神の主権 地域大会
今年もエホバの証人は日本中の五つの都市で地域大会を開きました。大会の主題は「神の主権」というものであり,個々の国家が独自の主権を強く主張する今の世にあって,人類を真に平和のうちに一致させるものに注意を向けました。人々が小さな国家群に分けられている結果,国家的,人種的な誇り,過度の愛国心がもたらされ,それらが現在の世に見られる分裂,衝突そして戦争の主な原因となっているのです。しかし,個人であれ国家であれ,神を全宇宙の正当な主権者と認め,その神と協力しないなら,永続する一致と平和は決して得られないことを聖書は示しています。
大会中,話や討議また聖書劇により,今日どのようにエホバ神の主権を認める生活が送れるのか,さらに近い将来どのようにその神の力が明らかにされるかが示されました。
この日本中の五つの大会に合計5万7,439名が出席し,2,367名が水によるバプテスマを受けたことは特筆すべき事柄でした。この事は,確かに大勢の人々が,神の主権を認めつつあることを物語っています。
札幌市
日本で同時に開かれた三つの地域大会の一つは,札幌市の北海道立産業共進会場で行なわれました。これは札幌市の南の郊外にあり,広々としたとうもろこし畑や牧草地に囲まれた快適な環境の中にあります。この建物は一万人を収容できるりっぱなものであり,広い敷地を利用して給食施設や喫茶スタンドが設置されました。会場に付属する駐車場は一千台の乗用車を駐車させることができるものです。郊外であるため一般の交通機関は大会出席者のために十分なものではありませんでしたが,大会本部は地下鉄の駅と会場との間でバス輸送をする取り決めをもうけることができ,何十台ものバスが数千人の大会出席者を朝夕運びました。異常天候のため,例年見られる安定した天気には恵まれず特に大会の金曜日夜半から降り出した雨は土曜日も一日中激しく降りました。しかし大勢の兄弟たちは午前3時ごろに会場にかけつけ炊事場のテントを補強するなどの仕事を一生懸命に行なった結果,大会は円滑に運営されました。大会出席者がより良い音響で話を聞けるよう工夫が凝らされ,北海道中の王国会館から音響設備が持ち込まれ,それが細心の注意を払って巧みに配置されたため,会場のどこにいても十分に話を聞くことができ,大会出席者たちは大会を運営した監督たちの努力を感謝しました。
この大会には北海道の三つの巡回区に加え,東北の二つの巡回区の人々も出席しました。五つの巡回区を合計すると113の会衆や群れがあり,中には札幌・西会衆のように伝道者合計が160人にも及び毎週日曜日の集会に300人を超す方々が出席するような大きな会衆もありますが,そのほとんどは比較的小さな会衆や群れです。このような所から大会に出席した兄弟たちは,大勢の出席者に会い,優れた大会の運営を見,興味深い劇やりっぱな話を聞いて,大きな感銘を受けました。例えば今年の3月,綱走市での奉仕を終えて,中標別という小さな町に移ったばかりの2人の特別開拓者はその町からの9人の方々と共に出席しました。この群れからエホバの証人の大会に初めて出席した一家族のご主人は「本当に深い感銘を受けました」としみじみ語っていました。奉仕者5人から成る一家族が,エホバの証人がまだ一人もいない森町に小樽会衆から移ったのは昨年6月ごろでした。今3人の正規開拓者を含む9人の奉仕者たちから成るこの会衆から19人が札幌大会に出席し,大きな励ましを受けました。
1959年に北海道で最初の巡回大会が開かれ75人が出席しましたが,それから約16年後,札幌市での地域大会に5,512人もの人々が出席し,47人の男の人を含む209人がバプテスマを受けたのを見る時,確かに『成長させてくださるのは神である』ことを確信できます。
福山市
エホバの証人の2つの会衆が活発に奉仕している福山市では市民体育館という立派な施設が大会に用いられました。スポーツ競技だけでなく音楽会も開けるように設計されているため,音響設備は完ぺきで出席者は話や聖書劇を十分楽しむことができました。
中国地方の四つの県,そして四国から約5,000人の出席が見込まれていましたから,出席者のための簡易食堂,炊事場を建設しなければなりませんでした。まず多量の水をどこから得ますか。太い水道管でなければ十分に水を供給できません。幸いにも体育館の敷地内にそれを見つけることができました。話し合いの後に市役所と体育館の館長の取り計らいで,アスファルトをはがして水道の配管工事をする許可が得られました。一人の地元の証人は,テーブルとして使えるパネルを全部寄付し,さらに近所の建設会社は食堂や炊事場の屋根に必要な数千本のパイプを無料で使わせてくれました。こうして必要なほとんどの資材が提供されました。
会場は市の競馬場の隣りにあるため,周辺の広い駐車場が証人たちに無料で開放されるなど,あらゆる方面から協力が差し伸べられたことは,準備のために忙しく働いた証人たちを喜ばせました。
大会の会場は暖かいクリスチャンの交わりがかもし出すすばらしい雰囲気に満ちており,ステージのセットもそれに貢献していました。常緑樹の小枝でステージの三方がすべて覆われ,緑の野原の一か所に立って話し手が語っているようでした。背景の木立ちと花も気持ちに安らぎを与えていました。日曜日までの四日間天気に恵まれて出席者は喜びました。日曜日の子供の教育に関する古代劇を4,624人が楽しみ,同日午後の「神の主権の下に置かれる,一つの世界,一つの政府」と題する公開集会には4,662人が出席しました。またこの大会で194名がバプテスマを受けたことも見る人々に感銘を与えるものでした。
北九州市
ここ北九州市では一年前と同じ,北九州市立総合体育館が使用され,大会の主題「神の主権」にふさわしい集いになりました。大会に対する市当局,特に総合体育館の館長はじめ職員の協力はとても良いものでした。大会の開かれる予定の7月24-27日は市の総合体育大会が予定されていましたが,数回の話し合いにより体育大会の期日を7月23日までに繰り上げて行なうことになりました。これについては昨年のエホバの証人の大会での出席者たちのりっぱな振舞いに良い印象を持った,館長はじめ職員の口添えがあったことを見逃すことはできません。今年も良い協力が保たれました。最終日に,館長は大会の成功を喜んでかなりの寄付を持って大会本部にあいさつに来ました。
大会の前日まで体育大会があったので,会場の準備は非常に短時間で行なわれねばなりませんでしたが,証人たちは夕方6時半から真夜中まで忙しく働いて立派にステージを作ることが出来たのです。
この大会は,市の保健所の深い関心を呼ぶものとなりました。果たして6,000食の食事を準備する戸外の仮設施設は安全で衛生的なものでしょうか。この質問には昨年の大会が十分の答えを与えていたのです。保健所の係官はすでに良い印象を受けていたので,今年も同様の大会が証人たちによって行なわれることを知った時,この大会を良い模範として市内の食品加工業者を指導することにしたのです。大会中何日間も,係官が炊事場を訪れスライドを撮りました。市の衛生局の係長は保健所の係官と一緒に視察に来てこう言いました,「衛生管理については実によく出来ていますね。何も言うことがありません」。保健所の勧めにより,市内の5,000人分の給食センターを持つ給食会社の理事も見学に来て,清潔な方法で働いている証人たちから良い印象を受けました。常に聖書によって訓練された良心に従うクリスチャンたちは,こうした点で何と立派にその崇拝している神エホバに誉れをもたらしているではありませんか。
出席者たちの主な関心はその大会で得られる霊的な啓発を与える聖書の知識です。1975年という人類史の第6,000年に居るクリスチャン証人にとって時宜にかなった聖書の話が大会を通じてなされました。北九州市内の一人の長老は「本当に皆が知りたいと思っていたこと,考えていたことに答えが与えられました」といって大会のプログラムに感謝していました。この大会の最高出席者は6,169名で,268名が新たにバプテスマを受け出席者たちを大いに喜ばせました。
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今年の地域大会では四つの聖書劇が上演され,数々の教訓が与えられた