配する」のです。(啓示 5:10)使徒たちの時代からずっと,神は14万4,000という数を満たすために,忠実なクリスチャンを選んでこられました。

      10 イエスと14万4,000人が人類を支配することは,なぜ愛に富む取り決めだと言えますか。

      10 イエスと14万4,000人が人類を支配するというのは,愛に富む取り決めです。その理由の一つは,イエスが,人間として生きるということと,それに伴う苦しみを知っておられることです。パウロはイエスのことを,「わたしたちの弱いところを思いやることのできない方ではなく,すべての点でわたしたちと同じように試され,しかも罪のない方」と表現しています。(ヘブライ 4:15; 5:8)イエスの共同支配者たちも人間として苦しみを経験し,忍耐しました。それだけではなく,不完全さとも,さまざまな病気とも闘ってきました。ですから,人間が直面する問題を理解することができるのです。

      神の王国は何を行なうか

      11 弟子たちは神のご意志が天で行なわれるように祈るべきである,とイエスが述べたのはなぜですか。

      11 弟子たちは神の王国が来るように祈るべきである,とイエスは述べました。さらに,神のご意志が「天におけると同じように,地上においても」行なわれるように祈るべきである,とも言われました。神は天におられ,神のご意志は忠実なみ使いたちにより,常に天で行なわれてきました。しかしこの本の3章で学んだように,ひとりの邪悪なみ使いが神のご意志を行なわなくなり,アダムとエバに罪を犯させました。悪魔サタンとして知られるこの邪悪なみ使いについて聖書が何と教えているかは,10章でさらに学びます。サタンと,サタンに従うことを選んだ霊の被造物であるみ使いたち ― 悪霊と呼ばれる ― は,しばらく天にとどまることを許されました。ですからその期間は,天にいる者すべてが神のご意志を行なっていたわけではありません。しかし,神の王国が支配を始めると,変化が生じます。即位したばかりの王イエス・キリストがサタンと戦うことになるのです。―啓示 12:7-9。

      12 啓示 12章10節は,どんな二つの重要な出来事について述べていますか。

      12 どんなことが生じるかは,次の預言の言葉に描かれています。「わたしは大きな声が天でこう言うのを聞いた。『今や,救いと力とわたしたちの神の王国とそのキリストの権威とが実現した! わたしたちの兄弟を訴える者[サタン],日夜彼らをわたしたちの神の前で訴える者は投げ落とされたからである』」。(啓示 12:10)この聖句が,非常に重要な二つの出来事について述べていることにお気づきですか。一つは,イエス・キリストのもとにある神の王国が支配を始めること,もう一つは,サタンが天から追い出され,地に落とされることです。

      13 サタンが天から追い出されたことによって,どんな結果が生じましたか。

      13 それら二つの出来事によってどんな結果が生じたでしょうか。天で起きたことについては,「このゆえに,天と天に住む者よ,喜べ!」と記されています。(啓示 12:12)そうです,天の忠実なみ使いたちは歓びます。天からサタンと配下の悪霊たちがいなくなり,エホバ神に忠実な者だけが残ったからです。そこには,破られることのない完全な平和と調和があります。天では今,神のご意志が行なわれています。

      人々の苦しみ,戦争,犯罪,汚染

      サタンと配下の悪霊たちが天から投げ落とされて,地上では災いが生じる。しかし,そのような厄介な問題は間もなく終わる

      14 サタンが地に投げ落とされたために,どんなことが生じましたか。

      14 しかし,地についてはどうでしょうか。聖書はこう述べています。「地と海にとっては災いである。悪魔が,自分の時の短いことを知り,大きな怒りを抱いてあなた方のところに下ったからである」。(啓示 12:12)サタンは天から追い出されたことと,短い時しか残されていないことに怒りを感じています。その怒りのゆえに,サタンは地に苦難を,つまり「災い」を生じさせます。この「災い」については次の章でさらに学びます。しかし,こうしたことを考えると,王国はどのようにして神のご意志が地上でなされるようにするのだろうか,という疑問が生じるかもしれません。

      15 地に対する神のご意志は何ですか。

      15 地に対する神のご意志は何であったかを思い起こしてください。そのことは3章で学びました。神がエデンで示されたご意志は,この地球が楽園となり,死ぬことのない,義にかなった人間で満たされることでした。サタンがアダムとエバに罪を犯させたので,地に対するご意志の成就は影響を受けましたが,神のご意志そのものが変わったわけではありません。今もエホバは,『義なる者たちが地を所有し,そこに永久に住む』ことを目的としておられます。(詩編 37:29)そして,神の王国はそれを達成します。どのようにでしょうか。

      16,17 ダニエル 2章44節は神の王国について何を教えていますか。

      16 ダニエル 2章44節の預言について考えましょう。そこにはこう記されています。「それらの王たちの日に,天の神は決して滅びることのないひとつの王国を立てられます。そして,その王国はほかのどんな民にも渡されることはありません。それはこれらのすべての王国を打ち砕いて終わらせ,それ自体は定めのない時に至るまで続きます」。この言葉は神の王国について何を教えているでしょうか。

      17 第一に,神の王国が「それらの王たちの日に」,つまり他の王国がまだ存在しているうちに設立されることを教えています。第二に,神の王国が永久に存続することを教えています。他の政府に征服されたり取って代わられたりすることはありません。第三に,神の王国とこの世のさまざまな王国との間に戦いがあることも分かります。神の王国は勝利を収め,最終的には,人類を治める唯一の政府となります。その後,人間はそれまで経験したことのない優れた支配を受けます。

      18 神の王国とこの世の諸政府との間の最終的な戦いは,何と呼ばれていますか。

      18 聖書は,神の王国とこの世の諸政府との最終的な戦いについて,多くのことを述べています。例えば,終わりが近づくと,邪悪な霊たちが「人の住む全地の王たち」を欺くために偽りを広める,と教えています。どんな目的で偽りを広めるのでしょうか。「全能者なる神の大いなる日の戦争に彼ら[王たち]を集めるため」です。地の王たちは「ヘブライ語でハルマゲドンと呼ばれる場所」に集められます。(啓示 16:14,16)これらの二つの節で述べられていることのゆえに,人間の政府と神の王国との間の最終的な戦闘は,ハルマゲドンの戦いと呼ばれます。

      19,20 今,ご意志が地上で行なわれるのを妨げているものは何ですか。

      19 神の王国はハルマゲドンによって何を成し遂げるのでしょうか。もう一度,地に対する神のご意志について考えてみてください。エホバ神は地上が楽園となり,ご自分に仕える義にかなった完全な人間で満たされることを目的とされました。今,そうなることを妨げているものは何でしょうか。第一に,人は罪を持ち,病気になり,死んでゆくということです。しかし,5章で学んだように,イエスはわたしたちが永久に生きられるよう,わたしたちのために死んでくださいました。ヨハネの福音書に記されたこの言葉を覚えておられるでしょう。「神は世を深く愛してご自分の独り子を与え,だれでも彼に信仰を働かせる者が滅ぼされないで,永遠の命を持てるようにされた」。―ヨハネ 3:16。

      20 もう一つの問題は,悪いことを行なう人が多いということです。うそをつき,人をだまし,不道徳なことを行ないます。神のご意志を行なうことを望まない人々です。悪いことを行なう人たちは,神のハルマゲドンの戦いで滅ぼされます。(詩編 37:10)地上で神のご意志が行なわれていないもう一つの理由は,諸政府が,神のご意志を行なうよう国民に勧めていないからです。多くの政府は力が弱く,冷淡で,腐敗しています。聖書は率直にこう述べています。「人が人を支配してこれに害を及ぼした」。―伝道の書 8:9。

      21 王国によって,どのように神のご意志が地上で行なわれるようになりますか。

      21 ハルマゲドン後,人類は唯一の政府,つまり神の王国のもとに置かれます。その王国は神のご意志を行ない,すばらしい祝福をもたらします。例えば,サタンと配下の悪霊たちを除き去ります。(啓示 20:1-3)イエスの犠牲の効力が適用され,忠実な人たちはもはや病気も死も経験しません。それどころか,王国の支配のもとでは永久に生きることができるようになります。(啓示 22:1-3)地上は楽園に変わります。王国はこのようにして,神のご意志が地上で行なわれるようにし,神のみ名を神聖なものとします。このことにはどんな意味があるのでしょうか。神の王国のもとで生きる人はみな,最終的にエホバのみ名をたたえるようになるということです。

      神の王国はいつ行動を起こすか

      22 イエスが地上にいた時に,あるいはイエスの復活後すぐに神の王国が来たわけでないと,どうして分かりますか。

      22 イエスが弟子たちに,「あなたの王国が来ますように」と祈ることを教えた当時,明らかに王国はまだ来ていませんでした。では,イエスが天に昇った時に来たのでしょうか。そうではありません。なぜなら,詩編 110編1節には,「わたしの主に対するエホバのお告げはこうです。『わたしがあなたの敵をあなたの足台として置くまでは,わたしの右に座していよ』」という言葉があり,ペテロもパウロも,この預言はイエスの復活後イエスに成就したと述べているからです。(使徒 2:32-35。ヘブライ 10:12,13)待つ期間があったのです。

      王国の支配のもとで,神のご意志は天におけると同じように地上においても行なわれる

      23 (イ)神の王国が支配を始めたのはいつですか。(ロ)次の章ではどんな点を取り上げますか。

      23 どれほど長く待つのでしょうか。19世紀から20世紀にかけて,誠実な聖書研究者たちは,この待つ期間が1914年に終わることを漸進的に理解しました。(この年代については,付録の「1914年 ― 聖書預言における重要な年」をご覧ください。)その理解の正しさは,1914年に始まった世界の出来事によって裏づけられました。聖書預言の成就は,キリストが1914年に王となり,その年に神の天の王国が支配を始めたことを示しています。ですから,わたしたちは今,サタンに残された『短い時』に生活しているのです。(啓示 12:12。詩編 110:2)また,間もなく王国が行動を起こし,神のご意志が地上で行なわれるようにするということも,断言できます。これはすばらしいニュースだと思いますか。確かにそうなると思われますか。次の章では,それらの点について聖書が実際に何を教えているかが分かるでしょう。

      聖書は何を教えていますか

      • 神の王国は,イエス・キリストを王とする天の政府。人類の中から取られた14万4,000人がイエスと共に支配する。―啓示 14:1,4。

      • 神の王国は1914年に支配を開始した。それ以来,サタンは天から地に投げ落とされている。―啓示 12:9。

      • 神の王国は間もなく人間の政府を滅ぼし,地上は楽園になる。―啓示 16:14,16。

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