世界展望

休耕地に対する支払い

◆ 昨年アメリカでは，休耕に対する報酬として，1万2,309の「農場」に合計4億1,180万㌦が支払われた。ハワイでは，11の会社が砂糖の栽培を行なわなかった報酬金として1,000万㌦までの支払いを受けた。テキサス州では，小麦その他の穀類，綿花，飼料などの生産を行なわなかった報酬として，5,191人の農夫が1億7,200万㌦ものお金を受け取った。休耕奨励金の支給を受けた農業従事者の中には，刑務所の付属農場，大学および鉱山会社がいくつかと，保険会社とアルミニウム会社が1社ずつ含まれていた。

引き続き高騰する食料品の価格

◆ アメリカでは食料品の価格高騰を助長する新しい要素となる事がらがほとんど毎日のように報じられている。各地で起きた季節はずれの吹雪や降雨や洪水のため，約10億㌦（約2,600億円）相当の作物や家畜類が壊滅的打撃を受けた。アイオワ州だけでも4月に起きた同州最悪の吹雪のさいに，1,800万㌦（約46億円）以上に相当する畜牛や豚，羊やシチメンチョウが死んだ。ジョージア州では1,800万㌦相当のモモの収穫は半減するものと思われている。インジアナ州およびイリノイ州南部では，モモの収穫が少なくとも75％減少するのではなかろうかと懸念されている。ミシガン州では寒気のためにサクランボの収穫が70％減少するものと予想されている。テキサス州の玉ネギは大きな打撃を受け，記録的な高値を呼んでいる。アイダホ州のジャガイモの値段は1年間で50％上がった。去る4月下旬，米食品･医薬局は畜牛肥育用ホルモンDESの使用を禁じたが，その処置のために牛肉の値段がさらに高くなることは必至である。政府の予備の貯蔵穀物は7月1日までには底をつくため，今年春および秋の作物の減収は物価をまたつり上げるおそれがある。中には，事態に対処するため，不法手段に訴える人びともいる。今や家畜泥棒はアメリカの地方の最大の問題とされている。幾つかの地域では，シカおよびオオシカの密猟件数が100％以上もふえている。

エホバの証人の逮捕がさらに続くトルコ

◆ 最近のトルコで行なわれた公式声明によると，去る1973年4月8日，アンカラ市で集会を開いていたエホバの証人の別のグループの人びと11人が逮捕されたとのことである。しかしながら，それら11人の証人たちは逮捕された当時集まりを開いていたのではない，というのが真相である。逮捕されたのは午後11時であって，それらの証人たちはそれぞれ別々のアパートや家にいた。老齢の一婦人はすでに就寝していた。その他の人びとは，たまたま路上で警官に会ったばっかりに，エホバの証人であることが警官に知られ，次いで警察に連行された。それら11人のエホバの証人は，「トルコ国民の一致を乱す目的で，キリスト教の宣伝活動をしたため」，刑法違反の罪に問われたのであると，同声明は主張している。

汚染血液の脅威

◆ 輸血を受ける何万人ものアメリカ人は，やっかいな病気にかかったり，死亡したりする危険にさえさらされていると，アメリカの医学専門家は主張している。報告によると，毎年3,000人以上のアメリカ人が輸血のために死亡し，ほかに3万人もの人びとが病気にかかっているとのことである。カリフォルニア州選出の米下院議員，ビクター･V･ベイセイは，「悲惨なことであるが，血清肝炎の患者全体の少なくとも90％は言い訳の立たないケースである」と述べている。血清肝炎は輸血を受けた後や，汚染血液を輸血されたり，あるいは注射針などの医療器具に触れたりしたために引き起こされる。この病気は麻薬中毒者の間ではごく普通に見られる。

マリファナと胸部の奇形

◆ アメリカ，ボストン市のケンブリッジ病院の医師の話によると，マリファナの吸飲には男性の胸部を女性のように発達させる作用がある。過去数年間，毎日定期的にマリファナを数時間吸飲していた2人の男性に対してテストが行なわれた。マリファナの有効成分である9-テトラ･ヒドロカンナビノール（THC）の化学組成はエストラジオールという女性ホルモンの組成と非常によく似ているようだ。その後の他の症例もこれらの発見を支持していた。

ポルノは無害？

◆ ポルノの影響を過小評価する向きは少なくない。しかし，もしポルノがほんとうに無害であるとするなら，英国医学ジャーナル誌に載せられた次の簡潔な質問を考慮するのは適切である。「ポルノは読者や観客の考えに何ら影響を与えないとする熱烈な支持者が，たいてい子どもたちには見せるべきではないとする見方を認める。なぜであろうか」。同誌はさらにこう述べている。「現代の，より有害な神話の筆頭は，ハシッシュやLSDなどの麻薬は思考力を伸ばすという考え方であり，次は，ポルノは人間の自由を広げるという見方である。両者とも真実を押し曲げた劣悪な代用品を提供している」。