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習慣には従うべきですかものみの塔 1979 | 6月15日
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うちに,彼らは一人のみ使いによって自由にされました。使徒たちはどこへ行ったでしょうか。「良いたより」を引き続き宣明するために神殿へ行ったのです。やがて,彼らはユダヤ人の法廷の前に引き出されました。「わたしたちは,自分たちの支配者として人間より神に従わねばなりません」と大胆に語った使徒たちは,むち打たれた後,釈放されました。次に彼らはどうしたでしょうか。「彼らは毎日神殿で,また家から家へとたゆみなく教え,キリスト,イエスについての良いたよりを宣明しつづけた」のです。(使徒 5:17-42)イエス・キリストのこれらの忠実な追随者たちは,なんとりっぱな習慣を培っていたのでしょう。「良いたより」を宣明するというクリスチャンの習慣に対して,あなたは同様の態度を抱いていますか。
それでは,習慣に従うべきですかという質問にあなたはどう答えますか。賢明な決定を下せば,生活に変化と潤いが増し加えられ,同時に,仲間の信者との暖かい交友を楽しむことができるようになります。何にも増して,それによって,わたしたちの喜びのためにあらゆるものを備えてくださっているエホバとの親密で暖かい個人的な関係を築いていくことができます。加えて,あなた自身と,多分あなたが「良いたより」を伝える人々に,神の義の新秩序の下で生きるという特権を保証するものとなるでしょう。この新秩序の下では,すべての習慣がエホバの栄光を反映するでしょう。―コリント第一 10:31。
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利他的な精神を示した思慮深い女性ものみの塔 1979 | 6月15日
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利他的な精神を示した思慮深い女性
1,2 (イ)わたしたちはこれから,西暦前五世紀に起きたどんな劇的事件を検討しますか。それはどこに記録されていますか。(ロ)アハシュエロスとはだれですか。(ハ)このようにして過去に分け入ることにはどんな報いがありますか。
その建造物はここシュシャン(スサ)の町の中にありました。それは壮麗な宮殿で,おそらくペルシャの王ダリヨス一世とその子クセルクセス一世が建てたものでしょう。建物の装飾に使われた材料は,遠いところから運ばれてきました。たとえば,香柏材はレバノンから,金はサルディスとバクトリアから,銀と銅はエジプトから,象げはエチオピアとかインドなどから運ばれた,とダリヨスの碑文にはあります。
2 今日では,その壮麗を誇ったかつての宮殿も,見る影もない廃虚を残すのみとなっています。それでもわたしたちは,敬虔なヘブライ人モルデカイが書いたにちがいない聖書のエステル書を通して,西暦前5世紀初頭のその宮廷を“訪れる”ことができ,ペルシャ帝国全土の神の民が壊滅の危機に直面するに至った10年間(西暦前484年から474年ごろまで)の劇的な事件を,再び体験することができます。それはアハシュエロス(明らかにクセルクセス一世)の治世のことでした。あえて遠い過去に分け入ることには多くの報いがあります。なぜなら,聖書にあるそういう物語は,神を恐れる人々の教えのために,『わたしたちが忍耐と聖書からの慰めとによって希望を持つために』書かれているからです。―ローマ 15:4。
わがままな態度は恥辱をもたらす
3-5 シュシャン城とは何ですか。アハシュエロス王の治世の第三年にそこでどんな集まりが開かれましたか。
3 インドからエチオピアまで127の管轄地域を含む版図を有するペルシャ王アハシュエロスは,要塞地帯内の,多くの建物で成る離宮,シュシャン城で王位についていました。今やその治世は第三年に至り,アハシュエロスは君たち,しもべたち,武人や貴人たちの会議を召集します。任務の関係上全員が同時に出席するわけにはいかない,おびただしい数の役人の都合を考えてか,その集まりは180日におよびます。(ギリシャの歴史家ヘロドトスは,クセルクセス一世の第三年に同王がギリシャに対する戦いの計画を練るために集まりを開いたことを伝えているので,軍事的意図が含まれていたのかもしれません。)― エステル 1:1-4。
4 この注目に値する集まりが終わると,王はシュシャン城内の人々すべてのために七日にわたる酒宴を設けます。この酒宴は宮殿の園の中庭で開かれます。ちょっと周りを見てごらんなさい! 亜麻布,綿布,青布の飾りが上等の布のひもでしっかりつながれ,赤紫の毛織の布が銀の輪に取りつけられています。柱は大理石でできており,斑岩や大理石,真珠,黒大理石などで細工を施した床の上には,金銀の寝いすが置かれています。―エステル 1:5,6。
5 この酒宴では,ぶどう酒を飲むのにさまざまな形の金の杯が使われます。ペルシャ人は酒豪で知られています。しかしこの酒宴では,客人に一定量の酒を飲むことを義務づける習慣は守らなくてもよいことになっています。―エステル 1:7,8。
6 ワシテはどんな女性ですか。それはどんなことから明らかになりましたか。
6 王宮の別の場所では,ペルシャの王妃ワシテが,婦人たちのために宴を催しています。王の酒宴は今や七日目となり,彼の心は酒で陽気になります。そこで王は美しいワシテを自分と客人たちの前に連れて来るように七人の侍従に命じます。しかしどうしたことでしょう。ワシテは王の命令を拒みつづけます。憤ったアハシュエロスは,側近である七人の君たち,すなわち法律問題に詳しい知者たちの会議に相談します。『王妃ワシテは法令にしたがってどう扱われるべきであろうか』と王は尋ねます。このわがままな女は不服従の罪を犯したのです。―エステル 1:9-15,新。
7,8 (イ)ワシテはだれに対して悪い事をしましたか。彼女の行ないはどんな結果を招きましたか。(ロ)あなたはワシテの振る舞いから何を学べると思いますか。
7 よく聞いてご覧なさい! 七人の君たちの主要な代弁者メムカンは,ワシテは王のみならず君たちや帝国全土の民に対しても悪い事をしたと主張し,彼女のしたことは知れ渡り,君たちの夫人を含め,妻たちはことごとく夫を軽べつするようになるだろうと言います。そこでメムカンは王に進言し,ワシテが王の前に出ることをとどめる勅令を出し,王妃の地位を彼女よりも勝った婦人に与えるようにと述べます。そうすれば妻たる者はみなその夫を敬うであろうというわけです。―エステル 1:16-20。
8 この勧めはアハシュエロスの心にかないます。間もなく王の管轄地域のあらゆる民族にそれぞれの言語で書状が送られます。そしてこの法令は,メデアとペルシャの変わることのない法律の中に書き加えられたため,「夫はみな自分の家で引き続き君として行動」することになります。(エステル 1:21,22,新)ワシテはその不服従とわがままな態度の代償として,王冠を失いました。その態度は彼女に恥辱をもたらすことになりました。
従う女性は好意を得る
9 ワシテの代わりの王妃はどのようにして選ばれますか。
9 少しの時が過ぎてアハシュエロスの憤りはおさまります。それから王の侍臣たちが勧めた通りに,任命を受けた役人たちが王の全管轄地域で,若くて美しいおとめを探し出します。それらのおとめはシュシャン城に連れて来られ,宦官ヘガイの管理のもとにおかれます。選ばれた婦人たちはマッサージを施されることになっており,最もアハシュエロスの意にかなった若い婦人が最後にワシテの代わりに王妃とされます。(ワシテが退けられてから彼女の代わりが選ばれるまでに四年が経過していますが,それはギリシャと戦争をしていた間王がいなかったためと思われます。)― エステル 2:1-4,16,17。
10 (イ)モルデカイとはだれですか。(ロ)エステルとはだれですか。
10 この王妃探しに非常な関心を抱いているのは王のしもべのモルデカイです。ベニヤミン族の者であるこの信仰の厚いユダヤ人は,バビロンの王ネブカデネザルがエホヤキン王(エコニヤ)やその他の者たちと共にエルサレムから捕え移した(西暦前617年)キシという人の子孫です。何年か前モルデカイは,ユダヤ人で父母のいないハダッサという娘の後見人になっていました。その名は「ぎんばいか」という意味です。ハダッサはエステル(「みずみずしいぎんばいか」という意)という名でも知られており,モルデカイの死亡したおじアビハイルの娘です。彼女はまたなんと美しい娘に成長したのでしょう!「姿もきれいで容ぼうも美しい」女性です。ですから,ワシテの代わりが求められているいま,シュシャン城に集められてヘガイの管理下におかれた若い女性たちの中にいても,少しも不思議ではありません。―エステル 2:5-8,15,新。
11 ヘガイはエステルをどのように扱いますか。エステルはモルデカイの指示に従って何を明かしていませんか。
11 エステルはヘガイの心にかないました。ヘガイはすぐに彼女に規定のマッサージを行なわせ,また適切な食物を与えます。そのうえに女の家の最も良い所に住まわせ,七人の若い侍女に付き添わせます。エステルは年上のいとこモルデカイの言いつけを守って,自分がユダヤ人であることを明かしません。選ばれた処女たちは六か月の間没薬の油でマッサージを施され,さらに六か月間バルサム油でマッサージをされます。それからひとりずつアハシュエロスのところへ行き,そのあと,王のそばめたちの管理官シャシガスの管理のもとにある「第二の女の家」にもどります。―エステル 2:9-14,新。
12 エステルはどんな性質の人ですか。アハシュエロスは彼女をどう見ますか。結果はどうなりますか。
12 エステルには利己的なところがなく,華やかな飾りで自分を引き立てようともしません。ですからヘガイが勧めないものは何一つ要求しません。エステルは最初からずっと,彼女を見るすべての人の好意を得てきました。さてアハシュエロスの第7年10月,すなわちテベテ(12月–1月)の月となりました。エステルは王の前に連れてゆかれ,緊張は高まります。彼女は王の心にかなうでしょうか。はたせるかな,王は彼女がすっかり気に入りました。このペルシャの支配者は他のどの女にもましてエステルを愛するようになり,ワシテの代わりに彼女を王妃とします。喜びの王はすべての君たちとしもべたちのために大宴会,すなわち「エステルの大宴会」を催し,それに加えて,管轄地域のために大赦を行ないます(おそらく貢物の免除,軍役もしくは牢獄からの解放,あるいはそれらを組み合わせたもの)。アハシュエロスは,帝王の富をもってして初めて可能な贈り物を次々に与えます。なんという喜びの時でしょう!―エステル 2:15-18,新。
13 (イ)エステルの主要な飾りは何でしたか。(ロ)20世紀のクリスチャンの婦人は,ワシテとエステルの振る舞いを考えることからどんな益が得られますか。
13 ほんとうに従順な女性は好意を得ました。エステルはいまやペルシャの王妃として座しますが,やはりモルデカイの指示に従って行動します。(エステル 2:19,20)わたしたちは当時のことを想像して,王妃の衣装をつけた美しい女性エステルを脳裏に描くでしょう。しかし彼女の主要な「飾りは,もの静かで柔和な霊という朽ちない装いをした,心の中の秘められた人」でした。(ペテロ第一 3:3,4)20世紀のクリスチャンの婦人たちも,王妃の座を追われたワシテのわがままな態度を避け,敬虔なエステルの従順で愛他的な特性に見倣う十分の理由があります。
14 エステルが王妃になったことをモルデカイが特に喜んだのはなぜですか。
14 またエステルが王妃にされたとき,彼女の年上のいとこモルデカイが心の底から喜んだことも注目に値します。モルデカイはエステルの王妃の座がゆくゆくはペルシャ諸州にいるユダヤ人全体のために有利に作用するだろう,と考えたにちがいありません。
忠節であるが妥協しない
15 モルデカイはどんな陰謀を報告しますか。謀反人はどうなりますか。
15 エステルはモルデカイと常に連絡を保ち,彼の指示に従います。モルデカイが王の門に座っているとき(王の私室の戸を守る者であるらしい)侍従のビグタンとテレシが怒りを抱いて,アハシュエロスを手に掛けようと時をうかがっていました。その陰謀を知ったモルデカイはそのことを直ちにエステルに告げ,エステルはモルデカイの名をもって王に告げます。エステルの言ったことから調査が開始され,まもなく二人の謀反人は処刑され,その死体ははりつけ柱にかけられて人目にさらされます。彼らの罪は王に対するものだったからです。その時モルデカイは何の報いも受けませんでしたが,彼の忠節な行動は年代記の書に書き記されました。―エステル 2:21-23。
16,17 (イ)ハマンとはだれですか。(ロ)モルデカイはなぜハマンの前にひれ伏すことを拒みますか。
16 モルデカイは忠節で,政治上の権威に対し正しい考えをもっていましたが,妥協することはしませんでした。時は流れ,アハシュエロス王はなんらかの理由でハマンという富裕な人物を総理大臣に任命します。そして宮殿の門のところにいる王のしもべたちはみな,王の命によりひれ伏してハマンに最敬礼をします。しかし,モルデカイをご覧なさい。彼は新たに任命された総理大臣の前に決してひれ伏そうとしません。そのためにハマンは怒りに満たされます。―エステル 3:1-5。
17 モルデカイはどういうわけでそのような断固たる態度を取るのでしょうか。それはハマンがアガグびとだからです。たぶんアマレク人の王族のひとりなのでしょう。アマレク人は荒野でイスラエル人を攻撃して神とその民に憎しみを示したので,エホバはアマレク人を必ず絶滅させるという判決を下しておられました。(出エジプト 17:8,14-16。申命 25:17-19。サムエル前 15:1-33)したがって敬虔なモルデカイは,ハマンの前にひれ伏すことを頑として拒絶しました。敬礼をすることは敬意を示すだけにとどまらず,このアマレク人と和解し,臣従の礼をつくすことにさえなりかねません。それは神に対して忠実を保つかどうかの問題なので,モルデカイは屈しません。
18 怒りに燃えたハマンは,モルデカイとペルシャ全土のユダヤ人に何をすることを計画しますか。
18 怒りに燃えたハマンは,モルデカイとその民,すなわち帝国全土のユダヤ人を撲滅する計画を始めます。アハシュエロスの第12年の1月すなわちニサンの月に,この無法なアガグびとは,その目的を遂げるために占いという手段に訴えます。つまりハマンは『ある人[明らかに占星術者]にプルすなわちくじを投げさせ』ます。それはエホバの民を根絶やしにするのに一番良い日を決めるためです。―エステル 3:6,7,新。
19,20 ハマンはアハシュエロスにユダヤ人をどのようにざん訴しますか。そのために何が行なわれますか。
19 次にハマンは,ユダヤ人が法律を守らない望ましくない者のようにアハシュエロス王にざん訴します。そしてお金の魅力も利用してこのアガグびとは言います。「彼らが滅ぼされるようにと書き記されることがなされますように。そうすれば,私は銀一万タラントを,王の金庫に運び入れ」ます。―エステル 3:8,9,新。
20 アハシュエロスはそのざん言を信ずるでしょうか。王はそれを信じます。ですから,公文書のなつ印に用いる印章付き指輪をはずしてハマンに渡します。「その銀,またその民族もあなたに渡されるから,自分の目に善いとおりに彼らに行なうがよい」と,ペルシャの支配者は言います。まもなく王の書記官たちは,ハマンの指示のもとに,ユダヤ人の撲滅を命令する書状をしたためます。よこしまなアガグびとは次に,王の明確な象徴の付された印章付き指輪を用います。それらの文書を権威あるものにするためにハマンは指輪をそれらの書の上の蜜ろう,またはほかの柔らかい物質に押し付けます。―エステル 3:10-12,新。
21 詔書により,アハシュエロスの治世の第12年アダルの月の13日に,ユダヤ人にどんなことが起きることになりますか。
21 まもなくそれらの書状は早馬に乗った急使たちの手にあります。さまざまな言語で発布されたその詔書により,ユダヤ人を根絶することとその家財を奪い取ることが許可されました。それがなされるのはいつでしょうか。冬の月アダル(2月–3月)の13日です。王とハマンは座して酒を飲んでいますが,ユダヤ人の多いシュシャンの町があわてまどうのは無理もありません。―エステル 3:13-15; 9:18。
勇気を必要とするとき
22 その撲滅計画のことを知ったとき,モルデカイと他のユダヤ人たちはどのように反応しましたか。
22 モルデカイはその撲滅計画を知ると衣を裂き,悲しみを象徴する荒布をまとい,灰をかぶり,大声で激しく叫びます。同様に王の全管轄地域のユダヤ人の間でも,そのさし迫った災厄のために,大いなる悲しみがあります。しかし断食も行なわれています。もちろん多くの祈りも,エホバ神のもとへ上っているに違いありません。―エステル 4:1-3。
23 モルデカイはエステルに何をすることを命じますか。しかし,召されないのにもし彼女が王のところへ行くならどんなことになる可能性がありますか。
23 エステルもひどく心を痛めています。モルデカイに着物を送ってそれに着替えさせようとしますが,彼はそれを受け取りません。王妃の質問に対する返事として彼は発布されたばかりの法律の写しを送り,王の前に出て自分の民族のために嘆願することをエステルに命じます。彼女は次のように答えます。『だれでも知っていますが,男でも女でも,召されないのに王のところへ行くなら殺されます。ただし,王が金の笏を差し伸べるなら,殺されることはありません。でも私はこのところ30日間王のところに召し出されていません』。(エステル 4:4-11,新)そうです,もしアハシュエロス王がその笏,つまり王権の象徴として持っている杖を差し伸べて,彼女の伺候を許すことをはっきり示さないなら,エステルは命を失います。召されずに王の前へ出るには確かに勇気とエホバへの信仰が必要です。
24 エステルが王妃の威光を与えられたことについて,モルデカイはどんな信仰を表明しますか。
24 それでもモルデカイは言います。「王の家の者ならほかのすべてのユダヤ人と違って免れられるなどと自分の魂のうちで考えてはならない。もしあなたがこのような時に沈黙しているなら,救いと救出はユダヤ人のために別の所から起こることになろうが,あなた,あなたの父の家,あなた方は滅びうせることになるからである。それにあなたが王妃として威光を得たのは,このような時のためでなかったと知る者がだれかいるだろうか」。(エステル 4:12-14,新)エステルは特別の目的のために ― 神の民の救出のために,今この時に王妃の威光を与えられたのだ,とモルデカイは信じています。しかしエステルは,利他的な精神と勇気と信仰を示すでしょうか。
25 断食をしながらエステル,モルデカイおよびシュシャンにいるユダヤ人は何をしますか。
25 それに対する答えとしてエステルは,シュシャンにいるユダヤ人を全部集めて,自分のために断食をするようモルデカイに勧めます。そして『私も同様に断食をし,その上で,法令にしたがうことではありませんが,王のところへ参ります。そして滅びうせねばならないのでしたら,私は滅びうせます』と語ります。エステルは自分の命を危険にさらそうとしています。しかしこの思慮深い婦人は,自分の民族のために勇気と利他的な精神とをもって行動することを決意しています。そこでエステル,モルデカイおよびシュシャンにいるユダヤ人は,祈りと断食を行ない,エホバ神に救いを求めることになります。―エステル 4:15-17,新。
26 今日,神の民の敵は何をすることを許されるかもしれませんか。しかしこのことを考えるとき,油そそがれたクリスチャンとその献身した仲間たちは何をすべきですか。
26 現代においても,イエス・キリストの油そそがれた追随者である霊的ユダヤ人とその仲間たちは,試練と敵に対して勇敢に立ち向かわねばなりません。(ローマ 2:28,29)支配しておられる王イエス・キリストは,神の民を滅ぼそうとする彼らの敵の努力を,極限まで許されるかもしれません。ですから,油そそがれたクリスチャンと彼らの献身した仲間たちが,神の知恵を祈り求め勝利の信仰を示しつつ勇敢に行動することがいかに重要であるかがわかります。しかしエホバはご自分の民を支えつづけられるでしょうか。エステルの日の劇的事件がわたしたちの前にさらに展開してゆくのを見て,ご自分で判断してください。
[13ページの図版]
「滅びうせねばならないのでしたら,私は滅びうせます」― エステル 4:16,新。
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エホバがその民を捨て去ることはないものみの塔 1979 | 6月15日
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エホバがその民を捨て去ることはない
「エホバはその民を見捨てられず,またご自分の相続財産を捨て去ることもない」― 詩 94:14,新。
1,2 預言者サムエルと詩篇作者は,エホバとその民との関係についてなんと言いましたか。
「エホバはご自分の偉大なみ名のためにご自分の民を捨て去られはしないのです」。預言者サムエルはそのように言っていました。同様に詩篇作者も,「エホバはその民を見捨てられず,またご自分の相続財産を捨て去ることもない」と述べました。―サムエル前 12:22; 詩 94:14,新。
2 あなたは個人としてそのような言葉に信頼をおきますか。エステル,モルデカイおよび当時のユダヤ人は,エホバがその民を見捨てられることはない,ということを確信することができたでしょうか。では調べてみましょう。
エホバを信頼して行動する
3 (イ)エステルが召されないのにアハシュエロス王の前に出ると,どんなことになりますか。(ロ)エステルの願いは何ですか。
3 ペルシャ帝国内の窮地に立たされたユダヤ人が,断食とエホバへの祈りをはじめてから三日目になりました。勇敢で利他的精神を持つ王妃エステルは,王妃の衣装をまとい,召されていないのに王の家の中庭に立ちます。アハシュエロス王は玉座から妃を見ます。彼女は死を宣告されるのでしょうか。そうではありません。王は金の笏をエステルの方に差し伸べ,エステルは進み寄って笏の頭にさわります。エステルは王の恵みを得,「どうしたのか,王妃エステルよ。どんな願い事があるのか。王権の半分までであってもあなたに与えられるように」と尋ねられます。それに対する答えとしてエステルは,アハシュエロスと総理大臣のハマンを酒宴に招待します。礼を尽くした彼女の招待は受け入れられます。―エステル 5:1-5,新。
4 エステルの酒宴のあと,何がハマンの喜びを損ないますか。
4 その日遅く,ペルシャ王とアガグびとハマンは,エステルの酒宴に臨みます。しばらくして王はエステルに,「あなたの請願は何か」と尋ねます。それに答えてエステルは,アハシュエロスとハマンを翌日の酒宴に招きます。ハマンは喜び楽しんで出て来ます。しかし忠実を保つユダヤ人モルデカイが自分を見ても微動だにしないので,このアマレク人は怒りに満たされますが,自分を抑えます。家に帰るとハマンは妻や友人たちを呼び集めます。彼は誇りたい気持ちを抑えることができず,アハシュエロスがすべての君たちや王のしもべたちに勝って自分を高い地位につけたことを話します。―エステル 5:6-11,新。
5 ハマンの妻と友人は,モルデカイに対して何をすることを彼に勧めますか。
5 「その上」とハマンは語を継いで,「王妃エステルは,彼女が設けた宴会に,わたしのほかはだれも王と一緒に来させなかったし,それに明日もまた,わたしは王と一緒に彼女のところに招かれている」と言います。しかし,自慢しているこのアガグびとにも,何か大変おもしろくないことがあるようです。というのは,「しかし,このすべて ― そのどれも,王の門に座るユダヤ人モルデカイを見ている限り,わたしは気に入らない」と言い添えたからです。ハマンの妻ゼレシと彼の友人たちにはそれを解決する自信があります。「高さ五十キュビトの杭を作らせなさい。それから,朝,モルデカイをそれに掛けるよう王に申し上げなさい。それから王と一緒に喜びに満たされてその宴会においでなさい」と彼らは言います。なんと,モルデカイの死体が高さ50キュビト(22メートル)の杭にかけられるのです!『これはいい!』と高慢なハマンは考え,杭を立てさせます。―エステル 5:12-14,新。
6 モルデカイとエステルのように,今日の油そそがれたクリスチャンはどんな態度を示しますか。
6 翌日の事件の展開を待つ間にわたしたちは,モルデカイとエステルのとった行動を黙想してみましょう。ふたりともエホバに信頼を寄せその導きを求めました。エホバの民に対する愛ゆえに,エステルは召されてもいないのに勇気を振るって王の前に出,命の危険をさえ冒しました。今日の油そそがれたクリスチャンたちも,モルデカイとエステルのように,神の民すべてに対して同様の愛を示します。宗教上の反対者たちから迫害されるにもかかわらず,神の現代のしもべたちはエホバに全き信頼を寄せて行動します。
エホバのみ手はいよいよ明らかになる
7 エホバはご自分の意志を成し遂げるために,政府の権威者たちに何をすることがおできになりますか。
7 エホバはご自分がそうしようと思われるなら,ご自分の意志を成し遂げるよう政府の権威者たちを導く,あるいは制御することがおできになります。ですから霊感による箴言は適切にも,「王の心はエホバの手の中にあって水の流れのようだ。彼は自分の喜ぶところへ,どこへでもそれを向かわせる」と述べています。(箴 21:1,新。ダニエル 2:21)では,モルデカイとエステルの時代に,至高者のみ手の働きがどのように明らかになっていったかを見ることにしましょう。
8 アハシュエロスが眠れなかったとき,どんなことがありますか。
8 アハシュエロスはこの二度目の酒宴の前夜眠ることができません。おそらくエホバのみ手が働いたからでしょう。何かやり残しているからだとでも考えたのか,王は記録の書を読ませます。ついに王は,二人の廷臣ビグタナ(ビグタン)とテレシの王暗殺の陰謀を暴露したモルデカイの忠節の記録が読まれるのを聞きます。そしてこの忠節な行為が報いられていないことを王は知ります。そこでペルシャ王はモルデカイに栄誉を与えることにします。―エステル 6:1-3。
9 ハマンは自分が栄誉を与えられると考えて,どんな豪勢な儀式を提案しますか。
9 次の朝早く,たくらみを抱くハマンはアハシュエロス王に近づくことを許されます。しかし,そのアガグびとがモルデカイ殺害の陰謀を実行に移す前に,王は,「王が栄誉を与えることを喜びとした者には何がなされるべきか」と尋ねます。ハマンは心の中で,「王はわたし以上のだれに栄誉を施すことを喜ぶであろうか」と考えます。そして非常な栄誉を与えられた自分の姿を脳裏に描いたにちがいなく,ハマンはこう言います。『王の頭飾りを付けた王の馬を引いて来させてください。(ごう慢なハマンには並みの馬では物足りないのです!)そして王がお召しになる王服を着させます。それからその人をその馬に乗せて町の公共広場を通らせ,その人の前に「王が栄誉を与えることを喜びとした者にはこのようにされる」と大声で呼ばわらせるのです』― エステル 6:4-9,新。
10 (イ)ハマンは感情的にどんな大きな打撃を経験しますか。(ロ)モルデカイに敬意を表する儀式のあと,そのアガグびとは妻と友人から慰められますか。
10 「急ぎあなたが言った通りにその衣服と馬を取り,王の門に座っているユダヤ人モルデカイにそのようにしなさい。あなたが話したすべてのことのうち,どんな事も成就しないことがないように」と,アハシュエロスは言います。誇り高いハマンにとって,これはまたなんという大きな打撃でしょう! しかしハマンはどうすることもできません。命令に従わなければ確実に死です。そういうわけで間もなくモルデカイは,王の服を着,王の馬にまたがって公共の広場を通り,面目を失ったハマンはその前に,「王が栄誉を与えることを喜びとされた者にはこのようにされる」と呼ばわります。そのあとモルデカイは王の門にもどり,ハマンは悲しみながら屈辱のために頭を覆って急ぎ家に帰ります。ハマンの妻と友人たちはハマンを慰めるどころかこう言います。「あのモルデカイ,すなわちあなたがその前に倒れ始めた者が,もしユダヤ人の末の者であれば,あなたはその者に勝つことはなく,かえってその前に倒れることになるでしょう」。そうです,このアガグびとの妻と友人には,ハマンがモルデカイに敬意を表するための公の儀式の司会をつとめなければならなかったということが,このユダヤ人の前にハマンが倒れる前兆と見えるのです。ハマンがこの恐ろしい言葉を聞くか聞かないうちに王の廷臣がやって来て,ハマンをエステルの二度目の酒宴に連れて行きます。―エステル 6:10-14,新。
勇気をもって身分を明かし,大胆に暴露する
11,12 (イ)アハシュエロスとハマンの出席した二度目の酒宴のとき,エステルは自分自身とその民についてなんと言いますか。(ロ)人のことを偽り伝える油断のならない陰謀家であることを明らかにされたとき,ハマンはどのように反応しますか。しかし,エステルが容赦しないのはなぜですか。
11 酒宴の間にアハシュエロスは,「あなたの請願は何か,王妃エステルよ」と尋ねます。それに答えるには勇気がいりますが,でも王妃は言います。「王よ,もし私があなたの目に恵みを得ておりますなら,またもし王にとって確かに善いと思われることでしたら,私の請願にしたがって私に私の魂が与えられますように。と申しますのは,私たちは売られておりまして,私も私の民族も,根絶やしにされ,殺され,滅ぼされることになっております。もし私たちが単に男の奴隷またははしためとして売られただけでしたら,私は沈黙しておりましたことでしょう。ですが,この苦難は,王にも及ぶ損害を思うとき,ふさわしくありません」― エステル 7:1-4,新。
12 これはなんとしたことでしょう。王妃エステルはユダヤ人です。しかもその民族は勅令により根絶やしにされることになっています。アハシュエロスはだれがそれをたくらんだか知ろうとします。エステルは大胆に,「敵対者,敵であるその男は,この悪いハマンです」と言います。今は恐れおののいているこのアマレク人のいるところでその悪行を暴露した王妃は公平でした。ひどい偽りを伝えた者としてハマンを告発し,ペルシャ王自身の利益に反する油断のならない陰謀家であることを,エステルは勇気を振るって暴露します。激怒した王は,宮殿の庭に出て行きます。アハシュエロスのあわれみを得られないことを知ったハマンはおびえ,エステルが横になっていた寝いすの上に身を伏せます。ハマンはエステルに命ごいをします。しかしエステルは容赦しません。容赦すれば,アマレク人の絶滅を言い渡されたエホバの不興を買うことになるからです。―エステル 7:5-8,新。
13 アハシュエロス王の命令でハマンはどうなりますか。
13 庭からもどった時にアハシュエロスは,捨て鉢になったハマンがエステルの寝いすの上にいるのを見て,「わたしがいる家の中で,王妃をてごめにすることまでするのか」と叫びます。そして直ちにこの邪悪なアガグびとに死刑を宣告します。やがてハマンの息絶えた体が,ユダヤ人モルデカイのために立てられた杭に掛けられます。そのとき初めて王の怒りはおさまります。―エステル 7:8-10,新。
14 エステルが自らユダヤ人の女であることを明かしたことや,ハマンが神の民の敵であることを大胆に暴露したことと関連して,現代どんな比較ができますか。
14 振り返ってみると,勇気のあるエステルは,自分がユダヤ人の女であることを明かしただけでなく,ハマンが神の民の敵であることも大胆に暴露しています。同様に今日,第一次世界大戦以後イエス・キリストの油そそがれた追随者となった人々は,それより前から油そそがれた者になっている人々と共に,自分たちが霊的ユダヤ人であり,したがってエホバの証人であることを,勇敢に証ししました。(イザヤ 43:10-12)彼らにも確かに敵がいます。例えば,キリスト教世界の僧職者たちは,ハマンのように,エホバの民の破滅を求めました。しかし真のクリスチャンは,憎しみを抱くそれらの敵,無法なアマレク人ハマンのたくらみと同じように失敗に終わるたくらみを持つ敵の悪事を摘発してきました。それというのも,神の言葉を大胆に語るエホバの民には,陰謀や迫害に立ち向かうにあたって神の後ろだてがあるからです。―イザヤ 54:17。使徒 4:29-31。
苦悩が歓喜に変わる
15 ハマンの家はどうされましたか。モルデカイはどんな地位に任命されましたか。
15 アハシュエロスは,処刑されたハマンの家をエステルに与えます。エステルは自分とモルデカイとの関係を王に話します。王はまた,ハマンから取り上げていた印章付き指輪をこの忠節なユダヤ人に渡し,かのアガグびとの代わりにモルデカイを総理大臣にします。そしてエステルは,王から与えられた権限の範囲内で行動し,モルデカイにハマンの家を管理させます。―エステル 8:1,2。
16 エステルの訴えに答えてアハシュエロスはユダヤ人に関したどんな許可を与えましたか。
16 さて,エステルは再び命の危険を冒して召されないのに王の前に出,ひれ伏して泣きます。アハシュエロスは金の笏を伸べ,エステルは身を起こして言います。『もし王が善いとみなされ,私が王のみ前に恵みを得ますならば,ハマンの計画を取り消す文書を作らせてください。どうして私は,私の民に臨む災いを,私の親族が滅びるのを見ていることができるでしょうか』。メデアとペルシャのおきては変えられないので,アハシュエロスは,前の命令を相殺する公文書を王の名でユダヤ人のために作成する権限を,エステルとモルデカイに与えます。―エステル 1:19; 8:3-8,新。
17,18 (イ)ペルシャ帝国全土のユダヤ人のために,モルデカイは何をしますか。アダルの13日に関連して彼らはどんな権限を与えられますか。(ロ)ユダヤ人の間には反対詔書に対してどんな反応がありますか。
17 そこで新しく任命された総理大臣は直ちに行動を開始します。シワン(5月–6月)の23日に王の書記官が召し集められ,モルデカイが前の詔書を相殺する詔書を口述します。詔書は間もなく,ペルシャの127の管轄地域にいるユダヤ人と他の人々,政府の役人 ― 大守(もしくは総督),その下の知事や君たち ― のところに届くでしょう。モルデカイは王の印章付き指輪でそれらに印を押し,権威のあるものにします。新しいおきての内容はどんなものでしょうか。アハシュエロス王はユダヤ人に,彼らが相集まって自分たちの魂を守るために戦い,彼らに敵意を示す者たちを滅ぼす権利を与えました。そうです,ユダヤ人はアダル(2月–3月)の月の13日,すなわち前に彼らを根絶やしにする日と定められていた日に,自分を防衛することができるのです。時を移さず,早馬に乗った急使たちがリレー式に馬を駆って,不規則に広がる帝国の津々浦々に反対詔書を運びます。―エステル 8:9-14。
18 総理大臣のモルデカイは,青布と亜麻布の王服を着て王の前から出て行きます。赤紫に染めた上等の毛織の外とうをまとい,頭には大きな金の冠をいただいています。反対詔書が出されたのですから,モルデカイには確かに喜ぶ理由があります。事実,シュシャンにも喜びが広がります。そして最後に帝国全土のユダヤ人に,歓喜と酒宴と良い日とがあります。そればかりではありません。ユダヤ人を恐れる心が人々のうちに起こり,多くの者が改宗しました。―エステル 8:15-17。
19 ハマンの陰謀,反対詔書およびそれに関連した事件を考えるとき,今日のクリスチャンに励みとなるものが何か見られますか。
19 ちょうど今起きたことをよく考えると,これは現代のクリスチャンたちの励ましになります。ハマンが生来のユダヤ人を根絶やしにすることをたくらんだように,キリスト教世界の宗教指導者たちは,今日の霊的ユダヤ人すなわちキリストの霊的兄弟たちを根絶やしにしようとしました。アハシュエロスがペルシャ帝国に対して王権を行使したように,この地球に対して王権を行使されるイエスは,そのようなくわだてを許されましたが,またご自分の油そそがれた追随者たちがエホバのクリスチャン証人としての自分たちの命のために戦うことも可能にされました。そのうえに,心の正直な人々が多数,エステルの時代のペルシャ人の改宗者たちのように,真の崇拝を受け入れることによって,それらの霊的ユダヤ人と共にその態度を明らかにしました。―ゼカリヤ 8:23。ガラテア 6:16。
エホバはその民の後ろだて
20 ユダヤ人と彼らの敵はアダルの13日と14日にどうなりますか。
20 月日は過ぎてはやアダルの月の13日となりました。ユダヤ人は彼らの町々に集まり,自分たちを害そうとする者たちを捕えます。神の民に当たれる者はひとりもいません。政府の役人たちまでユダヤ人を助けます。モルデカイを恐れているからです。しかし,ユダヤ人が自分たちを憎む者を打てるのは主にエホバの後ろだてがあるからです。シュシャン城の中だけで500人殺し,ハマンの10人の息子をも殺します。帝国全土で7万5,000人の敵を滅ぼしますが,ユダヤ人はどこでも,ぶんどり物には一切手をかけません。エステルの求めをいれてアハシュエロス王は,首都シュシャンで一日余分に戦うことをユダヤ人に許したので,その日に彼らはさらに300人を殺しますが,やはりぶんどり物には手をかけません。また,ハマンの10人の息子の死体は木に掛けられます。敵が滅びたので,勝利を収めたユダヤ人は,首都から離れた地域ではアダルの14日を,シュシャンでは15日を,酒宴と喜びの日とします。―エステル 9:1-19。
21 モルデカイは毎年何を守る義務をユダヤ人に課しますか。その目的は何ですか。
21 エホバはその民を救出されましたから,彼らはそのことを覚えていなければなりません。そこでモルデカイは,帝国全土のユダヤ人に文書を送ります。アダルの14日と15日を,酒宴を開き,贈り物をし,そして喜ぶ日として年々祝う義務を彼らに課すためです。この事に関しては後日,王妃エステルの確認のある別の書状がユダヤ人に送られます。救出されたことを祝うこの祝いはプリムと呼ばれますが,この名称は,ユダヤ人根絶の陰謀を実行する縁起のよい日を決めるために,ハマンがプル,すなわちくじを投げさせたことから来ています。しかしその陰謀は結局,自分自身の頭上に降りかかることになりました。―エステル 9:20-32。
エホバは義人を救出される
22 政府の高い地位についたモルデカイは,神の民のために何を行ないつづけますか。
22 エステル,モルデカイそして他のユダヤ人にとって危機は過ぎ去ります。エホバはその民をお捨てになりませんでした。時がたつにつれ,アハシュエロス王は陸地や海の島々で強制労働を課すようになります。(例えば彼は,その治世中に,ペルセポリスで父ダリヨス一世が着工した建築事業の大部分を完成しました。)モルデカイは政府の高官で,事実,王に次ぐ高い地位にあります。この忠実なユダヤ人は,神の献身した民に認められ,尊敬されて,彼らの益のために働きつづけ,彼らのすべての子孫に平和を語りつづけます。―エステル 10:1-3。
23 モルデカイとエステルはどんな優れた特質を示しましたか。
23 確かにモルデカイは,信仰と勇気と決断の人,神とその民に対する忠誠と忠節の人でした。そしてエステルは,沈黙すべき時には沈黙を守り,話すべき時には恐れなく話す思慮深い女性でした。エステルはモルデカイの助言を受け入れ,それに従えば命が危険になる時でさえ従いました。この美しい素直な女性は確かに,自分の民に対して愛と思いやりと忠節を示しました。そして彼女もモルデカイもエホバに全き信頼を寄せ,祈りによって神の導きを求めました。
24 モルデカイ,エステル,そして他のユダヤ人に神が行なわれたことを考えると,今日のエホバの民は何を確信できますか。
24 今日の神の民にとってこれはなんという立派な模範でしょう! 反対と迫害を前にして彼らは力を合わせ,エホバに対しまた互いに対して,忠節な奉仕を行なっています。エステルとモルデカイおよび彼らの民の後ろだてとなり,彼らを救出されたように,エホバ神は自分たちをも支え救出してくださる,という確信を彼らは抱いています。(フィリピ 1:27-30)『義なる者の災難が多い』のは事実です。「しかしそれらすべてからエホバは彼を救出される」のです。(詩 34:19,新)ですからわたしたちは,わたしたちの神をほめたたえ,常にエホバに信頼を寄せるようにしましょう。エホバがその民を捨て去られることはないからです。
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