世界展望
退屈な流れ作業
◆ ひところ,大量生産の流れ作業は仕事の能率を上げる『決め手』であると考えられた。しかし,アメリカでは今や,流れ作業の特徴である味気ない作業のくり返しがもたらす規律と退屈さに,労働者が反抗的な態度を見せはじめている。この傾向は流れ作業方式を大幅に採用している自動車産業において特に問題となっている。ここ二,三年間に欠勤サボは2倍にふえた。労働力の15%に相当する人々が金曜日と月曜日に出勤しない工場が少なくない。ある大手の製造業者の報告によれば,最近1年間に最初の90日間を働き通す従業員は全体の半数ほどにすぎないという。さらに別の製造業者は,毎年労働力の96%に相当する従業員を新たに採用しなければならないと報告している。
『先史時代の』さかなを生けどる
◆ 科学者たちが化石を発見し,数百万年前のものであると考えていたさかなが,想像に反して絶滅してはいなかった。そのさかなはシーラカンスで,最近インド洋の深海で発見され生けどりにされた。進化論に反して,この生きたさかなは化石のシーラカンスと変わりがなく,数百万年の間に生物に生じると科学者が主張する想像上の変化は見られなかった。
イランで地震
◆ 去る4月10日イランで地震のために58か村が倒壊した。半径400キロ以上の地域にわたってその翌日までに1,000回の震動が感じられた。破壊による死者の合計はいまだに明らかでない。
新しいドイツ語聖書
◆ ドイツの新聞,ローカルーアンツァイガー・ビンターヒューデは,1972年3月16日の紙面で待望されていた新世界訳聖書のドイツ語版が発行されたことを報じた。その翻訳について同紙は,「新世界訳聖書の場合,原語本文に忠実に従い,一貫した訳語を用いていることだけで読者に深い感銘を与えるだろう」と述べている。新世界訳聖書のドイツ語版はすでに50万冊以上印刷され,6月には,エホバの証人によって,ドイツ民主共和国と西ベルリンの人々に熱心に配布された。
不道徳を是認
◆ 最近英国のオックスフォードで開かれたクエーカー教徒のある会議で,代表者たちは,14歳の子どもに,同性愛を含む性行為を経験させてもよいことを投票によって採決した。去る4月16日付のロンドン・サンデー・ミラー紙によれば,代表者のひとりは次のように語った。「同意年齢について法律は現実に即していない。同性愛については確かにそう言える」。教会人のこうした見解は,聖書の高い道徳水準とあまりにもかけ離れている。
イタリアの急進的な司祭たち
◆ バチカン当局は,最近,イタリアの司祭たちからなる新しい急進的なグループに頭を痛めている。これには,53人の主任司祭,32人の助祭,6人の神学者のほか,かつての司祭と一般信徒が数名加わっている。彼らは「司祭たちが支配階級に対するあらゆる人民闘争に参加すること」を要求し,ローマ・カトリック教会は現状を擁護しているにすぎず,「資本主義の圧制的な勢力」の同盟者となっていると非難した。
若者の自殺
◆ 死に魅力を感じたり,単に人生に失望して自殺する若者がアメリカで増加している。医師の推定によれば,毎年1万5,000人の大学生が自殺を図っている。ロスアンゼルスでは,20歳未満の若者の自殺率が過去10年間に10万人につき3人から10人にふえた。同地域での20歳から29歳の少女の自殺率は,10万人につき6人から26人になった。ロスアンゼルス自殺防止センターの局長は,「死を一つの経験として,死にこれほどまで関心を持った世代をわたしは知らない。……彼らにとって死とは一つのすばらしい新現象である」と述べた。
ビタミンEの実験
◆ 最近,医療科学ソビエトアカデミーの栄養研究所は,18歳から25歳までの競輪の選手34名とスキーヤー37名を対象に3週間の実験をした。その結果,訓練期間中にビタミンEの水準は下がるが,ビタミンEの補充を受けた者については水準が下がらないということを発見した。ビタミンEの補充を受けた者たちの運動能力は,受けなかった者たちに比べて増進した。
喫煙と切断手術
◆ 最近のニューヨーク・タイムズ紙の報道によれば,英国医学ジャーナル誌の編集者たちは,循環系の病気で病院に訪れる患者の95%は喫煙者であると述べた。さらに,喫煙をやめさせるため患者に動脈硬化の危険を警告するよう医師たちに勧めた。編集者たちによれば,動脈閉塞(動脈硬化の一形態)の治療を受け,5年以上もそれをわずらっている患者520人のうち,喫煙をやめた人はつま先や脚の切断をする必要がなかったが,喫煙を続けた人の11%は切断手術を受けなければならなかった。
輸血なしで心臓切開手術
◆ 最近,アメリカ心臓学ジャーナル誌に,宗教上の理由で輸血を拒否したエホバの証人の心臓切開手術に関する記事が載せられた。その記事を執筆した医師たちは次のように語っている。輸血をしない発動技術を使い,「8年間に40人のエホバの証人の心臓病患者に連続42回の心臓切開手術をした。3人の患者(7%)が死亡したが,貧血による死者はわずか1名であった。……わたしたちが行なった試験的な手術はエホバの証人に心臓切開手術を施す可能性があることを示すものであり,さらに,あらゆる患者についても疾病率や死亡率を少なくするために,輸血を控えめに使用できること,またそうすべきことを明らかにするものであると信じる」。同記事は,さらに,多量の血を用いると死亡率が高くなることを指摘して,次のように述べている。「バイパス・ユニットを発動させるために大量の血液を使用する医学センターでは,肝炎の発生率が51%にのぼるところもある。輸血を要する心臓切開手術を受けた一連の患者のうち,血清肝炎による死亡者だけでも11.2%であった」。
顔の予備部分品
◆ 大手術やけがのため,また生まれつきの欠陥のため顔に奇形した部分のある人にとって,プラスチック製の顔の部分品はある意味での療法になるかもしれない。それは本物そっくりに作られており,皮膚のようなきめをしている。また患者の皮膚の色に合わせて染めることができる。部分品はある種のばんそう膏で付けられ,患者はそれを着けたままで泳いだり,入浴したり,化粧をしたりすることができ,しかも必要な時に取りはずすこともできる。
まごつく看護婦
◆ アメリカのいくつかの州で自由な妊娠中絶を認める法律が通過して以来,この手術にかかわりを持ちたがらない看護婦が少なくない。ニューヨークのマウント・サイナイ病院の総婦長シンスィア・キンセラ夫人は次のように語っている。「分娩室付の看護婦は,500㌘から1.4㌔の赤んぼうでさえ,その命を救うためにあらゆる努力をすることに慣れてきました。ところが[現在では],それまで救おうと努めた子どもより大きな子どもを『ソールト・アウト』[中絶]する場合があることを知ったのです」。「妊娠中絶」を手伝うことを拒否する看護婦がいる。
人体器官の移植に伴う弊害
◆ 報告によると,人体器官の移植を受けた患者がガンにかかったり,抑うつ状態になる率は異常に高い。アメリカのサイエンス・ダイジェスト誌は,移植を受けた患者のガン罹病率は全国平均より100倍以上も高いことを明らかにしている。
不必要な手術
◆ アメリカのマサチューセッツ総合病院の前理事,J・H・ノウルズ博士は,最近,「信じがたいほど多くの不必要な手術が行なわれている。許しがたいことだ」と語った。いくつかの独自の調査は同博士の主張が正しいことを証明しているようである。数年間にわたって調査の行なわれた五つの病院では,組織の損傷のために正当化されない手術が,ある病院では全体の12%,別の病院では40%も行なわれていた。子宮の不必要な手術は,ある病院の場合など60%にものぼった。ロスアンゼルスとその近郊にある35の病院で行なわれた子宮切除手術の推定28%は,「おそらく正当なものではない」と考えられ,12%は「明らかに正当でない」とされた。ミシガン州の19の病院で行なわれたすべての虫垂切除のうち,ある病院における6.4%をはじめ別の病院における52.1%の手術は,中垂炎でもないのに行なわれたものであった。