世界展望
聴力を冒す「ロック」音楽
◆ 「ロック」音楽を絶えず聞く十代の若者たちは,程度の差こそあれ,聴力を冒されることが医師たちによって発見された。音の専門家セオドール・バーランドは,「新しい音楽の響き[『ロック』]は,流行病学的に見て古いものよりもずっと危険である」と語っている。「注意! 現代音楽はあなたの聴力に危険です」というラベルを,「ハード・ロック」音楽のレコードすべてにはってはどうかという提案が,冗談抜きにしてなされている。
疑問視される水銀化合物の使用
◆ アメリカのニューヨークで発行されている「メディカル・レター」誌の最近号は,腐制剤として水銀の化合物を用いることに関し,「そうした薬剤の使用には何ら正当な理由がない」と述べた。水銀化合物には細菌の生殖細胞に対するききめがないという。名前のあげられた水銀化合物の中には,マールブロミン(マーキュロクローム),ニトロメマーゾル(メタヘン),シマーロザル(マーシオレイト)がはいっていた。また,同誌は次のように述べている。「しかし,もっとよくきく感光性の少ない腐制剤があるのだから,皮膚や粘膜の腐制剤あるいは消毒剤としてそれらを用いるのには何ら正当な理由がない」。さらに,比較的清潔な皮膚にできた小さなすり傷や浅い切り傷は,石ケンと水で洗うのが最善の治療であることがしるされている。
人気のない宗教関係のカード
◆ 宗教から遠ざかるという一般の風潮を反映するものとして,宗教関係のカードが一番不人気であると,あいさつ状を販売している多くの店が報告している。ある会社によれば,宗教関係のあいさつ状にそっぽを向く風潮はアメリカ全土にみられるという。
カナダ統一教会の財政難
◆ 財政問題をかかえる教派が増加しているが,カナダ統一教会もその仲間入りをした。寄付金が激減したため,教会の活動範囲を縮小しなければならないことが発表された。根本的な問題は教会出席者が少ないことにある。その結果寄付金も集まらない。あるスポークスマンは,「わたしたちが人々を教会に戻すまでは,金銭問題を解消することはできないだろう」と語った。しかし人々は戻ろうとはしない。むしろ,教会を見捨てる人が年々増加している。
だれの責任か
◆ ブラジルの若者たちの大半は教会に行かない。宗教的な事柄に注意を払わないのである。これはだれの責任であろうか。サンパウロのローマ・カトリックの大司教,ドン・パウロ・エバリスト・アルンスは次のことを認めた。「若者たちが途方にくれているなら,その責任はわたしたちにある。若者は大きな理想を与えられると,それを達成しようと大いに努力する。ところがそうした理想が与えられないと,理想を捜し求め,たとえそれが悪くても,他の理想を達成しようとする」。子どもの時から教会で訓練を受けたカトリックの若者たちが大きな理想を持っていないのであるから,大司教が,彼らに真理を教えなかった宗教指導者たちにその責任を帰したのはもっともなことである。
世界人口
◆ 1970年7月1日現在,世界人口は推定35億5,000万人であった。これは,1年間に7,200万人,また,一日平均約20万人増加したことを示している。
女性の教区指導者
◆ ブラジルには司祭のいないカトリック教会が多い。その一つ,4万人の信徒を擁する教区で,バヒア州サルバドルに住む一女性がその指導者になることを,バチカンは許可した。その女性は修道女ではなく,一般信徒である。彼女は,大半が黒人からなる教区民の支持を得るため,キリスト降誕の情景を描いた飾りの中で,イエス・キリストの像を白いものから黒いものに変えた。
「頭脳流出」の逆流
◆ 数年前,各就職口の多かったアメリカに,海外から科学者たちが集まった。ところが現在,多くの科学者たちは解雇され,「頭脳流出」は逆の方向に進みはじめている。仕事を求めて母国へ帰ったり,他の国へ行く科学者が少なくない。
失墜してゆく軍の威信
◆ 去る12月21日付タイム誌は次のように報じた。「おもにベトナム戦争が原因となって,軍の威信が失墜しつつある。ウエストポイントやアンナポリス出身の陸海軍士官候補生を含め多くの軍人は,休暇の際に自分が軍に関係していることを隠そうとする。……再登録率は1955年以来最低に落ち込んだ。再志願するのは,あらゆる階級および持ち場の軍人中わずか31%にすぎない」。さらに当局者たちは若者が徴兵を非常にきらっていることを認めており,政府の役人は,志願兵だけで兵力が維持できるなら,徴兵制を完全に廃止したいと語っている。
母国を去るアメリカ人
◆ アメリカを去って他の国々へ移住する人々が増加の一途をたどっている。たとえばニュージーランドへ行く人々は1年間に約30%増加した。こうした流出の原因はなんであろうか。そのおもな理由として考えられるのは,アメリカにおける生活の重圧や緊張それに就職難である。