事前の計画 ― 車を経済的に走らせるかぎ
典型的なアメリカ人の家庭では,自動車の購入および維持費が,住居費と食費に次ぐ三番めの大きな支出となっています。ガソリンその他自動車関連製品の価格は,ここ数か月来急騰し,新車も大幅に値上がりしました。ドライバー個人がこうした値上げを阻止することはほとんどできません。
しかし,一般の自動車所有者が車の運転に要する費用を切りつめる余地は,まだあります。この面で費用を節約する秘けつは,事前の計画です。それは,車を購入する時から始まります。
自動車を購入する時
小型車は,大型車よりガソリン消費量が少なくて済むように作られています。もちろん,経済性を重んずるあまり,快適さや便利さ,さらには安全性もある程度失われることがあるかもしれません。新車を購入する際の主な関心が経済性にあるのであれば,大抵の場合,政府や他の民間検査機関の発行するガソリン1㍑当たりの走行距離表が良い情報を提供してくれます。そうした試験結果を幾つか入手できれば,それを互いに比較してみると良いでしょう。その車の性能を,かなり正確には握できます。購入予定の新車に,ガソリン消費量を減らす装置を取り付けられるかどうかも,事前に検討してください。
事前の計画は,物事を別の観点から見ることをも要求します。今,大型車を持っているからといって,お金を節約するためにその車を売り,小型車に買い替えたほうがよいとは限りません。そうすることによって,実際にはお金を失うことになるかもしれません。どうしてですか。
現在所有している車の維持費がどれぐらいかかるか,あなたはご存じです。新車を買うと,手持ちの車を下取りしてもらっても,別に数十万円の費用を要するでしょう。その数十万円を使って,現在の車をどれくらいの期間維持できるか,時間をかけて注意深く計算してください。その答えに驚かされるかもしれません。そうです,現在の車を維持するほうが,ずっと賢明な場合もあるのです。
自動車の整備は経費の節約に通じる
自動車を経済的に運転する上で大きな要素となる別の点は,車の総合的な整備です。車の性能を最大限に発揮させるのに役立つ幾つかの事があります。
その一つは,車のバッテリーを十分に充電し,点火機能を最良の状態にしておくことです。そうすれば,始動時にガソリンを節約できます。汚れて火花間隙の不適正な点火プラグは,ガソリンを一割も余計に消費します。ブレーキの裏張りを締め付けたままにしておくようなことは避けてください。ブレーキシューを摩滅させるだけでなく,不必要にガソリンを消費することになるからです。
キャブレターはよく調整され,掃除されていますか。定期的に点検し,調子が悪くならないようにしておけば,ガソリンを3割も節約できます。キャブレターの不調と汚れは,“低効率”の混合気を生み出しやすい組み合わせです。エアフィルターもよく掃除しておかねばなりません。点火のタイミングは非常に重要で,正しく調整されていないと,ガソリンを浪費することになります。
車のオイルや潤滑油を切らさないようにしておくことの価値はしばしば見過ごされます。それを見過ごしにしなければ,走行時の摩擦による抵抗を抑えることができます。これは,ある程度,1㍑当たりの走行距離を伸ばすのに役立つでしょう。
タイヤの減り具合いも調べてください。むらがあるなら,車輪のバランスが崩れているのかもしれず,タイヤを傷つけるだけでなく,1㍑当たりの走行距離も短くなります。
運転の仕方に注意すれば節約に役立つ
ガソリン代を節約するために,行き先を事前に計画しておくのは賢明なことです。いろいろな店に行くため,別々の時に車で出かける代わりに,行かねばならない所を順番に回り,一度で仕事をすませてはいかがですか。
合い乗りはガソリン代を節約する良い方法です。アメリカで車一台の平均乗車人員は1.6人です。もし,その平均がほんの少し上がって二人になるなら,交通渋滞は2割ほど緩和されるものと考えられます。さらに,年間22億7,000万㍑のガソリンを節約することにもなります。ですから,友人や隣人とほんの数分の間計画を立てるだけで,お互いに交通費を節約できるでしょう。
車を実際に走らせる時にも事前の考慮が大切です。エンジンを暖める際,あまり長くふかしてはなりません。ギヤーを入れてもエンストを起こさない程度で十分です。初めはゆっくりした,つまり遅い速度で運転し,徐々にエンジンを暖めてゆけるでしょう。
運転中は,前方をよく見てください。そうすれば,急停車や急発進を避けられます。急停車や急発進は,最もガソリンを食う運転の仕方であると考えられています。信号が青になってからすぐにスピードを上げると,ガソリンの消費量はほぼ2割増大します。一方,車のスピードをだいたい一定に保つだけで,ガソリンを7%以上も節約できます。角を曲ったり,進路変更をしたりする際にも,起こり得る事態を予期して,車の速度を前もって落としておけば,急停車や急発進を避けられます。
どうしても必要な時を除いて,交通量が少なく,ノロノロ運転をしなくてもよい時間帯に車を運転できるかもしれません。800㍍につき二回停車すると,800㍍につき一回停車する場合よりも,ガソリンの消費量が2割も多くなると考えられています。
ガソリン消費量の軽減に役立つと言われる装置の宣伝には注意するのが賢明です。効果的なものもあるかもしれませんが,概して,そうした宣伝には注意したほうが良いようです。その種の付属装置が役に立つかどうか調べる一番良い方法は,すでにその装置を使って効果を上げている人に尋ねてみることです。利用者の多くは,真空計は買う価値のある装置で,ガソリンを節約するのに役立つと報告しています。この装置の目盛板には,モーターが最も効率良く働く範囲が記されています。
ガソリンを購入する際に機敏であることもお金の節約につながります。少し遠出をするのでしたら,大抵の場合,ガソリンは市内よりもハイウェイで購入するほうが高くつくことを覚えておいてください。ですから,旅行に出かける前にタンクを満たしておいてください。
ここに挙げた提案の幾つかを上手に利用すれば,疑いなくお金を節約することができます。他にも同じほど有効な提案が数多くあります。しかし結局のところ,事前の計画が車を経済的に走らせるかぎとなります。