研究記事 11
142番の歌 あらゆる人に伝道する
イエスのように熱い気持ちで伝道する
「主イエスは……行こうとしている全ての町と場所へ,先に2人ずつ遣わした」。ルカ 10:1
ポイント
熱い気持ちで伝道したイエスにどのように倣えるでしょうか。4つの方法を考えます。
1. エホバに仕える人たちは,一般のクリスチャンとどんな点で違っていますか。
エホバに仕える人たちは熱い気持ちで伝道しています。その姿勢は一般のクリスチャンとは大きく違っています。(テト 2:14)でも,熱い気持ちで伝道を続けるのは簡単なことではありません。長老として忙しく奉仕しているある兄弟も,こう言っています。「時々,伝道のモチベーションが上がらないことがあります」。
2. 熱い心で伝道を続けるのが簡単ではないのはどうしてですか。
2 伝道よりもほかのタイプの奉仕の方が楽しいと感じることがあるかもしれません。例えば,建設やメンテナンス,災害救援,兄弟姉妹を力づけることなどです。こうした奉仕はたいてい結果がすぐに見えるので,やりがいを感じやすいものです。和やかな雰囲気の中で優しい兄弟姉妹と一緒に働けますし,自分のしたことに感謝してもらえます。でも,伝道はそうはいきません。何年奉仕していてもなかなか成果が上がらないことがあります。きつい反応が返ってくることもあります。終わりが近づくにつれて,そういう反応はさらに増えていくでしょう。(マタ 10:22)どうすれば熱い気持ちを冷まさず,伝道へのモチベーションを上げることができるでしょうか。
3. ルカ 13章6-9節の例えからイエスのどんな気持ちが分かりますか。
3 イエスの手本から多くのことを学べます。イエスはいつも熱い心を持って伝道しました。その熱意はどんどん高まっていきました。(ルカ 13:6-9を読む。)イエスは,栽培人が3年育てても実を結ばなかったイチジクの木について話したことがあります。イエスもすでに3年ほどユダヤ人に伝道していましたが,聞く人はわずかでした。この栽培人がイチジクの木のことを諦めなかったように,イエスも人々のことを諦めませんでした。宣教のペースを落としたりせず,ますます伝道に力を入れました。
4. この記事では,イエスの手本のどんな4つの面に注目しますか。
4 この記事では,特に亡くなる前の半年間,イエスがどんなふうに伝道に打ち込んだかを考えます。イエスがどんなことを教え,何をしたのかに注目すると,熱い気持ちで伝道を続けるためのヒントがもらえます。4つの点に注目しましょう。(1)エホバが願っていることを一番大切にする,(2)聖書の預言に強い関心を持つ,(3)エホバに頼る,(4)ポジティブな見方をする,ということです。
エホバが願っていることを一番大切にする
5. イエスがエホバの願いを一番大切にしていたことは,どんなことから分かりますか。
5 イエスは熱い気持ちで「神の王国の良い知らせ」を広めました。(ルカ 4:43)神が願っている仕事だと分かっていたからです。イエスは伝道を一番大切にしていました。宣教期間が残り少なくなっても,「町から町へ,村から村へと」旅をし,人々を教えました。(ルカ 13:22)さらに,多くの弟子たちが伝道できるようにトレーニングしました。(ルカ 10:1)
6. 伝道はほかの奉仕とどのように関係していますか。(写真も参照。)
6 良い知らせを伝えるのは今も一番大切な仕事です。エホバとイエスは私たちが伝道することを願っています。(マタ 24:14; 28:19,20)ほかの奉仕も伝道と密接に関係しています。例えば,建設奉仕やベテル奉仕は伝道をサポートするためのものです。救援活動は,被災した兄弟姉妹を生活面で助けるだけではなく,伝道などクリスチャンの活動を早く再開できるようにすることを目的としています。エホバが何よりも伝道を大切にしてほしいと願っていることを考えると,ベストを尽くしたいという気持ちになります。ハンガリーの長老であるヤーノシュ兄弟はこう言っています。「ほかの奉仕をしていれば伝道しなくてもいい,と思わないようにしています。伝道は一番大切な仕事です」。
エホバとイエスは今も伝道を何よりも大切にしてほしいと思っている。(6節を参照。)
7. エホバが伝道を続けてほしいと願っているのはどうしてですか。(テモテ第一 2:3,4)
7 エホバはできるだけ多くの人たちに良い知らせを聞いて受け入れてほしいと願っています。(テモテ第一 2:3,4を読む。)エホバと同じ願いを持つなら,もっと熱い気持ちで伝道することができます。エホバは,命を救うメッセージを上手に伝えられるようトレーニングしてくれています。例えば,「愛を込めて弟子を育てる」の冊子には,会話を始めて聖書レッスンにつなげるのに役立つアドバイスが載せられています。たとえ今,良い知らせを受け入れない人でも,大患難が終わる前に気持ちが変わる可能性があります。私たちから以前聞いたことを思い出して,エホバに仕えたいと思うようになるかもしれません。でもそうなるかどうかは,私たちが諦めずに伝道を続けるかに懸かっています。
聖書の預言に強い関心を持つ
8. イエスが聖書の預言を知っていたことは,伝道への取り組みにどう影響しましたか。
8 イエスは聖書の預言が必ず実現することを知っていました。例えば,伝道できる期間は3年半しかないと分かっていました。(ダニ 9:26,27)自分がいつどのように死ぬかも知っていました。(ルカ 18:31-34)それで,エホバから与えられた仕事をやり遂げるため,残されている時間を大切にし,一生懸命伝道しました。
9. 聖書の預言について理解すると,伝道への取り組みにどんな影響がありますか。
9 聖書の預言についてじっくり考えると,一生懸命伝道しようという気持ちになります。私たちは今の世界がもうすぐ終わることを知っています。聖書は終わりの時代にどんなことが起き,どんな人が増えるのか予告していました。そして今,まさにその通りになっています。聖書は「終わりの時に」南の王と北の王が敵対することを預言しています。(ダニ 11:40)このことは今,英米がロシアとそれを支持する国々と敵対することによって実現しています。私たちはダニエル 2章43-45節に出てくる像の足の部分が英米を表していることも理解しています。それで預言通り,もうすぐ神の王国が人間の政府全てを終わらせることを信じています。こうした預言を通して,私たちがどんな時代に生きているかが分かります。残っている時間が少ないことを考えると,もっと頑張って伝道したいという気持ちになります。
10. 聖書のどんな預言からも,伝道する力をもらえますか。
10 聖書の預言には,ぜひ伝えたい明るいメッセージも含まれています。ドミニカ共和国で奉仕するカリー姉妹はこう言っています。「エホバは素晴らしい将来を約束してくれています。今は悩みを抱えている人が多いので,その明るい将来についてみんなにもぜひ知ってほしいです」。また,聖書の預言を読むとエホバが伝道活動をサポートしてくれていることが分かり,諦めずに伝道する力がもらえます。ハンガリーに住むレイラ姉妹はこう言っています。「イザヤ 11章6-9節を読むと,今は良い知らせを受け入れそうにない人にも伝えようという意欲が湧いてきます。エホバが助けてくれればどんな人も変われるんです」。ザンビアのクリストファー兄弟はこう言います。「マルコ 13章10節の予告通り,良い知らせは世界中に広まっています。この預言の実現に貢献できることを誇りに思います」。あなたは聖書のどんな預言から伝道を続ける力をもらっていますか。
エホバに頼る
11. イエスが熱い気持ちで伝道を続けるためにエホバに頼る必要があったのはどうしてですか。(ルカ 12:49,53)
11 イエスは熱い気持ちで伝道を続けるためにエホバに頼りました。イエスは言葉を注意深く選んで話しました。それでも王国の良い知らせを聞いて怒る人や強く反対する人がいる,ということを知っていました。(ルカ 12:49,53を読む。)イエスは伝道したため,宗教指導者たちから何度も殺されそうになりました。(ヨハ 8:59; 10:31,39)そういう中でも伝道を続けたのは,エホバが一緒にいてくれることを知っていたからです。こう言っています。「私は1人ではなく,私を遣わした父が一緒にい[ま]す。……私を独りだけにはしませんでした。私は常に,その方が喜ぶことを行うからです」。(ヨハ 8:16,29)
12. イエスは弟子たちが反対されても伝道を続けられるように,どんなことを教えましたか。
12 イエスは弟子たちに,いつもエホバに頼ることの大切さを教えました。たとえ迫害に遭ってもエホバが必ず支えてくれる,ということを何度も話しました。(マタ 10:18-20。ルカ 12:11,12)また,用心深くあるようにとも勧めました。(マタ 10:16。ルカ 10:3)良い知らせを聞く気のない人に無理やり話す必要はない,と教えました。(ルカ 10:10,11)迫害されるなら逃げるようにとも言いました。(マタ 10:23)イエスはいつもエホバに頼っていましたし,みんなに伝えたいという意欲がありましたが,あえて危険を冒すことはありませんでした。(ヨハ 11:53,54)
13. エホバがあなたのことを必ず助けてくれる,といえるのはどうしてですか。
13 反対に遭っても熱い心で伝道を続けるには,エホバのサポートが必要です。(啓 12:17)エホバは必ず助けてくれます。そのことは,ヨハネ 17章に書かれているイエスの祈りから分かります。イエスは使徒たちを見守ってくださるようエホバにお願いしました。エホバはその祈りを聞きました。「使徒の活動」には,迫害の中でも使徒たちがエホバから助けられて熱い心で伝道を続けたことが記録されています。イエスは,使徒たちの言葉に信仰を持つ人たちのことも見守ってくださるようお願いしました。その中にはあなたも含まれています。エホバは使徒たちを助けたように,あなたのことも必ず助けてくれます。(ヨハ 17:11,15,20)
14. どんなことがあっても熱い心で伝道を続けられる,といえるのはどうしてですか。(写真も参照。)
14 終わりが近づくにつれて,良い知らせを熱い心で伝えることはますます難しくなっていくでしょう。それでも必要なサポートは全て与えられます。(ルカ 21:12-15)イエスや弟子たちに倣い,私たちも良い知らせを聞くかどうかは相手の判断に任せ,不要な争いを避けます。エホバの証人の活動が制限されていても,兄弟たちは良い知らせを伝え続けることができています。自分の力ではなく,エホバに頼っているからです。エホバは1世紀のクリスチャンに力を与えたように,現代のクリスチャンにも力を与え,「伝道が十分に行われ」るようにします。(テモ二 4:17)エホバに頼るなら,どんなことがあっても熱い心で伝道を続けることができます。
熱い心があれば,エホバの証人の活動が制限されていても伝道をやめない。(14節を参照。)a
ポジティブな見方をする
15. イエスが伝道に対してポジティブな見方をしていたことはどんなことから分かりますか。
15 イエスが一生懸命良い知らせを伝えることができたのは,伝道に対してポジティブな見方をしていたからです。イエスは西暦30年の終わりごろ,良い知らせを聞きそうな人たちが大勢いるのに気付いて,その人たちを,すでに色づいて収穫できる畑に例えました。(ヨハ 4:35)その1年後には弟子たちに,「収穫は多いです」と言いました。(マタ 9:37,38)後にこうも言いました。「収穫は多いです……。それで,収穫のために人を遣わしてくださるよう,収穫の主人にお願いしなさい」。(ルカ 10:2)イエスは良い知らせを受け入れるようになる人たちが必ずいる,と考えていました。そして,実際に多くの人が受け入れた時に喜びました。(ルカ 10:21)
16. イエスの例えからどんなことが分かりますか。(ルカ 13:18-21)(写真も参照。)
16 イエスは弟子たちに,伝えるメッセージに対してポジティブな見方をするようにと教えました。そのような見方は熱い気持ちで伝道を続ける上で役立つからです。イエスが話した2つの例えについて考えてみてください。(ルカ 13:18-21を読む。)1つはからしの種の例えで,王国のメッセージがとどまることなく大きく広がっていくことを教えました。もう1つはパン種の例えで,王国のメッセージが広範囲に広がり,最初のうちは目に見える変化がなくても,やがて大きな変化を生じさせることを教えました。イエスの弟子たちが王国のメッセージを伝えるなら素晴らしい結果になる,ということです。
私たちもイエスのように,良い知らせを受け入れる人が必ずいるというポジティブな見方をしているだろうか。(16節を参照。)
17. どんなことについて考えると,伝道についてポジティブな見方ができますか。
17 今,伝道でどれほどのことが成し遂げられているかを考えると,熱い心で伝道を続ける力が湧いてきます。毎年,関心を持つ何百万人もの人が記念式に出席し,聖書レッスンをしています。そして何十万人もの人がバプテスマを受け,伝道するようになっています。私たちはあとどれくらいの人が良い知らせを受け入れるかは知りませんが,エホバが大患難を生き残る大群衆を集め続けていることは知っています。(啓 7:9,14)収穫の主人エホバは今も畑が色づいている,つまり良い知らせを聞く人たちがまだまだいると考えています。であれば,これからも熱い心で伝道を続けたいと思うのではないでしょうか。
18. 私たちが熱い心で伝道するなら,それを見る人たちはどんなことに気付くはずですか。
18 イエスの弟子たちは意欲的に伝道することで知られてきました。使徒たちが大胆に話すのを見た人たちは,彼らが「イエスと一緒にいたことに気付くように」なりました。(使徒 4:13)熱い気持ちで伝道するなら,それを見る人たちは私たちがイエスに倣う本当のクリスチャンであることに気付くでしょう。
47番の歌 良いたよりを宣明しなさい
a 写真や挿絵: 兄弟がガソリンスタンドで男性に伝道している。