ものみの塔 オンライン・ライブラリー
ものみの塔
オンライン・ライブラリー
日本語
  • 聖書
  • 出版物
  • 集会
  • 目74 3/22 24–26ページ
  • 空気に乗って走るホーバー・クラフト

視聴できるビデオはありません。

申し訳ありません,ビデオをロード中にエラーが発生しました。

  • 空気に乗って走るホーバー・クラフト
  • 目ざめよ! 1974
  • 副見出し
  • 関連する記事
  • コーヒーのあきかんを使った実験
  • 開発
  • 他の用途
  • ホーバー・クラフトにようこそ
  • この世の『空気』を吸い込むことは,死を招く!
    エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 1987
  • 『命を与える霊』に従い続けなさい
    エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 1987
  • 呼吸できる空気は十分にあるのではないか
    目ざめよ! 1971
  • わたしたちの住む大気の“海”
    目ざめよ! 1976
もっと見る
目ざめよ! 1974
目74 3/22 24–26ページ

空気に乗って走るホーバー・クラフト

英国諸島の「目ざめよ!」通信員

英国とヨーロッパ大陸を結ぶホーバー・クラフト機による航路が,1966年4月30日に開設されました。その航路には,それぞれ38人乗りの小型ホーバー・クラフト2機が就航しました。この乗り物は,(イギリス海峡の一部である)ドーバー海峡を船のように進んだのでも,またそのはるか上空を飛行機のように飛んだのでもありませんでした。約45㌔の海峡を,空気クッションに乗って水面すれすれに走って渡ったのです。

現在では,忙しいシーズンになると,同じ航路をホーバー・クラフトが何往復もしています。最新型のホーバー・クラフトは,時速100㌔近くのスピードで282人の乗客と38台の自動車を運ぶことができます。

コーヒーのあきかんを使った実験

20年ほど前に,ある電子技師が,わずかに大きさの違うコーヒーのあきかん2つと,家庭用のヘア・ドライヤーに似た工業用の小型送風機を用いて,ホーバー・クラフトの簡単な実験用模型を作製しました。その技師の名前はクリストファー・クックレルと言いますが,彼は,大きいほうのかんの底に送風機の筒口(風の吹き出し口)がちょうど入る大きさの穴をあけました。次に,小さいほうのかんを大きいほうのかんの内側に入れ,かんとかんの側面にすきまができるように固定しました。こうすると,かんの底が互いに向き合うため,筒口から出る空気の流れはかんの側面の間のすきまを通り,厚さ1㌢内外の下に向かう環状の空気のカーテンとなって吹き出ることになります。

次に,加圧された空気のカーテンが,料理のさいに使う家庭用のてんびんばかりの,計量皿の上にまっすぐ吹きつけるように,その仕掛を台に取り付けました。こうして,クックレルはかんから出る空気のだいたいの圧力を計ることができました。クックレルの予想通り,送風機の筒口から吹き出される空気の圧力は,かんのすきまを通り抜ける間に3倍以上にもなっていました。このことから,こうして作り出された空気のカーテンが,もし固い面に垂直に吹きつけられるなら,送風装置を支えることができるだけでなく,付加的な荷重を運ぶこともできるだろう,との結論を得ました。クックレルはさらに,何らかの方法で推進力を付加できれば,本体と他の積載物を可変圧空気クッションに乗せてどの方向にも全く安全に動かせるだろうとも考えました。これがエアクッション艇(ACV)の始まりです。そしてこれを基にして,ホーバー・クラフトや他の多くの機械装置が作り出されました。

開発

英国には,全英研究開発機関(NRDC)と呼ばれる団体があって,政府の支援のもとに,将来性のある発明を工業化の段階にまで開発しています。1959年にNRDCはエアクッション艇の原理に関心を持ちました。そしてまもなく,エアクッション艇開発計画を推し進めるための会社を作り,ホーバー・クラフトの試作を依頼しました。こうして,世界最初のホーバー・クラフトが作られたのです。このホーバー・クラフトは,ワイト島のイースト・カウズで進水しました。重量は3㌧半で,435馬力のエンジンを1基備えていました。また,空気クッションだけでなく,舷側に添って取り付けられた補助噴出口によって推進力を得られるようにもなっていました。

このホーバー・クラフトは,初め地上で試乗され,厳しい検査を受けました。しかし,それから1か月もしないうちに海上試走が行なわれました。その日,サウサンプトンとワイト島を結ぶソレント・フェリー航路の船客は,見慣れない船が時速40㌔もの信じられないほどのスピードでそばを通り過ぎるのを見て驚かされました。

第1号機の場合に,高さ45㌢を超える障害物(波浪や地面の不均整な部分)の上で安定性が著しく欠けることが明らかになったため,いろいろと修正を加えることが必要になりました。そして最後に,本体の基部の回りに切れ目の入った柔らかい覆いが取り付けられました。これによって,噴出口から出た空気が拡散するまでの時間を長くすることができました。この覆いを付けることによって,空気の密閉率が上がっただけでなく,もっと大きな障害物を越えるのに必要な浮力も得られるようになりました。事実,その覆いは,ホーバー・クラフトを開発し,それを精巧なおもちゃとほとんど変わらない段階から,たくさんの積荷を運ぶことのできる働き者へと改造するさいの,最も重要な要素のひとつとなりました。

他の用途

エアクッション艇の原理は,それが発見されて以来さまざまな分野で開発応用されてきました。たとえば,普通のけん引車を接続したホーバー・ロード・リムーバー(空中積荷移動機)は,非常に重い荷を空気クッションの荷台に載せて,他の場所に移すことができます。1967年7月には,イングランドのマンチェスター市の近郊にある貨物集積所で,重さ70㌧,直径15㍍の2つの巨大な貯蔵タンクがこの方法を使って約180㍍離れた新しい場所に移されました。ロード・リムーバーには,空気クッションの圧力が1平方㍍当たり300㌔に達するまで空気が注入され,この空気によってそれぞれのタンクは地表から約20㌢の高さに持ち上げられました。ジグザグの道を通り抜けなければならなかったにもかかわらず,移動はきわめて順調に行なわれました。

現在では,この同じ方法で,一般道路上を重量200㌧もの荷を移動させることができます。そのさい,橋を補強する必要もありません。小規模なものとしては,重い荷を運ぶために工場や倉庫内でホーバー・パレット(空中運搬台)が一般に使用されています。

エアクラフト艇の原理は医学の分野でも採用され,独自の専門的用途のために用いられています。英国の医学雑誌,ザ・ランセットの1967年6月号の一記事は,重いやけどを負ったふたりの患者がホーバー・ベッド(空中ベッド)で治療を受け,良い結果を得たことを報じました。ホーバー・ベッドというのは,ホーバー・クラフトをちょうど逆さまにしたようなものと考えていただけばよいでしょう。

ホーバー・ベッドには,がっちりした枠が取り付けられており,内側にナイロン張りの袋が掛かっています。袋の上端には指の形をした小袋が2列になって並んでいます。これらの指は,ホーバー・クラフトの切れ目の入った覆いのような働きをします。1平方㌢当たり20ないし25㌘の圧力の,殺菌した暖かい空気が袋の中に吹き込まれ,“指”がふくらみます。これらの指はベッドのちょうど真上で重なり合い,中の空気を密閉する働きをします。

患者をベッドに横たえる時は,ふくらんだ指先にそって中に入れます。こうすると,患者は下から吹き上げる空気クッションだけの作用で空中に支えられます。また,一連の指は体の輪郭線に合わせて自動的に変化し,中の空気の拡散を防ぎます。

患者のひとりは体の三分の一以上にひどいやけどを負っており,もうひとりの患者は体の右半分の一部にやけどを負っていました。最初の患者はホーバー・ベッドに15時間,2番めの患者は6時間横にされました。両方の患者とも,体の広い範囲に滲出部がありましたが,やけどは急速に乾きました。ホーバー・ベッドはその初めから,患者の苦痛を和らげる点で大いに役立ってきました。

ホーバー・クラフトにようこそ

すでにホーバー・クラフトに乗って旅行した人は少なくありません。あなたはもうお乗りになりましたか。では,わたしたちといっしょにホーバー・クラフトにお乗りになってはいかがですか。親切なスチュワーデスが,わたしたちを席に案内したり,救命胴衣の付け方を説明したり,手荷物をしまう場所やしまい方を示したりなどいろいろと世話をしてくれます。さあ,出発の時間が来ました。

ホーバー・クラフトは,エンジンを始動するとすぐに動きだします。機体が空気クッションによって上昇するさいに,かすかな力を感じます。ホーバー・クラフトはもう地面と接触していません。目的地に着くまで浮いたままです。機体は前に進んでいるのですが非常にスムーズに動いているため,横に見える海面に勢いよく沸き上がる白あわだけが,すでに陸から海に出たのだなと感じさせます。

今日は海が穏やかなので,ホーバー・クラフトはペグウェル湾からフランスのカレーに向かう直線コースを取ります。このコースを通ると,途中で,ドーバー海峡に添って南北に横たわっているグッドウィン・サンズ(細長い浅瀬地帯)を横切ります。この海域の,特に浅瀬が水面ぎりぎりのところまで隆起している部分は,普通の船舶にとってきわめて危険ですが,水陸両用のこのエアクラフト艇にとってはなんの問題もありません。天気が悪い時には,ホーバー・クラフトはコースを少し変えて,あまり海の荒れていない沿岸水域をできるだけ進み,海峡を横切るさいには最端距離を行くようにします。

ドーバー海峡を横断するのに40分かかりますから,いろいろと考えをめぐらす時間があります。エンジンが故障したらどうなるのでしょうか。ホーバー・クラフトは沈んでしまいますか。世界で最も混雑しているこの常用航路で,高速のホーバー・クラフトは他の船舶と衝突することはないでしょうか。機内で渡された説明書を読むとすぐに安心します。ほとんどは考えられないことですが,全部のエンジンが同時に故障したような場合には,備え付けの浮力タンクによって機体は浮くように設計されています。エンジンが1基でも作動していれば,スピードは落ちますが,それでも岸に向かうことができます。しかし,ホーバー・クラフトの航路を横切る他の船についてはどうでしょうか。2台の海域レーダーを操作する副操縦士が,ホーバー・クラフトの位置を機長に絶えず知らせています。このレーダーには濃霧の時でも,近くの海域にいるすべての船の位置が映し出されます。

フランスのカレーの海岸に着くと,ホーバー・クラフトは海から上がり,着陸台の上にすべるように降ります。なんの衝撃もありませんし,かん高いブレーキの音もしません。ただ,空気クッションがなくなる時に,気持ちの良いひじ掛けいすの中に満足の吐息をはいて深く身をおろしているような感じを覚えるだけです。

世界で最新の交通機関による旅はこれで終わりました。わたしたちは陸と海の上を空気クッションに乗って渡ったのです。

    日本語出版物(1954-2026)
    ログアウト
    ログイン
    • 日本語
    • シェアする
    • 設定
    • Copyright © 2025 Watch Tower Bible and Tract Society of Pennsylvania
    • 利用規約
    • プライバシーに関する方針
    • プライバシー設定
    • JW.ORG
    • ログイン
    シェアする