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幸せな家庭を築く秘訣幸せな家庭を築く秘訣
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幸せな家庭を築く秘訣
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タイトルページ/発行者ページ幸せな家庭を築く秘訣
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タイトルページ/発行者ページ
幸せな家庭を築く秘訣
© 1996
WATCH TOWER BIBLE AND TRACT SOCIETY OF PENNSYLVANIA
全権留保
発行者
ものみの塔聖書冊子協会
2012年印刷版
この出版物は販売を目的としたものではありません。世界的な聖書教育活動の一環として提供されており,その活動は自発的な寄付によって支えられています。
聖句は,特に注記がない限り,現代語による「新世界訳聖書 ― 参照資料付き」からの引用です。
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幸せな家庭を築く秘訣がありますか幸せな家庭を築く秘訣
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第1章
幸せな家庭を築く秘訣がありますか
1 人間社会の中で,しっかりした家族が重要なのはなぜですか。
家族は世界で最も古くからある制度であり,人間社会の中でたいへん重要な役割を果たしています。歴史上いつの時代もそうですが,家族がしっかりしていれば社会もしっかりしてきます。子供を円熟した大人に育て上げる上で,家族ほど優れた取り決めはありません。
2-5 (イ)幸せな家庭の子供が抱く安心感について説明してください。(ロ)どんな問題を抱える家庭もあるようですか。
2 幸せな家庭は,安全で安心感を抱ける安らぎの場です。理想的な家庭の様子をちょっと思い浮かべてみてください。夕飯の時間に子供を気遣う両親が子供と食卓を囲み,その日にあった出来事について話し合っています。子供たちは両親に,学校であったことを興奮気味に話します。こうしてくつろぎのひとときを共に過ごすことで皆の気分は新たにされ,またもう一日,家庭の外で生活できるのです。
3 幸せな家庭の子供は,自分が病気になっても,父親と母親が恐らく夜通し交替で看病し,面倒を見てくれることを知っています。自分の生活で問題が生じたときは,母親か父親のところへ行けば,アドバイスしてくれたり,力づけてくれたりすることも知っています。そうです,家庭の外に厄介な問題がどんなにあふれていても,子供は安心していられるのです。
4 子供たちは成長すると,大抵は結婚して自分の家庭を持つようになります。東洋には,「子を持って知る親の恩」という格言があります。成長した子供は,深い感謝と愛の気持ちから幸せな家庭を築くよう努めると同時に,すでに年老いた両親にも気を配ります。お年寄りは孫の顔を見ると大喜びするものです。
5 この時点で,あなたはこうお考えになっているかもしれません。『自分も家族を愛してはいるが,ここに書いてあるようにはいかない。うちは夫婦それぞれの仕事のスケジュールがあって,ろくに顔を合わせることもないし,話すことと言えば,ほとんどお金のことだ』。あるいは,『子供や孫たちは別の町に住んでいるから,なかなか会う機会もない』と言われますか。確かに,当事者には大抵どうすることもできない事情のため,理想的とは言えない生活を送っている家族はたくさんあります。それでも,幸せな家庭生活を送っている人もいるのです。どのようにですか。幸せな家庭を築く秘訣があるのでしょうか。確かにあります。しかし,その秘訣が何かを検討する前に,答えておかなければならない一つの重要な質問があります。
家族とは何か
6 この本ではどんな家族のことを考慮しますか。
6 西洋諸国を例にとると,ほとんどの家族は父親,母親,それに子供たちで構成されています。祖父母はできるだけ二人で暮らそうとするかもしれません。祖父母より遠い親族とも接触は保ちますが,そのような人たちに対する務めは限られています。この本でこれから考慮するのは,基本的に言って,上に述べたような家族のことです。とはいえ近年,片親家庭,複合家族,何らかの理由で両親が同居していない家庭など,それ以外の家族も次第に一般化してきました。
7 拡大家族とはどんな家族ですか。
7 ある文化圏では,拡大家族が普通の形になっています。この取り決めにおいては,祖父母は可能であれば普通その子供たちが世話し,親しい関係や責任は遠縁の親族にまで及びます。例えば,家族の成員は,姪や甥,あるいはもっと遠縁の親族を扶養したり,育てたり,さらには教育費を支払ったりすることまでして援助するかもしれません。この出版物の中で検討される原則は,拡大家族にも適用されます。
ストレスを抱える家族
8,9 家族が変わってきたことは,ある国々で生じているどんな問題から分かりますか。
8 今日,家族は変わりつつあります。残念ながら,良いほうへではありません。インドがその一例です。この国の妻は夫の家族と同居し,家の中でしゅうとやしゅうとめの指図どおり働くことがあります。しかし最近では,インド人の妻が家庭外での仕事を求めることも珍しくありません。それでも妻には,伝統的な家庭内の役割を果たすことが期待されているようです。多くの国で問題になっているのは,家族の他の成員と比べて,働く女性が家事をどれほど行なうべきかということです。
9 東洋の社会には,昔から拡大家族としての強いきずながあります。しかし,西洋流の個人主義や経済問題から来るストレスなどの影響で,昔ながらの拡大家族は影が薄くなってきました。そのため多くの人は,年老いた家族の者の面倒を見ることを当然の務めあるいは特権というよりも,負担と考えます。年を取った親の中には虐待されている人もいます。実際,今は多くの国で,お年寄りが虐待され,ないがしろにされています。
10,11 ヨーロッパの国々で家族が変わってきたことは,どんな事実に示されていますか。
10 離婚もだんだんありふれた出来事になってきました。スペインの離婚率は,20世紀最後の10年が始まった時点で,夫婦8組につき1組にまで上昇しました。わずか25年前は100組に1組でしたから,これは著しい増加です。ヨーロッパで最も離婚率が高いと伝えられる英国(10組の夫婦のうち,4組が離婚に終わるものと見られている)では,片親家庭の数が急上昇しています。
11 ドイツでは,昔から続いてきた家族制度に多くの人が見切りをつけているようです。1990年代には,ドイツの全家庭の35%が独り住まい,31%は二人だけの家族構成であることが分かりました。フランスでも結婚する人が少なくなり,結婚する人はする人で,以前よりも離婚することが多くなり,早く離婚するようになっています。結婚に伴う責任のない同棲を選ぶ人は増える一方です。これと似たような傾向は世界中で見られます。
12 この時代の家族が変化したため,子供たちはどんな苦しみを経験していますか。
12 子供たちについてはどうですか。米国をはじめ多くの国で,私生児がますます増えています。中には十代の若者から生まれる子供もいます。父親が違う子供を何人も持つ十代の少女も少なくありません。路上をさまよう,おびただしい数のホームレスの子供たちについて,世界中から報告が寄せられています。家庭での虐待から逃れてきた子供,もう扶養できないからと家族に捨てられた子供が大勢いるのです。
13 まん延するどんな問題が家庭から幸福を奪っていますか。
13 確かに,家族は危機にさらされています。すでに述べられたこと以外にも,十代の若者の反抗,児童虐待,配偶者の暴力,アルコール依存症,その他の破壊的な問題が多くの家庭から幸福を奪っています。大勢の子供と大人にとって,家庭は安らぎの場からはほど遠いものです。
14 (イ)ある人たちは,家族の危機の原因としてどんなことを挙げていますか。(ロ)1世紀の一法律家は今日の世界をどのように描写しましたか。その言葉が成就したため,家族生活はどんな影響を受けてきましたか。
14 家族が危機にさらされているのはなぜでしょうか。今日の家族が危機にさらされているのは,女性が職場に進出したせいだと言う人がいます。現代の道徳の崩壊を指摘する人もいます。また,ほかにもさまざまな原因が挙げられています。今からほぼ2,000年前に,ある有名な法律家は,家族が多くの圧力を受けることを予告して次のように記しました。「終わりの日には,対処しにくい危機の時代が来ます。というのは,人々は自分を愛する者,金を愛する者,うぬぼれる者,ごう慢な者,冒とくする者,親に不従順な者,感謝しない者,忠節でない者,自然の情愛を持たない者,容易に合意しない者,中傷する者,自制心のない者,粗暴な者,善良さを愛さない者,裏切る者,片意地な者,誇りのために思い上がる者,神を愛するより快楽を愛する者……となるからです」。(テモテ第二 3:1-5)今日,この言葉が成就していることに疑いを差し挟める人がいるでしょうか。世界がこうした状況にある以上,多くの家族が危機にさらされていて,何の不思議があるでしょうか。
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