研究記事 15
91番の歌 わたしの父,わたしの神,わたしの友
「神に近づくのは良いこと」
「私にとって,神に近づくのは良いことだ」。詩編 73:28
ポイント
どうすればもっとエホバに近づけるか,そうするとどんな良いことがあるかを考えます。
1-2. (ア)友情はどのように育っていくものですか。(イ)この記事ではどんなことを考えますか。
とても仲のいい友達のことを考えてみてください。どんなふうにその人との友情を育ててきましたか。きっと一緒に時間を過ごし,その友達がこれまで頑張ってきたことや,どんなことが好きでどんなことが嫌いかも知ったはずです。ぜひ見習いたいと思うような魅力的なところが幾つもあることに気付き,その人のことが大好きになりました。
2 誰かと親しくなるには時間がかかるものです。エホバとの友情も同じように時間をかけて育てていくことが大切です。この記事では,エホバに近づくためにはどうしたらいいか,そうするとどんな良いことがあるかについて考えます。
3. エホバに近づくことがどれほど良いことかを考えるのが大切なのはなぜですか。
3 あなたもエホバに近づくのは良いことだと分かっているはずです。でも,それがどれほど良いことかをじっくり考えるなら,もっとエホバに近づきたいという気持ちになります。(詩 63:6-8)例えで考えましょう。私たちはバランスの取れた食事,運動,十分な睡眠,水をたくさん飲むことが健康に良いと知っています。とはいえ,そういうことを知っているだけでは意味がありません。健康的な生活習慣がどれほど自分のためになるかということを考えて初めて,その習慣を続けていきたいという気持ちになります。同じように,エホバに近づくのが良いことだと知っているだけでなく,それがどれほど良いことで自分のためになるかを考えると,これからもエホバとの絆を強めていきたいと思うようになります。(詩 119:27-30)
4. 詩編 73編28節には作者のどんな気持ちが表現されていますか。
4 詩編 73編28節を読む。詩編 73編の作者は,エホバの神殿で音楽家として奉仕したレビ族の人でした。何年も心を込めてエホバを崇拝していました。でもある時,自分にとって「神に近づくのは良いことだ」ということを改めてじっくり考える必要がありました。また,神に近づくことの大切さをぜひみんなにも分かってほしいと思いました。では,エホバとの絆を強めるとどんな良いことがあるでしょうか。
「神に近づく」と幸せになれる
5. (ア)エホバに近づくと幸せになれる,といえるのはどうしてですか。(イ)これまであなたにとって聖書のアドバイスはどのように役立ってきましたか。(格言 2:6-16)
5 エホバに近づけば近づくほど私たちは幸せになれます。(詩 65:4)そういえる理由は幾つもあります。例えば,聖書に書かれているエホバのアドバイスの通りにすれば,賢くなり良い判断ができます。そして,周りの悪い影響を受けたり大きな間違いをしたりしないで済みます。(格言 2:6-16を読む。)聖書に次のように書かれている通りです。「知恵を得る人,識別力を身に付ける人は幸せだ」。(格 3:13)
6. 詩編 73編の作者が落ち込んでしまったのはどうしてですか。
6 もちろん,エホバとの友情があるからといって悲しい思いをしないというわけではありません。詩編 73編を書いた人も,ネガティブなことばかり考えて落ち込んでしまったことがあります。神のことを気にも留めない,好き放題の生き方をしている人たちが楽しそうな様子を見ていら立ち,うらやましく感じました。プライドが高く,暴力を振るうような人たちがお金持ちになり,健康で,何もつらい経験をしていないように思えました。(詩 73:3-7,12)それで,自分がエホバに仕えようと一生懸命頑張ったところで何になるんだろう,と感じました。こう言っています。「私が清い心を保とうが,手を洗って潔白でいようが無駄なのだ」。(詩 73:13)
7. 私たちが落ち込む時,エホバはどのように助けてくれますか。(絵も参照。)
7 でも,この人はいつまでも落ち込んだままではいませんでした。「神の偉大な聖なる所に入[って]」エホバに考えを正してもらいました。(詩 73:17-19)私たちが落ち込む時,親友であるエホバはそれに気付いています。エホバにアドバイスを求めて祈るなら,聖書や会衆を通して助けてくれます。また前を向いてエホバに仕え続ける力がもらえます。気持ちがふさいで,いっぱいいっぱいになってしまう時,エホバは優しく慰めてくれます。(詩 94:19)a
詩編 73編を書いたレビ族の人が「神の偉大な聖なる所」に立っている。(7節を参照。)
「神に近づく」と生きる意味が分かり,希望を持てる
8. 神に近づくのが良いといえるどんな理由がありますか。
8 神に近づくのが良いといえる理由をさらに2つ考えましょう。まず,神との絆があると人生は意味のあるものになります。そして将来に希望を持つことができます。(エレ 29:11)詳しく調べてみましょう。
9. 神との友情があると人生が意味のあるものになる,とはどういうことですか。
9 神との友情があると人生は意味のあるものになる,とはどういうことでしょうか。神を信じていない多くの人は,人が何のために生きているかを知りません。人類はやがて存在しなくなると考える人たちもいます。でも聖書を学んだ私たちは,「神が存在し,熱心に仕えようと努める人たちに報いてくださる」ということを信じています。(ヘブ 11:6)人間はエホバに仕えるとき,幸せになれるように造られています。それで,エホバとの友情を築くことは本当の幸せにつながります。(申 10:12,13)
10. エホバは私たちにどんなことを約束していますか。(詩編 37:29)
10 多くの人は今の生活に追われています。働き,結婚し,子供を育て,老後の蓄えをしています。でも,神のことは考えに入れていません。一方,エホバに仕える人はもっと先を見ています。(詩 25:3-5。テモ一 6:17)私たちはエホバを信頼しています。それで,エホバが将来について約束していることも必ずその通りになる,と信じています。パラダイスでいつまでもエホバを崇拝できるのは本当に楽しみです。(詩編 37:29を読む。)
11. 私たちがエホバに近づくと,どんな良いことがありますか。エホバはどう感じますか。
11 神に近づくとほかにもどんな良いことがあるでしょうか。たとえ過ちを犯しても,反省し心を入れ替えるならエホバは許してくれます。(イザ 1:18)それで,以前にしてしまったことのせいで自分を責め続けなくて済みます。(詩 32:1-5)さらに,神との絆を強めようとする私たちのことをエホバは喜んでくれます。(格 23:15)エホバとの友情を育む人は,ほかにもたくさんのうれしい経験ができます。では,どうすればエホバともっと親しくなれるでしょうか。
これからも「神に近づく」には
12. あなたは神と親しくなるためにどんなことをしてきましたか。
12 バプテスマを受けたあなたは,エホバと親しくなるためにこれまでたくさん努力してきました。エホバとイエスについてよく学び,生き方を改め,強い信仰を育て,神に喜ばれることを行うようにしてきました。でも,神にもっと近づくには,こうしたことを続けることが必要です。(コロ 2:6)
13. もっとエホバに近づくためにどんな3つのことができますか。
13 もっとエホバに近づくためにどんなことができますか。(1)これからも聖書を読んで学び続けます。神についての基本的なことを学ぶだけで満足してはいけません。エホバの考えをつかんで,それに沿って生活しましょう。(エフェ 5:15-17)(2)エホバがどれほど自分のことを愛してくれているかをじっくり考え,信仰を強めます。(3)エホバが嫌うことを嫌い,そういうことをする人たちと親しくならないようにします。(詩 1:1; 101:3)
14. エホバに喜ばれるために,毎日の生活でどんなことができますか。(コリント第一 10:31)(写真も参照。)
14 コリント第一 10:31を読む。いつもエホバに喜ばれることをするのはとても大切です。それは伝道や集会に行くだけでなく,生活のあらゆる場面でエホバに喜ばれることを行うということです。例えば,いつも正直で気前のいい人になることができます。(コリ二 8:21; 9:7)また,エホバからもらった命を大切にします。健康な生活習慣を心掛け,食べ過ぎたり飲み過ぎたりしないようにします。たとえ小さなことでもエホバのことを思って行動するなら,エホバからもっと愛されます。(ルカ 16:10)
安全運転,適度な運動や健康的な食生活,人に親切にすること。エホバはどれも喜んでくれる。(14節を参照。)
15. エホバは私たちが周りの人にどのように接することを願っていますか。
15 エホバは良い人にも悪い人にも親切です。(マタ 5:45)エホバは私たちにも優しい人になってほしいと思っています。例えば,「誰のことも悪く言わず,争いを好まず,……誰に対してもいつも温和に接[して]」ほしいと思っています。(テト 3:2)それで私たちは,エホバについて知らない人たちのことを見下げるようなことはしません。(テモ二 2:23-25)どんな人にも親切で,思いやり深く接するなら,エホバとの絆は深まっていきます。
がっかりすることがあっても「神に近づく」
16. 詩編 73編の作者はどう思ったことがありますか。
16 もしかすると,自分にはエホバに愛される価値がない,と思うことがあるかもしれません。先ほど考えたように,詩編 73編の作者も同じように感じたことがありました。こう言っています。「私の足はもう少しでそれていくところだった。危うく滑るところだった」。(詩 73:2)この人は「いら立ち」,「分別」を失い,エホバの前で「理性のない野獣のよう」になってしまいました。(詩 73:21,22)では,こんな自分がエホバに愛されるはずがない,と決め付けて落ち込んでしまったでしょうか。
17. (ア)詩編 73編を書いた人は憂鬱な気持ちに襲われた時,何をしましたか。(イ)私たちは何を学べますか。(写真も参照。)
17 この人がエホバに見捨てられたように感じてしまったとしても,ずっとそういう気持ちのままでいることはありませんでした。憂鬱な気持ちに襲われた時,何をしたでしょうか。エホバにこう言っています。「しかし今は,絶えずあなたと共にいる。あなたは右手をつかんでくださった。あなたは助言して導いてくださり,そうして私が栄光を受けるようにしてくださる」。(詩 73:23,24)エホバに近づくことの大切さを忘れていませんでした。私たちも自分の弱さを痛感したりがっかりしたりする時は,岩のように頼れるエホバに目を向けましょう。(詩 73:26; 94:18)たとえ足を滑らせてエホバを悲しませる道を進んでしまったとしても,エホバの元に帰ることができます。エホバは「快く許して」くれる方だからです。(詩 86:5)気持ちがふさいで,もう駄目だと感じる時こそ,エホバに近づいてください。(詩 103:13,14)
エホバから離れてしまっているように感じる時こそ,クリスチャンの活動に打ち込んでエホバに近づく。(17節を参照。)
「神に近づく」ことに終わりはない
18. エホバに近づくことに終わりはありますか。
18 エホバについて知ることに終わりはありません。エホバとの絆はどんどん強くなっていきます。聖書にある通り,神の知恵と知識,「神の道を知り尽くすこと[は]決してできません」。(ロマ 11:33)
19. 詩編の言葉からどんなことを確信できますか。
19 詩編 79編13節にはこうあります。「あなたの民,あなたの牧草地の羊である私たちは,永遠にあなたに感謝します。何世代にもわたってあなたを賛美します」。これからもエホバに近づくようにするなら,エホバもずっとあなたのそばにいてくれます。あなたもこう言えます。「神は私の心の岩,永遠に私の全て」。(詩 73:26)
27番の歌 エホバの側に立ちなさい!
a 憂鬱な気持ちや不安や悲しみが長引く場合には,専門家に相談するとよいかもしれません。詳しくは「ものみの塔」2023 No.1を参照。