長老の皆さん，パウロの手本に倣っていきましょう

1-2. パウロの手本が現代の長老たちにも役立つのはなぜですか。

パウロは，仲間の兄弟姉妹を愛していたので，彼らのために疲れを物ともせずに働きました。（使徒 20:31）それで，仲間から深く愛されました。エフェソスの長老たちが，パウロと会えるのはこれが最後と聞かされて「多くの涙を流し」た，ということもありました。（使徒 20:37）現代の熱心に働く長老たちも同じように，仲間の兄弟姉妹を心から愛しています。そして，仲間を助けるために努力を惜しみません。（フィリ 2:16，17）それでも，長老たちも問題にぶつかることがあります。そうした問題に立ち向かう上で，どんなことが役立つでしょうか。

² パウロの手本について考えることは助けになります。（コリ一 11:1）パウロは普通の人でした。私たちと同じように完全ではなかったので，良いことを行うために闘わなければなりませんでした。（ロマ 7:18-20）いろいろな問題にぶつかることもありました。それでも，諦めたり喜びを失ったりすることはありませんでした。長老たちもパウロに倣うなら，問題に立ち向かい，喜びを保ってエホバに仕えることができます。では，どのようにパウロに倣えるでしょうか。

3. この記事では，どんなことを考えますか。

³ この記事では，多くの長老たちがぶつかる4つの問題について考えます。（1）伝道と他の責任とのバランスを取る，（2）時間を取って兄弟姉妹を励ます，（3）自分の弱さと闘う，（4）仲間の不完全さに対処する。パウロはどのようにして，こうした問題を乗り越えたでしょうか。長老たちはどのようにパウロの手本に倣うことができますか。

伝道と他の責任とのバランスを取る

4. 長老たちにとって伝道に率先することが大変な場合があるのはどうしてですか。

⁴ 大変な場合があるのはどうしてか。長老たちには，伝道で率先することに加えて，ほかにも多くの責任があります。例えば，多くの長老は，週日の集会の司会や会衆の聖書研究の司会を交代で行います。また，ほかにも話の割り当てを受けることがあるでしょう。援助奉仕者を訓練したり，兄弟姉妹を励ましたりする責任もあります。（ペテ一 5:2）そして，王国会館などの神の組織が用いる施設の建設やメンテナンスに参加している長老たちもいます。とはいえ，長老たちも会衆の兄弟姉妹と同じように，伝道を一番大切にするべきです。（マタ 28:19，20）

5. パウロは伝道する面でどんな手本を残しましたか。

⁵ パウロの手本。パウロの成功の鍵は，フィリピ 1章10節にあります。そこでパウロは，「より重要なことを見極め」るようにと述べています。パウロは，この言葉を自分にも当てはめました。自分に与えられていた伝道するという務めを，何十年にもわたってより重要なことと考えました。それで，「人々の前で，また家から家へと」伝道しました。（使徒 20:20）パウロは，特定の時間帯や特定の曜日にしか伝道しない，ということはありませんでした。話す機会を逃さないようにしていたのです。例えば，アテネで仲間の到着を待っていた時，著名な人たちに良い知らせを伝えました。その結果，幾人かの人は良い反応を示しました。（使徒 17:16，17，34）また，「拘禁されている」時にも，周りにいる人に伝道しました。（フィリ 1:13，14。使徒 28:16-24）

6. パウロはどんなことを教えましたか。

⁶ パウロは時間を上手に使いました。仲間を誘って一緒に宣教を行うことがよくありました。例えば，1回目の宣教旅行の時にはヨハネ･マルコを連れていき，2回目の時にはテモテを連れていきました。（使徒 12:25; 16:1-4）パウロはこの2人に，会衆をどのように組織するか，兄弟姉妹をどのように励まし，強めるか，どうすれば教える面で成長できるかを一生懸命に教えたことでしょう。（コリ一 4:17）

7. 長老たちは，エフェソス 6章14，15節のパウロの言葉にどのように従えますか。

⁷ 学べること。長老たちはパウロに倣って，家から家に伝道するだけでなく，あらゆる機会に良い知らせを伝えることができます。（エフェソス 6:14，15を読む。）例えば，買い物の時や職場にいる時に語ることができます。建設奉仕を行っている場合は，現場の近所に住んでいる人や業者の人に語ることができるでしょう。また，長老たちは，一緒に宣教を行う時に援助奉仕者や会衆の仲間を訓練することによっても，パウロに倣えます。

8. 長老は，時にはどんなことをする必要があるかもしれませんか。

⁸ 長老たちは，会衆や巡回区の務めに忙しくするあまり伝道する時間がなくなってしまう，ということがあってはいけません。時にはバランスを取るために，何かの割り当てを断らなければならないこともあるでしょう。祈りのうちにじっくり考えた結果，その割り当てを受け入れるならより重要なことを行えなくなる，ということに気付くかもしれません。より重要なことには，家族の崇拝を毎週行うことや，伝道に熱心に参加することや，子供たちが上手に伝道を行えるように訓練することなどが含まれます。中には，割り当てを断るのを難しく感じる人もいるかもしれません。それでもエホバは，そうした長老たちがいろいろなことをバランス良く行いたいと思っていることを理解してくださっています。

時間を取って兄弟姉妹を励ます

9. 忙しい長老にとって，どんなことを行うのは大変な場合がありますか。

⁹ 大変な場合があるのはどうしてか。エホバに仕える人たちは，さまざまな試練を経験します。今は終わりの時代なので，私たちは誰もが励ましや支えや慰めを必要とします。中には，間違った行いを退ける面で助けを必要とする人もいるかもしれません。（テサ一 5:14）確かに，長老たちはそうした試練を取り除けるわけではありません。それでもエホバは，長老たちができる限りのことを行って，ご自分に仕えている人たちを励まし，守ることを願っています。では，忙しい長老たちは，そうするための時間をどのようにして見いだせるでしょうか。

10. テサロニケ第一 2章7節によると，パウロは仲間の兄弟姉妹にどのように接しましたか。

¹⁰ パウロの手本。パウロは，仲間の兄弟姉妹を褒めたり励ましたりしたい，といつも思っていました。長老たちがパウロに倣って仲間に優しい愛情を示すのは良いことです。（テサロニケ第一 2:7を読む。）パウロは仲間に対して，自分もエホバもその人たちを愛しているということを伝えました。（コリ二 2:4。エフェ 2:4，5）パウロは仲間ととても親しくなり，一緒に時間を過ごしました。仲間を信頼していたので，自分の不安や弱さについても正直に話しました。（コリ二 7:5。テモ一 1:15）でもそれは，自分が抱えている問題に注意を引くためではありませんでした。パウロは，どうすれば仲間を助けられるかということをいつも考えていたのです。

11. パウロが仲間に助言を与えたのはなぜですか。

¹¹ パウロは時折，仲間の兄弟姉妹に助言を与える必要がありました。でも，パウロが助言を与えたのは，いら立ちの気持ちからではありません。仲間を愛し，いろいろな危険から仲間を守りたいと思っていたからです。それでパウロは，自分の助言が分かりやすく，受け入れやすいものになるように努めました。例えば，コリントの会衆に対して手紙で強い助言を与えた後，パウロはテトスをコリントに遣わしました。自分の助言をコリントの兄弟姉妹がどのように受け止めたかを知りたいと思ったからです。パウロは，自分の助言を兄弟姉妹が快く受け入れたことを聞いて，本当にうれしく感じたことでしょう。（コリ二 7:6，7）

12. 長老たちは仲間を強めるためにどんなことができますか。

¹² 学べること。長老たちは，仲間と一緒に時間を過ごすことによって，パウロに倣うことができます。そうする1つの方法は，集会に早めに行って，会話で仲間を元気づけることです。短い時間であっても，励みとなることを語ることができます。（ロマ 1:12。エフェ 5:16）また，聖書を用いて仲間の信仰を強め，エホバからの愛を感じられるようにすることも大切です。仲間に対する自分の愛や気遣いも表すようにしましょう。小まめに連絡を取り，機会を捉えて褒めることができます。助言を与える必要がある場合には，聖書に基づいて語るようにします。具体的に，そして親切に話すなら，助言は仲間にとって受け入れやすいものとなるでしょう。（ガラ 6:1）

自分の弱さと闘う

13. 長老たちは自分の弱さについてどう感じるかもしれませんか。

¹³ 大変な場合があるのはどうしてか。長老も完全ではないので，失敗をすることがあります。（ロマ 3:23）自分の弱さに対してバランスの取れた見方をするのが難しいこともあるでしょう。中には，自分にできないことばかり考えてがっかりする人もいるかもしれませんし，失敗した時にすぐに言い訳をしたり大したことはないと考えたりして，必要な改善を図ろうとしない人もいるかもしれません。

14. フィリピ 4章13節からすると，パウロが自分の弱さに立ち向かう上で，謙遜さはどのように助けとなりましたか。

¹⁴ パウロの手本。パウロは，自分の力だけでは自分の弱さに立ち向かうことができない，ということを謙遜に認めていました。エホバからの力が必要だということが分かっていたのです。パウロは，クリスチャンになる前は筋金入りの迫害者でした。しかし後に，自分が間違っていたことを認め，態度や人格を変えるために進んで努力しました。（テモ一 1:12-16）そして，エホバの助けを得て，愛や同情心にあふれる謙遜な長老になりました。パウロは，自分が完全ではないということを痛いほど理解していました。それでも，自分の失敗のことばかり考えるのではなく，エホバが許してくださることを確信していました。（ロマ 7:21-25）パウロは何でも完璧に行わなければならないとは考えていませんでした。真剣に努力してクリスチャンとしての人格を磨き，謙遜にエホバに頼って自分に委ねられた務めを行ったのです。（コリ一 9:27。フィリピ 4:13を読む。）

15. 長老は自分の弱さについてどんなバランスの取れた見方をする必要がありますか。

¹⁵ 学べること。誰かが長老に任命されるのは，その人が完全だからではありません。でもエホバは，長老たちが自分の間違いを認め，クリスチャンとしての人格を磨いていくことを願っています。（エフェ 4:23，24）長老たちは，聖書を使って自分を分析し，必要な改善を図らなければなりません。そうするなら，喜びつつ長老としての役割を立派に果たせるよう，エホバが助けてくださるでしょう。（ヤコ 1:25）

仲間の不完全さに対処する

16. 長老たちが仲間の欠点に注目するなら，どうなってしまいますか。

¹⁶ 大変な場合があるのはどうしてか。長老たちは，仲間と親しくなろうと努力するので，そうした人の欠点に気付くことがあるかもしれません。それで，気を付けていないと，長老たちはその人に対していら立ったり批判的になったりするかもしれません。パウロは，仲間のクリスチャンに対して，そうした良くない態度を取るならサタンの思うつぼだ，と警告しました。（コリ二 2:10，11）

17. パウロは仲間に対してどんな見方をしましたか。

¹⁷ パウロの手本。パウロは仲間に対して前向きな見方を保ちました。仲間が時に失敗することは分かっていましたし，その結果，傷つけられることもありました。それでも，そうした人が失敗するからといって悪い人だというわけではない，ということをよく理解していました。パウロは，仲間のことを愛していて，そうした人たちの良いところに注目しました。誰かが正しいことを行う面で難しさを感じる時も，そうした人たちの動機を疑うのではなく，助けが必要なのだと考えるようにしました。

18. パウロは，ユウオデアとスントケをどのように助けましたか。（フィリピ 4:1-3）

¹⁸ パウロがフィリピ会衆の2人の姉妹をどのように助けたか考えてみましょう。（フィリピ 4:1-3を読む。）ユウオデアとスントケは仲たがいをしていたようです。それでもパウロは，この2人に対して批判的になるのではなく，2人の良いところに注目しました。ユウオデアもスントケも，エホバに長年忠実に仕えてきた姉妹でした。そしてパウロは，エホバがこの2人を愛していることを知っていました。パウロは2人に対して前向きな見方を持っていたので，仲直りするよう勧めました。パウロは，人の良いところを見るようにしていたので，喜びとフィリピ会衆の仲間との強い友情を保つことができました。

19. （ア）長老は，仲間に対して前向きな見方を保つためにどんなことができますか。（イ）王国会館の掃除をしている長老の写真から，どんなことを学べますか。

¹⁹ 学べること。長老の皆さん，兄弟姉妹の良いところを見つけるようにしましょう。完全な人は一人もいませんが，誰にでも良いところがあります。（フィリ 2:3）正しい考え方ができるよう兄弟姉妹に助言を与えることも，時にはあるかもしれません。そういう時にも，パウロに倣いましょう。その人の言葉や行動にいら立つのではなく，良いところに注目します。その人がエホバを愛していること，エホバに忠実に仕えていること，正しいことを行いたいと願っていることなどに目を向けるのは良いことです。長老がこうした見方を持っているなら，会衆の雰囲気はとても温かいものになるでしょう。

パウロの手本に倣っていく

20. パウロの手本に倣っていくために，長老たちはどんなことができますか。

²⁰ 長老の皆さん，パウロの手本について学び続けることは助けになります。例えば，「神の王国について『徹底的な証しをする』」の本の99ページや，『聖書全体は神の霊感を受けたもので，有益です』の本の217ページを読んで，次のように考えてみましょう。「パウロの手本は，喜びを保ちつつ長老の務めを果たしていく上で，どのように助けとなるだろうか」。

21. 長老たちはどんなことを確信できますか。

²¹ エホバが長老の皆さんに期待しているのは，完璧であることではありません。忠実であることです。（コリ一 4:2）パウロの熱心で忠実な働きは，エホバにとても喜ばれました。エホバは，あなたの働きも高く評価して喜んでくださっています。「皆さんはこれまでずっと聖なる人たちに仕え，今も仕え続けています。そのようにして，神の名を愛していることを示してきました。神は……そうした働きや愛を忘れたりはされません」。（ヘブ 6:10）