研究記事 50
89番の歌 エホバの温かな呼びかけ ―『我が子よ,賢くありなさい』
お子さんが強い信仰を持てるよう助けましょう
「神の善い意志,喜ばしい完全な意志を見極める」。ローマ 12:2
ポイント
親が子供と良いコミュニケーションを取りながら,神と聖書への強い信仰を持てるよう子供を助けるのに役立つことを考えます。
1-2. 聖書の教えについて子供が質問してきたとき,親はどのように考えるといいですか。
親には一息つく間もないと感じる人は多いでしょう。子育てをしているなら,お子さんの信仰を強めるために頑張っているのは素晴らしいことです。(申 6:6,7)子供は成長するにつれて,聖書の道徳基準など聖書が教えていることについていろいろ考えて質問するようになるでしょう。
2 質問されて,初めは不安に思うかもしれません。子供の信仰が弱くなってしまったと思うでしょうか。でも,子供が成長するにつれて,学んできたことを確信するために質問するのは間違ったことではありません。(コリ一 13:11)それで,心配しないでください。子供が聖書の教えについて質問してきたとき,それを考える力を向上させる機会と見ることができます。
3. この記事ではどんなことを考えますか。
3 この記事では,子供が(1)聖書の教えへの確信を深め,(2)聖書の道徳基準がためになることを理解し,(3)信じていることを説明することができるように,親がどう助けてあげられるかを考えます。そして,子供が質問するのはどうして良いことだといえるか,聖書の教えについて話す機会をつくるために家族でどんなことができるかも学びます。
子供が確信を深めるのを助ける
4. 子供はどんな質問をするかもしれませんか。どうしてですか。
4 親は自分が神への信仰を持っているからといって,子供が信仰を持つとは限らないということを知っています。親自身,生まれた時はエホバへの信仰を持っていませんでした。子供も同じです。やがて次のような質問をするかもしれません。「神がいるってどうして分かるの? 聖書に書いてあることは本当に信じられるの?」そういう疑問を持つのは悪いことではありません。聖書は「理性」を働かせて「全てのことを確かめ」るよう勧めています。(ロマ 12:1。テサ一 5:21)では,子供が強い信仰を持てるようどのように助けられるでしょうか。
5. 親は子供が聖書への信仰を持てるよう助けるために何ができますか。(ローマ 12:2)
5 聖書に書いてあることが本当であることを子供が自分で見極められるよう助ける。(ローマ 12:2を読む。)お子さんが質問してきたなら,「ものみの塔出版物索引」や「エホバの証人のためのリサーチガイド」などの調査ツールを使って答えを見つける方法を教えましょう。リサーチガイドの「聖書」という事項にある「神の霊感を受けたもの」という部分を調べると,聖書が人間の書いた単なる良い本ではなく「神の言葉」である証拠を見つけることができます。(テサ一 2:13)例えば,古代アッシリアの都市ニネベについて調べることができます。聖書の批評家の中には,ニネベという都市が存在しなかったと主張する人もいました。しかし1850年代までに,この都市の遺跡が発掘され,聖書の記述が正確であることが証明されました。(ゼパ 2:13-15)ニネベが滅びるという聖書の預言がどのように実現したかについては,「ものみの塔」2021年11月号の「ご存じでしたか」という記事から調べることができます。エホバの証人の出版物から分かったことと,百科辞典や他の信頼できる資料から分かったことを比較することで,聖書に書いてあることへの信仰を強めることができます。
6. どうすれば親は子供の考える力を伸ばすことができますか。(写真も参照。)
6 子供の考える力を伸ばす。お子さんと聖書や神への信仰について楽しく話す機会はいろいろあります。例えば,植物園や博物館に行ったり,エホバの証人の支部事務所にある展示を見に行ったりするのも良い方法です。実際に行くとしてもオンラインのツアーに参加するとしても,聖書が正確であるという確信を強めるのに役立つ歴史上の出来事や展示物に,お子さんの注意を向けましょう。お子さんはモアブ碑石について聞いたことがあるでしょうか。それは神の名前が書かれた3000年前の石碑で,フランスのパリにあるルーブル美術館に展示されています。また,そのレプリカをニューヨーク州ウォーウィックのエホバの証人の世界本部にある「聖書と神の名」という展示で見ることができます。モアブ碑石は,モアブのメシャ王がイスラエルに反逆したことを記録しています。それは聖書に書かれていることと一致しています。(王二 3:4,5)聖書が正確でそこに本当のことが書かれているという証拠を自分の目で見ると,子供の信仰は強くなるでしょう。(歴代第二 9:6と比較。)
博物館の展示物に注目させたりして,子供の考える力を伸ばすことができますか。(6節を参照。)
7-8. (ア)自然界に見られる美しいデザインからどんなことを学べますか。(写真も参照。)(イ)子供が創造者への信仰を強められるよう,どんな質問ができますか。
7 子供が自然界について考えられるようにする。自然が豊かな所を歩いたり,植物を育てたりする時,自然界に見られる興味深いパターンにお子さんの注意を向けるのは良いことです。どうしてですか。そうしたパターンは,知性と知恵のある設計者がいる証拠だからです。例えば,科学者は渦巻き状のパターンを長年研究してきました。生物物理学者ニコラ・ファメリは,自然界にある渦巻き状のものを観察すると,ある数列が見つかると言っています。それはフィボナッチ数列と呼ばれるものです。渦巻き状のパターンは,銀河,オウムガイ,植物の葉,ヒマワリの花など多くのものに見られます。a
8 子供は理科の授業などでさまざまなことを学んでいくと,いろいろな物の形に法則があることに気付きます。例えば,雪の結晶の形はフラクタルとして知られる幾何学構造になっています。フラクタル構造は自然界のほかの物にも見られます。では,こうした美しいパターンの基になっている法則を作ったのは誰でしょうか。繊細で整ったデザインを誰が考えたのでしょうか。お子さんはこうしたことを考えていくにつれて,神が全てのものを創造したという強い信仰を持てるようになるでしょう。(ヘブ 3:4)タイミングを見計らって,お子さんにこう言えるかもしれません。「神が私たち人間を造ったとしたら,幸せに暮らせるようアドバイスも与えてくれるはずじゃない?」その後,そうした道徳面でのアドバイスが聖書に書かれているということに注意を向けることができます。
NASA, ESA, and the Hubble Heritage (STScl/AURA)-ESA/Hubble Collaboration
自然界に見られる美しいデザインを考えたのは誰か。(7-8節を参照。)
聖書の道徳基準がためになることを理解できるよう助ける
9. 子供はどんな理由で,聖書の道徳基準について疑問を感じることがありますか。
9 お子さんが聖書の道徳基準について疑問を感じているなら,その理由を見極めるようにしましょう。聖書の道徳基準を本当に受け入れられないでいるのでしょうか。それとも,聖書の教えをどう説明したらいいか分からなくて困っているだけなのでしょうか。どちらの場合も,「いつまでも幸せに暮らせます」の本を使って,お子さんが聖書の道徳基準が良いものであることを理解できるように助けることができます。b
10. 子供がエホバとの絆について考えられるよう,どのように助けられますか。
10 子供がエホバとの絆を大切にするよう助ける。一緒に聖書を学ぶ時,「いつまでも幸せに暮らせます」の本の中にある質問や例えを使って,お子さんがどんなことを考えているかを知るようにしましょう。(格 20:5)例えば,レッスン8では,エホバが私たちのためを思って大事なことに気付かせてくれる友達に例えられています。ヨハネ第一 5章3節を読んで話し合った後,こう尋ねることができます。「エホバがそういういい友達だって分かると,エホバの言うことをどんな気持ちで受け止められると思う?」シンプルな質問に思えるかもしれませんが,お子さんがエホバの言うことは愛に基づいていると考えるのに役立つでしょう。(イザ 48:17,18)
11. 聖書の教えが良いものだと感じられるよう,子供をどのように助けられますか。(格言 2:10,11)
11 聖書の教えに従うことがどのようにためになるかを話し合う。聖書やその日の聖句を一緒に読む時,聖書の教えがどのように家族にとって役立っているかを話し合ってください。例えば,正直でよく働くことが良い結果になるということを話せます。(ヘブ 13:18)聖書の教えを実践すると心も体も健やかでいられるということも強調できます。(格 14:29,30)こういうことを話し合うと,お子さんは聖書のアドバイスが本当に良いものだと感じられるようになるでしょう。(格言 2:10,11を読む。)
12. スティーブ兄弟は,聖書の基準がためになることを理解できるよう子供をどう助けていますか。
12 スティーブ兄弟にはイーサンという10代の息子がいます。兄弟は,エホバの言うことは愛に基づいていると子供が理解できるようにするために何をしているかについて,こう説明しています。「私と妻はこんな質問をします。『エホバがこの教えを守ってほしいと思っているのはどうしてだと思う。それにはエホバからの愛がどう表れているかな。もしその教えを守らなかったらどうなると思う』」。こうした会話は,イーサンがエホバの道徳基準を納得して受け入れる上で役立っています。兄弟はさらにこう言います。「私たちは,聖書に書かれている知恵が人間の知恵よりもはるかに素晴らしいことをイーサンが理解できるように助けたいと思っています」。
13. 子供が聖書の教えに従うことができるよう助けるために,どのようにトレーニングできますか。
13 子供が聖書の教えに従うことができるようトレーニングする。子供たちは学校の課題で,ある本を読むようにと言われることがあります。でもその本の中では,道徳的に悪いことをしたり怒りを爆発させたりしている登場人物が良い人として描かれているかもしれません。そういうとき,お子さんが登場人物の行動を聖書の教えと比較して考えられるよう助けてあげてください。(格 22:24,25。コリ一 15:33。フィリ 4:8)そうするなら,その本についてクラスで話し合う時,先生や友達に自分の考えを上手に説明できるようになるでしょう。
信じていることを説明できるよう助ける
14. 若いクリスチャンはどんなテーマについて説明することを不安に感じるかもしれませんか。どうしてですか。
14 若いクリスチャンは,自分が信じていることをきちんと説明できるか自信がないと感じることがあります。例えば,授業で進化論が出てくると,不安に感じるかもしれません。どうしてでしょうか。先生たちは進化を事実として教えることがあるからです。信じていることについて自信を持てるよう,お子さんをどのように助けられるでしょうか。
15. 若いクリスチャンは自分が信じていることについて,どうすればもっと自信を持てますか。
15 信じていることについてもっと自信を持てるよう助ける。創造を信じていることを恥ずかしく感じる必要はありません。(テモ二 1:8)どうしてでしょうか。生命は全くの偶然によって生じたのではないと考える科学者も多くいます。そうした科学者たちは,生命の複雑さの背後には知性ある設計の証拠があるということを認めています。それで,世界中の多くの学校で教えられているような進化論を受け入れていません。また,お子さんは,他の兄弟姉妹が生命は創造されたと確信できた理由についてよく考えることで,自分が信じていることにもっと自信を持てるようになるでしょう。c
16. 創造者がいると信じていることを説明できるよう,親はどのように子供を助けることができますか。(ペテロ第一 3:15)(写真も参照。)
16 創造者がいると信じていることを説明できるよう助ける。(ペテロ第一 3:15を読む。)jw.orgの「進化 対 創造」というシリーズの記事を一緒に振り返ることができます。その後,ほかの人が創造者についての真理を理解できるよう助けるために,どうやって説明するのが一番良いと思うかを子供と話し合ってください。学校の友達と言い争う必要はないということを思い出させてあげてください。話し合う気のある友達と話すときにはシンプルに説明するよう勧めましょう。例えば,学校の友達は「自分は見えるものしか信じないし,神なんか見たことない」と言うかもしれません。そんなとき,こう言えます。「町から遠く離れた森の中を歩いていて,立派な家を見つけたとしたらどう思う? 家があるってことは造った人がいるってことだよね。地球も一緒だと思わない?」
学校の友達と話すときにはシンプルに説明するようにする。(16-17節を参照。)d
17. 子供が聖書の真理を伝えるチャンスを探せるよう,どのように助けられますか。
17 聖書の真理を伝えるチャンスを探すよう助ける。(ロマ 10:10)自分の信仰について話すことは,楽器を演奏することに似ています。最初は簡単なメロディーの練習から始めます。そして,だんだんと楽に演奏できるようになります。自分の信仰についてほかの人に話すときも,簡単なことから始められます。例えば,学校の友達にこんなふうに言えます。「エンジニアが何かを作る時,自然界のデザインをまねすることがよくあるらしいよ。面白い動画があるんだよね」。「だれかが設計?」のシリーズの動画を見せてから,さらにこう言えます。「自然界にあるデザインをまねして設計した人もすごいって言われるんだね。じゃあ,もともとのすごいデザインを考えたのって誰だと思う?」こういうちょっとした会話がきっかけで,友達は興味を持ってもっと聞いてみようと思うかもしれません。
子供が強い信仰を持てるよう助けていく
18. 子供が神への強い信仰を持てるよう,どのように助けていくことができますか。
18 世界のほとんどの人はエホバのことを信じていません。(ペテ二 3:3)それで親の皆さん,お子さんと一緒に聖書を学ぶとき,ぴったりなテーマを選んで,聖書や聖書の道徳基準を大切にできるよう助けてあげてください。エホバの創造物の素晴らしいところに注目させて,子供の考える力を伸ばしましょう。すでに実現した聖書の驚くような預言を理解できるよう助けてください。そして何よりも,子供と一緒に祈り,子供のために祈りましょう。このように子供が強い信仰を持てるよう助けている親の皆さんの努力にエホバは必ず報いてくださいます。(代二 15:7)
41番の歌 若い時にエホバを崇拝しなさい
a 詳しくはjw.orgの「創造の驚異は神の栄光を表わす パターン」という動画を参照。
c jw.orgの「生命の起源に対する見方」のセクションにある動画も参照。
d 写真や挿絵: 若い兄弟がドローンに興味を持っている学校の友達に「だれかが設計?」のシリーズの動画を見せている。