研究記事 13
22番の歌 「エホバはわたしの牧者」
エホバの手はあなたのところにも届きます
「エホバの手はそんなに短いのだろうか」。民数記 11:23,脚注
ポイント
エホバは必ず私たちに必要なものを与え,養ってくれます。そのことへの信仰を強めましょう。
1. モーセがエホバを信頼していたことはどんなことから分かりますか。
「ヘブライ人のクリスチャンへの手紙」には強い信仰を持っていた人たちが出てきます。その1人はモーセです。(ヘブ 3:2-5; 11:23-25)モーセはファラオやその軍隊を恐れることなく,イスラエル人を率いてエジプトを脱出することができました。紅海を渡り,民を荒野に導いた時も,エホバを信頼し続けました。(ヘブ 11:27-29)多くの人がエホバは本当に自分たちを世話してくれるのか疑うようになった時も,モーセはエホバの力を信じ続けました。その信頼は裏切られませんでした。エホバは奇跡を起こしてイスラエル人に食べ物と水を与え,荒野でも生きていけるようにしました。a (出 15:22-25。詩 78:23-25)
2. エホバがモーセに「それはエホバにできないことだろうか」と言ったのはどうしてですか。(民数記 11:21-23)
2 そんなモーセでも,エホバの力に疑問を持ったことがあります。それはイスラエルが奇跡によって救出されてから約1年後,エホバが民に肉を与えると言った時のことです。何もない荒野で,どうやって数百万もの人におなかいっぱい肉を食べさせるというのでしょうか。モーセには想像もつきませんでした。でも,エホバはモーセにこう言います。「それはエホバにできないことだろうか」。(民数記 11:21-23を読む。)この表現は,元のヘブライ語では「エホバの手はそんなに短いのだろうか」とも訳せます。「エホバの手」とは,聖なる力,つまりエホバが望むことを行うために使う力のことです。エホバはいわば「私はやると言ったことを必ずやり遂げる」と言っていました。
3. モーセとイスラエル人が経験したことについて考えるとよいのはどうしてですか。
3 あなたは,エホバが自分や家族に必要なものを本当に与えてくれるんだろうか,と思ったことがありますか。この記事では,モーセとイスラエル人がエホバの力を疑ってしまった時のことについて調べます。エホバにできないことはない,という信仰を強める聖書の言葉も考えます。
モーセとイスラエル人が経験したこと
4. 多くのイスラエル人が不満を言い始めたのはどうしてですか。
4 エジプトを出て約束の地に向かう旅をしていた人の中には,イスラエル人だけでなく,「さまざまな人」つまり外国人もいました。(出 12:38。申 8:15)荒野でマナを食べることに飽き飽きした外国人は文句を言い始め,イスラエル人もそれに加わります。(民 11:4-6)エジプトで食べていた物を恋しがり,その気持ちをモーセにぶつけます。それを聞いたモーセは,自分が食べ物を用意しないといけないというプレッシャーを感じたようです。(民 11:13,14)
5-6. 多くのイスラエル人が外国人の影響を受けたことから何を学べますか。
5 イスラエル人は,エホバへの感謝の気持ちが欠けた外国人から影響を受けてしまったようです。私たちにも同じようなことが起こり得ます。周りには感謝の気持ちが足りない人が多いので,その影響を受けて,エホバが与えてくれているものに満足しなくなるかもしれません。以前に持っていたものを懐かしんだり,ほかの人が持っているものをうらやんだりするようになるかもしれません。でも,満足する気持ちがあれば,どんな状況でも心を乱されずに済みます。
6 エホバはイスラエル人に,荒野ではなく約束の地に入ってから良いものをふんだんに与える,と言っていました。イスラエル人はその約束について思い出すべきでした。私たちも今の体制で手に入らないものにではなく,新しい世界で与えるとエホバが約束しているものに気持ちを向けるようにしましょう。また,エホバへの信頼を強める聖句についてじっくり考えるのも大切です。
7. エホバの手が自分のところにも届く,と信じられるのはなぜですか。
7 エホバがモーセに「エホバの手はそんなに短いのだろうか」と言ったのはどうしてでしょうか。自分の手が力強いということだけでなく,その手がどんなところにでも届く,ということを教えたかったからです。たとえ荒野の真ん中であっても,エホバはイスラエル人のために大量の肉を準備することができます。「腕を伸ばして,力強い手で」イスラエル人を養えるはずです。(詩 136:11,12)もし今,大変な経験をしているとしても,エホバの手はあなたのところにも届く,ということを信じてください。(詩 138:6,7)
8. どうすればイスラエル人と同じ間違いをしないで済みますか。(挿絵も参照。)
8 エホバはたくさんのウズラがイスラエルの宿営に舞い降りるようにして,言った通り肉を与えました。でもイスラエル人は,感謝するどころか欲望をむき出しにし,寝る間も惜しんでウズラを集めます。エホバは「利己的な渇望を示した人々」に対して激怒し,処罰しました。(民 11:31-34)ここから学べることがあります。私たちも,満足せずもっともっと欲しいと思う気持ちに注意しなければいけません。お金をたくさん持っているとしてもそうでないとしても,エホバとイエスとの友情を育んで「天に宝を蓄え」ることを優先しましょう。(マタ 6:19,20。ルカ 16:9)そうしていれば,エホバは必ず私たちのことを養ってくれます。
イスラエル人の良くない態度から何を学べますか。(8節を参照。)
9. エホバがどんなことをしてくれると確信できますか。
9 エホバは今も私たちに助けの手を差し伸べてくれます。ということは,お金や物を失ったり,ひもじい思いをしたりすることは絶対にないのでしょうか。そうではありません。b たとえそういう経験をするとしても,エホバが私たちを見捨てることは決してありません。大変なときも必ず支えてくれます。では,特にどんなときにエホバが養ってくれると信じることが大切か考えてみましょう。(1)生活が苦しいとき,(2)老後の暮らしが心配になるときです。
生活が苦しいとき
10. どんなふうに生活が大変になるかもしれませんか。
10 この世界が終わりに近づくにつれ,経済事情は悪くなっていくはずです。政情不安,武力紛争,自然災害,新しい感染症などによって生活が苦しくなったり,仕事や物や家を失ったりすることがあります。新しい仕事を探さなければいけないかもしれません。家族を養うために引っ越した方がいいのではないかと思うこともあるでしょう。そんなとき,どうすればエホバが助けてくれると信じて良い選択ができるでしょうか。
11. 生活が苦しいとき,どんなことができますか。(ルカ 12:29-31)
11 まずできるのは,不安な気持ちをエホバに伝えることです。(格 16:3)賢い選択ができるよう助けてください,「心配して気をもむ」ことなく穏やかな気持ちでいられるよう助けてください,と祈ることができます。(ルカ 12:29-31を読む。)本当に必要なものだけで満足できるようにと祈ることもできます。(テモ一 6:7,8)生活が苦しいとき,問題に上手に取り組むのに役立つアドバイスを聖書に基づく出版物から探しましょう。jw.orgにも参考になる記事や動画がたくさんあります。
12. 仕事を決めるときにどんなことを考えるといいですか。
12 ある人たちは,家族と離れ離れになるような仕事に就きましたが,そのことを後悔しています。仕事を選ぶとき,どれぐらい給料をもらえるかだけでなく,エホバとの友情にどんな影響があるかも考えるようにしましょう。(ルカ 14:28)次のような点を考えることができます。夫婦が離れて生活していると,2人の絆はどうなってしまうだろうか。引っ越すと,奉仕に充てる時間や仲間と過ごす時間が減ってしまわないだろうか。子供がいるなら次のことも考えてください。子供と離れて暮らしながら「エホバが望む指導と助言によって」育てることができるだろうか。(エフェ 6:4)聖書を信じていない親戚や友人の意見に流されるのではなく,エホバが何を望んでいるかを考えて判断しましょう。c 西アジアに住むトニーは,外国での仕事の話を幾つか持ち掛けられました。でもエホバに祈り,妻とも話し合った後,その打診を断り,節約を心掛けました。トニーはこう言っています。「エホバと親しくなれるよう,何人かの人を助けることができました。うちの子たちもエホバに一生懸命仕えています。マタイ 6章33節の言葉の通りにしている人をエホバは必ず養ってくれる,ということを実感しています」。
老後の暮らしが心配になるとき
13. 老後の暮らしに備えてどうするのは賢明なことですか。
13 エホバが助けてくれることは分かっていても,自分が年を取ったらどうなるかを考えると心配になるかもしれません。聖書は,先のことも考えて一生懸命働くよう勧めています。(格 6:6-11)できるなら将来のために貯金をしておくのも賢明なことです。確かにお金があれば,ある程度の安心感が持てます。(伝 7:12)とはいえ,お金や物を一番大切なものにしないようにしましょう。
14. 将来に備える上でヘブライ 13章5節を考えるとよいのはどうしてですか。
14 イエスは,お金を蓄えても「神から見て裕福でない」のは愚かなことだと教えました。(ルカ 12:16-21)あしたがどうなるかは誰にも分かりません。(格 23:4,5。ヤコ 4:13-15)イエスは自分の弟子になりたいなら,持ち物全てに「別れを告げ」なければいけない,とも言いました。(ルカ 14:33)1世紀のユダヤのクリスチャンは,持ち物を失うことにも喜んで耐えました。(ヘブ 10:34)今でも,政治に関わらないという理由で経済的に苦しい思いをしている兄弟姉妹が大勢います。(啓 13:16,17)そういう中でも兄弟姉妹が頑張れているのはどうしてでしょうか。エホバの次の約束を100パーセント信じているからです。「私は決してあなたを離れず,決してあなたを見捨てない」。(ヘブライ 13:5を読む。)将来に備えて自分にできることはしますが,思いがけない変化が起きるときは,私たちを世話してくれるエホバを信頼しましょう。
15. 親は子供からサポートを受けることについて,どんなバランスの取れた見方をするべきですか。(写真も参照。)
15 文化圏によっては,年を取ってから経済的にサポートしてもらうことを期待して子供を持つことにする人たちもいます。いわば“老後のための積み立て”のように考えているのです。でも聖書は,親に子供を世話する責任があると教えています。(コリ二 12:14)もちろん,年を取った親が子供からのサポートを必要とすることもあるでしょう。子供たちも喜んで力になりたいと思うはずです。(テモ一 5:4)でもクリスチャンの親にとって一番うれしいのは,子供がエホバに仕えるようになることです。子供が老後の安心材料になることではありません。(ヨハ三 4)
クリスチャンの夫婦は聖書のアドバイスに沿って,将来を見据えた計画を立てる。(15節を参照。)d
16. 親は子供が自活できるよう,どんなふうにサポートできますか。(エフェソス 4:28)
16 親は自分が手本になって,エホバに頼るとはどういうことかを子供に教えてください。そして自活できるようにも助けてください。一生懸命働くことの大切さを小さい時から教えましょう。(格 29:21。エフェソス 4:28を読む。)学校でしっかり勉強するようにも教えてください。まず親が聖書のアドバイスを調べ,どんな教育を受けるかを子供が賢く選択できるようサポートしてあげましょう。そしてその教育を生かして自活し,伝道に打ち込めるようにも助けてください。
17. どんなことを確信できますか。
17 エホバは自分に仕える人たちを養い支えたいと思っていて,そうする力も持っています。この世界の終わりが近づくにつれて,そのことへの信仰がますます必要になっていきます。これから何が起きるとしてもエホバが世話してくれることは変わりません。エホバは腕を伸ばして,その力強い手で必ず支えてくれます。エホバの手が私たちのところに届かないということは決してないのです。
133番の歌 救出を神に求めなさい
c 「ものみの塔」2014年4月15日号の「だれも二人の主人に仕えることはできません」という記事を参照。
d 写真や挿絵: クリスチャンの夫婦が娘とビデオ通話をしている。娘は夫と一緒に王国会館の建設プロジェクトに参加している。