研究記事 30
48番の歌 日ごとにエホバと共に歩む
聖書の基本的な教えから学び続ける
「私は常にこうした事柄を皆さんに思い起こさせたいと思っています。もっとも,ご存じの事柄ですし,皆さんは……真理にしっかり基づいた生き方をしています」。ペテロ第二 1:12
ポイント
聖書を学んで何年たっても,聖書の基本的な教えから役立つ新しいことを学べます。
1. 聖書の教えを学んであなたの人生はどう変わりましたか。
聖書の基本的な教えを学んで,私たちの人生は大きく変わりました。神にエホバという名前があることを知って,エホバとの友情が芽生えました。(イザ 42:8)死んだらどうなるかを知って,亡くなった家族や友達が苦しんでいるのではないかと心配することはなくなりました。(伝 9:10)地球がパラダイスになるという神の約束を学んで,将来への不安は消えました。人生はたった70年や80年で終わるのではなく,いつまでも続いていくことが分かりました。(詩 37:29; 90:10)
2. ペテロ第二 1章12,13節からすると,聖書の基本的な教えが経験を積んだクリスチャンにとっても大切なのはどうしてですか。
2 聖書の基本的な教えがとても大切であることを忘れてはいけません。ペテロは第二の手紙を「真理にしっかり基づいた生き方をしてい[る]」クリスチャンに宛てて書きました。(ペテロ第二 1:12,13を読む。)当時のクリスチャン会衆には,偽りを教える人たちや神を愛していない人たちがいました。(ペテ二 2:1-3)ペテロは,そういう良くない影響の中で頑張っている仲間を力づけるために,兄弟姉妹がすでに学んでよく知っている教えを思い出させました。そのような教えは信仰を守り通すために欠かせないものだったからです。
3. 全てのクリスチャンが聖書の基本的な教えから学べるといえるのはどうしてですか。例えで説明してください。
3 クリスチャンとして成長しても,聖書の基本的な教えから学べる新しいポイントがあるものです。例えで考えてみましょう。経験を積んだシェフと新人のシェフが同じ食材を使って料理を作るとします。経験を積んだシェフは,素材の魅力の引き出し方を学んできたので,同じ食材でも新しい料理や独創的な料理を作ることができます。同じように,エホバに長年仕えてきた人は新しい人とは違った観点で,聖書の基本的な教えから学ぶことができます。私たちの状況や奉仕の種類は変化するものです。それで以前に学んでよく知っている教えでも,今の自分の状況に照らして考えると,役立つ新しいことをいろいろ学べます。では,3つの聖書の基本的な教えから何が学べるか考えてみましょう。
エホバは全てのものを造った方
4. エホバが全てのものを造ったことを学んで,私たちの人生はどう変わりましたか。
4 「全てのものを造ったのは神です」。(ヘブ 3:4)地球も全ての生命も,誰よりも賢く力が強い神が造りました。それでエホバは私たちのことを全部知っています。それだけでなく,私たちのことを気に掛けていて,私たちにとって何が一番いいかも知っています。エホバが全てのものを造ったという基本的な教えを学んで,私たちの人生は意味のあるものになりました。
5. どんなことを考えると謙虚な気持ちにさせられますか。(イザヤ 45:9-12)
5 エホバが全てのものを造ったことを考えると,謙虚な気持ちにさせられます。ヨブは自分のことで頭がいっぱいになってしまったことがありました。そんなヨブにエホバは,全てのものを造ったのが誰なのか思い出すように,と言いました。(ヨブ 38:1-4)そのことを改めて考えたヨブは,エホバが人間と比べていかに優れているかが分かり,エホバのやり方はいつも正しいと理解できました。預言者イザヤも後の時代にこう書いています。「粘土が陶芸家に向かって,『何を作っているのか』などと言うだろうか」。(イザヤ 45:9-12を読む。)
6. どんなときにエホバが創造者であることを考えるといいですか。(写真も参照。)
6 経験を積んでいくと,エホバや聖書の教えに頼るのではなく,自分の考えにこだわるようになるかもしれません。(ヨブ 37:23,24)そんなときは,創造者であるエホバの無限の知恵や偉大さについてじっくり考えましょう。(イザ 40:22; 55:8,9)そうするなら謙虚な気持ちになり,自分の考えよりもエホバの考えの方が大切だと思えるようになります。
自分の意見にこだわりたくなるとき,どんなことを考えるとよいですか。(6節を参照。)d
7. 新しい指示に合わせるために,ラヘラ姉妹はどんなことをしましたか。
7 スロベニアのラヘラ姉妹にとって,エホバが全てのものを造ったという事実をじっくり考えたことが,新しい指示に従うために役立ちました。こう言っています。「責任ある兄弟たちが決めたことを受け入れるのが大変な時もありました。例えば兄弟たちが顎ひげを生やすことについて取り上げられていた『2023 統治体からの話(8)』が出た後も,顎ひげの兄弟が話をするのを見て,気持ちがざわざわしました。それでこの変化に付いていけるよう助けてください,とエホバにお願いしました」。姉妹は,全てのものを造ったエホバなら必ず良い方向に組織を導いていけると思えるようになりました。聖書の理解が調整されたり新しい指示が出されたりして,付いていくのが難しいと感じるとき,創造者の知恵と力がどれほどすごいものかをじっくり考えましょう。(ロマ 11:33-36)
つらいことが起きるのを神が止めない理由
8. つらいことが起きるのを神が止めない理由を知っていることは,どのようにためになりますか。
8 つらいことが起きるのを神が止めないのはどうしてか,理由を知らない人たちは,神に腹を立てたり,神なんていないと思ったりします。(格 19:3)でも私たちは,悪いことが起きるのはエホバのせいではないと知っています。人間が罪と不完全さを受け継いでいるせいです。エホバがこれまで,悪いことを終わらせる時を辛抱強く待ってくれているので,たくさんの人がエホバについて知り,どのようにエホバが悪いことを完全に終わらせるかを学ぶことができました。(ペテ二 3:9,15)私たちはこういうことを知ったので,エホバに引き寄せられ,穏やかな気持ちでいられます。
9. どんな時,エホバが悪いことが起きるのを止めない理由を考えるといいですか。
9 私たちはエホバが悪いことを終わらせるのを辛抱して待たなければいけません。とはいえ,苦しい目に遭ったり,理不尽な扱いを受けたり,大切な人を亡くしたりすると,どうしてエホバは今すぐ助けてくれないんだろうと思うかもしれません。(ハバ 1:2,3)そういう時は,エホバが悪いことが起きるのを止めない理由をじっくり考えることが大切です。a (詩 34:19)エホバがやがて悪いことを全部なくしてくれるということも思い出すようにしましょう。
10. 母親を亡くしたアン姉妹が穏やかな気持ちになれたのはどうしてですか。
10 エホバが悪いことが起きるのを止めない理由を考えると,つらい目に遭っても持ちこたえることができます。インド洋のマヨット島に住むアン姉妹はこう言っています。「数年前に母を亡くした時,悲しくてどうしようもありませんでした。こういうつらいことが起きるのはエホバのせいじゃない,と繰り返し自分に言い聞かせる必要がありました。エホバは悪いことを全部終わらせ,亡くなった人たちを生き返らせたいと思っています。そういうことに思いを巡らすと,自分でも不思議なくらい心が穏やかになります」。
11. エホバが辛抱している理由について考えると,伝道を続けようという気持ちになるのはどうしてですか。
11 神がつらいことをすぐになくさない理由について考えると,頑張って伝道を続けようという気持ちになります。ペテロは,エホバが辛抱強く待っているのは一人でも多くの人に悔い改めて救われてほしいと願っているからだと言いました。そしてこう続けています。「自分がどんな人になるべきかを考えてください。聖なる振る舞いをし,神への専心を行動に表し[ましょう]」。(ペテ二 3:11)「神への専心を行動に表[す]」1つの方法は伝道することです。エホバは人々を愛し,みんなに新しい世界で生き続けてほしいと願っています。あなたの区域に住む人にも真理を受け入れてほしいと願い,辛抱強く待っています。私たちもそのような気持ちで伝道するなら,エホバと一緒に働くことができます。終わりが来る前に,できるだけ多くの人がエホバについて学べるよう助けていきましょう。(コリ一 3:9)
今は「終わりの時代」
12. 今が「終わりの時代」だということを知っていると,どんな良いことがありますか。
12 聖書は「終わりの時代」にどんな人たちが多くなるか予告していました。(テモ二 3:1-5)世の中の様子を見ると,確かにその通りになっています。人々の考え方や行動がどんどん悪くなるにつれて,聖書の言葉への信頼は強まっていきます。(テモ二 3:13-15)
13. ルカ 12章15-21節のイエスの例え話を踏まえて私たちはどんなことを考えるべきですか。
13 今は終わりの時代なので,何を一番大切にして生きるべきか,よく考えなければいけません。ルカ 12章15-21節のイエスの例え話からもそのことを学べます。(読む。)例えに出てきた裕福な男性が「無分別な者」と呼ばれているのはどうしてでしょうか。優先順位を間違えていたからです。この人は「自分のために宝を蓄えて」いましたが,「神から見て裕福で」はありませんでした。これは大きな問題でした。その人に残されている時間は長くなかったからです。神はその人にこう言いました。「今夜,あなたの命は取り上げられる」。私たちの場合も,ある意味で残されている時間は長くありません。今の世界はもうすぐ終わろうとしているからです。それで次のように考えてみてください。「自分は何を一番大切にして生きているだろうか。子供にはどんなことを目標にして生きるよう教えているだろうか。自分の体力,時間,お金を何のために使っているだろうか。自分のために宝を蓄えているだろうか,それとも天に宝を蓄えているだろうか」。
14. 今が終わりの時代だと意識することの大切さが分かる,どんな例がありますか。
14 今が終わりの時代だと意識すると,今をどう生きるかが変わってきます。ミキ姉妹がまさにそうでした。こう言っています。「高校を卒業する時,獣医になるための勉強をしたいと思っていました。でも同時に,いつか開拓者になってもっと伝道者が必要な所で奉仕したいという気持ちもありました。会衆の兄弟姉妹から,本当にその2つを両立できるかどうか,よく考えるように言われました。終わりが近いし,新しい世界では好きなだけ動物について勉強できるよ,とも言ってくれました。それで,大学に行くのではなく,自活するのに役立つ技術を短期コースで学ぶことにしました。その後,開拓をするのにちょうど良い仕事が見つかり,伝道者がもっと必要なエクアドルに引っ越して奉仕することになりました」。姉妹は今もエクアドルにいて,夫婦で巡回奉仕をしています。
15. 今,良い知らせを聞かない人のことも諦めるべきでないのはどうしてですか。(写真も参照。)
15 伝道で良い反応が返ってこなくても諦めないようにしましょう。人の気持ちは変わることがあるからです。イエスの弟のヤコブもそうでした。ヤコブはイエスと一緒に育ち,イエスがメシアになってみんなが驚くような教え方をするのを見ていましたが,弟子にはなりませんでした。でもイエスが生き返った後,とても熱心な弟子になりました。b (ヨハ 7:5。ガラ 2:9)それで,今は聖書に興味がなさそうな家族や,良い知らせを聞こうとしない人たちにも,繰り返し伝えるのは大切です。今は終わりの時代なので,伝道できる時間はあとわずかです。私たちが伝えたことを相手は後になって思い出し,心を動かされるかもしれません。大患難が始まってからそうなることもあり得ます。c
どんなことを考えると,エホバの証人ではない家族を粘り強く助けようと思えますか。(15節を参照。)e
聖書の基本的な教えから学び続ける
16. 聖書の基本的な教えから学び続けることは,あなたにとってどのように役に立ってきましたか。(「教えることを意識した学び方」の囲みも参照。)
16 エホバの証人が提供する情報の中には,主に聖書の基本的な教えを知らない人を対象にしたものもあります。例えば,公開講演,jw.orgの特定の記事や動画,一般向けの雑誌などです。でも,私たちもそういう基本的な教えからしっかり学んでいけば,エホバへの愛が強まり,聖書への信仰が深まり,ほかの人にも聖書について上手に教えられるようになります。(詩 19:7)
17. どんなとき,聖書の基本的な教えについて考えるといいですか。
17 私たちは聖書の教えの新たな理解が知らされるとうれしくなります。とはいえ,聖書を学び始めた時に知った基本的な教えも大切にしています。エホバが責任ある兄弟たちを通して与える指示よりも自分の考えや意見にこだわりたくなるときは,謙虚になって,全てのものを造った,力と知恵のあるエホバが組織を導いていることを認めましょう。自分や大切な人が苦しい目に遭うとき,エホバがどうして悪いことをすぐに終わらせないのかを考えると,辛抱して待とうという気持ちになれます。今が終わりの時代だということを忘れないでいれば,時間やお金や体力をどう使うかについて正しい判断ができます。これからも聖書の基本的な教えから学び,信仰を守り通せる強いクリスチャンへと成長していきましょう。
116番の歌 光は輝きを増す
a 「ものみの塔」2007年5月15日号21-25ページの「すべての苦しみはまもなく終わる ― なぜそう言えますか」という記事を参照。
b 「愛を込めて弟子を育てる」のレッスン8を参照。
c 「ものみの塔」2024年5月号8-13ページの「エホバがこれからどのように裁くかについて分かっていること」という記事を参照。
d 写真や挿絵: ある長老が会合で発言しているが,ほかの長老たちは納得していない。その長老は夜,星空を眺め,自分の考えよりもエホバの考えを大切にしようという気持ちになっている。
e 写真や挿絵: 今が終わりの時代だといえる証拠を調べた姉妹が,エホバの証人ではない姉に電話をかけている。