医療機関連絡委員会と協力する
1 約300人の長老たちからなる61の医療機関連絡委員会がエホバのみ名と仲間の福祉のために奉仕していますが,活動の大部分は,他の兄弟姉妹の目に触れないところでなされています。委員は定期的に病院を訪問し,医療および輸血に対するエホバの証人の立場について説明すると共に,無輸血治療に関係する最新の医学文献や法的な資料を提供し,医療関係者を啓蒙します。そのために,会見を求める手紙を書き,電話をかけます。それに加えて,昼夜を問わず,緊急な援助の要請を受けます。時には医師,患者,親族,そして長老との間の仲介役として極度のストレスの中,明け方まで病院で過ごすこともあります。緊急な援助の要請や医師の側の都合で,集会や野外奉仕の計画を犠牲にせざるを得ない状況も時折生じます。このような地道な活動を通して,協力の度合いに違いはあるものの,8,000人を超える協力的な医師が協会のリストに載せられるまでになりました。
2 長老たちの協力が是非とも必要: 長老たちは,会衆の成員から医療上の援助を求められる時,すぐに参照できる資料の整ったファイルを個人用に持っているべきです。ファイルしておくべき資料には,少なくとも委員会のリスト,1995年6月8日付の長老団への手紙に添付されたリスト,「エホバの証人と血の問題」の小冊子と「血はあなたの命をどのように救うことができますか」のブロシュアー,「王国宣教」1990年11月号と1992年9月号の折り込み,「ものみの塔」1989年3月1日号(自己血輸血法)と1990年6月1日号(血液の非主要成分)の「読者からの質問」が含まれるでしょう。委員会に情報や援助を求める電話は長老が行ないます。長老たちは援助を要請した後も,委員会との連絡を密にし,委員と患者との間のパイプ役として積極的に関与すべきです。治療が終了したなら,主宰監督は,(1)委員会への結果報告,(2)援助に関連した出費の払い戻しを委員会に行なう必要を患者,あるいは家族に思い起こさせる,(3)医師に感謝の手紙を書くことの大切さを患者,あるいは家族に説明する,といったことを行なう必要があります。
3 注意を要する状況: 近年,同種血(他人の血)輸血の危険を避けるため,自己血(患者自身の血)輸血が広く行なわれるようになってきました。その主流となっているのは貯血式自己血輸血(手術に先立って,患者自身の血を採取し,貯蔵し,手術の際にそれを戻す方法)です。たとえ,自分の血であっても,この方法は,聖書の原則を犯すものであり,エホバの証人は受け入れることができません。(申命記 12:24)しかし,医師の中には,これがエホバの証人に受け入れられる方法であると誤解し,この方法を証人の患者に勧めるといったことが生じています。
4 一方,自己血輸血の中には,個人の良心上の判断に委ねられている方法もあります。それで,医師から自己血輸血を勧められるなら,まずその方法について十分な説明を求め,その上で「ものみの塔」1989年3月1日号を基に検討します。理解を確かめるために,長老の,また長老を通して委員会の援助を求めるのも賢明なことです。同様のことは,アルブミンやグロブリンなどの血液の非主要成分を受け入れるかどうかを決める際にも適用できます。―テモテ第一 1:19。
5 すべての人の協力が必要: 長老たちに提案されたのと同じ資料(委員会リストと長老団への手紙に添付されたリストを除く)と「病院に行く準備をする際に必ず行なうべき事柄」を個人用のファイルに収め,医療上の問題が生じたなら,まず自分でそれを復習します。それらの資料に基づき,自分の立場を医師に弁明し,治療をお願いすべきです。(ペテロ第一 3:15)診察を受ける最初の時点で,自分がエホバの証人であり輸血を受け入れることができない旨を医師に告げるべきです。輸血に関してきちんとした話し合いを行なわず,あいまいなままで手術を受けるのは危険です。事前に「輸血謝絶 兼 免責証書」(長老を通して地元の委員会から入手できる)を病院側に提出し,血に関する自分の立場を明確にしておくべきです。
6 各委員は,家族を物質的,霊的に養い,会衆に仕え,王国宣明に加わり,そして委員会活動にあずかっています。委員たちは,この奉仕のために,時間や体力に加え,通信費や交通費などの出費を自費で賄っています。これら献身的な兄弟たちの奉仕を高く評価し感謝していることを,エホバの愛のこもった備えである医療機関連絡委員会と協力することによって示せるでしょう。―コロサイ 3:15。